夢の介音楽夜話

音楽、アート、グリーン、クラフトなどなど徒然なるままに

バンドサウンドの作り方

2016年05月07日 | 音楽


ヒューイ・ルイスとザ・ニューズというバンドを聴いた時、「なんて歯切れのいいリズムを刻むのだろう」と思った
映画「バック・トゥー・ザ・フューチュア」でバンド・オーディションをして失笑を買うあのヒューイ・ルイスだ

B.B.King とEric Clapton、 Robert Crayが参加する Cross Roads Liveで、「Everyday I have the Blues」のグルーヴが素晴らしいので気になった
「Robert Cray Band」のベースマンが、スリリングなプレイをしていることは一目でわかる

しかしベースだけがいいプレイをしたところでバンドサウンドが良くなるわけではない
ドラムスはもちろんのこと、ギターのカッティングやリフ、ボーカリスト、音質やミュージカルアンプの特質、PAのレベルやミキサーの力量にまで及ぶ

バンドリーダーの音楽性如何によって、そのバンドの方向性は決まるわけだが、メンバーシップによるところも大きい
同じ楽曲をやろうとしているのに、メンバーが同じ土台に立っていないケースはないだろうか

譜面を用意したところでその通りに弾ける保証はないし、そもそも譜面どおりでは音楽にならない
先入観が邪魔するケースも多い、つまり誤って覚えてしまうこと、この場合意識をゼロ・クリアする勇気と几帳面さが求められる

「Robert Cray Band」の演奏を見るとかっちりしたドラムスのリズムに加えてクレイ自身が実に歯切れの良いカッティングをしていることがわかる
弦楽器も打楽器も、音の長さはある程度コントロールできるものの、発音してから音が減衰していく楽器だ

アンプリファイドしたりマイキングすると残響が心地よいのだが、とりわけエレキの場合、しまりのない演奏になりかねない
歯切れのいいカッティングをドラムスと同期させて、空間をベースが補う

どの楽器にも言えることだが、リズムは正確にしかしグルーヴを繰り出してほしい
スローな曲であっても「ノリ」は重要であってそこに心地よさを見出したい

なんて言っているのか英語が聞き取れないのだが、「彼のベースはすごくいいんだよね、ウキウキしてしまうんだよ、いつも、、」くらいに聞こえる
そんな調子でメンバーを募っていけば、理想の音場が用意できるのかもしれない

音の塊を作るってことは大変なことだ
それだけに出来上がった時の喜びは大きい

バンドサウンドを作るには時間がかかる
異なる価値観と個性を持ったメンバーの魅力を最大限に引き出すことになるから


The Robert Cray Band - Right Next Door (Live)

The Robert Cray Band - Bad Influence (Live)

Everyday I Have the Blues - Robert Cray, B.B. King, Jimmie Vaughn and Eric Clapton

青春の頃

2016年05月03日 | 音楽


世はゴールデンウィーク、郷里では凧揚げと屋台の祭りの準備の最中、突風が吹き荒れた
祭りに合わせて開催された母校の同窓会、百八十人が参加した

2時間余のパーティに音楽を企画したというFくんの話に「ブルーマックスをやったら?」と返してからしばらく音沙汰がなかった
「ブルーマックス」は今私が拾い読みしている「青春デンデケデケデケ」のあの頃の、母校同期のエレキバンドの名前だ

そしてどうやらリードギターのYくんの都合がつかず混成メンバーで当時のポップスやフォークをやろうということになったらしい
Yくんの欠けるブルーマックスのメンバー、Fくん、もう一人のFくん、Tくん、にフォークのOくんと私にお声がかかった

バンマスのFくんが選曲したらしい候補曲には当時の人間なら誰しも口ずさめるナンバーが並ぶ
そしてもう一人のFくんとで器用にハモる、そう彼らは1960年代のジョンとポールを追いかけていたはずなのだ

芦原すなおさんの著「青春デンデケデケデケ」には地方におけるあの当時のエレキ少年たちの青春と葛藤が見事に描かれている
バンドメンバーを募るくだりから、楽器を調達して、大音量の練習を行える場所探し、発表の場とメンバーの人となり

主人公「ぼく」がエレキギターを買うために始めたアルバイト先での甘酸っぱいエピソードがいい
15歳の少年は年上の女性に憧れ、また当の女性は「ぼく」に幼い弟と性に目覚める若い男の両面を見いだす

中学、高校生くらいの男の子はこうした経験が少なからずあるはずだ
先輩であるお姉さまが挑発して誘惑する、が「ぼく」はその意味を理解したところでプロセスの全てを理解できていないため躊躇してしまう

こういう誘惑のおまじないを発信するお姉さまは概して自立心の強いたくましい生き様の女性が多いような氣がする
彼女らは案外長女ではなくて末っ子なのだが、それゆえに大人のおままごとのリーダーシップを取ろうとする、決して美人ではないのだが少年は媚薬に惑わされる

さて我らがジョンとポール、歌がうまい、練習の音源を聴いて思い出すのはビートルズの二人だ
ジョンが年下のポールと出会った時、バンド仲間が「彼を入れたら、食われてしまうかもよ」と忠告したというが、「それでもいい」と

またジョンが「ビートルズは自分とポールだ」と言って憚らなかったくらい彼との音楽的な関係性を重視していた
作詞、作曲面だけでなくボーカル、コーラス、ギターのリフ、アレンジから私生活に至るまで重要なパートナーだったと思われる

同窓会のステージで見たのはそんなジョンとポールを彷彿とさせるような歌いっぷりの二人であって、50年という歳月が与えてくれた味わいかもしれない
そしてお二人とも自信を持っているにもかかわらず、アルバム制作しようかとかそういった色気が無いのがまたいい

「三つ子の魂百まで」という格言があるように、青春の頃培ったことは生涯を通じて引きずるのではないだろうか
ドラムスのTくんにしてもガットギターのOくんにしても、人生の重要な一部分を音楽が占めていることは明らかだ

二百人近い酒席での聴衆を惹きつけるのは容易ではない、ましてや同窓会、話に夢中になって音楽どころではない
でもライブの後半ステージの周りに集まった音楽好き、ダンス好きを中心に一体化する瞬間があった

音楽を通じて踊りだしたり、グルーヴを共有して気持ちが一つになることがライブの醍醐味だ
あえて「知っている曲をやって関心を惹くという配慮は必要ない」という私の持論の根拠は、そこにある

しかし楽しかった、気心の知れた仲間たちと一緒にやる音楽の楽しさよ
そこには利害関係がないし、主義主張もお互い引っ込めている、その優しさがまたいい

友よ、またやろうではないか、青春をいつまでも









John Lennon Meets Paul McCartney July 6th 1957

George Harrison Auditions For John Lennon


The Beatles All My Loving (Live In Melbourne)

The Beatles - World Without Love (Original Demo)

The Beatles - Till There Was You - Subtitulado en español