ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

空の空白

2022-02-17 20:39:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
けぢめなき雲の流れよふと見する空の孤独は意外に明るし(阪森郁代)

空にも孤独がある。
それは意外に明るい。

「けぢめなき雲の流れ」とは、ダラダラと流れる雲だろう。
そして、それが少し途切れる。
その時、空の孤独が見える。

雲があるから、空は寂しくない。
けれど、雲が無くても空は空だ。



一首の記憶

2022-02-17 20:39:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
こまごまとイカの解剖図のごときもの描かれてあり電話のメモに(川本浩美)

私もよくしてしまう行動。
意味は無い。
意味は無いが止まらない。
落ち着くのだ。
決して電話に退屈しているとかではない。
最後に「電話のメモに」が良い。
「イカの解剖図」も、直感で言葉を捕まえたのだろう。
私はメモのイカの解剖図を見る度にこの一首を思い出す。

嘘と愛

2022-02-17 06:35:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
夫婦にはならないだろうひとといてその口にするハミングを聞く(鈴木杏龍)

パートナーと過ごしている。
「ハミング」が出るくらいだから、そのパートナーは上機嫌なのだろう。

しかし、自分は「夫婦にはならないだろう」と思っている。

人は嘘を付く。
呼吸するように。
あなたも嘘を付く。

せめて、自覚的でありたいと思う。
嘘は優しさ。