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コンサートの常識を覆す『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』

2021年04月07日 21時10分39秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:29/64
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★☆☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ドキュメンタリー
睡眠
眠るためのコンサート

【あらすじ】
あるときはロサンゼルスの野外のグランドパークで、
あるときはシドニーのオペラハウスや、
アントワープの聖母大聖堂で。
そしてパリ、ベルリン、NYといった
世界各地の会場で開催された真夜中のコンサート。

演奏されるのは、
ポスト・クラシカルを代表し、
映画『メッセージ』に楽曲を起用したことでも有名な
天才音楽家マックス・リヒターによる“眠り”のための楽曲「SLEEP」。

脳科学者デイヴィッド・イーグルマンのリサーチのもと作られた
8時間以上にも及ぶ楽曲が丸ごと、
真夜中から明け方にかけて演奏され、
観客は会場に並べられたベッドに横になって眠ることも、
歩きまわることも自由。

そんな驚くべきイベント「SLEEP」の全貌が、
マックス・リヒターとプロジェクトを支え、
公私にわたるパートナーである
ユリア・マールのインタビューと共に描かれる。

まるで、観客も実際にコンサートに参加したかのような、
極上の癒しと覚醒を体感する、
奇跡のドキュメンタリーが誕生。

【感想】
ちょっとでも疲れていたり、
眠たいときにこれを観ると、
多分アウトだね、これ。
一瞬で夢の世界へとダイブできそうだから。

それは、この映画がつまらないからじゃない。
まさかの"眠るための映画"だから!

このドキュメンタリーは、
作曲家のマックス・リヒターが企画した、
他に類を見ない眠りを提供するコンサートを追っている。
一般的なコンサートでは、
演奏者たちが主体となって、
観てもらう聴いてもらうという立場であるけれど、
これは逆。
観客が主体。

コンサート会場には簡易ベッドが並べられ、
観客は自分の枕や毛布を持ち寄り、
静かな眠りの世界へと旅立つ。
演奏を聴いていようが、
寝ていようが、
歩きまわっていようが、
すべては観客の自由。
ただ、目の前のステージでは、
夜から朝までの約8時間、
マックス・リヒターたち演奏者が絶えず、
音楽を奏で続けているというだけ。

革命じゃない?
「コンサートは聴くべきもの」
という常識を覆してるよね。
眠りという静かで安らかな行為なのに、
やってることは常識の破壊。

そして、そのコンサートで流れる音楽というのがこの映画の肝なんだよ。

慌ただしく時が流れる現代は、
企業にとってはいいかもしれないけど、
果たして個人にも同じことが言えるのか。
マックス・リヒターはそこに疑問を持ち、
一度そういった流れから解放されて、
リラックスできる環境を提案したいという想いから、
今回のコンサートを企画したそう。

脳科学者いわく、
もともと脳には860億個の細胞があり、
起きているときは個別に活動しているものの、
眠ると集団で動くようで。
それが、脳波がゆるやかな波形を示している証拠。

マックス・リヒターは、
その波形のリズムと合う音楽を作るにはどうしたらいいかを考え、
低周波のみで構成された曲を作ったのだ。
それは、胎児が子宮内にいるときと同じような環境らしく、
人々にとってはとても心地よく聞こえるっぽい。

現に、音楽が流れている間は興奮や感動といったものはなく、
まるで空気のように“そこにある”という自然な感じがした。
これは映画館のような音響設備がしっかりした環境で観るべきじゃないかなー!
この音楽の心地よさは家では伝わりづらいかもしれない。

マックス・リヒター、
今回初めて名前を知ったのだけれど、
若い頃は苦労したそうで、
自らの創作活動の費用の捻出や家族を養うために、
映画音楽も手掛けてきたとのこと。
多分、本人としては自らの創作活動を優先したかっただろうけど、
ライスワークで映画の音楽を作れてしまうのだから、
才能しか感じない(笑)

そんな彼の言葉ですごく印象的なのがあって。
「創作活動は、自分の今いる世界から、新しい世界へ連れて行ってくれる。
 その先に何があるかということは問題ではなく、
 その新しい世界へと一歩踏み出す過程が大事なのだ」と。
心にしみました。

この「眠るためのコンサート」、
日本ではやらないのかな。
一度体験してみたいね。

映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』公式サイト

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映画『SLEEP マックス・リヒターからの招待状』公式サイト

 


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