ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

短歌人1月号「夜の講演会」同人2、八木明子

2011-01-29 06:02:47 | 平成23年短歌人誌より
百人の作家のをれば四五人は悪い奴なり酷い奴なり

悪くて醜くない作家は面白くない。何も実人生でも悪くならなくてもいいが、常識人の作家の書く常識的な話は面白くない。どこかが壊れてるいるから、創作のパワーを得、そのパワーに圧倒されるから感動する。それは短歌も音楽も絵画も同じだろう。

真弓「必死」斎藤典子

2011-01-29 06:02:19 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
鋏より冷たく咲きし椿の花切れば花弁の緊まりゆくなり

この感覚、作者の真骨頂だと感じる。鋏より冷たい椿と感じる冷静さ。花弁の緊まりを感じる繊細さ。この冷静と繊細の両立がいつも私を感動させる。何故なら繊細な人間が冷静でいるにはとてつもない自制心がいるからだ。

短歌人2月号

2011-01-29 06:01:12 | 平成23年短歌人誌より
背後から吹き抜けていく北風を父の背中のように見送る

爪痕の残るてのひら力では握れないもの握ろうとして

秋の朝、空は暗さを取り戻し私は私を正しく消した

鱗雲正しく並び大切なものから順に壊していった

錆び付いた冷却菅もあるだろう小浜の海に降る酸性雨

手はいつも身勝手だったきみの腕掴んだことも預かり知らぬ