異教の地「日本」 ~二つの愛する”J”のために!

言論宗教の自由が保障され、ひとりひとりの人権が尊ばれ、共に生きることを喜ぶ、愛すべき日本の地であることを願う。

元内閣官房副長官補・柳澤協二が語る安保法制「自衛隊は殺人罪に問われる可能性」 〔dot.2016.12.10〕

2016-12-11 09:55:12 | 平和 戦争 自衛隊


https://dot.asahi.com/aera/2016120800231.htmlより転載

元内閣官房副長官補・柳澤協二が語る安保法制「自衛隊は殺人罪に問われる可能性」

by 野村昌二 (更新 2016/12/10 11:30)

安全保障関連法が成立して1年。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する部隊に新たな任務「駆けつけ警護」が付与されたことで、自衛隊が武力行使に至る機会が間近に迫っている/11月7日、航空自衛隊那覇基地で(撮影/写真部・東川哲也) 
安全保障関連法が成立して1年。南スーダンの国連平和維持活動(PKO)に派遣する部隊に新たな任務「駆けつけ警護」が付与されたことで、自衛隊が武力行使に至る機会が間近に迫っている/11月7日、航空自衛隊那覇基地で(撮影/写真部・東川哲也)

 安保法によって、自衛隊員が戦争やテロなどに巻き込まれる危険性は増したといわれている。大型輸送ヘリコプターCH-47の機内にはおふだがまつられていた/11月7日、航空自衛隊那覇基地で(撮影/写真部・東川哲也) 
安保法によって、自衛隊員が戦争やテロなどに巻き込まれる危険性は増したといわれている。大型輸送ヘリコプターCH-47の機内にはおふだがまつられていた/11月7日、航空自衛隊那覇基地で(撮影/写真部・東川哲也)

 

元内閣官房副長官補 柳澤協二さん/1946年生まれ。東京大学法学部卒業後、防衛庁(現防衛省)に入庁。2004~09年、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理)(撮影/編集部・野村昌二)

元内閣官房副長官補 柳澤協二さん/1946年生まれ。東京大学法学部卒業後、防衛庁(現防衛省)に入庁。2004~09年、内閣官房副長官補(安全保障・危機管理)(撮影/編集部・野村昌二)

 

 中国、トランプ、北朝鮮、日本を取り巻く環境がきな臭くなっている。専守防衛に徹し、海外に展開できる装備は持たない自衛隊。安保法とトランプ大統領の誕生で、どう変わろうとしているのか。AERA 12月12日号では「自衛隊 コストと実力」を大特集。最新兵器から出世レース、ミリメシまでいまの自衛隊に密着している。

 米次期大統領が日米安保不要論を叫び、「積極的な武器使用」を認められた自衛隊が海外で活動する時代が来た。日本を守るのは誰なのか。元内閣官房副長官補・柳澤協二氏が、安保法制の矛盾について語った。

*  *  *
 安保法制の本質は、自衛隊の武器使用拡大と、アメリカとの軍事行動の一体化です。しかしそこには矛盾があります。

 安保法制で自衛隊は、駆けつけ警護などの任務のために武器を使用することが可能になりました。稲田朋美防衛相はNHKのテレビ番組で、「法的な手当てはできています。正当防衛なら罪に問われない」と言っていましたしかし、個人の武器使用ですから、相手を殺害した場合は殺人の構成要件に該当します。「当然無罪」とはならないのです。

 アメリカの軍事行動と一体化することによって、抑止力は高まりますが、アメリカを攻撃する国にとっては、日本も攻撃対象になる。一体化は両刃の剣なんです。

 私は、「日本を守る集団的自衛権」というのは、軍事的には全く意味がないと思っています。

 憲法解釈の見直しの有識者懇談会は、第1次安倍政権で始まりました。その時想定された「集団的自衛権マター」は二つ。一つは、並走しているアメリカの船を守ること。もう一つは、アメリカに向かうミサイルを撃ち落とすことでした。自衛隊法95条の「武器等防護」を適用すれば、並走する米艦を守ることはできる。アメリカに向かうミサイルの迎撃については、そもそも、北極の上を飛ぶミサイルは、日本は物理的に撃ち落とせない。そういう認識を安倍首相に申し上げました。安倍首相は、「有識者懇で議論してもらいたい」というようなことを仰っていたと思います。

 安倍首相は集団的自衛権を行使して戦争がしたいわけではなく、集団的自衛権の行使を容認すること自体が目的になっていると思うんです。背景にあるのは、安倍首相のDNAに生きている、祖父・岸信介元首相のころからの「アメリカと対等になりたい」という欲求でしょう。

 次期大統領に決まったドナルド・トランプ氏の「在日米軍の駐留経費をもっと出せ」という要求に関しては、議論して落としどころを見つけなければなりません。

 一方でトランプ氏は、「アメリカは世界の警察官ではいられない」とも言っています。

 言葉通りであれば、アメリカが始めたベトナム戦争やイラク戦争のような戦争がなくなり、世界は平和になる可能性もあるわけですよね。しかしそうなると、ロシアや中国が好き勝手なことをし始めるでしょう。その時に日本は、「協力するから戦争をせよ」とアメリカを促すのか、ロシアや中国が大きい顔をするのを多少なりとも我慢するのか。

 トランプ氏の出現が投げかけているのは、そういう問題です。

 日本人は「覚悟」ができていないから、何かあると慌てふためくことになる。自衛隊の南スーダンへの派遣とトランプ氏の出現。この二つが重なったいまが、「日本は一体何を守りたいのか」を、国民自身が考えなければならないタイミングなのだと思います。

(構成/編集部・野村昌二)

AERA 2016年12月12日号

 

 

 


<「偏見」と「共感」> 「福島県民お断り」...南相馬出身・女子中学生の人権作文が反響呼ぶ! 作文全文

2016-12-11 01:30:37 | 命 人権 差別

http://vivivigirl.com/fukusimakennminnokotowari/より転載

「福島県民お断り」...南相馬出身・女子中学生の人権作文が反響呼ぶ

2016年12月 8日 17:00

福島県出身の女子中学生が書いた「福島県民お断り」という作文が共感を呼んでいる。法務省と全国人権擁護委員連合会が主催する「第36回全国中学生人権作文コンテスト」に応募されたものだ。

彼女の故郷・福島の野馬追(Hajime NAKANOさん撮影、Flickerより)
相馬野馬追 甲冑競馬 Soma-Nomaoi 2013

同コンテストは法務省が1981年度から実施しているもので、「人権尊重の重要性、必要性についての理解を深めるとともに、豊かな人権感覚を身につけること」を目的としている。法務局・地方法務局ごとに地方大会を実施し、選ばれた代表作品が中央大会に推薦され、審査・表彰が行われる。

話題の作文は宮城県大会に応募された9999作品の中から、仙台法務局長賞を受賞し、中央大会では法務省人権擁護局長賞を受賞した。

「偏見」と「共感」

作文は自身の体験から感じた「偏見」と「共感」について綴られている。要約するとこうだ。

福島県南相馬市で生まれ育った彼女は、東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故により避難を余儀なくされた。しかし待ち受けていたのは、「福島県民お断り」という「偏見」だった。それは震災から5年が経った現在も消えていない、と彼女はいう。そんな苦しむ彼女の心を救ったのは、同じく震災で大きな被害を受けた宮城県女川町でできた友の存在。心に寄り添い共に乗り越えようとする「共感」が彼女を支えたのだ。

現在ツイッターを中心にネット上で拡散されており、一人でも多くの人に読んでほしい、この思いを共有したい、と共感の輪が広がっている。

同コンテストの宮城県大会を主催する仙台法務局に電話で話を聞くと、ネットでの反響は把握しておらず、2016年12月7日現在、取材や問い合わせの連絡もないという。

作文は12月3日付の河北新報の朝刊に掲載されているほか、東北電力グリーンプラザで9日まで行われている「中学生人権作文優秀作品展」で読むことができる。来年には作文集も制作されるそうだ。

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皆さんはこれを読んでどのように感じますか?

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成宮寛貴さんの引退声明、尾木ママが「アウティング」問題を指摘 〔The Huffington Post  2016.12.10〕

2016-12-11 01:22:34 | 命 人権 差別

http://www.huffingtonpost.jp/2016/12/09/hiroki-narumiya-ogimama_n_13539650.htmlより転載

成宮寛貴さんの引退声明、尾木ママが「アウティング」問題を指摘

投稿日: 2016年12月10日 11時48分 JST 更新: 2016年12月10日 11時58分 JST
NARUMIYA HIROKI
 

俳優の成宮寛貴さん(34)の、芸能界引退の発表を受け、尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏(69)が12月9日、公式ブログで成宮さんの引退声明を分析。「アウティング」の問題を指摘した。

尾木ママは、成宮さんが引退声明の中で「絶対に知られたくないセクシャリティな部分もクローズアップされた」と書いていた部分に注目。「薬物疑惑とセクシャリティ問題は全く別物」として、「心から信頼していた友人にセクシャリティの問題を勝手にアウティングされてしまったことを嘆き 不信感と絶望感にとらわれてしまったのではないでしょうか!? これは薬物疑惑をかけられるよりどんなに深く傷つくことでしょう」と述べた。

尾木ママは別のブログ投稿でも「全くプライベートな触れられたくないセクシャリティの問題を信頼を裏切られるかたちで公にされる屈辱感 いかばかり大きかったことでしょうか!?」などとコメント。「声明文全体から溢れるように伝わってくる絶望感 芸能界から消え入りたい思い びんびん伝わります」などと記した。

一方で、成宮さんに対しては「ダメです…こんなに自己否定しては…」と教育者の目線でもアドバイス。「成宮寛貴君のファンは勿論 市民の皆さんだってあなたを見捨てたり下げすさんだりなんかしませんよ…(原文ママ)」などと続け、信頼出来る人物もいると強調。「不信感を吹き飛ばす素晴らしい『信頼』に出くわすのも人生」などと述べた。


「アウティング」とは

アウティング」とは、他人の秘密を暴露することで、特に他人のセクシュアリティーを暴露する場合に多く用いられる。2015年8月には、一橋大学の法科大学院生の男性が、同性愛者だと同級生にアウティングされたことをきっかけに大学内の建物から転落死する事件も発生していた。

2日に発売された週刊誌『FRIDAY』は「成宮寛貴『コカイン吸引』疑惑の現場写真!」との見出しで、成宮さんがコカインなど数種類の薬物を入手・使用していると報じた。成宮さんの知人の証言として、11月9日未明、都内の自宅で成宮さんがコカインを吸引したり、大麻やケタミンという麻薬を使用したとの内容を掲載。さらに、成宮さんとみられるTシャツ姿の男性が室内でテーブルの上の白い粉が広げられたシートに手を伸ばしているような写真も掲載されていた。

事務所は同日、「記事は事実無根。断固として抗議する」として報道を否定。成宮さんも「非常に憤りを感じます。薬物を使用したことは一切ございません」と反論した。

成宮寛貴さん、直筆の引退声明「セクシャリティな部分もクローズアップされた」

 

 


森永卓郎氏 トランプ大統領がアベノミクスを破壊する~いずれ、超円高になるか!? 〔マネーポスト2017年新春号〕

2016-12-11 00:38:28 | 経済 金融

いずれ、超円高になるか!?

NEWSポストセブンhttp://www.news-postseven.com/archives/20161210_471973.htmlより転載

森永卓郎氏 トランプ大統領がアベノミクスを破壊する

2016.12.10 16:00<iframe id="google_ads_iframe_/18319668/nps-pc//infeed-header_1x1_article_e_0__hidden__" style="vertical-align: bottom; display: none; visibility: hidden; border-image: none; border-width: 0px;" title="" name="google_ads_iframe_/18319668/nps-pc//infeed-header_1x1_article_e_0__hidden__" frameborder="0" marginwidth="0" marginheight="0" scrolling="no" width="0" height="0"></iframe>

トランプ大統領誕生の日本経済への影響は(森永卓郎氏)

 

 米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利し、株式市場は「トランプ・バブル」に沸いているが、はたして日本経済はどんな影響を受けるのだろうか。経済アナリスト・森永卓郎氏が、トランプ大統領誕生が日本経済に及ぼす「負の影響」について解説する。  

 米大統領選挙でドナルド・トランプ氏が勝利し、株式市場は「トランプ・バブル」に沸いているが、はたして日本経済はどんな影響を受けるのだろうか。経済アナリスト・森永卓郎氏が、トランプ大統領誕生が日本経済に及ぼす「負の影響」について解説する。

 * * *
 大方の予想を裏切り、11月には米大統領選でドナルド・トランプ氏が勝利を手にしました。ここしばらくの主要な選挙で、私の嫌いな人物や政党がことごとく勝利していたので、今回も嫌な予感がしていたのですが、まさにそれが現実になってしまいました。日本経済が暗雲に覆われるのは間違いありません。

 トランプ大統領誕生で日本経済が受ける影響は、主に3つあります。

1つは安全保障。トランプ氏は、日本は米国の防衛力にタダ乗りしているという主張を繰り返してきました。日本は自力で防衛すべきとして、一時は日本の核保有を容認する発言までしていました。しかし、本音は次の発言にあると思います。

「もし日本が引き続き米国に守ってもらいたいなら、米国に対する負担を大幅に増やさなければならない」

 日本政府が自主防衛路線を採る可能性はほとんどないので、日本は少なくとも数千億円単位で負担を増やさなければならなくなるでしょう。それは、財政の大きな重荷になります。

 2つ目は、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)。トランプ氏はTPPに反対です。今のTPP合意は日本にとって不平等条約ともいえる非常に不利な内容で、トランプ氏がご破算にしてくれれば、日本経済にプラスのようにも見えます。しかし、トランプ氏の通商政策はそんな甘いものではありません。

 トランプ氏は、TPP合意というちゃぶ台を一度ひっくり返して、ゼロから、日本にとってはるかに厳しい要求を突きつけてくると思われるのです。これは、じわじわと日本経済の首を絞めていくことになるでしょう。

 3つ目の、そして最大の影響は、為替政策です。昨年の演説でトランプ氏はこういっている。

「日本の安倍首相は、(米国経済の)殺人者だが、ヤツは凄い。地獄の円安で、米国が日本と競争できないようにした」「キャタピラーがコマツより売れないのは、円安誘導のせいだ」

 為替レートを決める要因のひとつに、資金供給の比率があります。つまり、日本が金融緩和で資金供給を拡大すると、為替は円安に向かうということです。トランプ氏が批判しているのは、実はアベノミクスの金融緩和政策なのです。

 為替が1ドル=79円の超円高となり日本経済が危機に陥った民主党政権の末期に、私は民主党幹部に、「今すぐ大規模金融緩和をしないと日本経済が危ない」と進言しました。だが、その幹部は私にこういったのです。

「金融緩和なんて、米国が絶対認めるはずがないだろう」

 日本は米国のお許しがないと、金融緩和ができないのが現実です。だから、トランプ大統領の誕生で、日銀は追加の金融緩和を封じられてしまう。そうなったら、超円高が日本を襲い、製造業が次々に海外へ逃れ、製造業で働く派遣労働者が一斉に派遣切りにあうという、4年前の悪夢が再現されることになる。トランプ氏は、アベノミクスの破壊者となるのです。

マネーポスト2017年新春号

 

 

 


原子力村の大嘘にだまされるな!国民負担を強いる前に、東電株を買った株主や銀行の責任を問うべき〔古賀茂明〕/福島第一処理費倍増21.5兆円、国民負担「過去分」2.4兆円

2016-12-11 00:25:07 | 福島、原発

 http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016121090070023.html

原発国民負担「過去分」2.4兆円 福島第一処理費倍増21.5兆円 
(東京新聞)

写真

 
 

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http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=4334882&media_id=141

原子力ムラの「大嘘」にだまされるな! 国民負担を強いる前に、東電株を買った株主や銀行の責任を問うべき

 

2016年12月10日 06:22  週プレNEWS

週プレNEWS

 

写真「『東電が破綻すると重たい国民負担が生じる』と原子力ムラは主張するが、それは大嘘」と指摘する古賀茂明氏
「『東電が破綻すると重たい国民負担が生じる』と原子力ムラは主張するが、それは大嘘」と指摘する古賀茂明氏

11月末、都心降雪による使用電力量増加のため、東電が節電を呼びかけた。



しかし、『週刊プレイボーイ』でコラム「古賀政経塾!!」を連載中の経済産業省元幹部官僚・古賀茂明氏は、発電量はあらかじめ増やすことができたと指摘する。あえて国民の危機感を煽ろうとする東電と経産省の思惑とは?



* * *


11月24日に東電が公表した節電要請にはあきれた。

この日は大雪のため、ピーク時電力供給4967万kWに対して最大需要電力は4821万kWと予測された。数字だけを見ると、その差はわずか146万kW。電力の安定供給には最低でも3%の余裕が必要なので、節電要請は正当なものに見える。


しかし、この秋に経産省で開かれた今冬の電力需給に関する検討会合の資料によれば、今年12月と来年1月の最大供給量は、なんと5350万kWもあるという



もちろん発電所を稼働するには、多少の準備作業が必要だが、大雪の予報は数日前から出ていた。東電はそれにもかかわらず、発電量を増やさなかったのだ。

なんのことはない。
東電は自ら発電量を絞り込んでおいて、降雪当日になって「電気が足りないから節電しろ」と利用者に呼びかけ、危機感を煽(あお)ったのだ。


その6日前、東電はこんなアクションを起こしている。福島市内の高校生13人を福島第一原発構内に招き、廃炉現場を見学させたのだ。11月28日付の日本経済新聞には、その際のやりとりが掲載されている。

「もし、東電が破産したら、廃炉事業はどうなるんですか?」

そう質問する高校生に、東電幹部はこう答えた。

「廃炉が進まないと、復興は進まない。東電を潰せばいいと言う人がいるが、東電がやらなくてはほかの誰が(廃炉を)やるのか。そのために3万3千人の社員ががんばっている」

東電の経営が安定するよう、みんなで支えないといけないーーこんな認識、ムードが世間に広まること。これこそが東電、そして管轄省庁である経済産業省の狙いだ。その理由を説明しよう。

 

当初、11兆円とされていた廃炉関連費用は20兆円を大きく上回ることが確実となった。東電が負担する廃炉の直接費用だけでも、年間800億円から数千億円に上ぶれするとされている。東電の純資産は2兆2千億円(16年3月現在)にすぎず、このままでは債務超過となる。

 

そのため、経産省は東電が経営破綻しないよう、廃炉費用の国民負担を画策している。新規参入の電力小売会社(新電力)が大手電力の送電網の使用代として支払う「託送料」に廃炉費用を上乗せしたり、特別の基金を設けるというアイデアもそのためのものだ。

 

いずれにしても、最終的には電気代に転化され、利用者=国民の負担となる。

ただ、このスキームづくりには“締め切り”がある。来年の3月末だ。そのときまでに東電の廃炉費用を国民につけ回す法的な根拠や仕組みが完成していないと、東電は決算ができない。監査法人が「廃炉費用調達のメドがないままでは資金不足となり、破綻しかねない」と、承認のはんこを決算書に押してくれないためだ。「破綻しかねない」と書かれれば、東電は信用を失い、銀行からの金融支援も受けられなくなる。

 

廃炉や損害賠償を国民負担なしで処理することは不可能だ。しかし、国民負担を強いる前にやらないといけないことがある。それは東電を破綻処理して、東電株を買った株主や債権者である銀行の責任を問うことだ。そうすれば、最終的な国民負担は兆円単位で減る。

「東電が破綻すると重たい国民負担が生じる」と原子力ムラは主張するが、それは大嘘なのだ。



●古賀茂明(こが・しげあき) 
1955年生まれ、長崎県出身。経済産業省の元幹部官僚。霞が関の改革派のリーダーだったが、民主党政権と対立して2011年退官。著書『日本中枢の崩壊』(講談社)がベストセラーに。近著に『国家の暴走』(角川oneテーマ21)

 

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