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自分の自分による自分のためのブログ。
だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

次々と重なる出費に笑いと涙がほとばしる金欠エンターテインメント『老後の資金がありません!』

2021年10月31日 23時24分15秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:42/230
   ストーリー:★★★★★
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【要素】
コメディ
ヒューマンドラマ
お金
結婚式費用
葬儀代
失業
浪費

【元になった出来事や原作・過去作など】
・小説
 垣谷美雨『老後の資金がありません』(2015)

【あらすじ】
主婦・後藤篤子(天海祐希)は困っていた。
家計は妻に任せっきりの夫・章(松重豊)の給料と、
篤子がパートで稼いだお金をやりくりして、
フリーターの娘・まゆみ(新川優愛)と、
大学4年生の息子・勇人(瀬戸利樹)を育て上げた。
憧れのブランドバッグも我慢して、
老後の資金をコツコツと貯めてきた……
はずなのに!

身の丈に合っていたはずの篤子の生活が、
突如綻び始める。
入院していた義父の死に際に、
章の妹・志津子(若村麻由美)から喪主を押しつけられ、
葬儀代400万円近くを支払うことに。
折しも、密かに正社員登用を期待していたパート先をリストラ。

なかなか次の仕事が見つからないところに、
まゆみが結婚相手を連れて来た。
年収150万円のバンドマン・琢磨(加藤諒)は、
地方実業家の御曹司につき、
盛大な披露宴を希望しているという。
しかも、費用は両家の折半で、
最低でも300万円負担することに。

700万近くあった貯金が
あっという間に底をついてしまいそうな中、
今度は章の会社がまさかの倒産!?
結婚30周年目前、
夫婦そろって失職するハメに。
いよいよ毎月9万円の姑・芳乃(草笛光子)への
仕送りさえ捻出できなくなった篤子は、
志津子夫婦との話し合いの席で、
芳乃を引き取ると口走ってしまう。

やむなく姑との同居がスタートするも、
元・老舗和菓子屋女将は超がつくほどの浪費家だった…!
芳乃の豪快な金遣いに加えて、
今度はいきなり「生前葬をする」と言い出した!?
ありとあらゆるお金の問題に振り回されてきた篤子の我慢は、
ついにピークに達する!!

果たして篤子は、
この絶体絶命のピンチを切り抜けることができるのか?!

【感想】
お金あるあるのエピソードがてんこ盛りで、
老若男女問わず楽しめる金欠エンターテインメント。
特に、冠婚葬祭を一通り経験しているであろう30代以降の人なら、
より一層この家庭内不況に共感できるかも(笑)

うまくやりくりして安定した生活をしていた主婦が、
義父の死をきっかけに出費の嵐に遭うのは、
うん、とてもよくわかる(笑)
葬儀もね、お金かかるよね。
故人が地位ある人で、
盛大にやりたいとなると、
いくらでもお金かけられちゃうから。
主役は故人なのに、
もはや残された人の自己満足でしかない気も。
棺とかどうせ燃えちゃうのに(笑)

いくらでもお金をかけられるといえば、
結婚式もかな?
作中のまゆみと琢磨のように、
これもまた派手にやりたいとなると、
もはやかける費用にキリがない。
聞いた話だけど、
「祝いごとなんで」という悪魔の一言で
合理性のなさを正当化されてしまうのは怖い(笑)
もはや結婚式も葬式も
見栄の張り合いに足を突っ込むと沼だなって思うところ。

そんな中で、夫婦そろって失業するし、
姑は浪費家だし、
お金は次から次へと飛んで消えて行く。
人生の節目での出費あるあるに共感しつつ、
実際にあったら悲壮感漂いそうな問題を、
コミカルなキャラクターと演出によって、
明るい笑いに変えているのが、
この映画のいいところ。

あと、変に金策に走らないのもよかった。
むしろ、そこはまったく問題じゃないんだよね。
「どうやってお金を稼ごう」とか
「どうやって支払いを減らそう」とか、
そういう正解がないところには触れていない。
「お金がない現実とどう向き合っていくか」
という深いテーマを投げかけているのだ。
それは、「人生において何が大切なのか」
という部分にも通じており、
ラストで描かれる篤子たちの選択には清々しさがある。

まあ、"気の持ちよう"みたいな精神論と言われたらそれまでだけど、
結局セルフコントロールできるのって自分自身だけなので、
そういう意味でも正しいメッセージだなって思った。

しかもこの映画、
全体的にコメディ調だけど、
笑って終わりかと言ったらそうじゃない。
涙ちょちょぎれる感動エピソードもあるんだよ。
お金のあるあるに共感しながら、
笑って泣けるなんて最高じゃないか。

天海祐希と草笛光子の“歌劇団OG”による掛け合いも面白いし、
ぜひこれは映画館で観て欲しい!

映画『老後の資金がありません!』公式サイト

映画『老後の資金がありません!』作品情報。人生100年時代、老後資金に2000万円が必要!? 主演、天海祐希。現代日本が抱えるお金の問題に、...

 

他人になることで見つからない自分を埋めた若き日のデヴィッド・ボウイを描く『スターダスト』

2021年10月31日 14時56分19秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:174/229
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ヒューマンドラマ
音楽
洋楽
デヴィッド・ボウイ

【元になった出来事や原作・過去作など】
・音楽
 デヴィッド・ボウイ『ジギー・スターダスト』(1972)

【あらすじ】
1971年、『世界を売った男』をリリースした24歳のデヴィッド(ジョニー・フリン)は、
イギリスからアメリカヘ渡り、
マーキュリー・レコードのパブリシスト、
ロン・オバーマン(マーク・マロン)と共に、
初の全米プロモーションツアーに挑む。

しかし、この旅で自分がまったく世間に知られていないこと、
そして時代がまだ自分に追いついていないことを知る。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンド、
アンディ・ウォーホルとの出会いやファクトリーなど、
アメリカは彼を刺激した。

兄の病気もデヴィッドを悩ませていた。
いくつもの殻を破り、
やがて彼は世界屈指のカルチャー・ アイコンとしての地位を確立する最初の一歩を踏み出す。
《デヴィッド・ボウイ》になる前のデヴィッドの姿。

本作は、後にデヴィッド・ボウイの最も有名な別人格
“ジギー・スターダスト”を生み出すきっかけとなった瞬間の舞台裏、
キャリアのターニングポイント、
それに関わった人たち、
そして彼の内面と心の葛藤、
時代の最先端を見つめる彼の変化を描く。

【感想】
洋楽は聴かないけど、
その名前だけは知っているデヴィッド・ボウイ。
僕の中では『戦場のメリークリスマス』に出ている人のイメージしかないのだけど(笑)

それにしても、この『スターダスト』。
思い返せば、SOPHIAの『黒いブーツ ~oh my friend~』(1998)の
歌詞にあることを思い出す。
「カバンを安全ピンで留めて MAKE UP FACE
 伸びきったTAPE "ZIGGY STARDUST"」と。

デヴィッド・ボウイのファンでもない限りは、
あんまり響かないかもなあという印象。
『ボヘミアン・ラプソディ』(2018)や
『ロケットマン』(2019)のように、
歌を聴かせる作りではないから。
あくまでも、別人格である
ジギー・スターダストが生まれるまでを追った人間ドラマ。

今となっては伝説的な扱いのデヴィッド・ボウイも、
『世界を売った男』(1971)の評判はよくなく、
彼の音楽を理解してくれる人はいなかった。

そんな中、彼の才能を信じ、
いっしょにどさ回りをしてくれたロンの存在は大きい。
彼がデヴィッドをいろんなところに連れて行き、
関係者を紹介してくれたから。
とはいえ、デヴィッド・ボウイはその独特の世界観から、
相手に迎合するような態度を取らなかったため、
いつも人を不快にさせて、
そのたびにロンが苦労するというパターンではあったけど(笑)

それでも、ロンは見捨てなかったけどね、デヴィッドを。
このことから、“1人の熱狂”からすべては始まるんだなと思わせる。
もちろん、最初からデカい規模で受け入れられるなら、
それに越したことはないけど。
まずは1人でも自分の才能を信じてくれる人を
見つけることが大事なのかも。

あと、“その人にあったやり方”があるというのも伝わってくる。
結局、デヴィッドがこなしてきたインタビューが活きたかどうかは定かではない。
「デヴィッド、キミは何者だ?」という質問に答えが出せず、
悶々としていたときに、
ロンから「なら他人になればいいじゃないか!」
と言われたことがきっかけで生まれたジギー・スターダスト。
そこからデヴィッド・ボウイの名は一気に広まることになる。
何がきっかけでヒットに繋がるかはわからないね。
これはもうマーケティングの観点から生まれたものではなく、
デヴィッド・ボウイという類稀なる存在だからこそ成せる業。
再現性はないけれど、夢がある。

どうせなら、ヒットしていく過程も観たかったなあ。
「他人になる」と決めた後のシーンが、
もう売れっ子になったところだったし。
それもラスト20分。
長い前フリだった(笑)

この手の映画としては、
歌も少なく、
淡々と進んではいるけど、
世界的スターの苦悩と革命が知れる点では、
有意義な作品だった。

映画『スターダスト』公式サイト

音楽史に名を刻む偉大なアイコン、誰もが知るデヴィッド・ボウイの、誰も知らない若き日の“ジギー・スターダスト”誕生の物語。10月8日(金)より...

映画『スターダスト』公式サイト