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マルジェラの生まれやブランドを去った経緯が本人の口から明かされる『マルジェラが語る“マルタン・マルジェラ”』

2021年11月11日 00時16分33秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:162/237
   ストーリー:★★★☆☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【要素】
ドキュメンタリー
ファッション

【元になった出来事や原作・過去作など】
・人物(ファッションデザイナー)
 マルタン・マルジェラ(1957~)

【あらすじ】
公の場に一切登場せず、撮影・対面インタビューにも応じない。
型破りでエレガント、
突然の引退から10年以上経った今も大きな影響力をもつ謎の天才デザイナー、
マルタン・マルジェラがついに沈黙を破る。

本作の監督のライナー・ホルツェマーは、
難攻不落と思われたマルジェラ本人の信頼を勝ち取った。
「このドキュメンタリーのためだけ」という条件のもと、
ドローイングや膨大なメモ、
初めて自分で作った服など、
プライベートな記録を初公開し、
ドレスメーカーの祖母からの影響、
ジャン=ポール・ゴルチエのアシスタント時代、
ヒット作となった足袋ブーツの誕生、
世界的ハイブランド、エルメスのデザイナーへの抜擢就任、
そして51歳にして突然の引退――
これまで一切語ることのなかったキャリアやクリエイティビティについて
カメラの前でマルジェラ自身が語る。

【感想】
マルタン・マルジェラについて知ることができる貴重なドキュメンタリー。

ファッション好きでなくとも聞いたことぐらいはあるであろうその名前。
「ファッション業界における最後の革命児」
「19世紀にまでさかのぼっても10本の指に入る」
インタビューを受けた人から出る彼への言葉は絶賛の嵐。

彼がファッションデザイナーになったのは、
祖母の影響が大きい。
幼い頃のマルジェラは、
仕立て屋だった祖母の仕事を間近で見て、
将来の夢は「パリでファッションデザイナーになること」
と言っていたそうな。

とはいえ、彼には才能があったのも事実。
そうでなければ、ファッション学科における世界の御三家のひとつ、
アントワープ王立芸術アカデミーに入れるわけがない。
さらに、そこで"アントワープの6人"と並び称されるほどなのだから。

この手のドキュメンタリーは、
対象となる人物がいかに革新的で、
歴史を変え、
多くの人々を魅了したのかが重要になってくる。
マルジェラもその要素はあった。
日本に来て影響を受けた足袋にヒールをつけた靴のデザイン。
モデルの顔を覆うことで、
服や動きを際立たせるショーの作り方。
服のタグを見て、
「これは〇〇の服だ」と言われるのが嫌で、
あの四隅にステッチをつけたタグにしたこと、など。

でも、彼が他のファッションデザイナーと違った一番の特徴と言えば、
公の場に姿を現さなかったことじゃないかな。
表に出ることが好きというイメージが強いファッション業界において、
とても意外なスタンス。

ただ、それは「自分を守るため」。
辛辣な言葉を浴びせられることの多いこの業界は、
彼の性格には合わなかったようで。
若い頃に傷ついたこともあってか、
人前に姿を見せることはせず、
取材にすら応じない。
自分が作ったものについて逐一説明するのが嫌だったというのもあるけれど、
作品作りに集中する意味合いもある。
インタビューの予定を組んだら、
それだけでスケジュールが埋まってしまう。
彼はあくまでもファッションデザイナー。
創作こそが本分なのだ。

だからこそ、オンリー・ザ・ブレイブ(ディーゼルを持つイタリアのアパレルメーカー)に買収されたあたりから、
彼は自身のキャリアに悩み始める。
本職はファッションデザイナーとして服を作ること。
しかし、だんだん立場が上がり、
アーティスティック・ディレクターという立場になってしまった。
こうなると、自分で何かを作ることは難しい。
だから辞めた。
まさに、モノ作りとビジネスの狭間で、
前者を取った形かな。

ところで、この映画を観て、
しきりに出てくるひとりの日本人の名前があることに気づく。
それが、川久保玲だ。
ご存知の通り、
『コム・デ・ギャルソン』の生みの親。
ここまで海外の有名ファッションデザイナーに影響を与えていたのかと改めて痛感すると共に、
同じ日本人として誇りに感じる。

ちなみに、僕はマルジェラの服を持っていない(笑)
どちらかと言えば、
アレキサンダー・マックイーンのように、
アイコン(マックイーンでいえばスカル)となるものがあるデザインの方が好きなので、
マルジェラには手が伸びず。

「マルジェラが語る “マルタン・マルジェラ” Martin Margiela: In His Own Words」公式サイト

大ヒット上映中!公の場に一切登場しない。撮影・対面インタビューにも応じない。謎の天才デザイナー、マルタン・マルジェラがついに沈黙を破る。

 


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