ぶらつくらずべりい

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掌で触れたい

2022-02-22 07:00:00 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
どうしてもわからなくなると
さびしくてしかたなくなると
さびしさのなかへ掌(てのひら)をいれ
本当のものにそっとさわってみたくなる
(八木重吉)

「どうしてもわからなくなると」
「さびしくてしかたなくなると」
抵抗することが難しい孤独。
コントロール出来ない寂寥感。
作者はそこに留まらず、進む。
さびしさのなかへ掌(てのひら)をいれ本当のものにそっとさわってみたくなる
つまりは、触れないが確かにあると確信している。本当のもの。
それは、さびしさにこそある。
さびしさに向き合わなければ本当のものには触れられない。
ぼんやりした自分が唯一、形を成すものが「さびしさ」。