ぶらつくらずべりい

短歌と詩のサイト

阪森郁代「ボーラといふ北風」時代

2012-03-24 04:57:44 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
宗教はパラドックスなれば
<何をしてもよいと知つたらそのやうな事はしないだらう>といふ説

本当だろうか。タブーがあるから犯したくなるのか。もしもなければ何もしないということは人間を信じすぎている。私はそうは思わない。というか何をしてもいいのならいずれ悪という概念もなくなるのではないか。

短歌人3月号「会員1」佐山みはる

2012-03-23 05:48:38 | 短歌人誌より
何から何までまっくら闇よ ふと思い出づ母の鼻唄

何から何までっくら闇な状況下。ふと思い出づのは母の鼻唄。まるで闇の中を照らす光りのように感じただろう。
しかし、人はどんな時に鼻唄が出るのだろう。もちろん上機嫌な時もあるが、まっくら闇の中を歩いている時にもまた出るのではないか。

阪森郁代「ボーラといふ北風」時代

2012-03-23 05:48:15 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
暖かい場所に居ながら少しだけシベリア杉の痛み味はふ

シベリア杉の痛みとは寒さに耐えることだろう。しかし、暖かい場所にいる。つまり、気温の問題ではなく人間の問題で寒いのだ。そしてただじっと耐えるしかない。シベリア杉の姿と立っている人間の姿が重なる。

短歌人3月号「土双つ」柚木圭也、同人1

2012-03-22 07:01:21 | 短歌人誌より
″やさしすぎたる者は死にゆく″そのやうにハンケチたたむやうに消(う)せたし

珍しい「やうに」の畳み掛け。「やさしすぎたる者は死にゆく」そのやうに、「ハンケチをたたむ」やうに、消せた。こんなに念入りに表現しなければならない喪失。そういえばハンケチは優しい。

阪森郁代「ボーラといふ北風」時代

2012-03-22 07:00:55 | クンストカンマー(美術収集室)短歌
宗教と宗教性のその違ひわかり易くて見えない樹根

宗教と宗教性。宗教は正に宗教そのもの。宗教性は宗教の持つ傾向といった所だろう。その二つの違い。実は樹根のようにわかり易くて見えないという。作者にとって宗教は厳密に厳格に定められなければならないものなのだ。