
【詳細】ロシア ウクライナに軍事侵攻(3月7日の動き) NHK 2025年3月7日 19時19分
ウクライナへの軍事情報提供“米の情報補うのは難しい”見方も
アメリカのCIA=中央情報局のラトクリフ長官は5日、トランプ政権が、ウクライナへの軍事支援だけでなく、情報面での支援についても一時停止していることを明らかにしました。
これに対し、フランスのルコルニュ国防相は6日、ラジオ番組で「われわれは独自に情報を収集しており、ウクライナに提供している」と述べ、フランスが軍事情報の共有を続ける方針を示しました。
また、イギリスの有力紙、ガーディアンによりますと、イギリス政府は引き続きデータの分析結果をウクライナに提供するということです。
ただ、提供できる情報は限定的で、イギリスやほかのヨーロッパの国々でアメリカから得られなくなった情報を補うのは難しいという見方を伝えています。
一方、ウクライナ軍の前の総司令官で、今は駐イギリス大使を務めるザルジニー氏は6日、ロンドンで開かれたイベントで「世界の秩序を破壊しようとしているのは、ロシアや悪の枢軸だけではなく、アメリカも破壊している」と述べ、トランプ政権がロシア寄りの姿勢を示しているとして厳しく批判しました。
“トランプ政権 ウクライナ避難民24万人滞在資格取り消し検討”
ロイター通信は6日、アメリカ政府高官の話として、トランプ政権が、ロシアによる軍事侵攻を受けてアメリカに逃れてきた24万人にのぼるウクライナ人の、一時滞在資格の取り消しを検討していると報じました。
バイデン前政権は人道的な観点からウクライナ人を受け入れていましたが、トランプ政権は早ければ4月にも滞在資格を取り消す見通しで、強制送還の対象になる可能性があるとしています。
この措置について、トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで記者団から問われ「われわれは誰かを傷つけようとしているわけではない。それが適切だと思う人もいれば、適切ではないと思う人もいる」と述べた上で、近く判断する考えを示しました。
アメリカとウクライナは、2月の首脳会談が激しい口論に発展し、ぎくしゃくした関係が続いていますが、ロイター通信は、滞在資格を取り消すかどうかは首脳会談よりも前から検討されていたと伝えています。
米 ウクライナ側とサウジアラビアで会談調整 停戦交渉に向け
アメリカとウクライナをめぐっては、2月28日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談で、激しい口論に発展し、鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名が見送られたほか、トランプ政権はウクライナへの軍事支援を一時停止しています。
そうした中、ウィトコフ中東担当特使は6日、記者団に対し、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる停戦交渉に向けて、ウクライナ側とサウジアラビアで会談を行うことを調整していると明らかにしました。
ウィトコフ特使は「ゼレンスキー大統領が書簡を送り、それをトランプ大統領は前向きな第一歩ととらえた。和平の枠組みと停戦をとりまとめたい」と述べました。
アメリカのメディアは、会談は首都リヤドで来週前半にも行われ、アメリカ側からはルビオ国務長官とホワイトハウスで安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官などが出席し、ウクライナ側からはウクライナ大統領府のイエルマク長官が出席すると伝えています。
トランプ大統領 「ウクライナには選択肢はない」
トランプ大統領は6日、記者団に対して「ウクライナともロシアとも多くの進展があった。ウクライナは取り引きを望んでいる。私はウクライナには選択肢がないと思う」と述べ、ウクライナに対し、トランプ政権が目指す早期の停戦を実現させるため歩み寄るよう改めて求めました。
また、トランプ大統領は、記者団からサウジアラビアでロシアのプーチン大統領と首脳会談を行う可能性について問われ、直接の言及は避けましたが「おそらく今後1か月半ほどのうちにサウジアラビアを訪問することになるだろう」と述べました。
ゼレンスキー大統領 10日にサウジアラビア皇太子と会談か
ゼレンスキー大統領は6日、SNSに「来週月曜日、私はサウジアラビアを訪問し、皇太子と会談する予定だ」と投稿し、3月10日にサウジアラビアのムハンマド皇太子と会談するとみられます。
そのうえで「私のチームは、サウジアラビアに滞在し、アメリカのパートナーたちと仕事をする」と投稿しました。
“トランプ氏側近 ウクライナ野党指導者らと協議”米政治サイト
アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は6日、ウクライナの議員やアメリカの共和党関係者の話として、トランプ大統領の側近4人がウクライナの野党指導者のティモシェンコ元首相や、ポロシェンコ前大統領側の幹部と秘密裏に協議したと伝えました。
記事では、協議はゼレンスキー大統領を失脚させようとアメリカがロシアと連携するさなかに行われ、議論の中心はウクライナが大統領選挙を速やかに実施できるかどうかだったと伝えています。
一方でトランプ大統領側は、選挙でゼレンスキー大統領が失脚することを望んでいるかもしれないが、ゼレンスキー大統領はこの2人の政治家よりもはるかに人気があるとしています。
この記事を受けて、ティモシェンコ氏はSNSで「私の政党のチームは、一刻も早く公正な平和を確実にするため、協力してくれるすべての同盟国と話し合いをしている」と述べたほか、ポロシェンコ氏も「ウクライナに対する超党派の支持を維持するため、アメリカのパートナーと透明性のある形で協力している」と投稿し、協議そのものは否定しませんでした。
ただ2人とも、軍事侵攻が続くなかでは大統領選挙の実施には反対する立場を強調しています。
米特使 “ウクライナへの支援停止 戦闘終結に向けた圧力”
トランプ政権でウクライナ特使を務めるケロッグ氏は6日、首都ワシントンで講演し、トランプ大統領が目指すのは速やかな戦闘の終結だと改めて強調しました。
そして、ウクライナに対して軍事情報の共有などの支援を停止していることをめぐり「大統領が本気で戦争を終わらせようとしていると伝えるためだ」と述べ、ウクライナが戦闘の終結に向け協力し、交渉のテーブルにつくよう圧力をかけるためだと説明しました。
また、支援の停止によって、ウクライナは深刻な影響を受けるとの見方を示しました。
さらに、鉱物資源の権益をめぐる両国の合意も、戦闘の終結に向けた取り組みの一環だとして、ウクライナが応じなければ支援を停止する可能性を伝えていたとし、今の事態は「彼ら自身が招いたことだ」と述べました。
一方でケロッグ氏は、ウクライナが鉱物資源の権益をめぐる合意に応じれば支援の停止が解除されるのかと問われると「大統領が決めることだ」と述べ明言を避けました。
ウクライナの軍事専門家「前線で大きな変化みられない」
ウクライナ軍の退役軍人で、軍事専門家のセルヒー・グラブスキー氏は5日、NHKのインタビューに対して、トランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時停止したことについて「前線で大きな変化はみられない」としたうえで、アメリカの支援がなくとも6か月以上前線を維持できるという見方を示しました。
その理由の1つとして「ロシア軍も消耗しているようだ。彼らはウクライナ領内で素早く進軍することができなくなっている。自走砲の不足にも苦しんでいるようで、戦闘能力を補強するために時間を必要とするだろう」と述べ、ロシア軍も兵力不足が続いていると指摘しました。
ただ「ウクライナは対空防衛に関してアメリカの支援に依存している。とりわけ『パトリオット』は、ヨーロッパのどの兵器にも簡単に置き換えることはできない」と述べ、防空システムについてはアメリカの支援が必要で、支援の再開に期待を示しました。
また、グラブスキー氏は「忘れてはならないのが、ウクライナが継続的かつ執ように、後方の奥深くにあるロシア軍の経済的能力を攻撃しているということだ」と述べ、射程の長い兵器も使ってロシア領内の軍事関連のインフラ施設を攻撃していることが確実に効果を発揮していると指摘しました。
EU 特別首脳会議で127兆円規模の資金確保計画 大筋で合意
EU=ヨーロッパ連合の特別首脳会議は6日、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席しました。
ウクライナ大統領府によりますと、会議ではゼレンスキー大統領がウクライナとアメリカとの交渉が再開されたことを報告し、来週、両国の間で有意義な会談が行われるとして、期待を表明しました。
そして、EUの防衛力強化を通じて、ウクライナの軍事産業への支援を進めるよう求めたということです。
首脳会議でEUの加盟国は、新たな融資の枠組みを設けたり、加盟国の財政赤字の拡大を一定程度容認したりして、防衛力の強化のため最大で8000億ユーロ、日本円にして127兆円規模の資金の確保を目指す「ヨーロッパ再軍備計画」を進めることで大筋で合意しました。
また、ウクライナの独立や主権に揺るぎない支持を表明し、軍事支援を強化していくことを、ハンガリーを除く加盟国で確認しました。
トランプ政権がヨーロッパ各国に対し国防費の増額など地域の防衛で一層の役割を果たすよう迫る中、EUとしての結束を確認した形です。
会議のあと記者会見したEUのコスタ大統領は「ウクライナの安全保障はヨーロッパの安全保障の中核だ。ヨーロッパの防衛を強化する努力は、ウクライナにとっても利益となる」と述べました。
プーチン大統領 “ウクライナ4州やクリミア 返還せず”主張
ロシアのプーチン大統領は6日、ウクライナへの軍事侵攻に夫や息子が参加した女性たちとモスクワで会合を開きました。
この中で、息子が戦死したという女性が「われわれは最後までやり抜くべきで、誰にも屈してはならない」と訴えたのに対し、プーチン大統領は「そのつもりはない」と応じ、ロシアには長期にわたる平穏を保証する平和が必要だという考えを示しました。
そのうえでプーチン大統領は、今後の停戦に向けた交渉を念頭に「他人のものは必要ないが、自分たちのものは手放さない」と述べ、ロシアが一方的に併合したウクライナ東部と南部のあわせて4州やクリミアを返還するつもりはないと主張しました。
停戦後のウクライナへの平和維持部隊派遣 ロシア外相強く反発
ロシアのラブロフ外相は6日、ジンバブエの外相との会談のあと、共同記者会見を行いました。
この中でラブロフ外相は、フランスやイギリスが中心となって検討している、停戦後のウクライナへの平和維持部隊の派遣について、記者団から質問されたのに対し「そのような部隊のウクライナ領内での駐留は、NATOの部隊の駐留とみなす」と指摘しました。
そのうえで「われわれは、このような行動を断固として認めない。これはNATOの国々がロシアとの戦争に直接関与することであり、容認できない」と述べ、決して受け入れられないとして強く反発しました。
一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は6日、ウクライナ情勢をめぐるロシアとアメリカの交渉について「専門家レベルでの詳細な議論が必要だ」と述べ、アメリカ側が交渉担当者を任命すれば、ロシア側も担当者を任命すると明らかにし、交渉に意欲を示しました。
“核の傘” 仏大統領“各国と協力関係 ことし前半までに確認へ”
フランスのマクロン大統領は5日、ウクライナ情勢をめぐって、ロシアの脅威がヨーロッパに差し迫っているとして、フランスの核兵器による抑止力、いわゆる「核の傘」をヨーロッパに広げることについて検討を始める考えを示しました。
これについてマクロン大統領は、6日に開かれたEU=ヨーロッパ連合の特別首脳会議のあとの会見で、複数の国から関心が寄せられたと説明した上で、今後、各国の首脳などと協議を進め、新たな協力関係が築けるか、ことし前半までに確認したいという意向を明らかにしました。
ロイター通信によりますと、マクロン大統領の構想について、ロシアと国境を接するリトアニアのナウセーダ大統領は「ロシアに対する抑止力になる」と評価した一方、チェコのフィアラ首相は「議論は時期尚早だ」と述べて、慎重に対応する姿勢を示したということです。
“核の傘”めぐり ロシア マクロン大統領に強く反発
ロシア外務省は、フランスのマクロン大統領が、ウクライナ情勢をめぐりロシアの脅威が差し迫っているとして、フランスが保有する核兵器による抑止力をヨーロッパにも広げる考えを示したことを受けて、6日、声明を出しました。
この中で、EU=ヨーロッパ連合が開いた特別首脳会議に触れ「ウクライナ危機とロシアとの対立に焦点を当てた会議の前夜、フランスのマクロン大統領は、今後の基本的な流れを作ろうとして、極めて攻撃的な反ロシア演説を行った」と指摘しています。
その上で「アメリカの『核の傘』に代わる独自の『核の傘』を提供することで、ヨーロッパ全体の『核の後援者』になろうというパリの野望が表面化したものだ」として、マクロン大統領の発言に強く反発しています。
また「パリでは、いまだにわが国の重要な利益を考慮するつもりはなく、西側諸国が望む決定を強要することを目指していると、われわれは改めて確信している」として、マクロン大統領のロシアに対する姿勢を批判しています。
イタリア大統領 ロシアの侵攻「成功すれば ほかの侵略に」
日本を訪れているイタリアのマッタレッラ大統領は6日、京都市内でNHKのインタビューに応じました。
このなかで、ウクライナ侵攻を続けるロシアをナチス・ドイツになぞらえて「武力によってほかの国に自分の意思を押しつけるという考えは、ナチス・ドイツがポーランドなどに行ったことで、第2次世界大戦の悲劇を招いた。このような受け入れがたい前例が再発する危険性がある」と述べ、強く批判しました。
そのうえで「武器を持った強い国が自分の意思を押しつけることに成功すれば、ほかの侵略を引き起こし、想像を絶する規模の戦争につながることは避けられない」と強調し、国際法に違反するロシアの侵攻を終わらせ、公正で永続的な平和を実現しなければ、危険な時代に突入すると、強い懸念を示しました。
一方、停戦後にウクライナが求める平和維持部隊の派遣については「和平交渉はまだ始まっていない。今後の解決策について話すのは時期尚早だ」と述べて、明言を避けました。
ウクライナへの軍事情報提供“米の情報補うのは難しい”見方も
アメリカのCIA=中央情報局のラトクリフ長官は5日、トランプ政権が、ウクライナへの軍事支援だけでなく、情報面での支援についても一時停止していることを明らかにしました。
これに対し、フランスのルコルニュ国防相は6日、ラジオ番組で「われわれは独自に情報を収集しており、ウクライナに提供している」と述べ、フランスが軍事情報の共有を続ける方針を示しました。
また、イギリスの有力紙、ガーディアンによりますと、イギリス政府は引き続きデータの分析結果をウクライナに提供するということです。
ただ、提供できる情報は限定的で、イギリスやほかのヨーロッパの国々でアメリカから得られなくなった情報を補うのは難しいという見方を伝えています。
一方、ウクライナ軍の前の総司令官で、今は駐イギリス大使を務めるザルジニー氏は6日、ロンドンで開かれたイベントで「世界の秩序を破壊しようとしているのは、ロシアや悪の枢軸だけではなく、アメリカも破壊している」と述べ、トランプ政権がロシア寄りの姿勢を示しているとして厳しく批判しました。
“トランプ政権 ウクライナ避難民24万人滞在資格取り消し検討”
ロイター通信は6日、アメリカ政府高官の話として、トランプ政権が、ロシアによる軍事侵攻を受けてアメリカに逃れてきた24万人にのぼるウクライナ人の、一時滞在資格の取り消しを検討していると報じました。
バイデン前政権は人道的な観点からウクライナ人を受け入れていましたが、トランプ政権は早ければ4月にも滞在資格を取り消す見通しで、強制送還の対象になる可能性があるとしています。
この措置について、トランプ大統領は6日、ホワイトハウスで記者団から問われ「われわれは誰かを傷つけようとしているわけではない。それが適切だと思う人もいれば、適切ではないと思う人もいる」と述べた上で、近く判断する考えを示しました。
アメリカとウクライナは、2月の首脳会談が激しい口論に発展し、ぎくしゃくした関係が続いていますが、ロイター通信は、滞在資格を取り消すかどうかは首脳会談よりも前から検討されていたと伝えています。
米 ウクライナ側とサウジアラビアで会談調整 停戦交渉に向け
アメリカとウクライナをめぐっては、2月28日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領とゼレンスキー大統領の会談で、激しい口論に発展し、鉱物資源の権益をめぐる合意文書への署名が見送られたほか、トランプ政権はウクライナへの軍事支援を一時停止しています。
そうした中、ウィトコフ中東担当特使は6日、記者団に対し、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる停戦交渉に向けて、ウクライナ側とサウジアラビアで会談を行うことを調整していると明らかにしました。
ウィトコフ特使は「ゼレンスキー大統領が書簡を送り、それをトランプ大統領は前向きな第一歩ととらえた。和平の枠組みと停戦をとりまとめたい」と述べました。
アメリカのメディアは、会談は首都リヤドで来週前半にも行われ、アメリカ側からはルビオ国務長官とホワイトハウスで安全保障政策を担当するウォルツ大統領補佐官などが出席し、ウクライナ側からはウクライナ大統領府のイエルマク長官が出席すると伝えています。
トランプ大統領 「ウクライナには選択肢はない」
トランプ大統領は6日、記者団に対して「ウクライナともロシアとも多くの進展があった。ウクライナは取り引きを望んでいる。私はウクライナには選択肢がないと思う」と述べ、ウクライナに対し、トランプ政権が目指す早期の停戦を実現させるため歩み寄るよう改めて求めました。
また、トランプ大統領は、記者団からサウジアラビアでロシアのプーチン大統領と首脳会談を行う可能性について問われ、直接の言及は避けましたが「おそらく今後1か月半ほどのうちにサウジアラビアを訪問することになるだろう」と述べました。
ゼレンスキー大統領 10日にサウジアラビア皇太子と会談か
ゼレンスキー大統領は6日、SNSに「来週月曜日、私はサウジアラビアを訪問し、皇太子と会談する予定だ」と投稿し、3月10日にサウジアラビアのムハンマド皇太子と会談するとみられます。
そのうえで「私のチームは、サウジアラビアに滞在し、アメリカのパートナーたちと仕事をする」と投稿しました。
“トランプ氏側近 ウクライナ野党指導者らと協議”米政治サイト
アメリカの政治専門サイト「ポリティコ」は6日、ウクライナの議員やアメリカの共和党関係者の話として、トランプ大統領の側近4人がウクライナの野党指導者のティモシェンコ元首相や、ポロシェンコ前大統領側の幹部と秘密裏に協議したと伝えました。
記事では、協議はゼレンスキー大統領を失脚させようとアメリカがロシアと連携するさなかに行われ、議論の中心はウクライナが大統領選挙を速やかに実施できるかどうかだったと伝えています。
一方でトランプ大統領側は、選挙でゼレンスキー大統領が失脚することを望んでいるかもしれないが、ゼレンスキー大統領はこの2人の政治家よりもはるかに人気があるとしています。
この記事を受けて、ティモシェンコ氏はSNSで「私の政党のチームは、一刻も早く公正な平和を確実にするため、協力してくれるすべての同盟国と話し合いをしている」と述べたほか、ポロシェンコ氏も「ウクライナに対する超党派の支持を維持するため、アメリカのパートナーと透明性のある形で協力している」と投稿し、協議そのものは否定しませんでした。
ただ2人とも、軍事侵攻が続くなかでは大統領選挙の実施には反対する立場を強調しています。
米特使 “ウクライナへの支援停止 戦闘終結に向けた圧力”
トランプ政権でウクライナ特使を務めるケロッグ氏は6日、首都ワシントンで講演し、トランプ大統領が目指すのは速やかな戦闘の終結だと改めて強調しました。
そして、ウクライナに対して軍事情報の共有などの支援を停止していることをめぐり「大統領が本気で戦争を終わらせようとしていると伝えるためだ」と述べ、ウクライナが戦闘の終結に向け協力し、交渉のテーブルにつくよう圧力をかけるためだと説明しました。
また、支援の停止によって、ウクライナは深刻な影響を受けるとの見方を示しました。
さらに、鉱物資源の権益をめぐる両国の合意も、戦闘の終結に向けた取り組みの一環だとして、ウクライナが応じなければ支援を停止する可能性を伝えていたとし、今の事態は「彼ら自身が招いたことだ」と述べました。
一方でケロッグ氏は、ウクライナが鉱物資源の権益をめぐる合意に応じれば支援の停止が解除されるのかと問われると「大統領が決めることだ」と述べ明言を避けました。
ウクライナの軍事専門家「前線で大きな変化みられない」
ウクライナ軍の退役軍人で、軍事専門家のセルヒー・グラブスキー氏は5日、NHKのインタビューに対して、トランプ政権がウクライナへの軍事支援を一時停止したことについて「前線で大きな変化はみられない」としたうえで、アメリカの支援がなくとも6か月以上前線を維持できるという見方を示しました。
その理由の1つとして「ロシア軍も消耗しているようだ。彼らはウクライナ領内で素早く進軍することができなくなっている。自走砲の不足にも苦しんでいるようで、戦闘能力を補強するために時間を必要とするだろう」と述べ、ロシア軍も兵力不足が続いていると指摘しました。
ただ「ウクライナは対空防衛に関してアメリカの支援に依存している。とりわけ『パトリオット』は、ヨーロッパのどの兵器にも簡単に置き換えることはできない」と述べ、防空システムについてはアメリカの支援が必要で、支援の再開に期待を示しました。
また、グラブスキー氏は「忘れてはならないのが、ウクライナが継続的かつ執ように、後方の奥深くにあるロシア軍の経済的能力を攻撃しているということだ」と述べ、射程の長い兵器も使ってロシア領内の軍事関連のインフラ施設を攻撃していることが確実に効果を発揮していると指摘しました。
EU 特別首脳会議で127兆円規模の資金確保計画 大筋で合意
EU=ヨーロッパ連合の特別首脳会議は6日、ベルギーの首都ブリュッセルで開かれ、ウクライナのゼレンスキー大統領も出席しました。
ウクライナ大統領府によりますと、会議ではゼレンスキー大統領がウクライナとアメリカとの交渉が再開されたことを報告し、来週、両国の間で有意義な会談が行われるとして、期待を表明しました。
そして、EUの防衛力強化を通じて、ウクライナの軍事産業への支援を進めるよう求めたということです。
首脳会議でEUの加盟国は、新たな融資の枠組みを設けたり、加盟国の財政赤字の拡大を一定程度容認したりして、防衛力の強化のため最大で8000億ユーロ、日本円にして127兆円規模の資金の確保を目指す「ヨーロッパ再軍備計画」を進めることで大筋で合意しました。
また、ウクライナの独立や主権に揺るぎない支持を表明し、軍事支援を強化していくことを、ハンガリーを除く加盟国で確認しました。
トランプ政権がヨーロッパ各国に対し国防費の増額など地域の防衛で一層の役割を果たすよう迫る中、EUとしての結束を確認した形です。
会議のあと記者会見したEUのコスタ大統領は「ウクライナの安全保障はヨーロッパの安全保障の中核だ。ヨーロッパの防衛を強化する努力は、ウクライナにとっても利益となる」と述べました。
プーチン大統領 “ウクライナ4州やクリミア 返還せず”主張
ロシアのプーチン大統領は6日、ウクライナへの軍事侵攻に夫や息子が参加した女性たちとモスクワで会合を開きました。
この中で、息子が戦死したという女性が「われわれは最後までやり抜くべきで、誰にも屈してはならない」と訴えたのに対し、プーチン大統領は「そのつもりはない」と応じ、ロシアには長期にわたる平穏を保証する平和が必要だという考えを示しました。
そのうえでプーチン大統領は、今後の停戦に向けた交渉を念頭に「他人のものは必要ないが、自分たちのものは手放さない」と述べ、ロシアが一方的に併合したウクライナ東部と南部のあわせて4州やクリミアを返還するつもりはないと主張しました。
停戦後のウクライナへの平和維持部隊派遣 ロシア外相強く反発
ロシアのラブロフ外相は6日、ジンバブエの外相との会談のあと、共同記者会見を行いました。
この中でラブロフ外相は、フランスやイギリスが中心となって検討している、停戦後のウクライナへの平和維持部隊の派遣について、記者団から質問されたのに対し「そのような部隊のウクライナ領内での駐留は、NATOの部隊の駐留とみなす」と指摘しました。
そのうえで「われわれは、このような行動を断固として認めない。これはNATOの国々がロシアとの戦争に直接関与することであり、容認できない」と述べ、決して受け入れられないとして強く反発しました。
一方、ロシア外務省のザハロワ報道官は6日、ウクライナ情勢をめぐるロシアとアメリカの交渉について「専門家レベルでの詳細な議論が必要だ」と述べ、アメリカ側が交渉担当者を任命すれば、ロシア側も担当者を任命すると明らかにし、交渉に意欲を示しました。
“核の傘” 仏大統領“各国と協力関係 ことし前半までに確認へ”
フランスのマクロン大統領は5日、ウクライナ情勢をめぐって、ロシアの脅威がヨーロッパに差し迫っているとして、フランスの核兵器による抑止力、いわゆる「核の傘」をヨーロッパに広げることについて検討を始める考えを示しました。
これについてマクロン大統領は、6日に開かれたEU=ヨーロッパ連合の特別首脳会議のあとの会見で、複数の国から関心が寄せられたと説明した上で、今後、各国の首脳などと協議を進め、新たな協力関係が築けるか、ことし前半までに確認したいという意向を明らかにしました。
ロイター通信によりますと、マクロン大統領の構想について、ロシアと国境を接するリトアニアのナウセーダ大統領は「ロシアに対する抑止力になる」と評価した一方、チェコのフィアラ首相は「議論は時期尚早だ」と述べて、慎重に対応する姿勢を示したということです。
“核の傘”めぐり ロシア マクロン大統領に強く反発
ロシア外務省は、フランスのマクロン大統領が、ウクライナ情勢をめぐりロシアの脅威が差し迫っているとして、フランスが保有する核兵器による抑止力をヨーロッパにも広げる考えを示したことを受けて、6日、声明を出しました。
この中で、EU=ヨーロッパ連合が開いた特別首脳会議に触れ「ウクライナ危機とロシアとの対立に焦点を当てた会議の前夜、フランスのマクロン大統領は、今後の基本的な流れを作ろうとして、極めて攻撃的な反ロシア演説を行った」と指摘しています。
その上で「アメリカの『核の傘』に代わる独自の『核の傘』を提供することで、ヨーロッパ全体の『核の後援者』になろうというパリの野望が表面化したものだ」として、マクロン大統領の発言に強く反発しています。
また「パリでは、いまだにわが国の重要な利益を考慮するつもりはなく、西側諸国が望む決定を強要することを目指していると、われわれは改めて確信している」として、マクロン大統領のロシアに対する姿勢を批判しています。
イタリア大統領 ロシアの侵攻「成功すれば ほかの侵略に」
日本を訪れているイタリアのマッタレッラ大統領は6日、京都市内でNHKのインタビューに応じました。
このなかで、ウクライナ侵攻を続けるロシアをナチス・ドイツになぞらえて「武力によってほかの国に自分の意思を押しつけるという考えは、ナチス・ドイツがポーランドなどに行ったことで、第2次世界大戦の悲劇を招いた。このような受け入れがたい前例が再発する危険性がある」と述べ、強く批判しました。
そのうえで「武器を持った強い国が自分の意思を押しつけることに成功すれば、ほかの侵略を引き起こし、想像を絶する規模の戦争につながることは避けられない」と強調し、国際法に違反するロシアの侵攻を終わらせ、公正で永続的な平和を実現しなければ、危険な時代に突入すると、強い懸念を示しました。
一方、停戦後にウクライナが求める平和維持部隊の派遣については「和平交渉はまだ始まっていない。今後の解決策について話すのは時期尚早だ」と述べて、明言を避けました。