川村善之著 淡交社刊 2010年初版 383P 重版されなかったようなので今は絶版 まあ元々3800円+税なので4000円を超える。まあ それだけでも買いにくい本なのだけれど 日本の原風景 町並 森田 敏隆著 とか 歴史文化遺産 日本の町並み 苅谷 勇雅著と比べても これでないと・・という魅力に欠ける。収録点数は多いのだけれど 上質紙なのだけど 全部の写真がモノクロで名刺よりちょいと小さいくらい。カラーのページは1ページもない。説明も3段組みの5行くらいしかないので まあ良く言えば検索の目録。なので これを買ったらネットやら他の本で調べないと全く役に立たない。でも収録点数が多いので買おうかな・・とamazonのマケプレ見たらプレミアムがついて10111円もするw うーむ 図書館にあるからいいか 日本の町並みも 町並も持ってるしなぁ・・と思いつつ 装丁になんとなく覚えがあったので本棚引っ搔き回してみたら持ってたw 買値は2000円しなかったようだ。 一度パスポートは取って 英車乗りだし トライアンフやノートンのバイクが好きなので英国 あるいは JAZZやウェストコーストロックが好きだからアメリカ・・とも思ったのだけど バイクで東北や信州を走り回って 山暮らししてるうちに 遅まきながら日本が一番好きなことに気が付いて 結局パスポートは使わないまま切れた。弟は南の島・・とかがんがん行ってたのだけど あたしは若いころ京都べったりだったので なんで短い旅行で海外行かなきゃいかんの?と思ってたこともありこういう方向だ。さて本書 値段がそれなりならば 索引としてお薦めできるのだけど 先にあげた2冊(歴史的の方は上下あるので実質3冊)を買えば もっと詳しい情報があるので そちらをお薦めしておく。こんなモノクロばっかの資料本出す淡交社もだが 著者何者?と見たら 京都市立芸大の助教授だ。まあ京都からでないとこういう堅い本は出てこないので妙に納得した。まあしかし 本書に収められてる写真も既に失われた風景が含まれてるようで 著者も嘆いてられるが同感だ。図書館検索して所蔵してるようなら借り出されるのが良いと思う。
樋口茂子著 京都新聞社刊 1992年初版 だからもう30年近く前の本。これも京都の呉服屋さんの本棚の一部だ。まあ三十六歌仙・・てだけで 古典の教科書で名前くらいでしか知らんのだが これはそれの解説本。万葉集・古今集・後撰集・拾遺集あたりのまあ 有名どころが出てくるのだが百人一首に選ばれた有名な歌もある一方で 全然知らんのも多い。恋の歌が多いのだが 解説がないと良くわからんのは今も昔も同じなのが情けない。これも 平安のややこしい人間関係があって 誰それの異母の・・となると最後に書かれた系譜をみてもさっぱり。昔は古典なんて大嫌いだったわけで何が悲しくて平安の昔の歌なんか学ばんと それも試験に出るのか?といまいましく思ってたのだが 歳をとると ああこういう歌があるのか・・と結構しみる。それだけ経験を重ねたと言えば聞こえはいいが 実体は無駄に歳を重ねただけだが それでも少しはわかるようになったのだ。これも万人にお薦めできる本ではないけど しみじみと味わい深いので図書館にあれば借り出して読まれるといいかもしれない。最近じじむさい本ばっか推してるのだけど これが誰かの本棚だ・・と思えば その人の人柄が見えてくるようで面白い。後書きも含めて207Pしかないのだけ 序文を書いてるのが梅原猛氏というだけで力入った本だな・・と思う。樋口氏は2013年に彼岸の人だから享年85だ。合掌
片山杜秀著 新潮選書刊 20102年5月初版 2200円・・・てだけでもう新書の値段ではないから分厚いだろうな・・とは思ったが 調べてみたら476Pもある。まあ 普通の単行本が250Pくらいだから 軽く考えてたのだけど なんせ尊皇攘夷に水戸学だ。とてもすんなり買う気ににはならん。で 図書館検索したら うちの図書館偉い。3人待ちだったのでとにかく予約した。次の予約があると借りれるのは2週間なので1か月で来たのだけど カウンターで見たら分厚い。これを2週間で読めるのか?と不安になったが まあ取ってきて測ったら 厚さが3センチもある。普通新書って1センチくらいなので まあ2週間あればなんとかなるだろう・・と読み始めたのだけど 利用カード出したら5冊ご用意できています・・でこれまためげる。そのうちの一冊は湊かなえのカケラなんで こりゃ最悪カケラを読まずに返せばいいだろう。が こっちも41人待ちなんで 一度返せば20か月待ち・・・もう四方敵だらけ状態。まあでも尊王攘夷に2200円出す気にもならんので 根性入れて読み始めて飽きたらカケラに・・という感じで読んでたのだけど カケラは半日くらいで読めちゃってつまらなかったので こちらに期待。歴史というか思想の本なんで読みにくいだろうな・・と思ってたが 家系がややこしいのだけど 面白いのでいいペースで読めた。月曜に取ってきて金曜の晩には読み終えたから ある程度ナナメ読みなのは仕方ない。面白かったんで古本の値段がこなれてきたら買ってもいいかな・・と思う。待ってる人いるから明日にでも返してきてまた予約入れようと思ってるけどw さて こういう本の何が面白いか?というところだが 高校時代に日本史の授業で幕末の出来事について軽く学ぶけど それは受験用。年号と出来事の名称と誰が中心で・・というくらいだ。だから 尊皇攘夷てもそういう歴史が明治維新を・・という認識しかないわけ。この本の裏表紙に 「水戸黄門」徳川光圀が「大日本史」の編纂事業に着手し天皇に理想国家の具現を見た中国人儒者・朱舜水を師と仰いだのが始まりだった。幕末。挙国一致の攘夷を説く水戸学の過激派・相沢正志斎の禁書「新論」が吉田松陰などの志士を感化し、倒幕熱が一気に高まる。大政奉還の主役は徳川斉昭の息子・慶喜。そして三島由紀夫の自決も「天狗党の乱」に端を発していた・・(裏表紙から抜粋)という内容の本なわけで 読んだものから言えばすっきりわかる幕末の尊皇攘夷だ。徳川御三家の水戸藩が中心で書かれているので幕末の有名人の坂本龍馬だの高杉晋作だの吉田松陰だの新選組なんかちょろっとしか出てこない。大きな動きのあった長州・土佐・薩摩もちょろっとは出てくるが添え物程度。基本は 徳川御三家の副将軍である水戸藩の内部でどういう動きがあってどうなったか?というのを書いた本なんで歴史ロマンてよりは どろどろした記述が多い。これを読めば安政の大獄も桜田門外の変も天狗党の乱もすっきりわかるから 著者すごいな・・と思う。元々新潮45や新潮に連載されてたものを再編集したもので これが書き下ろしだったら頭おかしくなりそうだ。著者は1963年生まれの慶応の法学部教授。頭のいい人って違うのね・・というのが素直な感想だ。まあ歴史マニアでないと読むのは疲れると思うが 事実って面白いので最後まで中だるみしないで読める。良書だ。まあこれを2200円出して本棚に入れたいか?と言われるとちょっと微妙だが。当分読む本には困らない。京都の呉服屋さんの娘さんが 改築するので・・とお父さんの本棚をごっそり出したうちの京都関連のをほぼ全部買った。40冊以上あるから半年くらいは楽しめるだろう。
山と渓谷社刊 2013年初版 2200円だが 既に絶版だ。で 253pなのでそんなに内容が濃いわけでは無い。一応うちの電子図書館にあったので借りてみたが 紙じゃないとイメージが伝わりにくい。で 図書館検索したらあったので借り出して来たのだけど悪くは無いんだが情報量が少ない。 まあでも少し欲しかったんで古本見たらプレミアム付きの3400円+送料300円だから3700円・・・これを買うなら 歴史的文化遺産 日本の町並み 上・下巻 苅谷 勇雅・ 西村 幸夫著 山川出版社刊 2016年初版 新本でそれぞれ1980円で350pもあるのでお得だし内容も濃い。ちなみに後者の歴史的文化遺産の方は持ってるので比べると貧弱さが目につく。というわけで借りてはみたが今一つで残念。
佐久間文子著 新潮社刊 2021年初版。誰でも坪内祐三氏の名前は知らなくても 書いたものは読んでるのでは?と思える多筆の物書きだが。佐久間文子氏も物書きなので 正式に入籍してたのかどうかは知らんが 佐久間氏もAERAや週刊朝日に書いてた人なんで 物書きの夫婦。これも週刊誌の書評に載ってたので 図書館検索したら無かった・・・残念・・と言いたいところだが 1か月後くらいにまた検索したらあったので早速予約入れたが 待ちはたった3人。思いがけなく早く来た。うちの図書館偉い!これも読みやすい というか物書きでも小説みたいに技巧に凝る・・というのがないので 言葉がすっと入ってくる。夫としての坪内氏って 個性的というか人間的というか 悪く言えば偏屈だが いかにも物書きらしく筋が通ってて私生活でも面白かった。どちらもバツがついてるけどそんなもとはどうでもいい。20年以上一緒に暮らしたじんわりとした愛情が伝わっててきて良書だと思う。こういう本がもっと読まれるといいのだろうが これは本好きの為の本だと思うので仕方ないか・・欲しいのだが 新本なら1900円近いし もう少し安くなるまで待つ。享年63なのでまだ若い。先日亡くなったあたしの主治医も65だから いい人は若くして彼岸の人になっちゃうので残念としか言いようがない。うちの主治医の死因は怖くて訊けないけど 坪内氏の死因も良く分からなく 搬送前にはダメだったみたいで 変死となり警察が来て検死でもわからないで司法解剖に回されたそうな。結局循環不全てことで心疾患ぽいが正確なところはわからないらしい。それにしても 坪内氏と佐久間氏の日常のやりとりが うちにすごく似てて 夫婦ってこういうもんだな・・と思わせる。誰にでも薦められる本では無いが 物書きとしての坪内祐三氏が好きなら必読だと思う。あたしも5年前にこうなってたかも知れないので他人ごとではない。1の亡くなった日のこと・・とあとがきを除けば 坪内氏の人となりを佐久間氏が書いたというか 夫婦の日記みたいなものだが 私人としての坪内祐三を知りたい人にはお薦めする。