夜勤のある仕事をしていた時、
たいていは
一睡もできないで
朝を迎えていました。
仮眠ができたとしても
とても苦しい朝を迎えます。
あの頃、
母が骨折して入院していたため
夜勤明けに必ず
病院へ行きました。
電車でたっぷり1時間睡眠をとり
そのあと
中村屋に寄りました。
「インドカリー」を注文して
食後にチャイもいただいて
とにかく
ひたすら
できるだけ深くボーっとして
疲れをとっていました。
中村屋には
私の好きな人がいました。
彼女は
とてもよく動きます。
とても軽やかに。
にこやかに。
そしていつも
すみからすみまで気を配り、
そのやさしくて
あたたかい視線が
とても好きでした。
彼女が
仕事が終わり、控え室に入ると
まず白いスニーカーを脱ぐ。
たぶんきっと人一倍店内を
歩き回るので
足がとても疲れている。
神経も疲れている。
でも
彼女はやさしいから
他のスタッフに気を配る。
そんな風な人。
そして
もう一つのお目当ては
中村彝の「少女」。
数十年前はもっと良いところに
あって
私はずっとこの絵が本物だと
信じていました。
今は
奥の方にあります。