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率直に言ってもっとも重要だったのは共同声明を出したという事実だ。

2025-03-12 21:53:29 | ウクライナ紛争
カート・ボルカー



【随時更新】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月12日の動き) NHK 2025年3月12日 16時13分

ゼレンスキー大統領「停戦 実現するかはロシアの出方次第」
サウジアラビアの西部ジッダで11日、アメリカとウクライナの高官協議が行われ、両政府は共同声明で「ウクライナは、アメリカが提案した即時かつ暫定的な30日間の停戦を受け入れる用意があることを表明した」と明らかにしました。

停戦は、当事者の合意によって延長が可能でロシアが受け入れ、同時に実施することが条件になるとしています。

協議のあとゼレンスキー大統領はSNSで、30日間の停戦についてすべての前線で完全な停戦を行う提案がアメリカ側からあったとしたうえで、「ウクライナは平和の用意がある。ロシアが戦争を終わらせるのか、続けるのかを明らかにしなくてはならない」と述べ、停戦が実現するかどうかはロシアの出方しだいだと強調しました。

また、協議を受けアメリカが、一時停止していたウクライナへの軍事支援などを再開すると発表したことをめぐり、ウクライナ大統領府の高官はSNSで「支援の再開を確認した」と述べたほか、ロイター通信はウクライナ政府高官の話として軍事情報の共有もすでに再開されたと伝えています。

アメリカは、近くロシア側とも協議を行う方針で、ロシアの出方が焦点になります。

アメリカとウクライナの共同声明とは
アメリカとウクライナの共同声明では「永続的な平和に向けたプロセスを始める時だ」として本格的な停戦に向けて動きを進めていくことに合意したとしています。

この中で、「ウクライナはアメリカが提案した30日間の即時かつ暫定的な停戦を受け入れる用意がある」としています。

そしてこの停戦は当事者の合意によって延長が可能でロシアが受け入れ、同時に実施することが条件になるとしています。

また、アメリカはロシアに対し「平和実現のカギはロシアにある」と伝えるとしています。

そして、アメリカが一時停止している軍事情報の共有と軍事支援については、再開するとしています。

人道支援について、捕虜の交換や拘束された民間人の解放、それに、強制移住をさせられたウクライナ人の子どもを帰還させることの重要性について話し合ったとしています。

ウクライナの安全の保証について、「永続的な平和に向けて交渉チームを編成し交渉をすぐに開始する」としたうえで、アメリカ側はロシアの代表と協議をするとし、ウクライナ側はヨーロッパのパートナーが和平プロセスに関与することを強調したとしています。

そして最後に、合意文書への署名が見送られているウクライナの鉱物資源の権益については、トランプ大統領とゼレンスキー大統領がウクライナの経済の拡大や、長期的な繁栄と安全を保証するためできるだけ早く包括的な合意を締結することで一致したとしています。

米ルビオ国務長官「ボールはロシアの手の中にある」
アメリカのルビオ国務長官は、ウクライナとの高官協議のあと記者団に対し「われわれはこの提案をロシアに示し、彼らが和平に同意することを望む。ボールはいま、彼らの手の中にある。ウクライナは12日、具体的な一歩を踏み出した。ロシアが応じることに期待する」と述べて、今後、ロシアと協議を行う考えを示しました。

ウクライナ大統領府長官「国益守ることは最も重要」
アメリカとの高官協議に出席したウクライナのイエルマク大統領府長官はSNSに投稿し「ウクライナの利益を守ることは、私たちにとって最も重要なことだ」として国益を守ることを最優先に協議に臨んだとしています。

その上で「公正な平和は私たちにとって重要な鍵だ。私たちは永続的な平和を望んでいる。建設的な会談に感謝する」と締めくくりました。

また、シビハ外相もSNSで「きょうの会談は、平和への道や、戦略的なウクライナとアメリカのパートナーシップの発展でも重大な一歩を踏み出すものだった。これこそが、率直でオープンで建設的な対話がもたらすものだ」とした上でルビオ国務長官などアメリカ側の出席者に謝意を示しました。

トランプ大統領 “米とロシアの代表 近く協議の予定”
アメリカのトランプ大統領は、11日、ウクライナとの高官協議のあとホワイトハウスで記者団の取材に応じ「ゼレンスキー大統領を再びホワイトハウスに招くか」と質問されたのに対し「もちろんだ」と答え、ゼレンスキー大統領と再び会談する考えを明らかにしました。

また、トランプ大統領は「これからはロシアとの話し合いだ。プーチン大統領も合意することを願う」と述べ、ロシアがアメリカが提案した停戦に応じることに期待を示しました。

その上で、「きょう、このあとか、あすにもわれわれは彼らと会うだろう」と述べてアメリカとロシアの代表が近く協議する予定であると述べました。

その上で「今週、プーチン大統領と話をするのか」と記者団に聞かれたのに対し「そう思う」と述べました。

EUフォンデアライエン委員長「ボールはいまロシア側にある」
EU=ヨーロッパ連合のフォンデアライエン委員長は11日、自身のSNSに投稿し、「ウクライナにとって公正で永続的な平和に向けた一歩となり得る。ボールはいま、ロシア側にある。EUはきたる和平交渉に向けて最大限の役割を果たす用意がある」として協議の結果を歓迎しました。

また、イギリスのスターマー首相は声明を出し、「われわれは永続的かつ確実な平和の実現に向けて努力を強める必要がある。ロシアも停戦と戦闘の終結に同意しなければならない」とした上で、今週15日に各国の首脳を集めてこの先の対応について協議を行うとしています。

フランスのマクロン大統領もSNSに投稿し、「ボールはいま、明らかにロシア側にある。フランスはパートナーたちとともに、強固な安全の保証に裏打ちされた永続的な平和に向けて引き続き尽力する」とコメントしています。

林官房長官「ロシア側の前向きな対応 強く期待」
林官房長官は12日午前の記者会見で「長く継続する戦闘の終結に向けたプロセスの重要な一歩として歓迎する。ロシア側による前向きな対応を強く期待する。わが国として引き続き国際社会と緊密に連携しながら公正かつ永続的な平和の実現に向け取り組んでいく」と述べました。

米国務省 元特別代表“共同声明でロシアにシグナル”
1期目のトランプ政権で、ウクライナ政策を担当する国務省の特別代表を務めたカート・ボルカー氏がNHKのインタビューに応じ、今回の協議の結果について「ウクライナとアメリカが初めて一緒に『今すぐ停戦を』と言える状況になった。そして今度はロシアへと焦点が移った。率直に言ってもっとも重要だったのは共同声明を出したという事実だ。なぜなら、プーチン大統領に対し、もしも停戦に合意しなければ、ロシアはアメリカとウクライナの両方と対じすることになるというシグナルを送ったことに等しいからだ」と強調しました。

そして予想される次のステップについてボルカー氏は「アメリカとロシアのあいだで、対面か電話でやりとりがあることになる。そこでは、アメリカとウクライナのあいだで合意した内容が伝達され、ロシアに対し、それを受け入れるよう迫る。そこでは、ロシアが受け入れないのであれば制裁を科すという暗黙の脅しがあるだろう。ウクライナとの協議もこれが最後にはならない。これが最初の協議であり、鉱物資源をめぐる合意への署名を含めて、さらなる議論が行われることになる」と述べ、停戦に向けた協議の始まりに過ぎないという認識を示しました。

そして、ロシアの今後の出方については「おそらくは交渉を持ちかけようとするはずで、『自分たちにはこれが必要だ』『それには同意できない』などと言って、西側諸国やウクライナに対してロシアに何かを提供するよう試みるだろう」という見方を示しました。

そのうえでトランプ大統領が描く恒久的な停戦に向けた筋書きについてボルカー氏は3つの柱があると指摘し「1つ目は即時停戦の実現だ。彼は人々が殺し合う状況を止めたい。2つ目はアメリカとウクライナのあいだの経済面での合意だ。鉱物資源などを通じてウクライナ自身が防衛にかかるコストを払っているのであって、アメリカの納税者は払っていないという状況にしたい。そして3つ目はロシアがウクライナを再び攻撃することの抑止だ。トランプ氏はこれをヨーロッパに主導させたい。アメリカにすべて依存するのではなく、ヨーロッパが安全の保証や防衛するための軍を提供し、ロシアからの攻撃を抑止する状況にしたいのだ」と説明しました。

そして、ウクライナでの恒久的な停戦が実現する時期についてボルカー氏は「誰もそれは知り得ないが、あえて言えば、私はこの秋ではないかと思う。ロシアのプーチン大統領が外貨を使い果たすのがそのころだからだ」と分析しました。

仏大統領 “ウクライナ安全の保証確かなものに 具体的行動を”
ヨーロッパを中心に30か国以上の軍のトップなどが集まり、ウクライナ情勢などについて議論する会議が11日から3日間の日程でフランスのパリで始まり、初日はマクロン大統領も参加する非公開の会合が開かれました。

フランス大統領府の関係者によりますと、この中でマクロン大統領は、停戦に向けた動きが加速する中、ウクライナの安全の保証を確かなものにし、永続的な平和を実現するため、具体的な行動に移るべきだと呼びかけました。

会合の出席者は、ウクライナ軍への揺るぎない支援が必要だという認識で一致したということです。

また、これに先だって全体会合では、フランスのルコルニュ国防相が演説し、ロシアが軍事侵攻の当初から掲げているウクライナの「非軍事化」などの要求について、「ウクライナのいかなる形の『非軍事化』も拒否する」と強調しました。

一方、ロイター通信は、関係者の話として、今回の会議にアメリカは招待されなかったとした上で、「ヨーロッパやそのパートナーが自分たちで責任を担うことができるという意図的なシグナルだ」という見方を伝えています。

ロシア クルスク州で攻勢強める ウクライナは大規模無人機攻撃
ロシア国防省は11日、ウクライナ軍が越境攻撃を続けるロシア西部クルスク州で、12の集落を奪還し、100平方キロメートル以上を掌握したと発表しました。

また、ウクライナ軍参謀本部は8日、ロシア軍の特殊部隊が天然ガスのパイプラインの中を通ってクルスク州のスジャに向けて進軍してきたことを明らかにし、ロシア軍がクルスク州の奪還に向けて攻勢を強めているとみられます。

一方、ロシア国防省は11日、モスクワ州など各地でウクライナ軍の無人機による攻撃があり、343機を撃墜したと発表しました。

モスクワのソビャーニン市長はこのうち74機が首都に向かっていたとして、「モスクワに対する最大規模の攻撃だ」としています。

この攻撃で、モスクワ州では3人が死亡し、子どもを含む10人以上がけがをしました。

これについてウクライナ政府の偽情報対策センターのコワレンコ所長は、「プーチンが空での停戦にも関心を持つべきだという追加のシグナルだ」と述べ、ロシアに対して、ミサイルや無人機による攻撃を禁止する空での停戦に応じるよう求めました。

一方、ウクライナ空軍は11日、ロシア軍の弾道ミサイル1発と無人機79機を撃墜したと発表し、攻撃の応酬が激しさを増しています。
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