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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

トランスジェンダーに悩む子供を描いたドキュメンタリー『リトル・ガール』

2021年12月22日 13時14分52秒 | 映画

【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:210/267
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ドキュメンタリー
トランスジェンダー

【元になった出来事や原作・過去作など】
なし

【あらすじ】
フランス北部、エーヌ県に住む少女・サシャ。
出生時、彼女に割り当てられた性別は“男性”だったが、
2歳を過ぎた頃から自分は女の子であると訴えてきた。
しかし、学校へスカートを穿いて通うことは認められず、
バレエ教室では男の子の衣装を着せられる。
男子からは「女っぽい」と言われ、
女子からは「男のくせに」と疎外され、
社会はサシャを他の子どもと同じように扱わない……。

トランスジェンダーのアイデンティティは、
肉体が成長する思春期ではなく、
幼少期で自覚されることについて取材を始めた監督は、
サシャの母親カリーヌに出会った。
長年、彼女は自分たちを救ってくれる人を探し続けて疲弊していたが、
ある小児精神科医との出会いによって、
それまでの不安や罪悪感から解き放たれる。
そして、他の同じ年代の子どもと同様に、
サシャが送るべき幸せな子供時代を過ごせるよう、
彼女の個性を受け入れさせるために学校や周囲へ働きかける。

まだ幼く自分の身を守る術を持たない
サシャに対するカリーヌと家族の献身、
言葉少なに訴えるサシャ本人の真っ直ぐな瞳と強い意志が、
観る者の心を震わせる。

【感想】
出生時の性と自認している性の違和に悩む子供と、
その家族にフォーカスしたドキュメンタリー。
題材として珍しいものではないけれど、
まだ自分のことをうまく伝えられない年齢の子供と、
自分を責めてしまう母親が印象に残る。

海外の方がトランスジェンダーについての
理解や支援が進んでいるイメージではあったけど、
必ずしもそうではないようだ。
学校側は医師の診断がなければ対応を考えないスタンスだし、
サシャの通っているバレエスクールでは、
先生が彼女を追い出してしまうほど。

そういうことが起こるたびに、
母のカリーヌは、
自分は妊娠中に女の子を欲しがって、
実際に生まれてきたのが男の子で、
少しがっかりした過去がいけなかったと思い悩む。
ちなみに、医師も言っていたけど、
母親がそういう考えだったからといって、
トランスジェンダーへの影響は皆無だ。
そこはまったく関係ない。
とはいえ、トランスジェンダーになる原因は
まだよくわかっていないようだ。

サシャはとても素直で健気でかわいい子だった。
どこからどう見ても、女の子にしか見えないぐらい。
そんな彼女は、
あまり自分のことを積極的に語りはしないけれど、
時折流す涙を見て、
心の中で思い悩むことが溢れるほどあるんだろうなと思うと心が痛む。

こういうのはやはりまわりの理解が必要だと感じる。
「異質なモノへの排除」というのは必ず起こるし、
それによって本来送るべき
幸せな子供時代が奪われてしまうのだとしたら、
それはとても悲しいこと。
そうならないように導くのが大人の役目。
幸い、親身になってくれる小児精神科医と出会うことで、
周囲への働きかけも捗り、
サシャは転校することなく、
女の子の格好をして学校に通うことが許可される。
彼女を受け入れてくれる友達もでき、
ひとまずは一件落着ということになる。

ただ、これはまだ始まりに過ぎない。
これからもいじめに遭う可能性もあるし、
思春期に入ったら、
より自分のアイデンティティについて
思い悩むことも増えるかもしれない。
ホルモン投与によって
男性らしさを抑制することもできるようだけど、
サシャが家庭や子供を持ちたいと思ったときにどうするのかも、
いずれは考えなくてはいけないことだ。

昔よりはそういったマイノリティの人たちにも日の目が当たり、
周囲の人々の理解や認知も徐々にだけど
広まっていってはいると思う。
けれど、同じ悩みで苦しんでいる人も大勢いるだろうから、
当事者や彼らを取り巻く人々が何を感じているのか、
このドキュメンタリーを観ると、
少しはわかるかもしれない。

9月に公開した『トムボーイ』と併せて観るのもいいかも。


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