昨日は安倍晋三氏が遊説中に銃撃されるという事態が起こり、私も大きなショックをうけました。テロは社会と国のあり方を歪めてしまいます。正視できなくさせていきます。民主主義に百害あって、一利もあたえません。
今回の参議院選はどんなでしょう。自公政権が安定多数を取り、維新・国民民主党の改憲派が加わり、改憲に必要な3分の2を超えそうです。
(1)事実に即して考えよう
自民党はこう言っています。「『新しい資本主義』で強い経済と豊かさを実感できる社会を作る」と。しかし彼らはこの25年間、デフレを固定化させ、「新自由主義」を推進し、雇用の不安定化を促進してきました。自民党政治が25年間経済不況を作り出してきたのです。男女の賃金格差も縮まりません。
自民党は今次選挙に当たって「人への投資を促進し25年ぶりの本格的な『賃金増時代』」を呼号しています。この25年間一向にやってこなかったことを、こうおっしゃる。言うだけならば、誰も苦労しません。新たな政策は、何ですか?
急浮上したのは、国防予算のGDP比目標2%以上(10兆円)をめざす。「反撃能力を保有」と勇ましい。彼らは米国と日本の軍事産業を儲けさせたいのです。その結果、誰が得をし、誰が無様な姿をさらすことになるのか。政権を担う政治家は、「人口減」を嘆く一方、若者の命と未来を粗末にしていきます。学問すら軍事研究を優先し、軍事研究に誘導しようとしています。
(2)事実に即してとは?
ちょっと考えていただけませんか。「米国と同盟を組む日本」だと言うことですが、米国はロシア・中国の地球の裏側に位置しています。日本はどうでしょう。ロシア・中国の目の前にあり、既に対峙しています。そのうえ、日本国内に原発54基を抱えています。もしもこの国が「敵基地攻撃能力」を全開にしていけば、非核戦争だったとしても原発が攻撃されたら、爆発し、逃げ場を失う人が大勢出てしまいます。
また今は77年前とは全く違います。過去、沖縄戦は起きましたが、『本土決戦』は回避されました。否、沖縄戦が「皇国」を防衛し、「本土決戦」を不要にしたのです。そこから戦後日本が始まりました。しかし2010年以来、琉球諸島に軍事基地(対艦ミサイルなど)を強化しており、陸海空軍部隊に、宇宙戦・電子戦・サイバー戦が準備され、日本全国がひとかたまりになっていきます。首都中枢をはじめ、火の海になることは必死です。反撃すれば、攻撃され、攻撃すれば、反撃されます。他人事ではありえません。
その上、日本国の食料自給率は40%を切っています。こんな状態で食料を確保しようとすれば、輸入を確保するために、さらにどれほどの軍事力が必要になるのでしょう。食糧の自給率を高めていくことは基本の基です。
(3)冷静に事実に即して考えて
自民党が言っていることは支離滅裂。中でも改憲論議は突出しています。「憲法を論議して必要な改正を行い、国民自身の手で新しい『国の形』をつくるのが国民主権のあるべき姿だ。技術革新、安全保障環境、時代や社会生活の変化に応じ、憲法をアップデートするために力を尽くす」と公約しています。
事実は違います。安倍政権が集団的自衛権を無理筋な解釈で合憲化したのが、2014年7月でした。2015年に戦争法を強行採決したのは、安倍政権でした。そして「護衛艦」を空母に改装したのです。国外での戦争、米国等との共同作戦に準備万端です。自民党が言う「国民主権」の「国民」は、政権の言いなりになる「国民」しか想定していない?
ちなみに政権の片棒を担ぐ公明党は「多くの国民は自衛隊の活動を支持し、違憲の存在だとみていない」と公約しています。かっての「護憲の党」がこのありさまです。
そもそも憲法はスマホではありません。イージーに、アップデートなどすべきではありません。日本国憲法第99条は「憲法尊重擁護義務」をすべての公務員に課しています。これを露骨に無視してきたのが安倍前首相、菅前首相、そして岸田現首相です。
(4)沖縄は今、今からここから
日本国領土の0.6%にすぎない沖縄県に在日米軍(専用)施設の70%が置かれている不条理が続いています。そのうえ、「琉球諸島防衛」の名の下に自衛隊の反撃・攻撃能力が拡充されてきています。この国は沖縄を戦場にすることを「痛み」とすら思っていないようです。自公政権は、那覇飛行場を拡張し、道路を拡張することはやっても、日米地位協定を改める気配すら見せません。米軍の「自由使用」(やりたいほうだい)を優先し、事故がおき、飲み水の汚染が広がっていることが発覚しても、他人事。辺野古・大浦湾への新基地建設をごり押しするばかりです。
沖縄の民意は、ヤマト資本の利権と戦場(いくさば)になることを、決して許しません。この道は、アジアに通じ、世界の平和に結びつくはずです。今こそ、沖縄の市民と日本の市民がお互いに協力し合い「幸福追求」することを誓いあうことを願っています。軍事力増強ではなく、平和外交(民際協力)こそ進めましょう。(2022年7月9日)