政府「下請け法」改正案を閣議決定 適正な価格転嫁促進へ NHK 2025年3月11日 16時22分
政府は、適正な価格転嫁を促すため、発注者が不利な取り引き価格を一方的に決める行為を禁止することなどを盛り込んだ、「下請け法」の改正案を11日の閣議で決定しました。
政府は、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けては、適正な価格転嫁を促していくことが重要だとして、11日、下請け法の改正案を閣議決定しました。
改正案には、
▽発注者が協議をせずに、受注者にとって不利な取り引き価格を一方的に決める行為を禁止することや、
▽法律の適用範囲に、物流業界における荷主企業と運送業者の間の委託業務も含めることなどが盛り込まれています。
また、
▽法律の適用を逃れるため資本金を意図的に増減させる行為への対策として、適用の基準に新たに従業員数を設けることになっています。
このほか、「下請け」という用語が発注者と受注者の上下関係をイメージさせるとして、
▽「下請事業者」を「中小受託事業者」に、
▽「下請代金」を「製造委託等代金」という用語に改めることも、示されています。
この改正案について政府は、今の国会での成立を目指すことにしています。
公取委 新たな法の網で監視強化の考え
改正案では、企業が資本金を意図的に増減させて法の適用を逃れる行為を防ぐため従業員数の基準が追加され、公正取引委員会は新たな法の網で監視を強化したい考えです。
現在の下請け法 適用には資本金が要件
現在の下請け法では、商品の製造などを発注する事業者と受注する下請け事業者の資本金の額によって、法律が適用されるかが決まります。
例えば、商品製造を委託するケースでは、発注事業者の資本金が3億円を超えていて、下請け事業者は3億円以下である場合と、発注事業者の資本金が1000万円を超え3億円以下で、下請け事業者は1000万円以下である場合に適用されます。
この基準に該当すれば、発注側が受注側に対し著しく低い価格を不当に定める「買いたたき」や、発注金額から不当に代金を差し引く「減額」などのいわゆる「下請けいじめ」が禁じられるほか、発注書を発行することや、代金を60日以内に支払うことなどを守る義務が生じます。
しかし、こうした義務などを逃れようとする「適用逃れ」が相次いでいました。
企業が資本金を増減させる“適用逃れ”が問題に
公正取引委員会によりますと、親事業者が下請け事業者に増資を求めて資本金を引き上げさせた事例や、発注事業者がみずから減資を行って資本金を引き下げ、法の適用を逃れた事例などがあったということです。
また、事業規模が大きく、一般的には大企業に相当するものの、少額の資本金で設立されているため、下請け法の発注事業者に該当しない企業もあります。
改正案 従業員数で新たな法の網を
こうした「適用逃れ」を防ぐため、政府が示した改正案では、現在の資本金に加え、新たに従業員数による基準を追加しました。
資本金の基準に当てはまらない場合でも、従業員300人を超える事業者が300人以下の事業者に商品製造を発注する場合などには法が適用されることになります。
従業員の数を基準に加えることで会社の事業規模が適切に表され、恣意的(しいてき)な変更も難しくなるということで、公正取引委員会は、新たな法の網で監視を強化したい考えです。
※法案の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」です。
政府は、適正な価格転嫁を促すため、発注者が不利な取り引き価格を一方的に決める行為を禁止することなどを盛り込んだ、「下請け法」の改正案を11日の閣議で決定しました。
政府は、物価上昇を上回る賃上げの実現に向けては、適正な価格転嫁を促していくことが重要だとして、11日、下請け法の改正案を閣議決定しました。
改正案には、
▽発注者が協議をせずに、受注者にとって不利な取り引き価格を一方的に決める行為を禁止することや、
▽法律の適用範囲に、物流業界における荷主企業と運送業者の間の委託業務も含めることなどが盛り込まれています。
また、
▽法律の適用を逃れるため資本金を意図的に増減させる行為への対策として、適用の基準に新たに従業員数を設けることになっています。
このほか、「下請け」という用語が発注者と受注者の上下関係をイメージさせるとして、
▽「下請事業者」を「中小受託事業者」に、
▽「下請代金」を「製造委託等代金」という用語に改めることも、示されています。
この改正案について政府は、今の国会での成立を目指すことにしています。
公取委 新たな法の網で監視強化の考え
改正案では、企業が資本金を意図的に増減させて法の適用を逃れる行為を防ぐため従業員数の基準が追加され、公正取引委員会は新たな法の網で監視を強化したい考えです。
現在の下請け法 適用には資本金が要件
現在の下請け法では、商品の製造などを発注する事業者と受注する下請け事業者の資本金の額によって、法律が適用されるかが決まります。
例えば、商品製造を委託するケースでは、発注事業者の資本金が3億円を超えていて、下請け事業者は3億円以下である場合と、発注事業者の資本金が1000万円を超え3億円以下で、下請け事業者は1000万円以下である場合に適用されます。
この基準に該当すれば、発注側が受注側に対し著しく低い価格を不当に定める「買いたたき」や、発注金額から不当に代金を差し引く「減額」などのいわゆる「下請けいじめ」が禁じられるほか、発注書を発行することや、代金を60日以内に支払うことなどを守る義務が生じます。
しかし、こうした義務などを逃れようとする「適用逃れ」が相次いでいました。
企業が資本金を増減させる“適用逃れ”が問題に
公正取引委員会によりますと、親事業者が下請け事業者に増資を求めて資本金を引き上げさせた事例や、発注事業者がみずから減資を行って資本金を引き下げ、法の適用を逃れた事例などがあったということです。
また、事業規模が大きく、一般的には大企業に相当するものの、少額の資本金で設立されているため、下請け法の発注事業者に該当しない企業もあります。
改正案 従業員数で新たな法の網を
こうした「適用逃れ」を防ぐため、政府が示した改正案では、現在の資本金に加え、新たに従業員数による基準を追加しました。
資本金の基準に当てはまらない場合でも、従業員300人を超える事業者が300人以下の事業者に商品製造を発注する場合などには法が適用されることになります。
従業員の数を基準に加えることで会社の事業規模が適切に表され、恣意的(しいてき)な変更も難しくなるということで、公正取引委員会は、新たな法の網で監視を強化したい考えです。
※法案の正式名称は「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律案」です。