新しい本。また京都本だ。京都がなぜいちばんなのか 島田裕巳著 ちくま新書刊 初版2018年5月 しっかり新しいが図書館にあった。一応amazonのほしいものリストには入れてあったが これはいらない。著者は東大出の宗教学者で東京の人。どういう持論を展開するのかと興味があったのだが内容は 伏見稲荷・八坂神社清水寺・苔寺・金閣・銀閣・平等院と鬼門に関する歴史的考察。いかにもよそさんの書きそうな本である。タイトルだけで面白そう・と思って買うと金返せの内容である。まあ歴史マニアにはいいかも知れないけど。あと借りてきた2冊は京都の寺社505を歩く 上下刊だがこっちのほうが面白そうである。
ずいぶん前の話だが ヤフオクでケイト・スペード(自分の名前がブランド名)の折財布を買った。当時ニューヨークの働く女性の間ではとても評判の良かったブランドだが まだ日本では知る人のみぞ知るブランドだったので 呆れるくらい安い値段で買った。多分2千円強だったと思う。表が濃いネイビーで中がタン 縫製がしっかりしててスムースレザーでシンプルな革の二つ折りウォレットだ。ブランド名も中に小さく刻印してあるだけで洒落てる。でビジネスシーンでは主張せず適度な上品さがあって使いやすいのだ。元々ケイト自身が欲しいと思ったバッグが無かったので立ち上げたブランドなので品がいいのである。中古だったが傷ひとつなく ほとんど使われたことのないような品物だったので やったー・・と思ったものである。もちろんケイト・スペードは女子 20~40代の働く女性がメインターゲットで あたしじゃなく嫁はんにあげたのだが・・嫁はん 普段はそこそこの財布を使ってるが お出かけはケイト・スペードである。じゃ あたしは買わんのか?って話だが男子用にはジャック・スペードってブランドがあるが これはマイナーだ。あたしは どこに行くのも100均のベルクロ財布だったり レザークラフトやってる友人にオーダーしたヌメ革の財布でカジュアルなものばかり。もっとも公式な場からは逃げ回ってるんだがw で ブランド自体はケイト自身は2007年までに売却して2017年にはコーチの傘下に入ったらしい。先日ネットのニュースで ケイト・スペード氏が亡くなったことを知った。自殺らしい。最近は鬱と不安で治療をうけていたそうだが・・理由はわからないが惜しい人を亡くしたな・・と思う。ご冥福をお祈りしたい。まあうちらも人事ではないんだけどねぇ。
もう今回はこれで最後だ。古都再見 葉室麟著 新潮社刊 2017年初版である。タイトルに古都・・とあったので 何気に借りたのだが ちらっと京都をかすめる。著者は北九州小倉の人で時代小説家。第146回の直木賞作家だ。本書は週刊新潮の連載をまとめたエッセイ集・・というか随筆集。作家活動に入られたのは50歳と遅いが多作な方だ。惜しくも去年2017年の末に病没されたらしい。66歳・・合掌である。実は葉室氏のことは名前すら知らなかったのである。京都をキーワードでamazonで検索して ひっかかったのを図書館で検索して借りた一冊がこれで 一応京都がらみではある。内容的には切り口が京都でそこから歴史ものに展開していく随筆 あえてエッセイと書かないのは それくらい重厚な文章であり 平易な言い回しなのだがなぜかななめ読みができず 本書を読むのに2日もかかったことからくる。時代小説というか歴史小説というか まあNHK大河の世界なんだが 氏の文章力はすごい。短文ながら厚みがあり しめくくりが日本刀のように鋭く斬れる。他の5冊は多かれ少なかれ 京都の魅力について書かれているのだがこれは完全に時代もの。氏の文体には死の影が見える。本人は人生の幕が下りる・・と書いているが これは死を意識した人の言葉だ。あたし自身 死の影がいつもつきまとってるので良くわかる。氏の言葉で言えば 見るべきものは見ただろうか?古都の闇には生きる縁となる感銘がひそんでいる気がする 幕が下りる前に見ておくべきは、やはり見たいのだ・・という表現が良い。なのであたしも京都なのだが。まあ 小説の方 直木賞作品の蜩ノ記を読もうとは思わないのだが 物書きとしての葉室麟 気に入った。定価1600円なので 迷ったのだがamazonでポチった。たまにはこういう骨のある本もいいかな・・と思う。万人に薦められる本ではないが 興味のある方は読んでみて損は無い。あたしが知らない作家さんをいきなり買うのは珍しいのだが それぐらい良かったのだ。京都に仕事場があったそうで 行間から京都が滲んでくる。良書である。
また京都本。お腹いっぱいだろうが もう少しお付き合いを願いたい。京都人の秘そかな愉しみ 入江敦彦著 大和書房刊 2004年初版だ。本書は既に絶版。一時期amazonのマケプレで2000円台後半の値札をつけいてたが 今は少し落ち着いて1700円強。元値が1400円だからいいお値段だ。京都・・というか京都人を書かせたら右に出るものはいない入江氏。最近の偽京都人のエッセイとは一味も二味も違う。本書 観光本でもグルメ本でもない。京都人の日常というか京都人の心を書いてるとでも言おうか・・著者は現在英国在住なので 英国の京都人 京都から離れても心は京都ってわけ。入江氏は西陣の髪結いの家の出なので 西陣界隈の記述が面白い。あたしも七本松中立売下る 立本寺の裏に住んでたのでよくわかるのである。が 本書 お薦めの観光スポットやお店を紹介してるわけではないので 観光には役に立たない。あたしみたいな もう死に場所は京都!って思ってるくらいの人にしかいらないだろうな・・と思う。京都ツウでないと・とか言うのではない。京都に住みたい人以外には どーでもいい内容だからだ。正直 京都はめんどくさいのである。観光で京都を訪れるなら ここに書かれてるような知識はいらない。あくまでも住むなら よそさんでも最低限これくらいは知っておかないと何を言われてるかわからないのでお薦めなのだ。もちろん 面と向かってイケズはされないだろうけどねぇw あたしは生まれは三重県の津だから 京都人では無い。面白いことに三重県の学生って 進学する時に最初の志望校がみんな京都なのである。津からだと近鉄特急で出るわけだが 名古屋に出るほうが余程近いのにみんな京都を目指す。まあ上洛するわけだ。 東京の大学に行く人も少ない。大阪に至っては更に少ないのだがw あたしも京都に上ったわけで 学生時代の多感な時期を京都で過ごして京都の水が合うのだ。コンピュータ関係だったから京都では仕事が無く 当時は大阪でもまだ少なかったからやむなく東京に出たわけだが 少し後悔してる。大阪だったら京都から通えただろうになぁ・・と思うからだ。が まあ東京に出ていろんな会社を転々としたが(一社を除き全部ソフト関係)面白い仕事ができたので 出てきた事は正解だったんだろうが・・一昨年死にかけて まあ今でもいつ死ぬかわからん状態で 死が身近にあると 東京で死ぬのは嫌だな・・と思うのである。で 京都!京都!と騒いでるから 住む京都となると入江氏だの鷲田清一氏だの梅棹忠夫氏に傾倒するのだ。所詮よそさんだけれど 三代住んでも京都人にはなれないのだけれど それでも京都に住みたい・・そういう人には本書は必読であろう。ちなみに 本書 京都なくらし・・と改題されて幻冬社から出てるがこれも絶版。先月は200円くらいでamazonであったのだが 今見たら1900円・・絶版で欲しい本があれば amazonのマケプレが一番なんだが 乱高下する仮想コインみたいなもんなんで こまめにチェックすることをお薦めする。ちなみに 本書はうちの書架には入っている。と書くと 持ってるのに借りたの?とか言われそうだが どこかに埋もれてしまってんだよw 探せばでてくるけど手っ取り早く読みたかったので借りたのだ。文句あるか?w
また京都本である。人は死期が近づくと死に場所を求めて彷徨うものだが あたしの場合はそれが京都ってだけだ。まあ1300万かけて大改造したので すぐには死なないとは思うものの 勝手にまだ大丈夫だろう・・と思ってるだけで何の保障も無いのは誰もが知るところである。さて 今度は 都と京 酒井順子著 新潮社刊 2006年初版だ。まあ 京だの京都だの名前がついてりゃなんでも借りて読むのだが その一冊。著者はあの負け犬の遠吠えで有名なエッセイスト。負け犬・・って2004年の流行語大賞を取ったので覚えておられる方も多いだろう。本書 タイトルからわかる通り観光案内でもグルメ本でもない。京都と東京の比較文化論・・というところか。著者は東京は中央線 荻窪(杉並区だが)が地元なので よそさんから見た京都・・って目線で東京と比較して書かれている。多くは既に入江敦彦氏や鷲田清一氏が書かれている内容の上書きみたいな感じなので二番煎じの域を出ないのだが。潔いな・・と思うのは多くの京都本を引用してるのだが それの出自がちゃんと明記されているところと 私は東京の人間なので・・と自分の立ち位置を明確にしてるところだ。どこかの誰かみたいに 人の話をぱくってきて さも自分のものみたいに書かないところはさすがである。梅棹忠夫氏あたりまで含んでるのはちょっと嬉しい。さらっと読めるので午後の空いた時間なんかに読むのはいいだろう。どこから読んでもそれなりに楽しめるエッセイ集である。よそさんから見た京都トリビア これに尽きると思う。これも返してこよう。