ニュージーランドのアーダン政権は、2009年以降に生まれた子どもが生涯にわたり、たばこを吸えなくするための法改正案を国会に提出した。
賛成多数で年内に可決、成立する公算が大きい。
現行法では18歳から喫煙可能だが、合法的に喫煙できる世代が次第に寿命を迎え減少し、やがて「たばこのない国」が誕生すると見込む。
加熱式たばこや電子たばこは一定の規制の下で当面は容認する。
同様の取り組みは、米国やフィリピンの一部自治体で行われた例があるが、国家レベルでの導入は世界で初めてとなる。
「人々が最初から喫煙を始めないようにすることに力を入れる」。
アーダン首相は、現在1箱30~40ニュージ上フンド(NZ)/(約2500~3400円)程度するたばこに税金をさらに上乗せしても、喫煙者を減らす効果は薄いと断言する。
7月に提出された法改正案によると、2009年以降に生まれた人にたばこを売った人は15万NZ/以下の罰金を科す。
譲った人も5万NZ/以下の罰金だ。
法改正案は、現在たばこを吸う大人を減らすことも目指す。
ニコチンを大幅にカットし、中毒になりにくくしたたばこ製品のみの販売を認める。
たばこを売る店も9割以上削減する計画だ。
ニュージーランドの成人喫煙率は10・9%。
平日昼間の首都ウェリントン中心部をしばらく歩いても、喫煙者はほぼ見かけない。
建物の陰に隠れるようにしてたばこを吸っていたイーモンさんは法改正が喫煙習慣を断ち切るきっかけになればと期待を寄せる。
「個人的には今すぐたばこ堅冗を違法にしてほしい」と話した。
たばこ業界は反発する。
ブリティツシュ・アメリカン・タバコ・ニュージーランドの広報担当者は「国内で販売されるたばこで既に11・5%を占める闇市場が拡大する危険がある」と話す。
オタゴ大のリチャードーエドワーズ教授は、密輸や密造といった闇市場のシェアが多少増えたとしても法改正で喫煙者全体が激減するという効果が得られれば問題ないと指摘。
「たばこ業界は闇たばこを問題視するが、正規品のたばこも人間を確実に殺すという意味では変わりない」と話した。