短歌人3月号「会員1」弘井文子 2012-03-26 05:57:30 | 短歌人誌より 読書用眼鏡にみればむかうずねに日照りのどろのごときひびわれ 「日照りのどろ」とはもはや水分のほとんどない状態だ。そしてひびわれている。そんなむかうずねを見てしまった。読書用眼鏡をかけていたばっかりに。私も乾燥肌なのでこの表現には共感した。まさに、少しでも水分が欲しい。
阪森郁代「ボーラといふ北風」味はひて知る 2012-03-26 05:57:02 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 押してくる真冬の外気この目には見えぬ硝子に痛みがはしる 硝子は本当の硝子か。私には結界の役目を果たす自らの体の一部のように思える。だから痛みがはしったのだ。だから、押してくるように真冬の外気を感じたのだ。硝子は脆い。
短歌人3月号「2012初夢」藤田初枝、同人2 2012-03-25 06:34:19 | 短歌人誌より ただひとつ解つてゐること「止まつてはいけないあなたは心臓だから」 心臓は止まれといっても止まるものではない。しかしそれでも願う。止まつてはいけないと。ただひとつの核心として。心臓のようなあなただから。
阪森郁代「ボーラといふ北風」味はひて知る 2012-03-25 06:33:52 | クンストカンマー(美術収集室)短歌 気性けはしきイエスでありしか雉鳩はふたたび三たび石を啄む ここでイエスは雉鳩に姿を変えている。何度も石を啄む。それはイエスがひたむきに人々を救うため闘っている姿に重なったのだろう。神はもしかしたらどこにでもいるのかも知れない。
短歌人3月号「会員1」上原康子 2012-03-24 04:58:14 | 短歌人誌より いつまでも子どものような夫がいて子どもに戻っていく父がいる 多分、夫は大人になれないのではなくならないのだ。子供でいられる、子供になれる場所は妻の前だけだから。そして、父は抗えない年齢による老化から子供に戻る。考えれば父も夫であったろうからもしかしたら、妻の前では子供であったかも知れない。子供に見せないだけで。 なんだかややこしい話になってきたが、男である私個人としては子供に戻るのではなく元々が子供なのだ。普段、大人ぶっているだけで。