第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

成功するメンタリングガイド(メンターもメンティーもお互いに必要なテクニック!!)

2020-11-29 12:47:14 | 書評;献本御礼のコーナー

僕のある意味、課外教育方針を180変えられたHarbard Business Reviewの論文。

Dr. Chopra& Dr. Saintの

6 Things Every Mentor Should Do

https://hbr.org/2017/03/6-things-every-mentor-should-do

が出版された衝撃の一冊でした。これを徳田先生が翻訳されたとのことで献本いただきましたのでこっちにも書評を記載しておきます。

 

貪るように読んでしまった。一言で言うと、本気で悔しい。

書籍を読んで悔しいと感じることはそうそうない。

なぜかと言えば、今までの医師人生で苦労して、本気で悩んだことや、嬉しいこと悲しいこと、研修医や医学生が急激に成長して部分的に自分を超えた瞬間のアノ複雑な心境までも、これまで時間をかけてようやく感得してきた経験値(誰にも言わずにこっそり隠し持っていたもの)を完全に勝手に暴露された気がした。

メンターが行うべき実践手法や考え方、そのいちいち全てが、自分が優れたメンターを観察して苦労して学んだこと、数多くのメンティー達と接した時に生じた悩みや、研修医や医学生が抱えていることが多い相談内容にぴったりとフィットしているのだ。

何を隠そう、大学教員である自分は一時期やる気がない(ように見える?)医学生や研修医に対してすごく悩んだ。

若さゆえの過ちというやつか、誰にでも公平に出来るだけ丁寧な良い教育を!!と鼻息荒く取り組んでいた。結果的に、うまくいかず苦しかった。

しかしある日、作者のDr. Chopra& Dr. Saintが発表した「メンターが心得るべき6つの事」という論文を読んで自分の考えは完全に間違っていたと悟った。その答えは本書の中にあるので、ぜひ手にとって読んでほしい。

そう「メンターはメンティーを選んで良い」のである。そして、「メンティーもメンターを選ばなければならない」のだ。お互いの適切な選び方、効果的な関係性を維持する方法、お互いに離れるべきポイントなど本書の全てがいちいち実体験にマッチしており悔しいのだ。

最後になるが、自分は医師5年目のある日、監訳者である徳田安春先生に誘われ東京ドームのムーミン谷のパン屋さんでメンターメンティーの契り?を結んだ(気がする)。この日は人生の劇的な転換点となった。メンターとメンティーの関係は、プロとしての一人の医師人生を大きく左右する最重要課題である。

しかしながら、これまでその技術的なエッセンス、ノウハウを鋭く突いた本はなかった。この本はベテランも若手も学生も必携必読の医師人生指南の教科書である。

 

 

 

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実装?KaizenのImplementationの際に注意すべきこと。

2020-11-16 12:38:52 | Harvard medical school

今日は、Implementationについてです。実装と日本語に訳されることが多いですが、いやいや普通に多くの人が耳馴染みがないために、個人的には実行、実施の方がNative Japaneseの感覚に近いと思っています(なんか武器を装着するみたいでよね)。

さて、色々な問題点を分析し、そして改善案を実施しなければなりませんがその際の注意点があります。

以前、世界のTOYOTAの講演でPDCA+SDCAの話を聞きブログにしました。

 

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TOYOTA KAIZEN と医学教育改革、医療の質・安全学会でぶっこむ。 - 第三部 熱帯夜の明けに~Generalist in 出雲 大学編~

みなさまこんにちわ。医療の質・安全学会にお呼びいただいたのでお話ししてきます。私のテーマは本邦の医療訴訟判例から読み取れる診断エラーについて...

TOYOTA KAIZEN と医学教育改革、医療の質・安全学会でぶっこむ。 - 第三部 熱帯夜の明けに~Generalist in 出雲 大学編~

 

 

P(plan) D(do) C(check) A(act) 、これは方針管理や、抜本的改善、革新的な活動・アイデアなどで頻用する。ここから、組織全体が持つべき方向性・Standard化した行動や業務などを作成し浸透させることが重要ですね。一方で、組織の活動の標準化(つまりは毎日の医療行為の標準化と質が保たれているか?良い教育が行われているかなど?)に関しては、PDCAではなく、SDCAを用います。

つまり、S(Standardize 標準化) D(do) C(check) A(act)が重要で、行うべき標準化されたやり方、規則、考え方は遵守できているか、できないのであればなぜか?これを考えるのが重要と思います。

 

さて教科書では、このように記載されていますが、正直本質は一緒です。覚えるというよりは感得するということが大事かなと思います。

 

• Implementation is about how to make a change an integral part of the system. どのようにして変更をシステムの不可欠・重要な部分に組み込むか?


• A common mistake is to go straight to implementation and skip testing. よくアルアル間違いは、いきなり直行して猪突猛進して実行していまし、重要な評価やテストをやらないことです。


• Implementation should be managed as a series of cycles.  一連のサイクルとして管理されるべき

 

• Once improvements are implemented, practices need to be established to ensure the change becomes the normal way the business is run. Some of the practices that help make improvements permanent in an organization are standardization, documentation, training, measurement, and appropriate resourcing. Periodic self-audits can be useful in determining whether these practices are being followed.

変革や変化が通常の運営プロセスになるように確立する。その改善を永続的なものにするのを助ける実際的な手順はの

標準化

文書化

トレーニングの繰り返し、

評価とテスト

資源の確保

定期的な次組織の観察や調査はこれらのプラクティスが守られているか決定する場合に有用。


• The increased permanence of a change associated with moving from testing to implementation is usually accompanied by increased awareness of and reaction to the change. 変化の定着を向上せるということや実際にテストから実行へ移行する際にどれだけ注目されて、抵抗があるかということと関連する。

• Many of the ways in which people become motivated to support a change begin before implementation is started. スタッフがその変革にサポートする意欲を保つために数多くの手法があるので、実施する前に十分に検討する。

*Gerald J. Langley, The improvement guide より

 

今日はこの辺りで。

 

 


医療訴訟アウトカムリスク予測モデル

2020-11-12 11:45:43 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。今日はとても悔しい授業内容でした。

自分が簡単な予測式で発表しようと思っていたもので(内科に絞ったものは投稿中ですが)、今年2020年のa division of the risk management foundation of the Harvard Medical Institutions IncorporatedからCRICO strategiesというもので衝撃でした。

その予想式では、標準的なポリシー、プロトコールの手順のエラーがaOR 2.45, 患者のアセスメント不足がaOR 1.85、書類不備がaOR 1.76などであり、患者側の明らかな要因があるとaOR 0.64, 第三者機関が関与しているとaOR 0.47と逆に敗訴するリスクは下がるとの内容です。

まさにこれは、僕はDiagnostic errorとSystem errorでLogistic 解析で既にやっていたことで、自分が知らなかっただけで、米国の法曹界と医療界のコラボレーションですでに結構出来上がってきていました。この Harvardが運営するCRICOは本当にすごい、こういうことができるのがこの大学の超越したところだとひしひしと感じます。日本のぼっち医師では、もう相手にすらされない圧倒的なパワーを前にして悲しくなります。

 

日本では法曹界の先生方はprediction ruleなどで、どういう要素が医療訴訟の勝敗に関与するかあまり興味がなく、判例一例一例毎のexpert opinionで動いているようなので、正解のない答えを扱うとそうなると思いますが、医療の質の改善的には本当にocean blueであると考えています。

 

正直悔しいですが、自分が知らなかっただけで、手法も考え方もまったく同じで、あながち自分の考え方や戦略は全く外れていなかったという確定的な自信にもなりましたが、やはり遅れている研究結果の報告に自分の時間の使い方に無駄がなかったか、時間マネージメントが足りなかったことを後悔します。

我が国で、研究を本気でするためにはどうしても専念する必要がありますね・・・・・。

この予測式から、ある一定の患者数あたり、どのように介入すれば莫大な医療訴訟費用を減らすことができるか?すでに米国で介入が始まっているので、我が国にも5-10年後くらいに導入になると思います。かなり訴訟関連費用は減ると思います。

 

37000の判例で右側のVariableは調整されています。

要約するとこんな感じです。

 

また、その中でも、inadequate patinet assement (患者さんに対するアセスメント不足)では

医師の診断エラーがどれくらいHarmfulであるか、我々の日本のデータもほぼ同様の解析結果でした。

唯一の希望は、日本と米国の司法制度の異なり、また訴訟に対する文化や考え方の違いから二国間比較は可能であるので今後の楽しみに取っておきます。

救急やプライマリケアといった、診断がついていない、そして複雑性が高い高度な臨床能力を必要とする診療科はやはり丁寧な卒後教育(トレーニング)と生涯教育の上に成り立っているなぁと実感します。

 

 

 


Survey design:研究に落としこむ正しいアンケート調査

2020-11-08 13:53:47 | Research

みなさまこんにちわ。

今週のHarvard  Medical school大学院の方のテーマはSurvey designです。これは以前自分もGCSRTプログラムで学習したつもりですが、やはり大学教員たるもの若手にちゃんと教えることができるようになるようにPitfallsなどをまとめておこうと思います。

 

アンケート調査の作成時の陥りがちな5つのこと。

Avoiding five common pitfalls of Survey design. Academic Medicine, Vol. 86. no,10/October 2011.

1:一つの項目に聞きたいポイントを2つ以上入れてしまっている。ex) 何か問題があった場合に、どれくらいの頻度で看護師や上級医に相談していますか?

理由:並列になっていると、上級医にはあまり相談しないれど、看護師にはよくする場合には矛盾で答えられない。

打開策⇨Sruvey ietem should adress one idea at time.一つの質問に一つの内容!

2: 質問内容にNegativeなイメージの言い回しを入れる。ex) どれくらい朝の授業で遅刻しますか?

理由:Negatively worded survey items are challenging for respondents to comprehend and answer accurately. 回答者はネガティブな回答は無意識に避け、正しく回答しない傾向がある。また、二重否定などの今わしも同様で、回答者は混乱する。 

打開策:Yesと答えが方が良いものにはYes. YesにはYes。NoにはNo. ex)週の平均でどのくらいの頻度で朝授業に間に合っていますか?

3:質問ではなく回答者の宣言になってしまっている。ex) 私はこの授業でAを習得した自信がある。

理由:Surveyは勘違いされているが、基本的には会話である。より正しい情報を引き出そうと思ったら、会話のキャッチボールにするべきで、一方的に宣言させてしまってはならない(回答者のバイアスが発生しやすくなる)

打開策:宣言タイプのから質問へ。ex)あなたはこの授業でAを習得した自信がありますか? 

4:同意を聞く回答様式になっている。ex)The high cost of health care is the most important issue in America today. (現在のアメリカでは医療費は最重要課題である) • strongly disagree • disagree • neutral • agree • strongly agree

理由:興味のある構成要素固有の回答項目を使用します。そうすることで、回答者が無関心になることが減り、質問の構成要素に回答者が集中できるようになります。そうすることで、測定誤差も少なくなる。

打開策:ex) How important is the issue of high health care costs in America today? 

5:選択肢の数が多すぎる、少なすぎる。ex) 選択肢3、ないし10個

理由:一般原則として、選択肢が少なすぎると調査の信頼性が落ちてしまう。

打開策:選択肢は5-7個程度でちょうど良い、先行研究的には9個以上に増やしたからと言って調査の精度をあげることはなかった。ex) 選択肢は5-7程度。

考えるべきポイント!

Relevancy and accuracy are two ideals that encompass the main outcome of creating reliable surveys. These two principles work together to write effective survey questions. To achieve relevancy, keep the following factors in mind. 関連性と正確性は、信頼性の高い調査を作成するための主要な成果を包含する2つの理想。

集めるべき必要な情報をまず見極める

・表現のスタイル、タイプ、質問の順序を工夫する。
・アンケートをアトラクティブにし、文章の長さや、全体に回答するのにかかる時間に注目する。
・アンケートを作成する際には、著者は自分自身を典型的な回答者として勘違いしてはいけない!そのような教育を受けていない回答者の立場であればどう回答するかを考える。

・関連性と正確性について考慮しなければならないことは質問の書き方と全体の長さ。なんのために、目的と、どのようなデータとして解析するか逆算する。

・センシティブな情報は正確性が落ちるために工夫する、ex) 実年齢を聞くよりは、生まれた西暦を聞くと回答の正確性が増加する。

 ・読みやすい質問を使用する - 読みやすく、素早く簡単に回答できる質問を作成。これにより、質問が完全に読まれる前に回答者が回答に飛びつくのを防ぐことができます。(質問や回答のリストが長くなると、データの質が低下することがあります, Iarossi 2006, 44)

・回答者に関連性のある質問にする - すべての質問が、すべての回答者および調査の目的に関連するものである必要がある。よってもし〜ならばなどの仮定の質問は避ける(Iarossi 2006, 44)。もしあなたが、タイのコーケンの市長の選挙についてアンケートされたとして、興味ないからちゃんと回答しないはず。

・回答者にとって苦痛のない質問を - アンケートの質問は、回答に可能な限り労力を必要としないものでなければならない。ほとんどの人は、難しく考えたり、時間をかけたりせずに、素早く回答してアンケートを完了させたいと考えているので、Rating scaleの真ん中のつけて終わったりなど。

・目的と場合によって異なるのでこうすれば完璧というsuveryの質問作成はないが、良い悪い質問紙を作るポイントはある。(Be Brief:簡潔に、Be Objective:目的を明確に、Be Simple:シンプルに、Be Specific:具体的に)です

・Leading Question Biasを避ける。よくある質問自体が回答を先導するのを避ける!

Bad Example: We have recently upgraded SurveyMonkey‟s features to become a first-class tool. What are your thoughts on the new site?

Replace with: What are your thoughts on the upgrades to SurveyMonkey?

・Loaded questions biasを避ける。言葉やステレオタイプ、威信的なイメージなど、感情的な項目に作用してしまう。「回答者のエゴや要望を煽ったり、回答者のプライドを歪めたりするような言い回しは避ける。これは、回答者を特定の回答へ導く結果へ。

・回答者が質問内容に対して精通していると勝手に仮定しない。対象者は適切か?

・否定的な表現や二重否定的な表現は常に避ける。また【常に】や【決して】や【絶対に】などの断定的な言葉の使用は、回答者に質問への回答を避けさせる原因となる。

・曖昧さを避ける。人の思考プロセスはそれぞれ異なり人によっては異なる意味を想起する。ある人にとっての「しばしば」は週に1~2回、他の人にとっては月に数回という意味かもしれないので、明確にすると良い

・Balanced or non-balanced rating scaleにするかどうか。Here is where you decide if you want to provide a “neutral” middle category to your scale. If a neutral choice is a possibility, then you may want to include a midpoint answer choice. However, if you want the respondent to take one side over the other, then an even number of categories is suggested. This will force respondents away from the neutral response (Iraossi 2006, 61).

中間をつけることで、賛成、否定の両方の傾向でもない中間の層を拾えるが、質問の内容によっては中間になるかもしれない。本当にどちらかよりに明らかにしなければならない内容であれば偶数にしてしまうのも良い。N/Aとすることも場合にはOK。

・質問順序の作り方も:良いアンケートのデザインは想起を促すのに役立つのと、質問の順序は回答者の興味を和らげたり、喚起したり、調査の意図に対する疑問を解消したりすることにもつながる。一般的なガイドラインとして、質問の順序には、

Opening questions冒頭の質問:参加者は調査の目的を明確にする。参加者の興味と全体的な参加意欲を刺激するように。

Question flow 質問の流れ:アイデアの流れを汲み取り、回答者の能力に合わせたもの。トピックはグルーピングする。

Location of sensitive questionsセンシティブな質問は最後に:アンケートの最初に難しい・センシティブな質問を入れると回答者がアンケートを拒否して早々に退出してしまう可能性を考慮。

3つの領域を考えると良い。

・アンケートの構造を設計する際には、最初から最後まで一貫性のある形式とレイアウトが重要。わかりにくい、不十分に構成されたアンケートは、回答者が質問を飛ばしたり、アンケートへの回答を完全に拒否したりする可能性。

・レイアウトに注意を払い、回答者側、またはコーディングやデータクリーニングの部分でエラーが発生する可能性を極限まで減らす。解析からの逆算が必要。論理的で、識別性、コーディング性、および保存の容易性を熟慮。要は、データをとった後に偏っていたり、カテゴリカルデータに落とし込めなかったり、missing dataやデータ入力など含めて解析に使えるか。

・Pilot testを実施して、実際の必要な時間、データの漏れやすさ、上記が問題ないか最後ではあるが、もっとも重要な仕事。下記チェックリストを用いると良い。

✔︎回答者はアンケートの目的を理解できるか?
✔︎回答者は質問に安心して答えられるか?
✔︎アンケートの言葉遣いは明確で丁寧か?
✔︎回答者にとって使用する時間は適切か?
✔︎選択肢は、その問題に関する回答者の経験と一致しているか。
✔︎回答する前に、回答者が長く考えすぎたり、一生懸命考えたりする必要がある項目がないか? どの項目か?
✔︎どの項目が感情を揺さぶってしまうか?(イライラして、恥ずかしさ、答えにくさ)
✔︎質問のどれが回答に偏りを生じさせルカ? 
✔︎収集された回答は、調査の目的を反映するデータてなるか?
✔︎受け取った回答には十分な多様性があるか?
✔︎アンケートは長すぎないか?
✔︎pilot test施工車の意見では何か他に重要な問題が見落とされていないか?

 

 


Quality improvement におけるControl Chartの選択の方法

2020-11-08 12:46:55 | Harvard medical school

Improving health careのコンセプトを真に理解して解析するためのもっとも大事なコアの部分です。

これは、臨床研究で言えば、FINERたてて、Null hypothesisとHaを決めてDataの検定を決定するときのコアだと思っていただければと思います。

医療の質と改善の学問はかなり楽しいです。これは・・・自分のような研究者も好きで、Activitistでもあり、教育が臨床が好きな人に向いているとしか思えません。

COVID-19で辛いことが多いですが、前向きに、全ての仕事に感謝して取り組みます。

 

一見わかりにくいですが、ImprovingのためのDataはAtrributes data(BinaryやDichotomusやCategolical dataですね)かVariables (Continuous) dataか?を考えます。

この時に大事なことは、CountとMeasureの違いですね。前者は一個二個など数えられること、後者はメジャーで計測するイメージであれば良いかと思います。

さらに極論すればこうなります。

はじめに

まず前提として、物事がうまくいっているかどうかをみたい時に、折れ線グラフを作ってよくあらわしますよね。この折れ線グラフを走らせたものをRun chartと仰々しく名前がついております・・。(一瞬、なんのことかわかりませんでした)。その折れ線グラフの解釈をより正確に行い、介入やマネージメンに用いるためにControl chartが作られたといえます。

Control Chart 

Control chartはRun chartの延長線上にあるのでRun chartがもつすべてのことを含んでいる。医療のプロセスの平均から3σの距離に上限管理限界UCLと下限管理限界LCLを追加したものである.これは,プロセスの能力を示し,プロセスが許容されるパラメータの範囲内にあるかどうかを監視するのに役立つ.

次に

評価したいOutcomeがmeasurement/VariavleかAttributeかを考えます。前者は主に連続変数、後者はいわゆるカテゴリカルデータです。

ここでは前者をまず考えます。

 

わかりやすくいうと、横軸に日付やイベント数を例えば書いたとして、それがサブグループであれそのサブグループの中の平均や標準偏差を見ることができますね。(その日の血液培養陽性率とか)その場合はXBar-Chartを使うことになるわけです。

XBar Chartについて

極論すると、Xbarの意味は、”sample mean”という意味ですので、その値は集団の結果であるはずです。なので連続変数で集団の値であればX-Bar chartを選択します。そして、その中でもXbar-RかXbar-Sに別れます。

・Xbar-R

ここも極論すると、Xbar-R generates a sub-chart of the Range of the values within each subgroup 

Xbar-R Chartはその集団のRange(変化の幅:最大ー最小)を反映したグラフを下にもう一つつけます。なので、Xbar R (rangeのR)Chartなんですね。例:CBCの採血からの表示時間を1日3つのランダムサンプルをとるとして、1日目が72、78、84分だとする、この場合Rは84-72=12分。これを別のChart として表示していきます。Boxplotsで表示も可能でしょう。

・Xbar-S

ここもさらに極論するとXBar-S uses the StdDev of the within-group measurements for the control limits or Sigmas。

要するに、グループ内の標準偏差を用いて表示します。

そこで、はて?それでどう使い分けるのか?と気になると思います。これは慣習的に(きっと深い意味があるのかもしれませんが、P-valueと一緒です)If subgroups sizes>10, use Xbar-S、そのサブグループのサンプル数が10を超える場合はXbar-S Chartを使うということになっています。

まとめますと、X-Bar Chartsを使うときは!
1)Distribution: Normal できれば
2)Data type: MeasurementsつまりContinuous data
3)Data group type: Rational subgroups >1 observation、基本2以上。10を超えるとXbarーRからXbarーSへ変更

と極論で斬ると良いでしょう。ふぅ、やっと頭の整理がつきました。

 

IR-chart(I chart, Xbar chart)について

ここがまた当初混乱の元ですが、このI chartは色々な名前があります。そもそもIndividual dataに対して用います、根本原則でIndividualとはサブグループのn=1になります。(つまり、横軸は日付で縦軸は体重などの場合ですね)。が上記のようにRangeがついたらIにRがついてIRです。また、それらは単にXbar-chartと呼ばれることもあります。これらなんと全て同じ意味です。自分の名前に少し圧倒されたように初学者が陥りやすいところです。日常でよく見るものなので基本中の基本のChartなので深く考えずに上記名前は全て同じ!と理解すると良いでしょう(この辺りは、日本語の教科書もなく、ネットにも見られないので勝手に極論します)

 

P-chartについて

  • Binary Outcome!!
  • - Y軸はパーセンテージ/比率になる
  •  σとcontrol limitは、標準誤差に基づく。
  • 二項分布
  • 各ポイントにはそれぞれのCLがある
  • 狭い限界≠変動性が減少
  • 大規模サンプルサイズ
    - CLからプロセスの予測ができない(同じものを除く
    サンプルサイズ)
    - 能力は全体の割合
  1. Maximum subgroup size: When n>1000 and p>.1%, use an IR-chart instead of a p-chart. The control limits on the p-chart will be too narrow. 母集団が大きくて1000を超えたり、p>0.01→代わりにIR-chartを使う。
  2. Rare events: When p <1.5% and between events or opportunities between events plotted on an IR-chart or specialized chart such as t-chart)
  3. P should be <50%: Customarily, we chart “non-conformities”, but if p>50%, then reverse the measure and chart conformities instead. 起こる確率は50%未満でないといけなくて、それより大きい場合は分母の対象を逆に。

1) Lloyd P. Provost、 Sandra MurrayThe Health Care Data Guide: Learning from Data for Improvement より引用

 

P-chart, and U-chart/C-chartの違い

ここでも極論すると、P-chartは教科書的には、Classification of items/unitsと書かれていますが簡単にいうとBinominal distributionをとるものを使います。Yes or no、Pass/ Failなどのアウトカムです。調査した数のうち何らかの属性を持つ項目の数と持たない数がはっきりとわかる場合ですね。例えば、帝王切開数/全出産数などが良い例です。

次に、UとC-chartはPoisson分布をとることが前提です。(Poisson分布については基本なので、また時間のあるときに書きます)。簡単にいうと、エラーやアクシデント、など時空間の領域または調査単位で発生した事象の数といえます。

UとC-chartは

  • The incidents are counts (whole numbers)   Event のカウント!
  • Incidents at any one place or time are independent of incidents at other places or times:その場所や時間で発生した出来事は他の時空間(笑)とは独立している。
  • The area of opportunity (region) is well defined (との機会の領域は明確になっている、その施設内や部門内などがわかりやすいかも)
  • The chance of an incident at any one place or time is small(そのイベントが起きてしまう確率は低い)
  • The area of opportunity (region) for each subgroup is: Constant! (そのエリアや部門が変動する場合は確率が変わるので、一定の場合は前者はC-chartに、変動する場合は後者はU-chartになる)下を参照

**勝手な覚え方、CはCONSTANT!でCOUNT!です、UはUnstableのU!!

C-chartとU-chartの違い:大事。エラーが起きる(カウントできる)もので、エラーが起きなかったものを測定できない場合は、U or C chartになる。さらに、U-chart とC-hartの違いは、測定期間中のRiskは同等であると考えられるかどうか。ほぼ同等であれば、C-chartで、unequalであればU-Chartになる。

 

 

*https://sixsigmastudyguide.com/control-chart/  より

前回載せました別のフローチャートではこのようになっております。

教科書で多く見られるのは

平均+幅 Xbar+R chart 

平均+σ  Xbar+S chart 

個々の値+Range chart はXmR chartを選択

 

*パーセンテージにご注意

Percentageはcontinuous measuresに見えるが、多くの場合は違う。ここポイント。

- 小数点があり、スケールが連続しているので連続データのように見えますよね。
-例えば、18.3%の患者に有害な転帰があった- アウトカムの分類は実際にはBinaryです(Bernoulliプロセス)。
- しかし、時には本当に連続していることもあり、その代表例は体脂肪率。

- サブグループが非常に大きい場合はp-チャートの管理限界が非常に狭くなるわけなので見かけ上の有意な管理外シグナル(コントロールチャート上で意味のある)を得ることができてしまいます。これは、研究における大規模な標本サイズと似ていて、小さな違いは統計的には有意であっても、臨床的には実際には全然意味がない場合を理解。
- ガイドライン的には サブグループ(分母)が1000以上の場合、IR-チャート変更すべき

 

Donald Wheeler says when in doubt, you can use the IR chart for any type of data: counts, rates, events, measurements, etc.

Wheeler先生はおっしゃったわけです、迷ったら、数、割合、イベント、計測数あらゆるものを試してとりあえず表してみろ。と。

 

 


QUASI EXPERIMENTAL STUDY DESIGNS

2020-11-05 12:31:54 | Harvard medical school

みなさまこんにちわ。

今日は、Quality improvementの研究でもっとも大事だと思う(勝手に思っている)内容ですね。だって現場の感覚に沿っているので。

この辺りは、EpidemiologyとBiostatisticsの基本がないと難しいのですが、僕の場合はGCSRT時代に"津川先生のブログ"で昔勉強しました。なかなか、日本語でわかりやすく書いてある本質的な内容がないところを、津川先生のブログは神です。僕もGeneralisitが病院でQIをシンプルに勉強したい人が出てくるかもしれないことを考えて、やはり日々の感動や驚きはOutputし続けなえればならないと思います。

そもそもHarvardのEpidemiologyとBiostatisticsのコンセプトはだいたい同じなので、津川先生が書いてくださっている内容は不思議とだいたいテストや課題のポイントになってドカドカ出されます。恐ろしいくらいの的中率です。津川先生、お会いしたことはないですが、勝手に尊敬しています!!

さて、INTERRUPTED TIME SERIES (ITS) ANALYSIS USING SEGMENTED REGRESSIONは上記のように簡単にJMPでFigureを作れそうです。僕はSTATAが好きですが、Visualizeする場合はどうしてもJMPに軍配が上がりそうです。

 

さてQUASI EXPERIMENTAL STUDY DESIGNS基本的な考え方としては、”A study design used to estimate the causal effect of a non-randomized intervention on an outcome in a target population”になります。ここ大事です。何でもかんでもRCT!RCT!のように言えば言い訳ではなく、実際の医療の現場、教育の現場、政策の現場ではそうは言えないですよね。そこで登場する概念です。

種類は大きく分けて3つ

•Simple before-after / pre-post

•Interrupted time series (ITS)

•Difference-in-differences / controlled interrupted time series (DID/CIT)

です。

ITSは必ずしも介入によるものかどうかは言えないので永遠のLimitationです。可能であれば同じ時間でコントロールを立てて、比較が望ましくなります。DIDは、差の差のを比較するわけで、CITSは、フォローアップ期間中に介入群がそのベースラインの傾向から逸脱する(ベースライン平均値と傾き)を比較した場合に比べて大きいかどうかを比較します。それでも、その他の要素が影響している可能性があるので、わかりやすく言うと1) コントロール群を立てる時に出来るだけ注意し,2 ) 潜在的交絡因子をregressionやマッチングで調整するのですね。

 

授業で用いた教科書はこの論文です。

Reference

1) International Journal of Technology Assessment in Health Care, 19:4 (2003), 613–623.

Y = ß0 + ß1time + ß2post + ß3time*post

ß0 = baseline LEVEL of outcome

ß1 = baseline TREND of outcome (slope prior to intervention)

ß2 = change in LEVEL after the intervention

ß3 = change in TREND after the intervention (the difference between pre-intervention and postintervention slopes)

 

このようなモデルに当てはめるときの、QIにおける極論的な理解は下記になります。

Outcome Methods of Statistical Analysis
Continuous  Linear regression
Binary Logistic regression
Counts Poisson regression

極論ですが、僕にはわかりやすく感じます。Poisson regressionでまだ論文を発表したことがないので、今やっているCapstone QIで試しに使ってみたいと思います。

 


デザイン思考

2020-11-02 16:04:29 | Harvard medical school

デザイン思考とは?!

まさかの医学部でデザインを学ぶ?なぜ、高額な授業料を払って、デザインなんかせなあかんねん。

と少しでも思った自分がいたとしたら、それは恥じねばならない間違いであると確信しました。

3年前くらいにグロービス大学院の田久保先生とお寿司やさんに行った時に今の大きな企業の開発者やトップ層はデザインを学んでいるとおっしゃていた意味がようやく今頃わかりました。狭義の芸術ではなく、デザインシンキングの意味だったのかとふと思い出しました。

授業はTim Brownの有名な本とTEDxから始まります。

OGPイメージ

Designers -- think big!

Tim Brown says the design profession has a bigger role to play than ju...

 

 

これは、名プレゼンです。芸術的な意味のデザインから⇨デザイン思考へ。これからの医療の質の改善はここは切っても切り離せないテーマになると思います。

 

例えば、取手が前にあるポットをみた時に、「なんて不便で、利用者のことを考えていないのだろう!」と気づくかもしれません。どんな物や物体や形やデザイン、システムなども目的に合致しているか、合理的か、美しいかなどを考えることができそうです。

OGPイメージ

Introduction to Conceptual Models - Intro to the Design of Everyday Things

This video is part of an online course, Intro to the Design of Everyda...

youtube#video

 

 

他にはこのように、なぜ普段使っているものはこのような形やサイズや色なのか?などなど様々考える方法があると思います。普段使っているスマホはなぜ、このような手触りで、色で、サイズで、操作はこのようになったのか?全てに意図があったのだろうと思います。言い換えれば、視点や視座と視野を調整するという普段の僕の考えにぴったりマッチします。

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Understandable and Confusing Design - Intro to the Design of Everyday Things

This video is part of an online course, Intro to the Design of Everyda...

youtube#video

 

これも授業で紹介されていました。

 

OGPイメージ

Definition: Affordance - Intro to the Design of Everyday Things

This video is part of an online course, Intro to the Design of Everyda...

youtube#video

 

 

ということで、本題に入ります。要約すると下記になります。(後日追記します。)

授業のワークショップで行ったものは版権の問題でUPできませんが、ハーバード大学ハッソ・プラットナー・デザイン研究所からデザイン思考の5段階になります。

共感 (Empathise)
使用者の思考を理解し、そのニーズを探る。なぜ?なぜ?なぜ?を繰り返す。なぜその物、サービスetcが欲しいのか、手に入れた先に何を求めているのかを繰り返し考える。自分がユーザーの気持ちになった時、どんな感情を抱くかを徹底的に考える。これはRCAの5Whyに通じる考え方。

定義 (Define)
ニーズの本質は意外と自分も含めて理解していないことが多いです。顕在的ニーズのみではなく、潜在的なニーズ最適解を考え抜くことをニーズの定義かと思います。定義は、これからの概念化の下地となるので、慎重に決めていきましょう。

概念化 (Ideate)
定義、具体的かつ明確なアプローチを洗い出します。一番楽しい作業です。質よりも量をガスガス出すと良い。RCAなどの結果から、思いつく限り、次々とアイデアを出します。その後、分類して収束させ、形にしていきます。感覚的には日本ではKJ法的なやり方が一番良いと思います。GoodleのWhiteboardが良いかもしれません。

試作 (Prototype)
概念化したものが機能するように実装してみます。まず動かすことが第一目的であるため、なるべく負担をかけずに行うことが重要です。今まで見えなかった課題点を浮き彫りにすることがゴールです。研究や医療の質介入でいえばPilot studyの内容です。

テスト (Test) 
そのまえにプロトタイピングしたものについてフィードバックを得る。Defineで決めたニーズを全て満たすか?。大切なことは、ユーザーの顕在的ニーズ+潜在的なニーズを満たしているか。

 

一つ驚いたのが、Beth Israel Deaconess Medical Center (僕らの本拠地になります)の中に、Management Engineerという部門があってそこにデザインシンキング専門の職員がいること・・・。はっ??

そんなこと・・・日本の大学病院でもっとやったらいいのにと思います。

なぜハンコが必要か?(今でこそ時流が動いていますが)

なぜ物理的に職員がそこにいないと行けないのか?(今でこそ時流が動いていますが)

なぜ短期的ビジョンやメリットなどの目に見えるものしか評価できなくなりやすいか?

地方の大学病院として本質的な目指すべきアウトカムは何で、僕らにとってユーザーとは誰で、ユーザーフレンドリーな仕事とは何か?どうしたらそれを達成できるか?

前例がないからできないとか、決まっているとか、まずはそこから脱却して、新しい思考をえぐり出すためにはフリーにしてあげたデザイン思考部隊が大学病院内に確かに存在すると全体がとても仕事しやすくなるのではないかと勝手に思いました。このような教育スタイルや、こういう新しい学びは、MGHのフェローや、BWHの後期研修医も非常に驚いていました。ちょっと僕のブログでは感動が伝わらないのが無念です。すいません。

 

良いデザインの特性は発見性と理解性

Two of the most important characteristics of good design are discoverability and understanding.

Discoverability: Is it possible to even figure out what actions are possible and where and how to perform them?

Understanding: What does it all mean? How is the product supposed to be used? What do all the different controls and settings mean? The doors in the story illustrate what happens when discoverability fails.

全ての人間によってつくられた物にはデザインがあるという事実に気づく


Industrial design: The professional service of creating and developing concepts and specifications that optimize the function, value, and appearance of products and systems for the mutual benefit of both user and manufacturer (from the Industrial Design Society of America’s website). 製品やシステムの機能、価値、外観を最適化し、ユーザーとメーカーの双方の利益になるようなコンセプトや仕様を作成・開発する専門的なサービスのこと

Interaction design: The focus is upon how people interact with technology. The goal is to enhance people’s understanding of what can be done, what is happening, and what has just occurred. Interaction design draws upon principles of psychology, design, art, and emotion to ensure a positive, enjoyable experience. 人々がテクノロジーとどのように相互作用するかに焦点を当てている。目的は何ができるか?何が起こっているか?そしてちょうど起こったことに対する人々の理解を高めること。インタラクションデザインは、心理学、デザイン、アート、感情の原理を利用して、ポジティブで楽しい体験を実現。

Experience design: The practice of designing products, processes, services, events, and environments with a focus placed on the quality and enjoyment of the total experience.

トータルな体験の質と楽しさに焦点を当てて、製品、プロセス、サービス、イベント、環境をデザインすること。

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よく学習した、エンジニアなどの専門家あまりにもロジカルに考えすぎるために、”実際に使う人”のことを想像しにくくなる傾向がある。医師もそうかもしれない。ユーザーが使用方法に問題があり、それをあげた時にそのデザインの提供者は動揺するけれども実際には、ユーザーが自分たちが思うような使い方をしないということが当たり前であることを気づいておく。

これは患者さんやスタッフが”自分が意図としない行動を行うかもしれない”ことを気づいて受け止めておこなければならない。

⇨Human Centered Design

 

経験の設計。*Norman, Don. The Design of Everyday Things: Revised and Expanded Edition (pp.3-5). より

 

先生たちは、僕のスマホスタンドが一番の楽しいデザインにうつったようで、980円のスタンド様ありがとうございます。

またBeth Israel Deaconess Medical Center (僕らの本拠地になります)の中に、Management Engineerという部門の様子。

これ見ると、僕らのプログラムの教員はほとんど女性なのと、MGHやBoston children hospital、BWHなどのハーバードの病院からの同級生たちの多くはやはり女性で、QIやPatient safetyはなぜ女性のHospitalistが多いのだろうかと思ったナゾが解けました。

病院全体を俯瞰しながら、柔らかくコミュニケーションをとりながら交渉するという難しい能力は女性にこそ向いているのかもしれません。また周囲の安全に対して敏感であるのもやはり女性脳が向いているのかもしれません。今日はすごく納得したディスカッションでした。