(山頂から見たグラウンドのような広場、この左に小さく見える急坂の参道の一部)
(赤坂宿2)
「こくぞうさん」こと「金生山 明星輪寺」は海抜217mの山の上にあり、
道路は頂上まで螺旋状にゆっくり昇るのではなく、
子安神社横から金生山化石館を通り、いっきに昇っている。
途中、石灰石採取で、山が削り取られたのか、
道路左にグラウンドのような広場が見える。
道路わきには桜の木が植えられており、
丁度、「さくらんぼ」熟す時期なのか、
枝には黒く色づいた「さくらんぼ」が無数に実っており、
枝の下には、「さくらんぼ」の種が無数に落ちている。
木の下で手を挙げ、「さくらんぼ」をもいで口に入れ、
種だけはき捨てたものと見える。
急な上り坂は、頂上の天の上まで続いており、
まだ五分の一ほどしか登ってきていないが、
桜の木の下で立ち止まって一休みする。
手を上げて「さくらんぼ」をもいで口に運ぶ。
甘く、しかし、少し渋みのある味が、
返って疲れた体には刺激がある。
数個、口に入れてから、歩き出す。
ゆっくりゆっくりしか進めない。
見上げる道路の先が、緑の樹の陰に隠れる所まで、
優に30分は掛かりそう、などと考え考え進む。
赤坂大橋のたもとで見た蛇がバックする所を見て、
「蛇がバックできる」ことを新発見して、
気分が高揚していたことも手伝って、
「子安神社」から僅か1kmなら、
普段は1km12分程度で歩くことを考えれば、
坂道でも往復一時間もあればと、
気安く考えて登りだしたが、
どう考えても往復2時間は越えそう。
後ろからトラックがエンジン、フルスロットルで、
スピードを上げて通り抜けて行く。
どう考えても、この坂道をあのスピード走るには、
あのエンジン音は、ギアはセカンドにいれたままのようだ。
手を挙げて頂上まで載せて行って貰えないかと、
言いたくなるほどであるが、言い出す暇もなく、
車を恨めしそうに見送る。
やがて登りの坂道は森の中へ右折していく。
物音もしない静寂の中で、
「がさがさ」と左手に動物が動く影を見た。
途中にあった「熊出没に注意」の看板を思い出す。
木曾の藪原宿の手前「鳥居峠」にも、
岐阜県に入った「十三峠」にも、
「熊出没の注意」が沢山あった。
注意しても熊に出くわしたら、
どう対処したら好いかについては、
どこの山にも書かれていない。
木に登れとか、死んだ振りをしろとか、言うが、
実際に出会ったら何も出来ない。
恐怖のあまり、ただジッと睨みつけて動かずにいるのが精一杯のはず。
逃げれば動物は追いかけてくる習性が有ることだけは知っている。
野良犬との体験では、動かずにジッとしているのが一番だからだ。
音がした方を見ると、大きな角を付けた野生の鹿が、
機敏に、きびすを返して森の奥の方へ移動して行った。
こんな街に近い所に鹿も居る位、この奥は山深いのだ。
熊でなかったことに胸をなでおろした。
坂道はすこしなだらかになり、左にカーブすると道路が広がり、
両側に灯籠が並び奥のほうに山門が見える。
山門は古いもののようで、
どうやら門の両側には仁王様が立っているようだ。
(境内へ続く山門)
息も絶え絶え登ってきたから、
写真を撮る余力もなく、
途中経過の写真がありません。
(山門の仁王様)