ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

森澄雄「俳句への旅」より

2011-01-17 05:17:57 | クンストカンマー(美術収集室)詩・俳句
めつむりてひらきておなじ春の闇
森澄雄「俳句への旅」より

目をつむっても開いても同じ春の闇である。つまり照明のない場所、もしくは真っ暗闇の中にいる。しかし、ただそれだけではないように思える。見えているものにたいした意味はない、感じたことこそ真実だという意味にとれた。俳句の読みを伝えるのは短歌に比べて長くなる。補う部分が多いからだろう。
この句、下5まで平仮名で「春の闇」が迫ってくる感覚がある。

真弓「しやうじやうとんぼ」斎藤典子

2011-01-17 05:16:37 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
子を脇に抱へてものを食みてゐるわれはかなしきものと映るや

「かなしき」とは、この一首のどの行為に兆すのか。子を脇に抱えてものを食べることの何が「かなしきものと映る」と疑うのか。もしかして「愛しき」だろうか。だとすれば、自分自身を誰かが「愛おしい」と思ってくれるのか問い掛けている。子ではなく自分自身を。