マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

登弥神社筒粥祭

2009年04月02日 07時46分14秒 | 奈良市へ
木嶋大明神を祭る奈良市石木町の登弥(とみ)神社で毎年2月1日に行われる「筒粥祭」神事がある。

別称に粥占いと呼ばれる神事は竹筒の中に米や小豆の粒がいくら入ったかを見て収穫する37種類の作物の豊凶を予祝する伝統行事である。

朝日が昇るにはまだ早い早暁の四時。

奈良市の石木町、大和田町、大和郡山市の城町(旧城村の東城、西城、主水山)の3カ字の氏子さんが集まってくる。

祓えの儀を終えて元禄八年(1695)と刻銘されている鉄製の大釜で小豆粥を炊いていく。

マメガラで起こした火は弾けるような音がする。

そのなかには38本(1本は心棒で予備筒)の竹筒が入れている。

炊き上がるまで凡そ1時間半。6時に竹筒を取り出して祭壇に供える。

前夜祭と呼ばれる祭典を終えると、しばらくはとんどで暖をとって、温めた竹のお神酒をよばれる。

その後の大釜はふるまいに出されるお粥を炊いている。

こげんように炊くのが難しいとおっしゃるご婦人方。

朝も明けた7時。拝殿に登って神事が始まる。

修祓、太鼓打ち、宮司一拝、献饌、祝詞奏上、玉串奉奠、宮司一拝、太鼓打ちで終えた筒粥祭神事。

拝殿から降り立った列席者。

その拝殿には供えられていた竹筒が置かれる。

白衣を着た氏子は筒をばらして一本ずつまな板に取り上げる。

もう一人の氏子が包丁で上から割いていく。

筒粥祭神事の本質はこの作法にある。

割いた竹に入っているアズキ粥。

いっぱい詰まっていれば「上々」それより少なければ「上」と量によって宮司が判断される。

その結果は今年の作付け奉書に記される。

「下」と出たピーマンに家庭菜園しているご婦人方はどうしようと悩まれた。

御戸開きとも呼ばれる粥占いの作法を終えた竹筒はずらりと回廊に並べられた。

その前には出来上がったお粥さん。

コウコの香物と一緒に食べればとても美味しいふるまい粥。

ゴマシオをふればさらに美味しくなる。

近年は訪れる参拝者も多くなり行列ができるほどになった。

(H21. 2. 1 Kiss Digtal N撮影)