矢嶋武弘・Takehiroの部屋

われ発信す 故に われ在り、われ在り 故に 発信す
日一日の命

小説『若草物語』

2024年11月16日 14時04分09秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
主な登場人物・・・星野英樹。 宮寺恵子(1年下の女生徒)。 宮寺和江(恵子の母)。 星野久子(英樹の母)。 鳥井信子(英樹の同級生)。 島本昌弘(英樹の友人) 時・・・1956年~57年場所・・・埼玉県浦和市(現さいたま市) 小説の舞台になった現在の「さいたま市立本太中学校」 英樹(ひでき)が恵子を知ったのは、たしか中学2年の真冬の頃だったと思う。昼休みに大勢の生徒が校庭で遊んでいた時、 . . . 本文を読む
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閑さや岩にしみ入る蝉の声

2024年11月15日 14時31分07秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
〈2014年7月11日に書いた以下の記事を原文のまま復刻します。〉 朝 テレビを見ていたら、予備校の有名な“林先生”が松尾芭蕉の俳句について語っていた。面白そうなので聞いていたら、『奥の細道』の名句「閑さや岩にしみ入る蝉の声」について語っている。私は俳句に興味がなく批判的だが、この句が山形市の立石寺(りっしゃくじ)で詠まれたことは知っている。というのは53年前、学生時代に . . . 本文を読む
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<小説> 世紀の大誤報か・・・天皇狙撃!

2024年11月15日 03時43分05秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
その日は秋晴れの清々しい一日だった(1971年10月のある日)。 山村秀樹は結婚ホヤホヤの新妻に車で送られ、いつものように国鉄(今のJR)の北浦和駅から国電に乗り込んだ。通勤・通学のラッシュ時よりやや遅めであったが、電車の中は通勤客などでまだかなり混んでいた。秀樹は某民放テレビ・Fテレビの政治記者をしていたので、いつも本社には行かず、取材先の国会の「野党クラブ」へ直接通っていた。野党クラブというの . . . 本文を読む
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早とちり記者

2024年11月08日 03時59分00秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
<2020年4月に書いた以下の記事を復刻します> “早とちり記者”とは私のことである。不名誉なことだが、昔、某テレビ局の記者をしていた時、数回はそんなことがあった。もちろん、他の新聞やテレビでもそういうことはある。まあ、勇み足とか早合点による失敗を言うのだが、記者とは他社に先駆けてネタをつかみたいと思うから、時々、そういう失敗をするものである。私の場合、数回の中で特に忘れ . . . 本文を読む
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<まとめ> 啓太がゆく(全編)

2024年11月07日 03時47分09秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
過去の作品をまとめる必要が出てきたので、この場を借ります。ご了承ください。 http://blog.goo.ne.jp/yajimatakehiro/e/028f248b3f1ee86c9aed42aababd6d84http://blog.goo.ne.jp/yajimatakehiro/e/7db32a06e1cd806143ffd739c2750378http://blog.goo.n . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑰(警視庁の記者時代・最終回)

2024年11月07日 03時44分25秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
ちょうどそのころ、同僚の坂井則夫が婚約したと聞いて、啓太は多少うらやましく思った。相手は、日ごろ付き合っているSHIRAYURI(白百合)女子大卒のお嬢さんだ。  「則ちゃんは順調にいったね。おめでとう、うらやましいよ」  「いや~、僕は啓ちゃんより年上だからね。そろそろ年貢の納め時だよ、はっはっはっは」 「年貢の納め時か、よく言うね。いつごろ結婚式を挙げるの?」 &n . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑯(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時39分37秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
2月に入って、啓太はようやく京子と会えることになった。お互いに忙しくてデートができなかったが、彼はこの時、ある決意を胸に秘めていた。それは彼女が青年海外協力隊員になろうとも、終生 変わらぬ“契り”を交わそうというものだ。まだ早いかもしれないが、こうと思ったらじっとしておれないのが啓太の性分である。彼はこの日、自分の本心を伝えようと思った。デートの場所も新宿・歌舞伎町にして、 . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑮(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時36分45秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
(23) 3億円強奪事件の発生 東大など大学紛争が激化する中でも、記者クラブにいる時は忙中閑ありで、気持が安らぐことがある。ある日、草刈が笑いながら啓太に声をかけてきた。「山本君、いま暇なら総務部に行ってみないか。とても可愛い子がいるんだ。紹介しておこう」「えっ・・・いや、いいですよ」啓太があわてて断わったが、草刈は強引に彼を促した。「いいから、いいから。ちょっとだけだよ」そう言って、草刈は勝手 . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑭(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時34分37秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
こういう話を聞いても、啓太はあまりピーンと来ない。会社や系列局のことより、身近な仕事の方がどうしても気になるからだ。しかし、テレビ報道の重要性がいっそう増してきたことだけは、草刈の能弁によって分かった感じがしたのである。それから数日して、27日の火曜日が来た。その日は小雨が降るあいにくの天気だったが、啓太は弾むような気持ちでイタリアン・レストラン「T」へ向かった。午後1時前に店に着き待ち受けている . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑬(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時32分10秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
(18)幼稚園児殺害事件 4月、春らんまんの季節になる。桜が散ったちょうどその頃、記者クラブに素晴らしい知らせが入ってきた。それは、この夏から『警視庁ニュース記者会』が2階のより広い部屋に移り、それに伴うようにNIPPON、FUJI、NETのテレビ3局が毎日「泊まり勤務」を行なうことになった。これまで毎日 泊まりをしていたのはTOKYO放送だけで、FUJIなどの3局は順番に交代で泊まっていた。し . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑫(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時30分16秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
(15)1968年・昭和43年 キャップとのトラブルがあったあと、啓太と草刈の関係は多少の緊張感があったものの平穏に推移した。お互いが注意深く気をつけようと思ったのだろう。そして、大した事件・事故も起きずに年末を迎えた。啓太はたまたま大晦日が泊まり勤務だった。前にも述べたが、泊まりはNIPPONテレビ、NETテレビと交代で行なっていたが、その日はFUJIテレビの番だったのである。大晦日だろうと別 . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑪(警視庁の記者時代)

2024年11月07日 03時28分34秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
第3部・・・空想、夢想、妄想の懺悔・告白のような自伝的物語 (以下に主な登場人物) 山本啓太(主人公) 坂井則夫(啓太の同期) 草刈俊平(警視庁クラブ・キャップ) 蒲田二郎(先輩記者) 松本邦明(先輩記者) 森永徹郎(先輩記者) 石浜報道部長 花井久(ディレクター) 村井隆(デスク) 高山重男(デスク) 小出誠一(啓太の同期) 石黒達也(同期のアナ) 木内典子(雑誌社の記者) 白鳥京子(木内の . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑩(労働組合騒動)

2024年11月07日 03時24分41秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
季節は6月に入った。しばらくすると、景気が非常に良くて夏のボーナスは過去最高になるという噂が広まった。組合も協議会も会社側と交渉しているが、こんなに早くボーナスアップの話が出てきたことはない。世の中はどうだろうか・・・ 東京オリンピック後の反動で景気は一時 悪化したが、今や完全に回復している。それどころか、未曽有の“いざなぎ景気”というのが実現し好景気の話に沸き立っていた。 . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑨(労働組合騒動)

2024年11月07日 03時22分12秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
なかなか寝付かれない。今村や小出、それに木内典子ら組合員の顔が脳裏の浮かんでくる。彼らは啓太をじっと見据えて、「組合を脱退するのか?」と詰問しているみたいだ。それらの“幻覚”を振り払って啓太は眠りにつこうとする・・・しかし、眠れない。彼はベッドの上で上半身を起こし、しばらく放心状態になった。どうして俺は眠れないのだろうか。俺はそんなにも小心で気が弱いのか。啓太は自分が情けな . . . 本文を読む
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啓太がゆく ⑧(労働組合騒動)

2024年11月07日 03時19分12秒 | 文学・小説・戯曲・エッセイなど
そうして数日がたつうちに、啓太は25歳の誕生日を迎えた。誕生日といっても別にどうってことはない。ああ、そうかという感じだが、このテレビ局は変わった会社でいちいち「記念品」などをくれる。社長の陣内は、そうしたことに気を配るのだろう。家族主義的な会社経営が彼の方針だからだ。大きなガス爆発事故で例の討論集会は1週間延びたが、その日、ほぼ全員が出席して集会が開かれた。2階の会議室に20数人の社員が集まった . . . 本文を読む
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