ほんわか亭日記

ダンスとエッセイが好きな主婦のおしゃべり横町です♪

「抜け道探検」

2016-07-20 | エッセイ
2016年7月20日(水)

今日は、先日のエッセイサークルで出した、エッセイを・・(文中仮名)
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「抜け道探検」
 私の住むマンションのベランダからは、下のスーパーの屋上が見える。
マンションの地下駐車場の出口から十メートルほどで下のスーパーに行けるのは、買い物に便利で、
越してきて良かったことの一つだ。電車で出かける時は、スーパーの中を抜けると、
駅のペデストリアンデッキへの通路に繋がる。雨の日の外出など、本当に助かってきた。
ところが、そのスーパーが、5月末で、閉店になることになった。買い物は、信号二つ分先に
新しい系列スーパーが出来るので、そこまで歩いて行くようになり、雨の日とか、ビル風の酷い日などを思うと、
今から気が重い。それでも、私は、リュックを買って、スーパー移転に備えたが、
駅に行くのは、外の歩道を歩いて行くことになる。
 そうなると、マンション住まいの先輩となる友人の東さんから、引っ越し直後に聞いた、
「こちらのマンションから、スーパーを挟んで、より駅に近い向かいのマンションまで、
地下駐車場で繋がっている」
という話が思い出される。
こちらのマンションの駐車場とあちらの駐車場の間は壁があって、車は行き来が出来ないが、
扉があるので、人は向こう側に行けるそうだ。そこを抜ければ、お向かいのマンションの駐車場の出口は、
駅のペデストリアンデッキへの屋根付き通路の側だ。駅まで、雨の日、風の日も楽になる。
たまたま、昨日、エレベーターに乗り合わせた上階の方が、
「お向かいのマンションの友人宅に行く時は、駐車場の境の扉を抜けて行くのよ」
と、話してくれたので、気合が入り、同じマンションのラウンドダンスの友人、東さんと長田さんを、
「探検に行こうよ」と、誘ってみた。
 ところが、待ち合わせのエレベーターホールに来た長田さんが、いきなり、
「うちのお父さんが、すごく危ないって!」
 と、ご主人に言われたと言う。こちらの駐車場は地下一階で、スロープも直線で短い。見通しも良い。
だが、坂の上に建つお向かいのマンションの駐車場は、こちらとの高低差で、地下二階に位置している。
そのせいで、入り口スロープが急で、しかも、スロープがカーブしていて見通しが悪いそうだ。
「そんなスロープを三人で歩いていたら、後ろから車で撥ねられるかもしれない!
 人が歩く所じゃないから、そんな所で、撥ねられても、君たちが悪いんだからね!
 でも、まあ、知っておくことは良いことだから、気を付けて行ってらっしゃい」
 それを聞き、途端に怖くなった……。
 それでも、探検気分は止めがたく、とにかく行ってみようと、東さんと三人で出発した。
東さんの案内で、こちらの駐車場の一番奥に行くと、、扉があった。「関係者以外立ち入り禁止」とか、
「防犯カメラ」とか書いてあったが、「私たちは、関係者よね」と、言い合い、その扉を開けると、
向こう側の駐車場に出た。すぐ左手に、エレベーターホールがあり、
「昨日、エレベーターで一緒になった人は、お友達に会いに、このエレベーターホールを使うんだな。
言っていたことは、本当だった」と、安堵した。
 さて、これから、この駐車場の中を、どっちに行けば良いのだろう?
 すると、東さんが、
「うちのお父さんが、駐車場の通路の矢印の方向へ進めば、出口に出られるよと、言っていたわ」
 と、言う。確かに、通路には矢印が書いてあるけれど、どの矢印を追いかけるのだろう?
すぐ、「出口→」という矢印が見つかり、その矢印を伝って、歩きだした。同じような作りの駐車場に
車が並んでいるけれど、歩いていくうちに、他所に侵入したという気持が増し、
カメラに監視されているだろうと想像もしてしまい、なんだか居心地が悪い。東さんの、
「うちのお父さん、足腰がすっかり悪くなって、杖に縋って歩くようになったけれど、
頭は、しっかりしているのよ」
 と、少し誇らしそうな言葉に相槌を打ちながら、私が先頭になって足を速めた。
ほどなく、出口へのスロープ、一番危険な個所に出た。螺旋状に上り坂になっているので、
外から光りは入ってくるが、直接出口は見えない。
「スロープの手前に、ゲートがあるから、車は一旦そこに止まるし、いきなりスピード出して
撥ねられうことはないよね」
 と、話しながら、急なスロープを登ると、ぱ~っと明るくなって、メインストリートの歩道に出た。
ほっとして振り替えると、丁度、スロープから車が出て来た。
「途中で出会っていたら、こちらもあちらも怖いよね、抜け道計画は無理だね」
 と、三人の結論が出た。
 帰りは、もう同じ通路を通る気がせず、外の歩道にした。長田さんが、
「うちのお父さんが、そんなとこ抜けるより、雨の日は、雨傘をさして歩きなさいって」
 と、言う。私も、風を感じて、お天道様の下を歩くのが、気持ち良い。
それに、ご主人たちの的確なアドバイスをふわっと纏っている彼女たちが、少し羨ましかった。
私の夫は、逝ってしまった。でも、居てくれて、止めとけとアドバイスをくれたとしても、
私は、聞いただろうか?いや、聞かなかったろう……。  
 下り坂の先に私たちのマンションが見え、その先に街の新しい景観となる、新しいスーパーが姿を見せていた。
さあ、来週から、リュックを背負って、私も歩いて行こう。
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今日、友人に渡す物があると電話したら、治療院に行ってから、こちらに来てくれると言う。
でも、待っても、待っても来なかった。
夕方遅く電話があって、なんと、新しいスーパーの駐車場に車を止めたら、
どこに置いたか分からなくなって、探して、探して、ついに係員さんにも頼んで、探したのだそう。
50分くらい・・。
やっと見つけて、もう疲れたから、また今度ということでした。(^^;)
でも、係員さんに謝ったら、そういう人、割にいるそうで、次に見つからなくなっても、
頼めると、気が楽になったそうです。(^^)


コメント
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