ヤマヒデの沖縄便りⅣ 歩き続けて 歩き続ける 再び

「基地の島」沖縄を歩き、琉球諸島を巡る基地・戦争への道を問いかけ、自然を語る。●無断転載、お断り。
 

この重大な質問に、私は、あなたは、どう答えますか?(20200724-0725部分改訂)

2020年07月24日 | 暮らしと政治
Ⅰ:今日の質問に明確に応えらなかった
 
 本日、2020年7月24日、沖縄島の南部から辺野古ツァーの一行が辺野古テント村にお見えになりました。そこで以下の質問を受けました。残念ながら私は明解に答えられなかった。
 「辺野古の闘いは、戦争をなくそうという事だと思うが、何故全国に広がらないの? 全国的な闘いにできれば、押し返せるはずだ」。

 正にその通りだと思います。ただ、この国(安倍政権)は、沖縄に軍事基地を押しつけるのは当然だと思っています。一方で、46都道府県の大半の人々もいまだに知らんぷり。もちろん1997年以来23年間の沖縄の闘いの中で、少なくない人々が応援に駆けつけてくれました。それでも塵も積もれば山となるには至っていません。

Ⅱ:何故だろう

 全国的には国政選挙をやっても、安倍政権が圧勝するパターンを変えることができていません。沖縄では、衆議院議員の4区の内3区までが基地建設反対の人を当選させています。参議院も2名ともこちらのメンバーです。あなたのところはどうですか?
 なぜこうなんでしょうか? 東京出身の私は、悔しいばかりです。以下検討していきましょう。

①そもそも政治なんて興味ないよ、と言う人達。
②沖縄は、リゾート地だろ。基地がどうだとか、ぐじゃぐじゃ言うんじゃないよ。沖縄に負わせてきた歴史も基地の現実も知ろうとせずに、こう言える人達。
③日本国・沖縄は戦争で負けたんだから、仕方ないんじゃないかと言う人達。
④もっと経済をまわしてもらいたから(自分は儲かりたいから)、軍事安全保障に金をかけるべきだ、むろん基地・軍隊を沖縄に置くんだよね、と言う人達。
 この他にも考えがあるでしょうが、それはそれであらためてゆんたく(議論)していきましょう。
 
 国土面積の0.6%に過ぎない沖縄県に在日米軍基地の米軍専用施設の70.6%が置かれています(2017年1月現在)。総面積は18609㌶。沖縄島の面積の約15%を占めています。この面積は、荒川区・台東区・墨田区・中央区・千代田区・港区・品川区・目黒区・渋谷区・新宿区・中野区・豊島区・文京区の13区の総面積に匹敵する広さです(この13区計18701㌶)。
 それだけでありません。沖縄島の周囲に広がる軍事演習の空域(20カ所)は、約95416平方キロ、演習水域は約54938平方キロにも及んでいます。
 陸域の話しに戻りますが、この面積の割合は、沖縄が日本に復帰した1972年5月15日、58.7%でした。これが70.6%に上がっているのです。この48年間で沖縄の基地負担は減っていないどころか増えているのです。
 
Ⅲ:どう答えるのか

 では、①~④と考える人達に何を訴えたらいいのでしょうか。悩ましいですね。
①の方に話したくても、無視されてしまうかも。相手によって、様々なアプローチができると思いますが、私たちが今こうして生きていることじたいが、政治と無関係ではありません。学校に行くのも働くのも恋をするのも、幸せな道を探すのも、歳をとるのも、病気になるのもケガをするのも政治と無縁ではありません。
 ただ無視を決め込んできた(諦めてきた)だけじゃないですか? 改めて沖縄のこの数字を見たら、どう思いますか? あなたがよりよく生きたいと思えば、そこから沖縄への視座が開けるかもしれません。沖縄の人々は諦めていたら、今の沖縄すらなかったんです。《人間の生きる島》を取り戻そうと日々闘ってきたのです。 

②の人多いんですかね。亜熱帯の海で遊ぼう、独特な文化を満喫しよう。しかし私は「ご自由に」とは言いません。観光地は観光客のものじゃないです。そこに住民が暮している暮らしの場を尊重して下さい。また、沖縄戦で傷ついた人も、日々基地と闘っている人もいるんです。
 そもそも沖縄に入る人は、殆ど那覇空港からですね。ここは軍民共用空港。民間機と自衛隊機が使っています。自衛隊機のスクランブルなどで民間機の離発着にしばしば遅れが出ます。この空港では対空ミサイルが睨みをきかせています。要は攻撃されかねないからです。
 平時の時はともかく、万が一、戦時になったなら、この空港の機能は止まります。お隣に陸上自衛隊第15旅団司令部があります。沖縄の玄関口は極めて危険なエリアに一変しかねないのです。そこに皆さんは遊びに来ている。
 本当に沖縄が好きだという方ならば、基地がどうのこうのと、改めて知らなければ、友人を連れてくるとか、ご家族をつれてくるとか、できるんでしょうか?
 私は知っています。2001年9月11日のアメリカ本国へのテロ事件後の沖縄を。あれは地球の裏側で起きた事件でした。それでも沖縄を含む在日米軍基地は非常事態に入りました。彼等は銃を構え、こちらに向けていました。彼等に従って、自衛官も日本の警察官も基地警備に当たっていました。沖縄は「危ない」と言われて、閑古鳥が啼いていました。
 沖縄を楽しみたいならば、同時に冷静な視野・視点が必要です。沖縄・「日本」を、アジアを戦場にしないことがひとり一人に問われています。

③何が仕方がないんでしょうか。私は敢えて言います。負けたから良かったんです。もしも万が一勝っていたら、今頃日本(大日本帝国)はどうなっていたのか、想像もつきません。負けて、出直しますと詫びて(侵略した国の人々に、きちんと詫びなかった)日本は1952年4月28日に連合国の占領状態から独立しました。しかし同時に新たな日本国は米軍に占領されていた沖縄等を米国に譲り渡しました。沖縄住民の意思を蹂躙し、軍事基地の島にどうぞと差し出したのです。
 戦後の日本は、負けたことを引き受けようとせず、開き直って、52年4月28日から米日安保条約と同地位協定を結び、米国の戦争にずーっと加担してきました。米国からすれば、日本は重宝な国です。戦争に日本が負けたことと、その後米国の属国になったのは、単純に重なるわけではありません。天皇の国=天皇の軍隊が負けたのに、天皇そのものは《象徴》として生き延び、米国の属国になることを約束したのです。その手始めが沖縄を「良きに使ってください」でした。
 沖縄の人々はそんな説明(言訳)を聞いたこともありません。あなたは、こうした沖縄の歴史を無視し、「仕方ない」と放置するのですか?

④経済成長の好循環が途絶え、儲けを再分配できなくなってきた。1980年代から新自由主義が蔓延りだし、今に至りました。「もっと儲けを!」は、ごく一部の人達の話になってしまい、格差が広がってきました。そこでてっとり早いのは軍事による儲けです。ぶっ壊して儲け、再建して儲ける。戦争にアドレナリンが出てしまうと言う人がいるわけです。人の命を押しつぶす儲けです。
 ここで大問題なのは、実際にこうした儲けのお裾分けが回ってくるのはごく僅かな人に限定されてます。自民党を支持しても、公明党を支持しても、必ずしも自分の儲けに繋がらない。そもそも、本当に軍事力で私たちの安全を守れるのか考えて頂きたい。
 コロナ禍の危機は、全然軍事力の及ばない問題です。また、沖縄にはありませんが、日本列島には54基の原発があります。最近の日本政府は先制攻撃を検討すると言ってますが、広大な国を相手に先制攻撃しきれますか? 原発54基をめがけて反撃されたら、核兵器なき、放射能災害が全国的にまき散らされます。食料や資源の輸送ルートの確保もままならないうちに、自滅していくでしょう。戦争とは武器対武器だけの争いではありません。軍事を巡る様々な兵站能力がなければ勝てません。そして日本政府は米国の軍事力頼みです。もしも米中戦争になってしまえば、核戦争になります。こうなってしまえばお互いに破滅します。だからこそ米国は、対中戦争の際は「(核武装していない)日本よ、お前出ろ」と先鋒に配置しているのです。
 米国の下請け戦争をやらされて、「日本大沈没」はないですよね。この国が考え準備している「島嶼防衛」とは、琉球諸島を戦場にすることです。私たちは、こんな戦争を絶対に認めません。日本列島中を巻き込んでいきます。

Ⅳ:私たちにできること
 
 以上は幾つかのケースに絞って、どんな風に話せばいいか考えてみました。最後にもう少し私たちの近くにいる人達のことを考えてみましょう。9条改憲反対という人達は、沖縄のことをどこまで考えているのだろうか? 私は懐疑的です。過去の沖縄に憲法9条はなかったし、今もない。沖縄はずっと侵略攻撃の拠点です。9条が表の顔だとすれば、沖縄は裏の顔。また、新基地建設と周辺事態法は96年の安保再定義から始まっています。それが2015年の戦争法の時代に入ってしまった。米日共同作戦の時代-再び戦争を起こす・起きる時代に入ってしまっているのです。
 「日本人」に戦争体験はあるのだろうか。深く考えたことがあるのだろうか。戦争なんて他人事だと思う人々に、如何したら戦争NO!と言ったら、通じるのだろうか。このまんま無関心のままだったら、再びお国のために自己・身体を差し出し、滅ぼしていくほかなくなるでしょう。
 《命どぅ宝》の心を分かち合いましょう。皆さんが沖縄のことを日常的に考える事が出発点ではないでしょうか。沖縄が嫌だと言っていることを押しつけないでいただきたい。ご自身のところで、それぞれの問題と格闘して頂きたい。様々なレベルの自治です。自分のことは自分で決める。これはどういうことなのかを深く考える。考える人間、表現できる人間を増やす。
 幾ら選挙をやったって、こうした基礎ができていなければ、勝てるはずがありません。市民も野党も本気度が問われているのです。
 私は、《人間が生きるシマ(地域共同体)》を基礎の基礎から作りあげていくほかに特効薬はないと考えています。



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