第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

レプトスピラを初めて顕鏡しました! Day 61

2015-05-31 00:17:08 | Mahidol University編
試験勉強まっただ中です。

試験となるとどうも試されている感があって好きになれないのですが、この勉強をしていて良い事も沢山あります。
それは、もともと知らない事、経験した事が無い事、できない事が多い為に(丁度初期研修医みたいなものですね)、自分の体の中にどんどんと新しいコンテンツが吸収されていく事を【体感】できる事です。
短期間で自分の成長が体感できる機会はなかなか無いと思いますので、ここは歯を食いしばり試験勉強も楽しみたいと思います。

週末は嬉しい事がありました。
レプトスピラのスピロヘーターを暗視野顕微鏡で直接観察したり、顕微鏡下凝集試験法(あのMATっていう奴ですね)を見る実習がありました。

総合内科医としてカンファレンスで鑑別にあげるけれども診たことがなかった憧れの?!ゼブラ診断を授業で習ったりすることにささやかな幸せがあったりします。


そんなこんなであっという間に二ヶ月が終わってしまいました。
各国からの仲間に非常に恵まれました。楽しすぎる時間はあっという間に過ぎ去ります。

DTMHとして残された時間は座学では後1ヶ月、実習とフィールドワークで1ヶ月、選択科目で1ヶ月です。

それで、もうこの同期達と集まる機会は一生無いでしょう。その感覚は研修病院を去る雰囲気と似ています。

DTMHだけであれば6ヶ月間で終了できるのですが、Masterに進むとなると追加で半年必要になります。
さぁ、どうするか?!

忙しい事は良い事だを合言葉にやってきましたが、今年の自分の目標を達成できるかどうかに向けて楽しみ尽くします。






Chonburi Hospital実習とVISA延長の闘い #Day 56

2015-05-26 18:42:58 | Mahidol University編
試験が近づいているにも関わらず、色々と泡だだしい毎日です。

先週金曜日は、有名なビーチスポットであるパタヤの近郊にあるチョンブリーホスピタルに実習で行きました。


バスの中は、全員で行く遠足の様に盛り上がります。訪れたのは800床の超急性期病院ですが、所狭しと患者さんが入院している風景をみて、私が研修した病院(古い病院時代)と匂いや雰囲気がそっくりで、なんともいえない衝動に駆られそうでした。

一つの病棟にDM、心筋梗塞、HIV、結核、肺炎、食道静脈瘤破裂、メリオイドーシス、肝膿瘍、化膿性関節炎、CPA蘇生後、髄膜脳炎、アルコール離脱などが入院しており、非常に総合内科医として興味惹かれる【雑多な】環境でした。中でも、日本でHIVや結核といったら、毎日新規診断するものではないですが、ここでは毎日多くの新規HIV患者や新規結核患者がどんどんと入院してきます。ゼブラ疾患(希少な疾患の事です)が全くゼブラで無く、幅広い鑑別能力が必要です。

今回の実習のカリキュラムは実際の患者さんのケースディスカッションを行った後で診察をしにいったり、逆に診察した後で、皮膚の所見を検鏡したりなどでした。
写真は実際の患者さんのヒストプラズマ症、ペニシリウムマルネフェイ等の皮膚所見や検鏡クイズです。


ICUに入院している重症デング熱の患者さんも複数おられました。





さてこの二日間はVISA延長するために、Immigration officeへ行ってきました。
(当然授業にも出れませんでした)

イミグレーションへのたどり着き方ですが、他のブログ等で簡単に検索できるためにBTSモーチット駅から52番バスにのる行き方は検索してみてください。
今回はタクシーで行きました。およそ120-150THB程度で高速に乗る場合は75THBをその場で払います。高速であれば朝の渋滞を避けられるので、30分程度で着きますが下道では約1時間は覚悟した方が良いかもしれません。

タクシーで行った私は2回も手前で降ろされました。
運転手の方があまりよくわかっていないのは仕方ない事で、タイ国内の人は手前の大通りの建物でパスポートなどを手続きを行いますが、我々外国人のVisa延長は1番(下記で行いますので)外周約2Kmを移動せねばなりません。この建物はとてつもなく巨大で東京ドームがすっぽり入ると思います。

バスやタクシーで着いたら、そこからさらにタクシーに乗って移動してください、約40THB程です➠ここが非常にポイントです。
平日 月-金曜日のみ朝8:30と午後13時から受付開始です。

私達は30分ほど遅れてしまい、受付をした時には既に100人待ち程度でした。適切な朝の時間を逃すと丸一日はかかるかと思います。移住を決断した時に一番問題になるVISAの取得ですが、東京の目黒にあるタイ大使館といい、ここImmigration officeといい、大事な事は朝一番で行くことでしょう!DTMHの友達達は朝8時前には並んでいたとの事。

VISA問題でが単身の方は根本的にはTrop MedのVISA係へ相談すると大体の事はやってくださります。しかし家族帯同の方は要注意です!!下記を参考にしてください。私は日本とタイの出入国を繰り返していた為に、非常に大変な事になり計3回も出向くことが必要となり非常に面倒でした。文化も制度も違うのでどんな事が起きても動じないと心構えをして、この面倒な二日間を乗り切りました。

そんなこんなで、色々な事がおきますが基本姿勢としては前向きに望むだけです(と言い聞かせて)。
毎週末は仲間と懇親会を行い、各国の事情を話し合うだけで非常に勉強になります。
今回はクラスの略全員が揃いました!!



ということで、クラスの仲間と適度にストレス発散をしながらゴールを目指します。

※最重要:家族帯同の方へ
日本でシングルビザでエントリーし、こちらでエクステンション(90日以内に)行います。
空港でもリエントリーが可能です。ただ、家族のVISA発行は大学から家族のVISA発行申請手紙を作成してもらい、その上で在タイ日本大使館発行の家族証明、婚姻証明等の書類が必要です。忘れずに日本で戸籍謄本を一部持ってきて、それを日本大使館で英訳してもらってからイミグレーションオフィスへ出向いて下さい。家族のVISA発行が出来ません。







他国の医師と比較してもしょうがないので・・#Day 50

2015-05-20 14:52:49 | Mahidol University編
皆様こんにちわ。

毎日のように自分の能力(脳力?)の低さを思い知らされて困憊しております。
原因はなんだろうか、自分のメンターならどう対処するか?いつもそうやって苦難には向かってきている私です

自己解釈としては、根本原因として優秀な他国の医師達と比較してしまうからなのではないかと思いました。焦る焦る。

しかし他者との比較は物事の本質では全くなく、大事な事は自分の設定するIdeal像、目標像みたいなものにどうすれば達することができるかであるので、いづれ自分の目標とゴールに向かっていればクリアできるのではないかと灼熱の国で汗かきながら気楽に生活しております。いつもお師匠様には言われました、「物事はアウトカムが大事ですと」

自分にとって収入も暮らしも含めて、生活や勉強をするのが快適に感じる場所からあえて移動して学んでいるので、辛い思いがあることが必然です。
むしろそのストレスが自分を成長させる大事な肥料になっていると確信しています。わからないこと・出来ない事が山ほどあるのは、伸びしろが山ほ有るわけで、前向きにとらえればチャンスが一杯、夢一杯です。

さて今日は区切りの50日目でした。今週の病棟回診です。

症例1は左足足背に刺し傷のある僧侶の発熱と左鼠径部リンパ節腫脹です。


症例2は未診断のDMがある、肝膿瘍(メリオイドーシス)でした。

初めて、メリオイドーシスのReal patientを診察したので、何故か緊張してしまいました。

そんなこんなんで、毎日休みなく詰め込まれる教育も6月に入ると毎週のように大きな試験があるために、英語で爆裂に書ききる為の猛勉強を開始せねばなりません。




視野の広さ、思考の深さ

2015-05-15 17:49:14 | Mahidol University編
こんにちわ、皆様。

最近はめっきりと、こちらの気候にも適応し、
友達ができるか不安(小学生みたい・・)であった3月末の事が嘘の様に気が楽になってきました。

たしかに、自分の言語能力の無さから非常に気後れすることも多々ありますが、
それでも周囲の友達は全く気にせずに話しかけ続けてくれるのが本当に嬉しく、感謝の気持で一杯です。

座学がメインですが、病棟実習もあります。

病棟実習では、本当にマラリアで苦しんでいる患者さんを少し垣間見させてもらったり(Severe caseです)
クラスでグループディスカッションをすることも多く、今のところ実学中心で非常に良い教育をしてもらっていると思います。

本日は、自分が非常に好き(まだ尊敬できるまでは存じていない為に)な教授の授業(公衆衛生学)でした。

何が凄いかって、テーマが壮大です。

公衆衛生学講座の教授ですが、臨床医として非常に疾患や疫学の見識が非常に深く
新興感染症と人類の闘い、Vectorである虫は実は極々一部で虫は悪くない等、時には虫の気持になって話をされたりします。

その見聞の広さや思考の深さ、なにより話の面白さ、迫力、情熱、身振り手振りから感動さえも感じる類の方です。

優れた医師は、本当に優れた教育者である事が多く、かつ次世代の医師に自分が得た医学のノウハウを如何に伝えるべきかを自然と身につけている様に感じます。

国が異なり、言語が異なれど、尊敬する人は何処にでも居るものであると思います。

そんな先生の周りには、授業終了後にも、いつもサッと帰ってしまうDMTH学生の人だかりが出来ました 笑。


教科書代はLow Risk, High Returnの最強の投資です。

2015-05-14 00:08:06 | 総合診療
皆様こんにちわ。

勉強するのにもお金が必要です。

勿論、中学や高校生時代から受験勉強にお金がかけられる家庭の子息とそうでない家庭の子息を見ても分かるように。
(タテマエでは平等を訴える日本ですが)
残念ながら、世の中はもっともっと不平等にできていると感じます。

日本であれば、それは感じる事も少なかったのですが、
色々な人種、国、文化の医師達と話していると、自分が全く意識しなかった問題があったり、考えもしない苦労があったり、
そもそも経済やインフラが整っていない為に抱えているどうしようも無い事があったりと・・

自分が日本人として日本という国に当たり前のように生まれてきた奇跡的な幸せを自覚しました。
それは日本人である自分の強みでもあり、弱みでもあると思います。

良く勘違いしてしまう事もありますが、自分が大学を出て、勉強をさせてもらって、医師の資格を取り、
それがまるで何か優れた能力があったかの様におごってしまう。そんな不快な気持ちを時に感じます。

個人的な経験でも、医師になってそれがすごい事だとか、偏差値がどうだったとか、給料が幾らだとか、そんな勘違いしている方々を見ると非常に残念な気持ちになります。
多くの場合は、偶々両親が裕福だったり、受験勉強を乗り切るための金銭をかけてもらっていたり、小さい頃から【育った環境が偶々適していたにすぎない】事が殆どであるかと思います。

MahidolのDTMHの学費は4000USDです。MCTMで修士学位までとなると合計9000USDとなります。
年間120万円近い金額がかかる事になります。
欧米と比較すると確かに3分の1程度ですので安いのですが、世界的にみてこれは特別安くはありません。
むしろ高い、たとえ世界の現役の臨床医でも。私もこの金額と様々な生活費を貯めるのには1年を要しました。

フィリピン、ミャンマー、カンボジア、バングラディッシュ云々の医師達と話しをしていて、
裕福な国に育ち、衣食住にこまることがなかった日本人医師とは根本的に「学び」への欲望やスタンスがまるで違う様な気がします。


貧乏根性丸出しの自分にとって、高額な教科書や、授業料など、ついつい打算的に考えてしまいます。
大人の悪い癖かと思いますが、そんな時に師に言われた言葉があります。
『学問の為に払う金銭は、何より利益になる自己投資です。必ず数倍になって帰ってきます』

教科書代はLow Risk, High Returnの最強の投資です。
以降、考え方を意図的に変えるようにしております。
自分が学ぶ事への費用は決して出し惜しみせずにその分を学び続けようと。

青木眞先生のブログでもこんな記事を見つけました。
「若い時の節約は禁忌」であると。


若い時の節約は禁忌

プレジデントになってしまいました。そして本日は顕微鏡試験です。

2015-05-08 17:40:50 | Mahidol University編
皆様、お久しぶりです。忙しくて更新が遅れてしまいました。

本日は、DTMH最初の試験でした。
毎年日本でいうGW明けに4月の怒涛の詰め込み教育をここぞとばかりに放出する時がくるわけです。
最初の試験は、顕微鏡実技試験です。誕生日に、Real patientの便のスメアと格闘するという素敵な日となりました。

大きく分けて、二つあります。
第一部は全24標本を一標本90秒の時間制約がついた状態で、

種名とそれを書いた理由を記載します。これを、グルグルと1-24番まで回るという試験です。
(非常に手に汗握る試験で、私は焦って二つ程ミスをしました)
時間は24標本✕90秒で、極端に集中するために間に2箇所の休憩スポットがありました。

第二部は実際の患者の便から、自分で検鏡スメアを作成して(生食とヨード染色)、
確認した種名とその理由を記載し、挙手した上で試験官に確認してもらうというものです。

制限時間1サンプルあたり20分で作成と鏡検と採点が必要です。
間違えると減点の罠がまっていますので少しも油断できません。

ともあれ、我々日本人組は、幾ら日本の中では英語が得意な方などといっても、臨床熱帯医学を学びにきている他国の医師に比べれば雲泥の差(彼等の教科書や医学会話はほとんどの国で英語です)があり、圧倒的に我が国だけハンディキャップがありますので、非常にストレスです。

(もし、事前に知っておけばよかった情報をあげるとしたら下記のサイトが非常に有用ですので、ご参考まで。)
http://www.cdc.gov/dpdx/az.html    ➤本家本元 CDCの寄生虫全情報です。他国の医師はこれと二次資料などで勉強しております。
http://quizlet.com/44200679/parasitology-class-id-pictures-names-only-flash-cards ➤クイズです。

よって、私は先輩の「もりひろ」先生のアトラスを参考に、CDCの記述などとごっちゃまぜにして、試験範囲だけでスライドフラッシュカードを作成してましたので、もし来年来られる方は連絡下さい。
今思えば少なくとも、事前に授業でこのような事が大事なのだと予想しながら詰め込み教育を受けるのと詰め込まれて流れてしまうのとでは授業の印象が随分と異なると思いました。

そういうことが分かったのも終わってから後なんですね。なんだかんだ、激動の一ヶ月が経ちました。


さてさて、個人的な変化とえいば、見た目?からか、雰囲気からか、我々の学年のプレジデントになってしまいました。

総務課のアリーさんいわく長いDTMHの歴史の中でなんと初めての日本人医師によるプレジデントらしく、これまたどうしたもんだという焦る気持一杯の毎日でした。
 勿論、各国の医師達に思い通りに伝えられず、またやたらといきなりスピーチを振られたりしますので多少ストレスにもなります。しかし、様々な国の医師から構成されるクラスの中心に敢えて居すわることで英語の能力も勉強も振り落とされずになんとか向上できているのではと思っております。何より大事なのは、前向きな強い心と、明るい性格と、少しのユーモアであるかと。

ということで、明日からまた頑張ります。


最後に、下記が出題された内容でした。試験官にブログに載せる許可を頂きました。
Entamoeba coli, Cyst.

Entamoeba histolytica, Cyst.

Endolimax nana, Cyst.

Iodamoeba buetschlii, Cyst.

Blastocystis hominis, Cyst.

Chilomastix mesnili, Cyst.

Giardia lamblia(duodenalis), Cyst

Capillaria philippinensis, Egg. 

Hookworm, spp. Egg.

(Necator americanus, Ancylostoma duodenale )

Hymenolepis nana. Egg.

Hymenolepis diminuta. Egg.

Opisthorchis viverrini. Egg.

Taenia, spp. Egg.

Trichuris trichiura. Egg.

Ascaris lumbricoides, Egg.

Enterobius vermicularis, Egg.

Paragonimus westermani, Egg.

Fasciolopsis buski, Egg.

Fasciolar hepatica, Egg.

Schistosoma mansoni, Egg.

Schistosoma hematubium, Egg.

Schistosoma mekongi, Egg.