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北朝鮮の知られざる実態に迫った『トゥルーノース』

2021年06月07日 00時13分48秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:36/107
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【以下の要素が気になれば観てもいいかも】
ヒューマンドラマ
アニメ
北朝鮮
強制収容所
脱北

【あらすじ】
1960年代、
平壌で幸せに暮らすパク一家は、
父の失踪後、
家族全員が突然、
政治犯強制収容所に送還されてしまう。

過酷な生存競争の中、
主人公ヨハンは次第に純粋で優しい心を失って他者を欺く一方、
母と妹は人間性を失わず倫理的に生きようとする。

そんなある日、
愛する家族を失うことがキッカケとなり、
ヨハンは絶望の淵で
「人は何故生きるのか」、
その意味を探究し始める。

やがて、ヨハンの戦いは他の収監者を巻き込み、
収容所内で小さな革命の狼煙が上がる。

【感想】
これはものすごく社会的意義のある映画。
そのまんま実話ではないけれど、
様々なリサーチをもとに構成された本作は、
とてもショッキングな内容だった。

日本でも、
北朝鮮による拉致被害者問題や
その国の様子などはニュースで目にする。
独裁体制で自由がなさそうという
何となくのイメージはあるものの、
その実態については知る由もなかった。
それが、今回の映画で明かされているのだ。

幸せに暮らしていた家族が、
ある日突然、
強制収容所へ連行。
そこでは粗末な住居が与えられ、
過酷な肉体労働が課せられ、
大した食事も与えられないという
劣悪な環境である。

看守に犯された女性収容者は、
望まぬ妊娠をしても、
「働かずに不埒なことをした」
という罰で射殺されてしまう。
土砂崩れが起きて、
大勢の人が地中に埋められても、
労働優先で人命救助は行わず。
人を人とも思わぬ光景が広がっているのだ。

十分な食事が与えられないから、
収容者は常に空腹状態。
ルールに違反している者をチクれば、
褒美に食料が与えられるということもあり、
食料につられ、
優しさや思いやりも失くしていく人が多い。

そんな状況の中で、
一度は他者を欺くような悪者になってしまう主人公。
しかし、家族の死をきっかけに、
収容所にいる人々の最期を看取ることに
意義を見出していく流れは、
憎しみと懐疑心が蔓延した収容所において、
唯一温かさを感じるところだったなー。

そうやって取り戻した人の心をもとに、
彼が起こした小さな革命は思わぬ方向へ広がりを見せ、
映画としても十分楽しめる内容だった。
僕だったらもうあの状況に疲れ果てて
抗うことすらあきらめてしまいそうだけど、
愛する家族のために踏ん張れる主人公の強さは印象的だった。
実際にモデルとなる人物がいたのだろうか。

絵は一昔前のCGという感じで、
『ウゴウゴルーガ』を彷彿とさせるタッチに懐かしさを感じるけれど、
監督いわく、
実写だとホラーっぽくなってしまうということで、
あえてアニメにしたのだとか。
個人的には、実写でも観たいけども。

映画なので、
ある程度のフィクションはあるだろうけれど、
北朝鮮の政治犯強制収容所がどういうところであるのか、
イメージをつかむ上では非常に有意義な映画だと思う。

映画『トゥルーノース』公式サイト

それでも、生きていく。世界で最も過酷な場所で、希望を捨てずに生き抜こうとする者たち。世界の映画祭で絶賛された真実の物語

 


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