ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き続け34年、気ままに綴ります。自然観察大好き。琉球諸島を戦場に据える「島嶼防衛」は愚の骨頂。
 

【補足1-2】混同してた石垣島の2つの開発の大きな動き(20210913)

2021年09月13日 | 八重山

先月だったかな。こうした署名が回ってきて私も署名した。

「JTB沖縄が石垣市屋良部半島の大崎海岸沖合330mほどの場所に、マリンレジャー事業としてポンツーン(人工浮島、縦27m×横50m)の設置を計画していることが新聞記事等で明らかになりました。

ポンツーンを中心に半径500メートルの範囲で、シュノーケリングやダイビング、海中展望室、グラスボなどのアクティビティを実施し、300人ほどが更衣室やシャワー、トイレ、飲食などのサービスを利用できるようになるそうです」(以下略)。

 

OGPイメージ

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 石垣島だ。場所は屋良部岳南の大崎。ときいただけでわかる人はそうそういまい。私はこの4月に丁度行ってきた。名蔵湾の北西の大崎だ。海岸沖330mとは、いささか微妙だが、大崎沖の場所だとイノーは200mほどまでだ。だから外側(名蔵湾の北側入り口に当たる)のどこになるのか、どの程度の堅牢なポンツーンをつくる計画だかわからないが、37×50mだという。署名の主旨は自然破壊になるばかりか、海難事故も危惧され、反対している(上記参照)。

 その危惧に、私も同感。リーフと外洋の波が当たる場所だと思われ、潮の引く時間は特に要注意と思われる。

大崎牧場から入ると海に出る直前にこれがある。「電信屋」(「内地台湾間及び南西諸島連絡海底線ー1897年に前線が繋がる)植民地支配・戦争時代に敷設された海中通信の建屋。沖縄島、九州へとつながる軍事施設だった。2021年4月9日撮影

海に出ると、右側が大崎。

ほぼ同じ場所から左側。名蔵湾。2021年4月9日

 で、新聞の切り抜きをやっていたら、同じ石垣島のリゾート計画に反対もでていた。よくみたら、こちらはゴルフ場設置の件。沖縄タイムスの9月10日に「公約実現 喜びひとしお」とある。中山義隆市長のことだ。

 沖縄県はゴルフ場開発に同意(地域未来投資促進法による県知事の同意と承認があれば、農地転用が可能となる)したようだ。場所がよくわからず、地図で調べた。先の件の対角線の位置だ。名蔵湾の南東部。アンパルというラムサール条約による保護がかかっている湿地(汽水)域の南側の農林部を開発するらしい。石垣島天文台がある前勢岳の北側だ。

 8月30日に農地転用が認められ、開発のめどが立ったと、八重山ゴルフ協会、石垣市観光交流協会、石垣市長は喜んでいるようだ。こうした動きに対して、「我がーやいまの自然環境を考える会」(宮城信博会長)と「アンパルの自然を守る会」(島村賢正共同代表)が、9月3日、ユニマットプレシャス(東京)が計画するゴルフリゾート開発計画に改めて沖縄県と沖縄県議会に「県は法令をクリアしたから計画を認めるのではなく、島の将来を見据えた対応をとってほしい」と要請。

 このアンパルは石垣島の中では唯一の汽水池。マングローブの林が面的に広がっている。東側、南側は水面先端から車道まで、7,800m離れている。その南側に127haが開発されようとしているのだ。

名蔵湾見下ろす(この反対側が海)名蔵大橋からアンパル。あいにく満潮だったので、らしくない。2021年4月8日

 ゴルフ場だから18ホールをどう設定するかで違うものの、林野が大規模に剥がされる。カンムリワシの生息区域でもあり、問題だ。また、ゴルフ場であり、除草剤の大量散布は必至だろう。ゴルファーが使うので、弱毒性のものを使用するだろうが、アンパルに流れ込み、生物濃縮は必至だ。赤土の流失をはじめ、生物多様性への害、バンナ岳から前勢岳などからの景観の悪化は否めない。

【補足】今改めて127.4haの数字を広げてみた。1274000平方メートルだ(当たり前)。私は現地の図面を入手していないが、予定地の北側はアンパル(池+周囲の湿地帯)の外周を取り巻く林道となり、南側は前勢岳(197m)の斜面に囲まれる範囲だろう。これを25000分の1地形図で読み込むと、海に面する西側は、南北500mが精一杯だ。小尾根が複雑に入り組んでおり、東西の範囲を想定することは難しいが、バンナ岳西側の道(石垣市街と名蔵を結ぶバス道)が東端だろう。東西2000mだ。単純計算すれば1000000平方メートル。あと274000平方メートルあり、高いところで標高50mぐらいまでだとすると辺り一帯が敷地になるのではないか。

【補足】だとすると景観は大きく変わる。ゴルフ場だから、木々が大幅に伐採され、西風の進入路も変わるだろう。極地気象への影響(動植物や農業)も予感できる規模だ。県の環境影響評価書を読んだが、このへんの問題について、一切触れられていない。市街地から見たら、前勢岳の尾根に隠れて見えないから、行ってみなければわからない。

 250億円もの収入を見込むという石垣市は、企業・富裕層による石垣島の収奪を了解し、期待しているとしかおもえない。

 こうした開発は、個別資本の利益のみならず、関連業界・各社を刺激する。石垣島は過去において、白保の自然を守ってきた。地域の小中学生などがカンムリワシの住む森を守る運動にも熱心だ。

カンムリワシ。大崎のそばで(2021年4月8日)

 私は石垣島に陸上自衛隊の対艦ミサイル・対空ミサイル部隊の建設反対の立場から何度も取材にでかけてきたが、確かに巨大なリゾートホテルは、限られた場所にしかない。これからの経済振興が、石垣島島民にとって、何をもたらすのか、私は、熟考すべきだと思う。一度破壊された自然は戻らないし、次々と破壊は拡大していきかねない。私もこの計画に反対の声をあげていきたい。

 また、対艦ミサイル部隊が機動し始めたら、石垣島も中国との最前線になり、観光客が安心して来島できない島になりかねない。これで250億だか、260億の儲けになるなどとの机上の計算は、ためにならない。中山市政が住民のための市政だとすれば、トータルに物事を考えるべきだろう。違うのであれば、市民がこぞって市政を刷新しなければならないだろう。市長選は2022年2月に迫ってきた。

 



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