第四部 Generalist in 古都編

Generalist大学教員.湘南、城東、マヒドン、出雲、Harvard、Michiganを経て現在古都で奮闘中

相談されたときに困る渡航前ワクチンの考え方

2018-08-29 23:35:30 | 総合診療

みなさま こんにちわ。

今回は、開業医や内科医の先生から相談されるので自分なりにまとめた、「一般内科医やクリニック医師のための渡航前ワクチンの考え方」を馬鹿な自分はバカなりに作ってみましたので、お送りいたします。最近は、渡航前ワクチンの相談がチョイチョイあるのですが、広大な面積に人口70万人のしまね県では中々高額の輸入ワクチンを揃えるのは(ペイが取れないので)想像以上に難しいなぁと考えています。(情報は2018年2月現在とします)

人も医師も少ないところで働くようになると(出雲はまだ大都会ですが)、昔のように理想論を振りかざすのはやめるようになり、考え方の変化もありました。いかんせん、田舎の患者も医師もいない場所では、出来ないことはできないのです。

大事なことは、患者さんやクラインアントさんの負担や希望や、何をしに、どこにいって、どんなリスクがあるのかを、まるで一緒に海外滞在したかのように話す(楽しくなりすぎて雑談が増えますが)事かと感じています。これにはネットの整備が重要です。最近では自分のER時も、雲南でさせていただているTW外来時もネットが使えるようにしてもらっていますので、「英語+ネットの捜査力」はもはや無敵であることを実感します。

 

コンサルトケースの紹介

海外実習予定の医学生がクリニックを受診した。

特に既往はない23歳男性(北海道出身)。交換留学でバンコクの大学病院で実習することが決まっている。期間は2ヶ月間を予定。今のところ、あまり現地での旅行などは考えていない。調べたところ、タイへ渡航する際に推奨されるワクチン、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、日本脳炎、腸チフス、マラリアが挙げられていた。教科書通りに、これらを全て接種と予防を勧めたところ、自費で多額の費用がかかる為にどうしても必要最小限にして欲しいと懇願された。また留学開始は2週間後とのことが判明した。医師はどうしたら良いか困ってしまった。

 

はじめに

日本人の海外出国者は年間1700万人を超えており、以前は訪れることもなかった国や地域への渡航が増えて来ている。今回のケースのように我々現場の臨床医にとって渡航医学の知識はますます必要なものになってきている。需要を受けて日本渡航医学会のホームページに掲載されている渡航者外来リストには国内106施設が掲載されているが(2017年10月現在)、筆者の住むような島根県などの地方では県内に無い場合も多く(筆者:準備中)、その場合は内科医や総合診療医が自己研鑽をしながら行っていることも多いかと思う。本稿では渡航前ワクチンをどのように考えて接種するか要約する。

 

2)  臨床上の問題点は何か?(何処に行くのかではなく、何をするのか?) 

先行研究から日本国民は海外渡航時における予防意識が乏しいことがわかっている。それに拍車をかけてトラベルクリニックの数の少なさ、医師の渡航医学の教育機会の欠如、さらには未承認ワクチンの問題が事態をさらに複雑化している。途上国に1ヶ月間滞在した場合に、推定罹患リスクは旅行者下痢症で約20-40%とされ、デング熱流行地域では1%未満、狂犬病リスクのある動物咬傷は約0.3%、A型肝炎が0.04%、腸チフスが0.03%、日本脳炎は0.0001%程度と考えられている(1) 。それらのリスクを大きいか、小さいかを考える為には現地での活動を注意深く予測することが重要である。渡航前ワクチンのみならず、丁寧なアセスメントによる医療情報の提供と教育を個別オーダーすることで、渡航者のリスクを極限まで減らす事を最重要視する。

渡航前ワクチンが複雑に感じるのは臨床上の問題を適時考えながら総合的に判断しなければならないところにある。これは抗生剤の使い方と同じように表1に示すような診療の軸を考える。全てをカバーすると言うのも節操がないが、カバーしきれないのも問題であるために、【何処に何時いくのかだけではなく、何をするのか?】により着目する。渡航前ワクチンは数値化できない複雑な情報を可能な限り集めて判断することがChoosing wiselyである。また過去の接種歴が最も重要であるため母子手帳や接種記録があれば必ず持参させる。まずは後述するKeyワクチンを抑えることで理解が進むと思う。

 

 

3)    重要ポイントと実際の使い方

抑えるべきKeyワクチン要点ココだけ!!

 

 

往々にして渡航者が受診するのは直前であることが多く、出発まで残された時間がどれくらいあるかを考える。また世界的に当たり前に使用しているワクチンが国内で承認されていない事も多い。一部の採算がとれる専門クリニックでのみしか輸入ワクチンは輸入していない現状があるために本書の読者層を考慮して国内承認薬で統一して解説する。なおポリオと腸チフス、マラリアの予防内服に関しては紙面の都合上割愛するが、入手困難な輸入ワクチンの必要性が高いと判断した場合は専門外来へ紹介することが望ましい。(しかし島根の行政に問い合わせたところ、それをやっているのはありません、無理なものは無理でございます!)

 

A型肝炎:汚染された飲料水・食事などからの経口感染である。途上国への渡航時には最も考えるべきワクチンであり原則接種と考える。例外のみ覚えると本邦の高齢者(70歳以上)では抗体を保有している事が多いために一般的には接種を推奨していない。

処方例)エイムゲン(国産) 3回(0、2-4週間後、6ヶ月-2年後)

 

B型肝炎:途上国への渡航者でリスク(医療・美容・性交渉等)のある者を特に考慮する。特に東南アジア・アフリカなどの途上国では無症候性キャリア率が高い。世界的には150カ国以上で小児に接種されているルーチンワクチンでもある。

処方例)ヘプタバックス-Ⅱ(国産) 3回 (0、4週、5-6ヶ月)

 

破傷風トキソイド:野外活動や怪我の可能性がある渡航者全員に考慮する。本邦では現在DPT3種混合ワクチンとして接種されているが、1968年以前はない。よって平成27年時点で46歳以上の渡航者は3–8週間開けて少なくとも出発前に2回は摂取するべきである。また定期接種後も10年毎に追加接種が必要。

 

例)沈降破傷風トキソイド 基礎接種:3回(0、3~8週間、12~18ヶ月)。10年以内に受けていれば1回のみ。

 

狂犬病ワクチン:日本は世界的にも珍しい狂犬病を撲滅した国であり、医療者含めて狂犬病への意識は高くない。発症後は100%死亡するために予防が特に重要である事、暴露後予防接種の費用がさらに高額になる事が臨床上問題である。犬やコウモリなどの動物との接触は予期しない形で起こり、特に野外での活動が多い場合や医療機関で暴露後予防摂取ができない場合には必要と考える。

 

例)乾燥組織培養不活化狂犬病ワクチン(国産) 3回(0、4週間、6-12ヶ月)

 

黄熱ワクチン:地域性が特に強く、赤道周囲のアフリカ、南米で流行している。重症化した場合には約半数が10日以内に死亡するとされ、特に入国のためにはワクチン接種が義務づけられている国もある。弱毒生ワクチンであり、1回の接種で良い。日本では検疫所とわずかな関連施設でのみしか事実上接種ができない為に紹介が必要。後述するFORTHで最寄りの検疫所を確認されたい。

 

例)検疫所(関連施設)へ紹介

 

日本脳炎ワクチン:インドから日本にかけて東南アジアへ渡航する場合に考慮する。感染が成立するためにはブタと蚊の媒介が必要であるために、発展途上国でもそれらが存在しない大都市部ではリスクはかなり低い。郊外の農村部などへの移動や滞在の可能性がある場合は接種を検討する。なお、平成28年まで北海道出身者は定期接種が行われていない。

例)ジェービックV (国産) 3回(0、1-4週間、12ヶ月)

 

髄膜炎菌ワクチン:世界的に髄膜炎ベルトとして有名なサハラ沙漠周囲への渡航者は積極的に考慮する。サウジアラビアのメッカ巡礼での流行は世界的問題であり、入国する場合に要求される。それ以外には医療従事者、米国への留学などで必要となること多い。

例)メナクトラ(4価 国内承認済)1回(2歳以上推奨)

 

 

これらのKeyワクチンは渡航者外来では最低限必須のものであるために上記の図を参照し、どのような地域に感染のリスクがあるか大きく視覚的に覚えておくと役に立つ。しかし実際に相談される滞在先(国)は自分が行ったことがなくイメージがない事も多い。その場合は下記の有用なサイトで必ず毎回調べる。これが非常に役に立ち、とても安全に現時点で最先端のことを知ることができる。個人的には慣れと圧倒的な使いやすさからCDCを頻用している。単に滞在先の選択を行い、小児、慢性疾患、船旅、留学、免疫低下者、妊娠者、ボランティア活動、友人や家族の訪問などをチェックするだけで、滞在先の疫学やルーチンの推奨されるワクチン接種一覧、感染形式、接種方法だけでなくワクチンで防げない感染症の注意点や、滞在時に注意すべきことなどの有用な情報がワンクリックで手に入る。また厚生労働省が運営しているFORTHは日本の現状を考慮した上での情報が多く使いやすい。是非、読者のみなさまも一見頂きたい。

CDCのトラベルヘルス:どこに何をしに、どれくらいの期間いくのか、どのような健康状態かなどで必要なワクチンなどがリストアップできます

https://wwwnc.cdc.gov/travel

 

4)    最後に

本来渡航前外来は遭遇しうる健康被害を最小限にコントロールすることが目的であり、ワクチン接種は渡航前受診の仕事の一部である。重要な事は、その地域にどのようなリスクがあり、どのような予防方法をとるか、一人一人と話しあい適切に指導を行う事にある。さらに、渡航前は定期予防接種についてキャッチアップするベストタイミングであり他稿で主に述べられているワクチンに対しても必ず確認し必要に応じて接種を行う。

 

 

引用文献)

1)    渡邊浩 トラベルクリニックの現状と今後の展望. 日本渡航医学会誌 Vol.10/No 1. 2016

2) CDC traveler's Health. https://wwwnc.cdc.gov/travel

3) 厚生労働省検疫所 FORTH. www.forth.g.jp

4) WHO International travel and Health. http://www.who.int/ith/vaccines/en/

5)日本渡航医学会ホームページ http://jstah.umin.jp/

 

参考図書)

キーストンのトラベル・メディシン 岩田健太郎(訳)

 

 ※この文章は、師匠からの命を頂き、下記 雑誌に載せていただいた原稿をModifyしました。図がどうしても小さくなるために読みにくい点がありましたら、こちらをご一読ください。

https://www.igaku-shoin.co.jp/journalDetail.do?journal=91639


内科学会診断プロセス向上WGやります

2018-08-27 14:52:53 | 診断エラー学

皆さま こんにちわ。

なんて素敵な内科学会!斬新、モダン、革新的(ポスターは自分が作って見ました、色調的ご批判は甘んじて受けます)

内科の世界はそれこそ縦割りではうまく診療ができません。

表の診断学だけでなく、裏側の診断学も勉強して見ませんか?

 

きっと、目からウロコの体験になると思います。ぜひ、ご応募待っています。

 

日時 2018年10月14日 14時から16時まで

場所 日内会館 

お申し込みは

fjsim-office@naika.or.jp

までご連絡ください。

 

 


Havard GCSRT Team building での迷い。Tuckmanのモデルを読む。

2018-08-23 00:31:58 | Harvard medical school

皆様、こんにちわ。

いやはや、6月のLondon WS以来、めちゃめちゃ時間が立つのが早かったように感じます。

 

今回はTeam leaderとして、1st presenterとしての準備は経験した事がないレベルでした(いやぁ、もうメンバー言うこと聞かない聞かない)。

9人のそれぞれがNationalityが違うメンバーで構成されていたために、なかなかタフです。まずアフリカ組はネット接続が結構悪いので音声で入ってこない。中国系は参加してこない。欧州組の女性は最強に強い。そして唯一の男性と崇められ一見、敬られているように見せかけてリーダとして使われてしまっている日本人(みんな日本へのリスペクトはやはり大きいです)など。メンバーそれぞれの色が濃くてそれはそれで面白いとも言えますが。。

出された課題の取り組みは、自分の中で適当ないつもの国際学会の発表以上に頑張りました。最終的にはTeamのメンバーが自主的に動いて、それぞれの持ち味を出してくれました。

何より、こんな感じで結構頻繁(7月6日から8月15日発表当日までで合計15回ですね・・)に会議を開く必要がありましたので業務や数多くの原稿締切などのリズムをつかむのにとても時間がかかりました。。

 

この第一関門のTeam Assignment 1が終わりようやく仲間感が出てきた!か、と感じましたが、また今日はAssingment2が公表されて、頑張ってやっていかなきゃいけないというときにTeamの参加人数が少ないので、一体どうしたら良いのか??

Teamをよくしていこうとした場合にどうしたらよいかについて?デンマーク人の一番仲の良い大人な女性と二人で相談しておりました。彼女はちなみにEpidemiologyでPhDをデンマークでとっているので、非常に素晴らしいアイデアた意見を横からくれます。

僕らのメール「Before going into details with the next assignment, please think about what has worked well until now and what we can do to improve our teamwork. I will try to sum up the suggestions in an email so please send me your contribution within this week. Any suggestions are welcome. 」

これまで、多くの立ち上げやら、新しい事業やら、リーダー業を任してもらってきて、鍛えられてきたつもりですが、今回は少し悩んだので、きっと成長する機会だと確信して、Team buildingについて半日勉強してみました。

面白いですね、有名らしいですがタックマンのモデルが 現段階での我々Team13の状況を表しているなぁと。

 

すべてのTeamは「Form 形成期」「Storm 混乱期」「Norm 統一期」「Peform 機能期」という4段階を経るらしいのですが、(最後にミッション達成でadjourningをstage 5とも呼ぶそうです)

最初は一見、みせかけの仲良さのチームを装っているけれども、意見を出し合って言い合う、などのStormの時期があるとのこと。その後に真のTeamとしてNormとPerfomでミッション達成となるようなのですが、今の我々はStromの段階であったのですね。だから、皆がいいたい放題、意見をいえるとても良い機会であったのだと思うと、非常に納得しました。つまり、今後はNormの時期とPeformの時期がくるので、どのようにしてそちらまでマネージメントするか?それを考えています。

ちなみにこれがStormingのステージです。そうそう、これが問題となってます。

storming - stage 2
Decisions don't come easily within group. Team members vie for position as they attempt to establish themselves in relation to other team members and the leader, who might receive challenges from team members. Clarity of purpose increases but plenty of uncertainties persist. Cliques and factions form and there may be power struggles. The team needs to be focused on its goals to avoid becoming distracted by relationships and emotional issues. Compromises may be required to enable progress.  

単に卒業すれば良いというメンバーもいるので、その人達がどうすればTeamの中で機能できて、皆が成長できるか?

 

僕の本業は大学教育改革なのですが、どこの組織でも、どこの国でも、人種や宗教が違えども、やることは同じだなぁと感慨深いです。

いやはや、また一つ、勉強になりました。大学の授業なんかでは得られない実体験での学びは深いですね。

Tuckman forming storming norming performing model
Bruce Tuckman's 1965 Forming Storming Norming Performing team-development model

 


どんな医師でも必要な診断エラーTips 10 Q&A

2018-08-21 23:17:55 | 診断エラー学

みなさまこんにちは。

今日はどんな医師でも必要な診断エラー Tips 10 Q&Aをお送りいたしますね。毎日何かに追われながらも、研究に参加してくれるメンティー達のおかげで平静の心で頑張れています。自分の診断エラーの執筆や研究などのまとめが進んでおりますので、重要なTipsのみをSIDMのホームページの情報に準じてUPしておきます。出典は下にあります。

Q:診断エラーって何?

A:The National Academy of Medicine(旧米国IOM)による診断エラーの定義では①患者の健康上の問題に対して正確かつ適切なタイミングで解明できていない、また②その解釈を患者に伝えることができなかった場合、と定義しています。簡単に言えば、診断エラーとは、いわゆる診断の誤り:狭義の誤診(Wrong)、診断の遅れ(Delay)、診断の見逃し(Missed)とすることができます。

 

 Q:診断エラーについてどこまでわかっている?

A:診断エラーは米国の推定で毎年1,200万人に何らかの影響を与え、他の医療過誤(手術ミスや患者取り違えなど)よりも患者に与える有害性は大きいことが示唆されています。経済的損失も計り知れなく、原因としては適切な診断がされなかったことで、疾患が進行し重症化したり、高額な検査を頻用したり、医療訴訟の増加、偽陽性の所見を治療してしまうなどの事で結果的に医療費が高額になってしまいます。診断エラーの結果として、米国では毎年1000億ドル(12兆円)以上が無駄になっていると推測されています。

 

Q:どのくらいの頻度で診断エラーは実際には起こっていますか?

A:重篤な疾患に限れば、おおむね10人に1人の割合で最初の診察時に診断エラーが起こっているとされています。

 

 

Q:診断エラーの情報はどうやって集めたら良いでしょうか?

A:診断エラーを解析するための主な情報源は次のとおりです。先行研究の論文は多数あるためにデザインやモデルを本邦のもので調整する必要があります。すでに僕が日本の判例データバンクから入手できる医療裁判データ3000例以上を解析し研究成果を報告中です。

剖検データ

診断エラーを経験した医師からの報告

診断エラーに遭遇した患者からの報告

病院のインシデントレポート

緊急入院の統計

診断エラーを測定する研究

判例データ 

 

Q:しかし、医療裁判の判例が必ずしも医療的にただしい情報とは言えないでのはないでしょうか? 

A:その通りです。判例のデータは医療現場の情報を正確に反映しているとは言えませんが、患者に危害を与えうる最も重要な診断エラーについて多くの情報が細かく記載があり、それを得る事ができます。さらに大事な情報源として患者からのクレーム分析は、カルテなどからの得られる医療記録以外に、他のデータソースからはまず得られない患者側からの視点の情報も得る事ができます。

 

Q:診断エラーはどのくらいの頻度で有害事象や死亡につながってしまうことがありますか?診断エラーによる死亡率はどのくらいですか?

 A:診断エラーは米国内で推定年間1,200万人に影響を与えており、他の医療過誤の原因を足して合わせたものよりも大きな影響が出ていると推測されています。米国内の病院のみの調査では、診断エラーが原因で毎年4万〜8万人が死亡しており、少なくとも多くの患者が後遺症をかかえているのではと見積もられています。すべての臨床現場を対象に調査した場合にはさらにそれ以上に多い可能性が高いです。

 

Q:診断エラーの原因は何ですか? 

A:診断には、「人的要因」と「システム要因」の双方の要素が含まれています。医学的知見や医療の爆発的な成長は、ある意味両刃の剣であり、診断はより正確に可能になった一面で、同時に複雑性が増しています。人的要因の観点からは、誰しも日々の生活で「勘違い」などの認知の歪みに影響を受けているとされます。医師も同様に、診療の現場で認知機能の限界とバイアスを受ける事がわかっています。特に近年の医学における複雑性は人類が経験したことのないレベルです。既知の疾患はすでに1万疾患以上、検査項目は5000項目以上ありますが、対象となる主訴や症状はあまり変わっておらず多くはありません。したがって、いずれの主訴や症状にも何百までとはいかなくても、数十種類の思考過程や検査の組み合わせなどを的確に選んでいく必要があります。

一方で、医療のシステム要因は、数百から数千におよぶ異なる思考プロセスや診療行為、手技やテクノロジーなどが複雑に絡み合ってリンクしています。もともとこれらの医療システムは、患者の安全性を担保するために構築されてきましたが、これらの複雑になればなるほど、相互のコネクションの数が増えるほど、情報の誤った伝達、故障のリスクなどが高まってしまうのです。

 

Q:ある科の方が他の科よりも診断エラーをおこしやすいなどはあるのでしょうか?

A:実はあります。診断エラーはすべての診療領域で医療訴訟の主な原因となっています。米国の調査では、プライマリケア領域、救急医療領域、放射線医学領域だけでなくほとんどの診療領域で診断エラーが訴訟理由の一位になっています。外科系領域においても訴訟理由として2番目に多くなっています。診断エラーの中でも診断の見逃し(Missed)はプライマリケアや救急医療で最も多いとされます。一つの理由としては単純に初診で訪れる患者数が圧倒的に多いためですが、一方で複合的に既往を持っていたり、病態が進行して症状がはっきりする前の早い段階で患者が受診していることが原因と考えられます。

 

Q:診断エラーのほとんどは珍しい疾患なのではないでしょうか?

A:実は違います。診断エラーにより後遺症や死亡という結果に至った原因疾患の実に75%が、かなり一般的な疾患である血管系疾患や感染症、そして悪性腫瘍で占められていました。よく思われるように診断困難例に陥る珍しい疾患は、確かに見逃し(Missed)があったり、診断に至るまでにかなり時間がかかってしまう事が多くなります。しかし診断エラー自体は脳卒中、敗血症、肺癌などのかなり一般的な疾患で圧倒的に多く起こっており、その与える影響はかなり大きいものになります。ゼブラな疾患(珍しい)でもコモンな疾患でも診断プロセスを改善していく事で診断エラーを減らすための努力をすることがとても重要なのです。

 

Q:診断エラーと、その有害性を減らすために、我々は何ができるか?

 A:The Society to Improve Diagnosis in Medicine (SIDM)は診断エラーによって患者に害を与えない世界を目指しており、 保健システム、医師だけでなく、看護師、放射線科医、検査技師、研究者や患者など全ての人が「診断の向上」に対して役割を果たすことを目標としています。SIDMが掲げるビジョンは下記です。

・診療レベル、システムレベル、政策レベルで、診断の向上を最優先事項とする。

・有害性を減らすための、診断の正確性向上やエラーの減少を対象とした研究を進める。

・正確かつ適切な診断を行うために知っておくべき障害とそれらの解決方法の両方を医師や他職種に広めるために、医学教育システムを改革する。

・実臨床の現場で、医師だけなく、患者や他職種も巻き込み、診断能力の向上をはかる。

・診断向上のためのすべての業務で、患者とその家族の声が入るようにする。

 

 

 特にここはMust Knowです。これが診断エラーの世界の定義です。馴染みのある方も、初め手の方もこれを機に親しんでいただければ幸いです。

 

What is Diagnostic Error?

The National Academy of Medicine (formerly the Institute of Medicine [IOM]) defined diagnostic error as the failure to (a) establish an accurate and timely explanation of the patient’s health problem(s) or (b) communicate that explanation to the patient. Simply put, these are diagnoses that are delayed, wrong, or missed altogether. These categories overlap, but examples help illustrate some differences:

 

A delayed diagnosis refers to a case where the diagnosis should have been made earlier. Delayed diagnosis of cancer is by far the leading entity in this category. A major problem in this regard is that there are very few good guidelines on making a timely diagnosis, and many illnesses aren’t suspected until symptoms persist, or worsen.

A wrong diagnosis occurs, for example, if a patient truly having a heart attack is told their pain is from acid indigestion. The original diagnosis is found to be incorrect because the true cause is discovered later.

A missed diagnosis refers to a patient whose medical complaints are never explained. Many patients with chronic fatigue, or chronic pain fall into this category, as well as patients with more specific complaints that are never accurately diagnosed.

 

http://www.nationalacademies.org/hmd/Reports/2015/Improving-Diagnosis-in-Healthcare.aspx

https://www.improvediagnosis.org (診断エラーのホットTipsを学べると思います)
 
National Academies of Sciences, Engineering, and Medicine. 2015. Improving diagnosis in health care. Washington, DC: The National Academies Press.

 

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診断エラー学 はじめに

2018-08-16 12:04:38 | 診断エラー学

 

みなさまこんにちわ。

ようやく、ようやくTema assignment が終わりました・・・。これでようやく自分の仕事と課題にガスガス取りかかれます。

研究といえば、いい感じにデータ集めも解析もうまくいってきたので、日本発のエビデンスとして早めにPublishを考えています。

診断エラー学の大きな教科書の進行もうまくいってでいますのでこちらにもぼちぼちまとめを乗せていくことにします。

 

診断エラーといえば、そうそう最近業者の方や出版社の方から連絡をいただく事が多くなってきておりDual process modelはもはや周囲の人もかなり有名ですね。

一番最初に参加した国際学会はなんと!Diagnostic error in medicineでした。まだ若かったです。その新しい分野の学びに参加して大変感銘を受けたのを昨日の事のように覚えています。確かJhon Hopkins大学であったと思います。徳田先生はひどい下痢で参加できず、急遽取りやめられてすごーく不安な旅程でしたが、一人であったからこそ学会の全てのメイン演題を全部聞いてメモってやろうと、慣れない英語で一生懸命勉強していたのを覚えています。

以降、毎年参加してますが、日本が進むべき道はこっちだなぁと自分の直感では思っております。

 

 

 

2回目のDiagnositc error in medicineの参加の時はまだ研修医で、太郎先生や徳田先生(当時は緊張して話せなかった・・)とシカゴでオーラルのメインカンファレンスで直前ミーティングをしていました。あの時の緊張は後にも先にも人生で一番でした。一ヶ月前から緊張して、前日はほとんどねれなかったです。。

 

(Diagnostic error in medicine 2013年?シカゴ 今やメールで連絡を取り合うKaren Cosby先生からの紹介)

 またこの話は今度するとして・・・

 

 

せっかく1年前に島根マガジン(マニアな雑誌です)に書いていた原稿があったので、転載しておきます。

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島根に来て早くも9ヶ月が過ぎました。自分の好きな領域は身体所見と診断学(誤診学)なので、今回はこれをお読みの全ての皆様に役立つであろう?診断学についてお話してみます。診断ってなんだろう?実はつい最近までは全く研究対象にされておらず、まるで経験の積んだ医師のみが持つまるでマジックのような芸術品として考えられていました。2006年頃から北米を中心に医師が下す診断というものはどのような過程を経ているかについて認知心理学との融合が進み少しずつ解明されてきています。皆様は目の前から石原さとみの顔をした超絶美人が歩いてきたら気づきますね(個人的趣味でゴメンナサイ)、では何故石原さとみであると認識したかと説明できますでしょうか?眉毛?口?目?数値化できますか?このように、情報を融合して潜在意識下で瞬間的に診断している状態を直観的診断(System1)といいます。一方で、例えば生年月日や出生地や身長だったり、色々な複雑な情報を整理して診断を絞ったり、除外したりしている状態を分析的診断(Sytem2)といいます。ボク個人は極めて直観的(System1)診断を好みますが、理由はとても安く、短時間で、効率的に判断できることが多いからです。特定の領域に限局したエキスパートが得意とする能力ですが、それっぽい顔をした別の疾患であった場合には簡単に誤る諸刃の剣でもあります。一方で分析的診断は主に医学生・研修医・専門領域以外の医師が頻用している手法で、一つ一つの情報を調べて鑑別診断を挙げては丁寧に除外していく作業です。直観的診断に比べて、分析的診断は誤りがとても少ないのですが、非常に時間がかかること、不要な検査を行い金銭的負担がかかってしまう事などの大きな欠点があります。昔はERなどでモタモタしている研修医にハラハラしながら不安に観察していましたが、実は分析的診断を頻用するビギナーの方が診断学の観点からは安全な事が多い事がわかっており最近は安心して任せています。どちらが良いとは一概に言えない直観的診断と分析的診断をうまくどちらも使用しながら進めていく事が診断の過程ではとても大事であり、これは診断のデュアルプロセスモデルと呼ばれています。

 

 


Freeleticsはじめました

2018-08-15 12:19:46 | 日記

みなさま、こんにちわ。

最近職業上、学生や研修医に質問されることが多いのですが、結構その内容に対して深い科学的な考察をすれば、

それはそれでちゃんとした記事として書くこともできるのではないかと思います。

今後のためにメモ書きをしておきます。

1)勉強に集中できません。

2)英語はどうやって勉強したら良いですか?

3)Generalistになりたいけど、道が見えない。

4)目の前のやるべきことが多すぎで流されるのですが、どうやって乗り越えてますか?

5)研修医終わった後の将来が不安です。

6)指導医とうまくいってません(指導医の臨床に疑問です)

 

まぁ、なんとなく、いつもどこでも、こんな内容が多い気がします。

何を隠そう、自分はいつでも不安です。常に何かを目指して前進しているので、安定した生活とは程遠く、いつも不安だなぁと。

患者さんのこと、大学教育改革のこと、進路のこと、海外のこと、研究のこと。

なんかよくわからない不安が出てくることは多分動物の本能として必ずあると思うのですが、

それから逃げずに向き合って何故不安に思うのかを俯瞰的にメタ認知することで結果的にはストレス緩和をしている自分がいます。

徹底的に紙に書き出していると簡単に乗り越えられることも多い気がします。究極的には「他者の課題」として捉えると、気が楽です。

Harvard Business Reviewでも強烈に影響を受けた記事がありまして(6 Things Every Mentor Should Do, MARCH 29, 2017)

Choose Mentees Carefully
Effective mentorship takes time. Mentors trade away hours they could use to pursue their own career goals and spend them on someone else’s. Although the prospect of having an energetic, personable junior partner for a multitude of projects is appealing, having the wrong mentee can be painful.

今までメンターたるもの全てのメンティーを受け入て頑張らなければと信じていたのですが、メンタリングに関しては多分全く逆で、やる気のない人に相手している時間ほど生産性が低いことはなく、熱心でやる気のある志や方向性が同じようなメンティーだけをメンタリングをすべきであるという内容です。指導医としてある程度の時間もたち、納得です。

 

不安や壁の乗り越え方は、昔から色々本を読んだり師に聞いたり、自分なりの方法論はあるのですが・・それが他の人にも良いとは限りません。

しかし、経験的に走ったり運動をして汗が出るくらい、脈拍が振り切るくらい負荷をかけると、心のそこからエナジーが湧いてくるような気がしていますし、誰でも同じような効果が得られるのではないかと思います(Pubmed 見る限り、多分これはScienceとして証明可能)

ですので、相談してくださる受験勉強中の医学生諸君、やはり「適度な負荷をかける運動」を取り入れながら勉強する方が僕は良いと思います。

ぜひ頑張ってください!

 

運動といえば、最近ハマったものがありまして、Euroの友達が教えてくれた自重トレの「Freeletics」は何やら続けられそうです。日本語にもなっているようです。このアプリ、非常に自分の今後を楽しみにしております。高いジムに行かなくても、またその移動の時間をかけるヒマがあれば、無料で継続できる運動としても良いかもしれません。

一緒に昔からつけている体重カウントのアプリも併用することで、机仕事をこなし、目がつかれ、頭が鈍ってきたら鍛える!この繰り返しです。

現在の体重が79.4kg/182cmでしたので、どこまで毎日ジムに通って走っていた昔に戻れるか。やってみます。

(COI一切ありません)

 

(自分の将来は二つに一つだ、前進するか、言い訳するか 筆者訳)

 

 

 


J-COSMO創刊!! (Our journal will be published soon!!)

2018-08-09 10:10:04 | 総合診療

J-COSMO創刊!! (Our journal will be published soon!!)

AIとの共存、地球上で最も進んだ高齢化、医師の働き方改革、これまでの常識が通用しない昨今、俗に言われるブーカ(VUCA:Volatility変動、Uncertainty不確実、Complexity複雑、Ambiguity曖昧性・不明確性)は間違いなく医療界にも訪れています。悪くいえば先行きが見えない曖昧な時代ですが、よく言えば、新しく広がる無限の可能性を秘めた未知の世界です。本誌は強烈に何かを伝えたいPassionと、医療を共によくして頑張っていこうというCompassionに満たされた選りすぐりの「ガスガスした」若手精鋭陣たちが全ての臨床医が遭遇するであろう日々の疑問や重要な点を意識して丁寧に作成しています。ある科「では」常識である、ある有名研修病院「では」常識である・・そんな小ちゃっな壁はもうチョチョッと越えちゃいましょう。「あっそこ知りたかった、マジ嬉しいっ」ということを全ての臨床医にコモンセンスとしてお届けすることが、必ず患者さんの役に立つ、それがこのJ-COSMOのミッションです!

 

 

チーム なりたいっ!のみなさま。

もう会議が楽しくて楽しくて。がんばります。

 


Harvard GCSRTの図書館:Countway Library of Medicine

2018-08-04 17:52:19 | Harvard medical school

みなさま、こんにちわ。

 
多くの場合は、PubmedやGoogle Scholarで検索してもその論文をどのように管理するかお困りですよね。僕はMahidol熱帯医学大学院で無料でMacに入れて以来EndNoteが好きでそれを頻用しています(あそこにはEndNoteの授業なども2コマあって本当に今考えて鍛えられました)。またうちの大学は無料のオンラインEndNoteが図書館のWeb経由で使えます。
 
 
 
 
さて、図書館といえば、今日はHarvardの図書館の話にします。
GCSRTでは当然地球上全体に学生が散らばっていますので、ボストンに集合するの年3回か、最後の卒業式だけ、僕の場合は2回はロンドンに参ります。
このコースは研究者として多くの人が参加していますので、非常にこの図書館の利用について盛り上がっています(メチャ最強と)
 
そう、あのNew England Journalのオフィスがあることで有名なCountway Library of Medicine(An Alliance of the Harvard Medical School and Boston Medical Library)に入ってやりたい放題です(言葉が悪いですが知の広さと深さは無限大ですね)。高い授業料を払っていますので、理論上全ての図書館が使えますが、主に使うためにスマホなどにDuoというアプリを入れて、日本からもRemote  accessできるようにしなければなりません。
 
基本的には最低でも週一回のGroup workのTeam13の集まりがあるので、毎日フル使用なのですが。勿論、自分がガスガスやっている診断エラーの科研の研究や大学改革のための研究などにも最強の威力を発揮しております。なんせPubmed上の60%くらいDown loadできるとのウワサです。
 
GCSRTの同級生は当然といえば当然なのですが、習ってもないのに独自のReviewからサンプルサイズをちゃんと計算してTeamに提出してくるなど臨床研究をちゃんとして来た人が多く(僕は完全にへちょいなぁ〜と自覚します)、最低限論文を読み書きして発表(なるべく多く)したことがあること、Pubmed検索などが的確にドドドとサクッととできること、英語力は当然ながら電話で議論が出来ることが最低条件としてのMinimum requirementなのかもしれません。
 
今日はこのあたりで。
 
(この辺りのオモローなものを使い回したいのですが、もうその暇がないです)」
 
*さて今知ったのですが、Web Of Scienceも使い放題なので、その中にオンラインのEnd Noteが入っており使えると思います。
 
 

Harvard GCSRT 1st Team Assignment

2018-08-01 00:22:39 | Harvard medical school

みなさま、こんにちわ。

現在もなお、GCSRT多国籍グループTeam13は進行中です。
 
さて、入学の為にはどのような倍率で(400人以上のアプライうち合格者は150人くらいではないかと聞いています)、どのような国から、どのようなバックグラウンドの人間が集まっているのかを知りたいとのメッセージがありましたたので、今我々の学務?のエミリーに教えてもらうように連絡を取っています。しばしお待ちください。
 
(だいたいこんな感じで地球上に散らばっている150人が一斉に講義を受けながら質問をします、ようまぁ昼間の時間に授業うけてんなぁと感動します、他の国の医者は暇なのか?!Protect timeでもあるのだろうか?)
 
7月はBiostatistics 1-9の内容でした。修了認定のために10%を占めているQuiz(だいたい9-13問程度)は合計2回までトライできます。
この各科の試験は大体1−2週間に一回やってくる計算です。しかしよく考えるとCapstoneの評価が半端なく、個人の綿密な国際的な研究計画書とGrant申請書、IRB申請などの発表が40%を占めることから筆記試験はあまり重要視されていません(ちなみに本当にここから研究がスタートすることもあるらしいです)。
 
アイデア、文献読み込み能力、FINERをうまくみつけ、それをどのデザインで研究を実行し、リーダーシップはどのようにとるかが評価されるようです。
 
まぁ、大事なことは卒業や箔つけることではなく、【実力をつけてOutput能力】をガシガシ磨くことにあるので、試験の点数は大した問題ではないと個人的に気楽にとらえて9割を目指してやってます。
筆記試験は半年後の期末試験と1年後の卒業試験の2回が重要であるとのことです。
 
上記のように個人の学習やプレゼンテーションで評価するだけでなく、Teamで5つの大きな課題をこなしていく事も点数認定で評価されるのですが、この課題に関しては毎週日本時間21−23時に開催される150人が一斉に受講するWebinerの終了後に僕のTeam13は毎回1時間程度を議論するシステムを作りました。あとは、Whats Appというアプリと、WeChatという中国系のアプリ(中国の二人はWhatsAppは国内であまり使えないようです)と我々のCanvasというハーバードが使っているスクールサイトのDiscussion roomをVideoで使います。日本のLineは却下でした・・・
 
この1ヶ月の自分の悩みは、毎週Team discussionするときの時間が夜遅くであり、ER後や当直中であるとヘトヘトであることと、基本的に多種多様な人間の集まりですのでミンナが好きなことを好きなように発言しますので、ややネガティブな雰囲気が漂っており、リーダーである自分はそれをまとめるのが本当にストレスでした(女性ばかりで本当につらい)。しかし、今日開始30日目に初めてみんなが一緒にやっていこう、頑張っていこうと言ってくれるような(つまりはイケてない唯一男性の僕を助けながら、みんなで頑張っていこう!)という雰囲気が出てきて悩んだ分だけそのTeamのポジティブなチームの変化に一人で感動しておりました。
 
仲間といえば、研究のかじり具合が、半ば突出しているチームメートも数人いて、僕であれば1ヶ月かかるような完璧なLiterature reviewをたった数日で論文形式(このまま出せるんじゃない?)でTeamに提出してきたりととてもたのもしくかなり勉強になります。やはり海外のPhDホルダーの医者は本当に研究好き好きであることが感覚としてよくわかります。
 
この一ヶ月少し辛かったですが、経験的には、このような苦労が一番自分を成長させてきたので(妻いわく、勉強できることがどれだけ幸せか感謝するように。謙虚と感謝の気持ちを大事にとのこと)、精一杯もがいて楽しんでみます。
 
 Tari