〈以下の記事は2014年5月4日に書いたものですが、そのまま復刻します。 なお、佐々淳行氏は2018年10月10日に他界されており、ここにご冥福をお祈りします。享年87歳〉
韓国の旅客船(セウォル号)沈没事故のTVニュースを見ていて、ふと思い出したのが「危機管理」のことである。そして、危機管理と言うとすぐに佐々淳行(さっさあつゆき)氏のことを思い出した。佐々氏はその道のプロで、多くの人が知っていると思う。今は83歳で悠々たる老後を送っておられると思うが、実は、私は彼のことをよく知らない。また、思想的・政治的立場がまったく違うので語るのはふさわしくないと思う。しかし、危機管理と言うと、どうしても彼のことを思い出してしまうのだ。つまり、佐々氏が好きだということか(笑)。
あとは、年寄りの繰り言と思って聞いてほしいが、この危機管理のプロが今の日本にどれほどいるだろうか。日本は幸いにして平和な国だから、こういうプロは今あまり必要ないかもしれない。しかし、事件や事故、テロなどはいつ起きるとも限らない。
実はもう45年以上も昔のことだが、70年安保と言って、1970年の直前には学生のデモ、ストなどが荒れ狂っていた。都内では100校以上の大学が毎日、ストや紛争を繰り返していた。今とえらい違いである。佐々氏はちょうどその頃、警視庁の警備一課長に就任し、一連の安保闘争に対する警備の陣頭指揮に当たっていた。私もその頃、某テレビ局の記者で警備・公安を担当し、彼からいろいろ話を聞いたものである。
彼は頭脳明晰で行動力があり、危機管理の素晴らしいエキスパートだと思ったが、その頃の話は長くなるので止めておこう。そういうことで佐々氏は忘れられない人になったのだが、後日、連合赤軍の浅間山荘事件などで彼は陣頭指揮を執り、これは映画にもなったほどである。 なんだか、佐々氏のベタホメ記事になってしまったが(笑)、彼だって100%絶対というわけではない。いろいろ思い違いもあっただろう。しかし、切磋琢磨、努力して危機管理のエキスパートになったのだ。
今回、韓国の旅客船沈没事故を見ていると、明らかに現場の陣頭指揮、救急対応がおろそかだったと思う。いろいろ指摘されているが、船長ら乗務員はもとより、海洋警察の対応にも問題があったろう。また、現場の指揮系統も乱れていた。 例えば、韓国海軍が救援に駆けつけたのに、海洋警察とうまく調整がつかなかったのか、海軍の潜水士45人が何もしないで、つまり潜りもしないで結局 引き上げたという。
何があったか知らないが、こういう時こそ現場の総括指揮を執るリーダーが必要なのだ。安否不明の人を一刻も早く捜索しなければならないのに、いたずらに時間がたったように見える。もちろん、現場では予期しないことが起きるものだが、だからこそ危機管理のプロ、総括指揮を執るリーダーが必要になるのだ。そういう意味で、私は佐々氏のことを思い出したのか・・・
彼を褒めるために記事を書いているわけではないので、そろそろ止めようと思うが、「危機管理」はこういう平和時こそ忘れがちだが、逆に最も重要なものだと考える。(以下に、ウィキペディアの記事を載せておく)