どうしてもわからなくなると
さびしくてしかたなくなると
さびしさのなかへ掌(てのひら)をいれ
本当のものにそっとさわってみたくなる
さびしくてしかたなくなると
さびしさのなかへ掌(てのひら)をいれ
本当のものにそっとさわってみたくなる
(八木重吉)
「どうしてもわからなくなると」
「さびしくてしかたなくなると」
抵抗することが難しい孤独。
コントロール出来ない寂寥感。
作者はそこに留まらず、進む。
「さびしさのなかへ掌(てのひら)をいれ本当のものにそっとさわってみたくなる」
つまりは、触れないが確かにあると確信している。本当のもの。
それは、さびしさにこそある。
さびしさに向き合わなければ本当のものには触れられない。
ぼんやりした自分が唯一、形を成すものが「さびしさ」。