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フクロウの街 11

2016-05-13 06:56:50 | ヒューマン


土曜日の朝、山路は引っ越し先を探す為出かけようとしていたところ、中野警察署から呼び出しがあった。
出向いてみると、アパートの火災は放火と断定されたので、住民全員に事情聴衆をお願いしてるとの説明があった。
留守で何も見ていなかったが、交友関係をしつこく聞かれ、親戚も調べられている。
もう近くに住む気はないので、家賃の安い物件を探して墨田区まで来た。
最寄り駅は総武線平井駅で、蔵前橋通りを越え旧中川を渡ると墨田区で、道なりに歩いて行くと公園や図書館があり、その近くの古いアパートだが、落ち着いている。
山路はここなら都心にも行きやすく、静かに暮らせると考え始めた。
即入居可という事で、契約金は仕事仲間の永瀬に借りる事にして啓子のマンションに戻った。
私物を持ってきた時のバックに全て詰め込み、錦糸町のカフェで永瀬を待った。
「引っ越し決めたの」
「格安のがあって3年後には建て替えるんです、すいません、来月中には返しますので」
「やり直しでいいんじゃないの、それよりも先日刑事がきてね、君の事聞いていったよ」
「永瀬さんのところに、すいません、ご迷惑ばかりかけて」
「何があったの?」
「僕もわからないんですよ、ただ、付き合っている彼女の事だとは思いますが」
「彼女はどんなひと?」
「現在は独身ですけど、元夫は未練があるらしくつきまとっているようです」
「じゃあそのトラブルかな」
「そうかも知れませんね」
そんな話をしていた矢先、警察から山路に出頭してほしいとの連絡が入った。
朝9時に着くと、前に会った刑事が出てきた。
「実はですね、藤中啓子さんと元夫が行方不明なんですよ」






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