老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

原発ヨイショのお為ごかしな物語をオーストラリア・ディーゼンドルフ氏が反駁する

2024-04-21 20:34:10 | 原発
4月7日付けのコラム「原子力発電は地球環境にやさしいのか」は、常々感じていることが多い内容の意見で、興味深く読ませていただきました。
特に「原子力発電はクリーンな発電方法である。原子力発電こそが現状で最も安定した電力供給ができる」等々のバイアスがかかった言説の問題性を指摘している点は大いに共感するところです。

見習い期間さんに触発され、核エネルギー推進者が用いがちな言説や物語の問題点を検討している海外の意見を少し調べてみました。その結果、オーストラリアにDiesendorfさんという方がおり、興味深い情報を提供しております。2016年と少々古いものではありますが、参考になる部分多いと思いますので、紹介したいと思います。

バイアスのかかった推進者側の言説・論理に対する反駁の力が弱いということと共に、彼らの言説・論理だけが、大手を振るってまかり通っている社会構造を放置し続けている、ということも我々社会が抱えている大きな問題点と思っております。
おかしいことには、ハッキリとおかしいということを言い続けること、そしてその反駁の論拠の正当性を高めていくことも大切と思っております。

「原発ヨイショのお為ごかしな物語をオーストラリア・ディーゼンドルフ氏が反駁する」
(Energypost.eu,2016年5月31日 Mark Diesendorfさんが記す)

オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学(UNSW)の学際的環境研究のMark Diesendorf準教授が、再生可能エネルギーを絶えず貶めることに専念している原発推進主義者らから発せられる「まことしやかな」物語や言説を信じてはならない、と主張している。そして準教授は、クリーンであり、安全な再生可能エネルギー技術が世界の電力需要の100%を供給できる潜在能力を持っていると述べる。
合わせて指摘していることは、入念に仕組まれ、そして市民を間違った方向に誘導することを狙った神話やある意図を持って語られる物語に、反駁することが第一に越えるべきハードルと指摘している。
彼らが語る神話や物語というものは、政治的な強者が、命脈が尽きかけている原子力産業を究極的に応援するよう仕組まれたものなのである。

多くの国において主要な炭素低排出型電力供給源として原発エネルギーと再生エネルギーの両者が、ライバル関係にあるとされている。

ここで再生可能エネルギー技術が、発電量ならびに投資額の点で著しい拡大を見せており、そして発電コストが大きく低減してきている。しかしこの推移の進行につれて、原発を推進する人々や気候科学を否定的に見る人々らが、再生可能エネルギーに対する否定論者になってきているのである。

再生可能エネルギー否定論者らの戦略と戦術は、気候科学を否定する人々の用いるそれらと非常に良く似ている。
産業界向けの電力源として、再生可能エネルギーは能力の面、そして確実性の観点から劣っており、問題であるという風潮を作りだすことを狙っている再生可能エネルギー否定論者らは、政策決定権者らやメディアに対して再生可能エネルギーに対するマイナスの神話を、そして原発エネルギーに対してはプラスの神話を植え付けようと奔走している。
彼らの狙いは、これら二つの神話の間の争いが通俗的・世俗的なものであり、重大な問題ではない、との認識を市民に持ち込もうとしていると言える。

異常気象に対処するため、原発エネルギーと再生可能エネルギーの両方に充分な投資を行えるに足る経済的資源を持っている国は、ほとんどないのである。このことは、2016年の英国の対応を見れば了解されるだろう。即ち2016年英国は原発エネルギーに対しては長期に亘る補助金政策を提供し、一方で再生可能エネルギーに対しては既存の短期的補助金の厳しいカット政策を持ち込んだのである。

この記事は、原発や石炭火力などのベースロード発電所が必要だとする神話や物語に反駁する記事の続編であり、原発エネルギーと再生可能エネルギーに関連するその他の神話・物語の幾つかを批判的に検証することを目的にしている。これらの神話・物語に疑念を持つ人々へ役立つ情報を提供することを狙っている。ここで検証する神話・物語は、メディアや論説文やブログ・オンライン上のコメントで見受けられる原発推進者や再生可能エネルギー否定論者らが発しているコメントから引用している。

神話・物語1:ベースロード発電所は、ベースロード需要を供給するために必要だ。
変形例:ベースロード発電所は、不規則で安定していない再生可能エネルギーをバックアップするために、常時運転しておく必要がある。
変形例:再生可能エネルギーは、大規模な電力供給の為の主要な電力源と見なすには、あまりに不規則であり不安定性である。

これらは、既にDiesendorf氏の以前の記事(RENEW ECONOMY,2016,March 18)で反駁済みである。【この紹介は別の機会に行う予定です】

神話・物語2:原発エネルギーには、復興(ルネッサンス)がおきている

世界の原発の発電量は2006年にピークを打っている。世界の総発電量に占める原発の寄与は1993年の17.5%をピークとして以降は下降しており、2014年時点では11%を下回っている。現在の原発に対する年間投資額は、風力への投資額および太陽光への投資額のいずれに対しても下回っている。直近の10年間、新規原発の数は、既存原発の閉鎖の数とほぼ一致している。欧州の幾つかの国では原発が消滅の方向に移行しつつある。そして反対に原発リアクター建設を推進している国があり、それらは中国・ロシア・インドそして韓国である(世界原子力産業レポート2015からの引用)。

神話・物語3:再生可能エネルギーは、直ちに化石燃料の代替えとはなり得ず、低炭素型のエネルギーを充分供給するには、主張されている 移行期に発生するだろうギャップを埋めるために、原発エネルギーが必要となるだろう。

既存の原発の大半は第二世代に分類され時代遅れになっていると見られている。現在の新しい世代の原発は、第3世代および第3+世代に分類される。これまで、4基の第3世代原発が日本で稼働しているが、それらの稼働実績は貧弱なものである。第3+世代の原発は欧州で2基、アメリカで4基そして中国で数基が建設中である。従ってその稼働はまだである。そして第3+世代の建設スケジュールは遅れており、必要予算も超過傾向になっているという。例えば欧州の建設費は予定の3倍に既に膨らんでいる。
高速増殖炉・統合型高速炉・小型モジュール炉などの第4世代原子炉は一つも市場に出回っていない状況にある(World Nuclear Industry Status Report 2015より)。
従って、新式原発はまだ準備できていないのが、現在の状況である。

一方、風力と太陽光はどちらも急速に成長しており、そしてコストの低減化が今も続いている。大規模な風力や太陽光の発電計画があり、2-3年で建設が終わる予定となっている(原発には10~15年の建設時間が要する)。従って風力と太陽光による発電で、今すぐにでも化石燃料や原発を置き換えることが可能なのである。

神話・物語4:民生向け核エネルギー利用と核兵器の拡大・拡散は別物だ。
変形例:核兵器の爆発物は、通常の原子炉で作られるプルトニウムからは作れない。またトリウム核燃料サイクルやIFR(統合型高速炉)で作られるものからも、核兵器の爆発物は作れない。

6カ国(フランス・インド・北朝鮮・パキスタン・南アと英国)は、核兵器開発を支援するために民生用原子力エネルギーを秘密裏に利用してきた。加えて、少なくとも7カ国(アルゼンチン・オーストラリア・ブラジル・イラン・リビア・韓国と台湾)は同じく民生用原子力エネルギーを利用して核兵器の開発を秘密裏に開始していたが、その後計画を中止している(Diesendorf2014の参考文献より)。このように、核エネルギーは核拡散を促進し、それにより核戦争の危険性を高めるのである。そして例え核戦争の可能性は低いとしても(この点に関しては議論の余地がある)、潜在的な打撃の大きさは計り知れないものである。従って民生用原子力エネルギーが持っている、核兵器の拡散リスクは軽視出来るものではないのである。
トリウム原子炉はインドで開発中。トリウムには核分裂性が無いため、まず中性子を照射してウラン233に変換する必要がある。ウラン233は熱を発生させたり、電気を作りだしたり、各爆発物としても利用できる。ウラン233を使用した核兵器はアメリカ(ティーポットMETテスト)、ソビエトとインドでテストされている。

【参考情報:トリウムとは、原子番号90の元素で地殻中に豊富に存在。トリウム232が中性子を吸収するとトリウム233となり、β崩壊によりプロトアクチニウム233を経由して最終的に核燃料のウラン233が生まれる】

一部の核推進者らは、仮定を前提とした上で、IFRというものは核拡散に対して防止効果があると誤った主張を行っている。IFRはこれまで1基の試作機がアメリカで運用されたのみである。だが、このプロジェクトは資金面・必要性についての疑問・潜在的な核拡散能力についての懸念などの理由から1994年に議会で中止に追い込まれた(Kerry 1994)。

IFRには少なくとも2つの核兵器の拡散を拡大する経路があるとされる。
一つの経路は、核放射性の高い核分裂生性物の大半を、焼成手段を用いて放射性の低い超ウラン性物質から分離することが出来れば、通常の化学処理を用いて、分取した放射性の低い超ウラン性物質からプルトニウム-239を抽出することは容易に出来ることになり、それを使って核兵器が作れるのである。
もう一つの核拡散に結び付く経路はウラン238から兵器級のプルトニウムを製造できるようにIFRを改造するやり方である(Wymer et al. 1992参照)。

【IFTとは:統合型高速炉(Integrated Fast Reactor)。設計コンセプトとして、燃料のリサイクルを取り込み、発電プラントと燃料の再処理施設を同一サイトで実現することを狙った原子炉のことを指す】

神話・物語5:チェルノブイリの死者数は28~64人だった。

これらの不条理に低い推定値は、急性放射線症候群による短期間の死亡のみを考慮し、死亡率の主要要因である数十年に亘るガンを無視することで生じる。推定死亡者数については幾つか出されており、IAEAの国際機関の一つのチェルノブイリフォーラムの推計(2006)が最少であり、4000人未満としている。IAEAは核拡散に反対の立場と原発事故の未然防止安全対策を推進するという立場とともに、一方では核エネルギー利用の推進の立場をとるという、相反する考え方を持っている組織である。
かかる利害関係を持たない立場の推計値として、国際がん研究機関が発表の16,000人からウクライナ・ソビエト等からの国際的医学研究者団体が発表の93,000人まで存在している。

神話・物語6:高レベル核廃棄物の永久貯蔵の問題は解決している。

すべての高レベル核廃棄物は現在、プールまたは乾式キャスクに一時保管されている。世界には永久的保管を行う場所は一つもない。アメリカのユッカ山で提案されている保管場所の開発は135億米ドルを支出した段階で中止されている。スウェーデンとフィンランドで地下保管庫の建設が進められている。例え、技術的及び経済的な課題が解決できたとしても、保管を10万年間管理し、隔離を続けることへの社会的な問題が未解決で残るのである。

神話・物語7:IFRが世界の核廃棄物を燃やし、消失することになるだろう。

IFRは設計としてのみ存在している。もしも開発されたとしたら、また別の核拡散の経路の誕生となるだろう。せいぜいが、大半の超ウラン物質を核分裂生成物へと変換する程度であり、高放射性核分裂生成物を保管するのに地下の長期保管庫が依然として必要となる。
IFRやその他の「新しい」原子炉設計の問題の詳細は、最近エコロジスト誌に再掲載されたAmory Lovins氏の2009年の古典的エッセイ「“New" nuclear reactor? Same old story」を参照のこと。

神話・物語8:原子力エネルギーは、温室効果ガスを全く排出しないか、またはごくわずかしか排出しない。

原子力エネルギーもほとんどの再生可能エネルギー技術も運転中のCO2排出はない。ただし、意味ある比較を行うには、原材料の採掘から廃棄物の管理までに至るライフサイクル全体を比較する必要がある。核物理学者で核エネルギー利用支持者のManfred Lenzen氏は、高品位のウラン鉱石の採掘を前提として、原子力エネルギーのライフサイクル平均排出量がkWhあたり60gのCO2となり、風力発電の場合は10~20gのCO2、天然ガス発電では500~600gとなると算出している。

ここにおいて、大半の核エネルギー推進派が無視をし、誤って伝えようとする部分が登場する。即ち、高品位のウラン鉱石の埋蔵量は、世界にあと数十年分しか残っていないことである。ウラン鉱石の品質が低下すると、ディ-ゼル燃料を用いるウランの採掘と粉末化工程に使用する燃料が増大し、その結果GHG排出量も増加することになる。Lenzen氏は低品位ウラン鉱石を使用すると、ライフサイクルGHG排出量が131g/kWhになると計算している。そして131g以上の、もっと大きい排出量を算出している人もいるのである。

このような大きなkWh当たりの排出量は気候科学の観点から容認できないものである。
低品位ウラン鉱石の採掘を再生可能エネルギーで行うとか、バーナー型原子炉の代わりに高速増殖炉を使用するという条件の場合に限って、核エネルギー利用によるGHG排出量を許容できる範囲に抑えることが出来るが、これら両方の条件とも少なくとも今後数十年以内にクリア出来ることは無さそうなのである。
このトピックの詳細はKeith Barnham氏の「False solution:nuclear power is not low carbon」を参照のこと。

神話・物語9:原子力エネルギーは、送電網において再生可能エネルギーの適切なパートナーである。

原子力推進者らは必要に迫られて、上手い話を作るもので、「新しい」原子力と再生可能エネルギーの両方を同じ送電網に送り込むことが出来ると主張している。しかしながら、変動型再生可能エネルギーが電力供給システムに対して大きな貢献をする上で原子力エネルギーが望ましいパートナーではないということが、次の4つの理由から明らかである。
(1)バイオ燃料の使用が出来る開放型ガスタービンによる発電やダムを備えた水力発電や蓄熱装置を備えた集中型太陽熱(CST)と比べて、原子炉の稼働は柔軟性に欠けるといえる。風力発電と太陽光発電は、柔軟性があり配電可能でありバランスのとれた形で大量のエネルギーを供給可能である。
(2)原子力発電所が故障すると通常数週間から数カ月が停止状態になる。それに対して、風が凪いだことによる風力発電の停止は普通数時間から数日であり、従って風力発電はベースロード発電施設から高額なバックアップを必要としないのであり、充分に、柔軟性のある配電可能な再生可能エネルギーだと言える
(3)風力発電と太陽光発電の運転は、原子力発電や化石燃料発電に比べて安価である。それ故に風力と太陽光発電とは電力業界に経済的メリットを与えることになり、ベースロード運転から原子力電力を切り離すことになり、ベースロード運転システムの巨額なコストの返済の役に立つことになる。
(4)再生可能エネルギーと原子力エネルギーとは、政府の乏しい財政と補助金政策状況のなかで競合関係にあり、例えば英国政府はHinkley C に対し約束している巨大補助金を行っているが、一方では風力発電や太陽光発電に対しては補助金撤廃をしている。

神話・物語10:原子力発電炉は、通常は需要や負荷の変化に追随して柔軟に運転ができるものである。

技術的および経済的な2つの面からの制約が総発電量の77%を原子力発電から賄っているフランスで実証されている。現行世代の原子炉は負荷追随型には設計されてはいない。従って、フランスでは運転サイクルの開始当初の時点、即ち燃料は新しくそして予備の反応性が高いという条件下でのある時間においてのみ、負荷追随型モードでいくつかの原子炉を稼働が出来るとしている。しかし運転サイクルの後半に負荷追随型モードを継続することはできない。この点は、世界核機関によって承認されている。

負荷追随はベースロード発電所にとって次の2つの経済的不利益をもたらす。
・効率の低下により、維持費のコストがかなり増大することになる。
・電力需要閑散期の期間の収入が減少する。しかし、高額な資本コストを返済するには、出来る限り定格出力で、原子炉を運転することが求められるのである。

フランスでは余剰の原子力エネルギーを、送電線を通じて近隣諸国に売却することで2番目の経済的ぺナルティーを軽減している。一方オーストラリアの一部では余剰のベースロード石炭エネルギーを水の加熱用に用いている。

脚本・物語11:再生可能エネルギーは原子力エネルギーよりも費用が掛かるものだ。
変形例:原子力エネルギーが受け取る補助金は、再生可能エネルギーが受け取る額よりも少ない。

両方の神話とも間違っている。
エネルギーの平均コスト(Levelised costs of energy:LCOE)は、その場所に設置されたユニットの数、設置場所、投下資本コスト、金利および設備利用率(実際の平均出力を定格出力で割ったもの)に依存して異なる。原子力発電所のLCOE推定額はIPCCの2014以前のデータによると$108/MWh、多国籍金融コンサルタントLazardの2015以前のデータによると$97-132/MWhである。
IPCCの推定コストには補助金が含まれておらず、一方Lazardの推定値には借入保証と廃炉(decommissioning)を除いて連邦政府の補助金が含まれている。

これらアメリカの推定額のいずれもが、建設中の欧州の2基の加圧水型原子炉(European Pressured Water Reactors, EPR)のコストの大幅な高騰を考慮していない(MYTH3で言及)。
英国向けに提案されているEPRであるHinkley Cは、電力の卸売価格の2倍以上である£92.5/MWh (US/MWh) ( 2012 年為替換算)から始まる35年間のインフレ連動保証電力価格が、当初£100億(153億ドル)の借入保証付きで提案されている。

事故や不充分な保険に対する上限付き債務が英国の納税者らに、降りかってくることが予想される。

2015年にLazardはアメリカ全土の陸上風力発電の補助金なしのコストを32~77米ドル/MWhと見積もっている。アメリカエネルギー省による独立した実証研究によると、2014年の風力発電の平均電力購入契約価格は、風速が最も大きいアメリカ内陸部では22米ドル/MWh、風速が最も小さい西部地域では60米ドル/MWhとしている。アメリカ政府は風力発電に対して、10年間23米ドル/MWhの生産税額控除の補助を行っているため、実際のコストを求めるには、この23ドルをアメリカエネルギー省の実証研究で得られている数値に加える必要がある。

ブラジルでは、2014年の逆オークション(通常の売り手が最高値の買い手を選ぶ方式でなく、買い手が最安の売り手を選ぶ方式)において、補助金なしの平均清算価格129.3レアル/MWh(41米ドル/MWh)で契約が落札されている。

Lazardの見積もりでは、アメリカの日射量の多い地域における大規模太陽光発電のコストは、補助金無しの条件で50-70米ドル/MWhである。アメリカ・ニューメキシコ州において、57.9米ドル/MWhの電力購入契約がMacho Springsの50MW太陽光発電所からの電力に対して締結された。連邦政府と州政府からの補助金を勘案すると、実際のコストは場所の違いにより、80-90米ドル/MWhとなる。
チリ・ブラジル・ウルグアイでは、補助金なしの逆オークションにおけるコストは同じ範囲にある(Diesendorf 2016)。

「メーターの裏側Behind the meter、BTM」にあると考える家庭や工場等の屋根設置型太陽光発電装置の発電コストは、固定価格買い取り制度がない条件下であっても、日射量が中程度~高程度である世界の多くの地域において、地域の電力会社が提供する電力価格と競争力がある。

蓄熱を備えたCSTに対しては、Lazardは119~181米ドル/MWhと見積もっている。

原子力と再生可能エネルギーの補助金を比較することは困難である。補助金の量と種類は国ごとに大きく異なり、原子力補助金には以下の一部またはすべてが含まれる場合がある(Disendorf, 2014)。・研究開発、ウラン濃縮、廃炉そして廃棄物の管理に対しての政府の資金提供;
・ローン保証;
・納税者および電気料金支払者により支払われた座礁資産;
・被害者と納税者によりカバーされる必要のある事故が起こった際の有限責任;
・相違点に対する寛大な契約内容。

原子力発電所への補助金は過去50年間に亘り、一定を維持するか、あるいは増大傾向で推移している。一方、再生可能エネルギーへの補助金は、特に固定価格買い取り制度への補助金は過去10年間に大幅に減少(場所によってはゼロに)している。

【参考情報:BTMとは、電力会社が持つ電力メーターまでのインフラでなく、電力購入利用者が持つ電力メーターの裏側の電力利用者の持っているインフラを指す】

神話・物語12:再生可能エネルギーは非常な広がりを必要とするもので、従って巨大な面積の土地を要求するものである。

水力発電用ダムやバイオ燃料向け作物の栽培用地は大きな面積を要する可能性があるが、しかしながら再生可能エネルギーのシナリオの中には、これらの資源から追加的に大きな貢献分を要求するものはほとんどない。
地上に設置の太陽光発電ファームは大きな土地を占有する可能性があるが、それはしばしば耕作限界地を占有する形式なのである。
ドイツとオーストラリアで広く見られる屋根に取り付ける太陽光発電装置や農作物からの残渣をバイオ燃料とする方式では追加の土地は必要としない。
陸上風力発電ファームは通常良く農耕地に設置され、風力発電装置と農耕との相容性・親和性が高いのである。占有される土地面積は通常1-2%であるが、再生可能エネルギー否定論者らは、往々にしてこの点を無視してより広範な土地を占有しているとする間違った土地面積を引用するのである。

オーストラリアのエネルギー市場向けにその必要量の100%を再生可能エネルギーで賄う場合の経済的に最適な再生可能エネルギーの組み合わせを計算すると、km2/TWh/年で表示する場合、100%の再生可能エネルギースキームで必要とされる土地面積は、仮定上半径20kmの緩衝地帯を設定する必要のある原子力発電施設に要する土地面積の約半分で済む、としている。
この原発施設に対して、仮定上半径20kmの緩衝地帯を設ける必要があるとする条件は、福島第一原発事故が原因で、遅ればせながら導入されたものである。

神話・物語13:再生可能エネルギー技術のエネルギー回収期間(金額ではなくエネルギー単位ベース)は、その設備のライフタイムに匹敵する期間である。

現在のエネルギー回収期間の典型的な年数は:太陽光発電モジュールは0.5~1.8年、大型風力タービンは0.25~0.75年、CRT(パラボラボウル)は2年、核(高品質ウラン鉱石)6.5年、核(低品質ウラン鉱石)14年である。これら数値の範囲は、エネルギー回収期間、および投資したエネルギーに対するエネルギー収益率に関連する考え方が、技術の種類や場所によって異なるという事実を反映していることになる。

再生可能エネルギーを批判する人達は、それぞれの再生可能技術が化石燃料を利用する発電施設から継続的にバックアップ支援を受ける必要があるとの間違った仮定を導入することで、より大きいエネルギー回収期間が提示されるようなことを、しばしば行うのである。

神話・物語14:デンマークの電気料金は風力発電エネルギーからの寄与が大きいことから、欧州で最も電気料金が高い国のなかの1つである。

デンマークの電力料金は、欧州の中で最も高い部類に属する。理由は電気代に対する税が非常に高いことによる。この税は連結収入に組み込まれるが、風力エネルギーに対しては補助金が投入されないのである。税を除いて電気料金を比較すると、デンマークは欧州の中で平均程度に位置している。デンマークの風力エネルギーは、小売電力価格の極わずかな値上げ分を原資とする固定価格買い取り制度によって補助されているが、多額な風力エネルギーの寄与による卸売・大量販売価格の下落により相殺されている。

神話・物語15:80~100%再生可能電力使用を想定した送電網の運用に関するコンピューターシミュレーションモデルは、実際のシステムを無意味に過大に単純化している。

シミュレーションモデルは確かに現実の簡略化されたバージョンだが、様々なシナリオを調査するための強力な低コストの武器となるものである。大半のモデル作成者らは、対象とする変数の間の幾つかの基本的な相関関係を理解することを目的として、単純なモデルから検討を始めるのである。次いで、理解が深まるにつれて段々とモデル作成者らはより現実的なモデルを作り上げていくのである。
例えば、オーストラリア・ニューサウスウェールズ大のグループは、当初100%再生可能エネルギーによるオーストラリア全国電力市場の運営を1年間にわたる時間単位の段階でシミュレ―ションした。風力発電所は既存の場所でスケールを拡張するだけの処理を行った。

次に検討したモデルでは経済データを含めることをおこない、再生可能エネルギー技術の経済的に見た最適な組み合わせを算出している。ついで低炭素型化石燃料シナリオとのコストの比較を行っている。

最近、シミュレーションは6年間の時間ごとのデータに拡張され、再生可能エネルギーの供給地域は43のサブ地域に分割がほどこされ、そして非同調供給性について一定の制約を課すことを行っている。この様なモデルの精密化を行ったうえでも、100%再生可能エネルギーシステムは信頼性があり、そして経済的有利性があることが認められている。

一方、スタンフォード大の研究者らは、輸送と熱を含むアメリカでのすべてのエネルギー使用が再生可能電力で賄える可能性があることを示している。彼らのコンピューターシミュレーションでは、6年間にわたる30秒ごとの取得された電力需要、風力、太陽光に関する合成データが利用されている。合成データを利用することにより、モデルを使って研究を進める研究者らは、天候の大きな仮定上の変動をも含めていくことが出来るようになる。
この様な感度分析手法はモデルの効力と信頼性を高めることになる。

奇妙なことに、電力システムのシミュレーションモデル化作業を最も声高に批判する人々の中には、専門分野として物理やコンピューター科学や工学や応用数学の資格を持ってはいない人々がいる。例えばオーストラリアでは、2人の生物学者、1人の社会福祉学者、1人の作業療法士が含まれている。

(結論)
コンピューターシミュレーションモデルの進展および増大する実践的経験によって、多くの地域で、恐らくは世界中の地域で電力の供給が100%再生可能エネルギーから調達される状況へと、移行していく可能性があることが示されている。再生可能エネルギー技術の大半は市場で入手可能であり、価格は手ごろであり、そして環境に優しいのである。
かかる移行を遅らせるような理由は、現在の再生可能エネルギーの技術及び経済性には存在していないのである。
原発推進派や他の既得権益受益者や支持者らが拡散している原発推進や再生可能エネルギー反対の神話と称する作り話は検証に値しないものである。政治的意思を持って進めて行けば、第3世代や第4世代の原発が意味ある電力供給をおこなう時期より、はるかに早く再生可能エネルギーのスケールアップにより、世界の電力需要が100%再生可能エネルギーから調達できるという時代がくることになるだろう。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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原子力発電は地球環境にやさしいのか

2024-04-07 20:05:48 | 原発
原発が相次いで作られた時代に盛んに繰り返された、「原子力発電はクリーンな発電方法である」という主旨の言説がここにきて蘇っているようだ。SDGsの7番目の目標に掲げられた「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」を意識し、原子力こそがカーボンニュートラルで持続可能な発電方法であるとして、日本政府が進めようとしている原発回帰の根拠ともなっている。

原発回帰を進めようとする人、あるいは否定しない人たちは、一見すると中立で多角的な情報源をもとに、原子力発電こそが現状では最も安定した電力供給ができ、かつ環境への負荷が少ないと訴えているようだが、実際には原子力発電に有利な情報を選んでいて、必然的にバイアスがかかった内容に見える。

NHK高校講座で開講されている理科科目のひとつである「科学と人間生活」では、生活に必要な電力をいかにして発電しているのかを説明している。原子力発電のデメリットや福島第一原発事故だけでなく東海村臨界事故にも言及し、万が一事故が起きた時に甚大な被害が出るというリスクについても説明している。しかし、あくまでも発電方法やメリット・デメリットを知るにとどまっている印象を受けたのも事実だ。

たしかに、現在の技術では再生可能エネルギーでは電力供給が不安定かもしれない。しかし、それらを克服するためにどのような研究開発が行われているのかなどを紹介してもいいのではないか。

水力発電は気候変動の影響を受けやすく、干ばつが原因で発電できなくなってしまうのであれば、まずは省エネと再エネで気候変動問題に対処することが先だろう。

さらには、原発もまた気候変動というよりも端的に温暖化の影響を受けやすいようだ。気温上昇に伴い、冷却水として用いる湖沼、河川、海水の水温も上昇し、冷却水として使用できない事例もすでに発生している。大半の原発を海岸に設置している日本でも冷却水として使えなくなる可能性がある。

また、気温の上昇による海面上昇問題も、原発に大きな影響を与えることは想像に難くない。浸水の危険性があり、高潮と暴風雨が重なった場合には水没する可能性もあるだろう。

冷却に使用された後は海水温よりも7℃近く高くなって海に戻されるのであれば、海水を冷却に使用すること自体が海水温の上昇につながり、SDGs目標14「海の豊かさを守ろう」に反することになってしまう。

SDGsの目標16には「平和と公正をすべての人へ」とあるが、原発では労働者の被ばくが前提とされていて、事故が起きた場合には環境だけでなく人間にも甚大な被害をもたらし、10年以上経っても収束できないのが現実だ。すべての人が平和に暮らせる手段ではないことは明らかである。

自分たちがやりたいことに対しては多少のリスクもデメリットも厭わないのに、消極的な事柄についてはリスクとベネフィットを対照することもなく、デメリットを克服しようとも試みない。公平な観点から原子力発電こそがもっともクリーンエネルギーだという考えを今一度見直していただきたい。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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小出裕章氏の原発事故の本が中国語に翻訳出版

2023-11-28 20:35:54 | 原発
小出裕章氏の『100年後の人々へ』(集英社)が中国語に翻訳され、香港で出版されました。⤵

https://m.facebook.com/story.php?story_fbid=pfbid02W6EF7v4HUnU3u2PynBB3MgU9bGcXAmeHTQnqckC5sLiEKcjwcapmdc9utULZ7uR1l&id=748403086&mibextid=Nif5oz

広告文「膨大な歴史の中で、偶然に「出会う」人もいるでしょう。 これは奇跡です。 個性豊かな人々の出会いは、新しいものを生み出す源です。本との出会い!」←google翻訳

中国語で「原発事故」について、お読みになりたいお知り合いがいらっしゃるようでしたら、是非お勧めください。

初文出版社(香港)で、78香港ドル、香港・台湾で発売されるそうです。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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コミュニケーションと倫理を欠く社会

2023-09-11 09:41:51 | 原発
現在の社会情勢を見渡すと、戦争や相次ぐ自然災害など長期的に向き合って地道に対処しないといけない現象事象にあふれている。

暦の上で秋になってから一ヶ月以上経っても続いている猛暑は、あたかも災害であるかのごとく論じられているようだ。しかし、実際にはこれまでの人類の生活によって地球温暖化が進んだ事実は、世界中で共通認識となっているだろう。

市民に常に忘却を迫るように連日あらゆる報道やコンテンツが生産され、消費するように仕向けられている。しかし、そんな中でも決して忘れることができないのが、このコラムでもしっかりと記憶にとどめようとしている汚染水海洋放出の問題である。

農水相が公の場で「汚染水」と言ったことは「失言」とみなされているが、筆者にはフロイトのいうところの「失錯行為」とも解釈できた。何かの拍子に普段は無意識の範疇に抑圧しているはずの事柄が意識の範疇で認知できるようになることを指し、夢や言い間違いなど日常的に経験する現象である。

今回の場合も、汚染水の放出を決めた人たちは、現時点では放射性物質が基準値を下回っている点などを拠りどころにして、あくまでも安全に処理された水を海に流して最終処分するのだと考え、世界全体に対しても理解を求めているのだろう。だが同時に、たとえ基準値を下回っているにしても30年間放出し続けることへの懸念や放射性物質以外にも害のあるものを放出するのではないか、放出している間に新たな災害の発生などで汚染水放出を中断することもありうる、などの不安や懸念を彼らは無意識の領域に押しやっていると考えて間違いない。

舵取りをする人物たちが、人間として生きることに直結した根源的で重大な疑問や課題を無意識に抑圧しているのだと、一般市民たちが生きる社会の側では気が付いているのではないか。

生命にかかわる問題や各人のQOLを脅かすような懸念を、ステークホルダーもそうでない一般市民たちもすべての人たちが認識している。だからこそ、専門知を持たない世論の側からの問題提起や疑問の表出と向き合わず、汚染水の海洋投棄を開始する数日前になってようやく漁業関係者に「理解を求める」のだろう。

欧米の後追いで形だけ真似しているかのように見えるが、近年では自然科学の研究とそれらの知見を活かした科学技術分野においてELSI(Ethical, Legal and Social Issues)やRRI(Responsible Research and Innovation)を考慮すべきであるとの声が聞こえてくる。

しかし、原発事故によって作り出された汚染された土も水も最終処分にいたるまでには世論を聞き入れることはなく、社会的な課題に十分に向き合い対話しようという意思は感じられない。

ましてや原発事故の汚染水を海へ廃棄することは過去に前例がなく、まさに新しい科学技術的な問題に該当する。それにもかかわらず、世界全体での公共財でもある海を汚染すること、ヒト以外の海洋生物の生命に何らかの影響を与える可能性があること、といった倫理的な課題とも向き合わない。さらには政策の意思決定に専門知の外側にいる市民が関与していない点も倫理を欠いた合意形成プロセスに思われる。合意というよりも一方的な同意を求めているようだ。

日本では学問を軽視している現実、特に人文科学と基礎科学をないがしろにしていることは明らかである。科学技術と関わる倫理、法、社会の問題の中でもとりわけ倫理的な側面から生じる問題にたいして様々な立場の人が関与して方向性を定めなければならない。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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原発はやっぱり怖い

2023-06-12 21:33:36 | 原発
過日、護憲+の会に参加されたメンバーから、お礼とお知らせが届きました。皆様、ぜひお聞きください。
―――――
福島原発に関する最新情報です。
私は先ほど、聴きました。
非常に怖くなりました。

西谷文和 路上のラジオ「震度6強でフクイチ1号機倒壊?」森重晴雄さん
https://youtu.be/YtVAfs7FhZQ
――――――
福島原発については、こうした情報と楽観的な情報との間に乖離がある。もちろん日本に原発が存在する以上、何もなく落ち着いていけば助かると思うが、そうもいかないのでは?と、皆も薄々気づいているのではなかろうか。

それでも直視しても、自分ではどうにもできないと思っているかもしれない。確かに地震や津波といった自然の起こす災害自体は、私たちは何ともできない。でも、それが起きた時に少しは災害を小さくすることはできるのではないか。

例えば福島第一原発は、一部の学者が指摘していたように、万一を考えて電源施設を高台に作っておけば、かなり防げたかもしれない。

しかし、原子力は果たして人間がどこまでコントロールできるものなのか。何も起こらなければ大丈夫というのは、コントロール出来ていることにはならない以上、原発を廃止する方向を目指すことしかない。

福島第一の事故後にドイツは脱原発を目指した。現存のエネルギーに今は頼りつつも、方向性を自然エネルギーに切り替えたことで、問題になっている効率性などの研究も進むだろう。

日本の「原発は安上がりだ」という論は本当だろうか?
国土の喪失も含め多大な損害を引き起こし、後始末さえまだできていない(果たしてできるのか?)福島のような万一の事故を除いても、毎日出てくる放射性廃棄物の後始末や、老朽化しての解体コストまでを入れたら、赤字になるだろう。米国は原発の高コストをきちんと認めているそうだ。

国家予算すなわち税金からの原発へのつぎ込みは、他の電源開発とは比べ物にならない。また、予算をつぎ込んでいる放射性廃棄物の再処理システムは、失敗しているのが現状だ。費用対効果だけを考えても「再処理の成功は無いだろう」というのが世界の方向。原発は安くない。

そろそろ私たちも、原発に税金をつぎ込み、国民を放射能の危険にさらす政治家を選ばないようにする。つまり脱原発の方向を定めても良いのではないだろうか。

参考
ドイツの電力事情 
https://www.renewable-ei.org/activities/column/REupdate/20230425.php

原発推進派の原発コスト計算
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/tokushu/nuclear/nuclearcost.html

原発ゼロ・エネルギー転換戦略のコストへの言及
https://energytransition.jp/strategy/qa/nuclear

原発の本当のコスト 39ページありますが、ぜひご一読を。
https://www.foejapan.org/infomation/news/110419_o.pdf

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
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怖くない? 老朽化原発

2022-12-04 14:50:49 | 原発
政府はこの10月、原発運転期間を原則40年と定めた原子炉等規制法の規定を削除することを容認すると言い出し、経済産業省資源エネルギーの審議会では、11月8日に原発運転期間の上限を撤廃する案、運転期間から休止期間を除外する案を示しました。

福島原発事故では、放射能汚染で立ち入り禁止区域となった肥沃な美しい土地は337㎢に及び、そこに住む人々の生活を根こそぎ失わせました。避難者は当時16万人を超えています。

こうした危険性をはらむことを知りながら、老朽化した原発を動かそうとしているのです。

反対署名は12月一杯。もうなさった方もいらっしゃると思いますが、まだの方で、ご賛同なさる方は是非どうぞ。
https://foejapan.org/issue/20221010/9607/

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より

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反戦平和 暮らし人権を護れ 脱原発!反原発、反核、核兵器禁止条約に! 消費税半減、税金の応能負担、子供の将来を護れ、ローン地獄を残すな 生活を護れ! 貧困も政府の責任

2022-06-21 16:37:40 | 原発
山口二郎 @260yamaguchi 2022年6月17日·Twitter
『日本の裁判所が単なる統治機構の一翼に過ぎないことを確認した一日だった。いまさらそんなことを嘆くなといわれそうだが。長期政権が最高裁判事の任命を統制すれば、こういう結果が出てくるのも当然。裁判所も多数の専制の片棒を担ぐ。』
https://twitter.com/260yamaguchi/status/1537792075588304896

小沢一郎(事務所) @ozawa_jimusho 2022年6月15日·Twitter
『全部、人のせい。自分たちの失敗の責任は絶対に認めない。子供、あまりに幼稚、あまりに醜い、これが日本の政権与党、自民党。こんなんで国が良くなる訳がない。政治とは責任。自民党は、10年間やらかした責任を取るべき。岸田政権こそ、最悪の人災。いい加減に刮目すべき時。
===
news.ntv.co.jp 「岸田首相 ロシアによる価格高騰「有事の価格高騰」だと強調 岸田首相は、日本の消費者物価上昇はほとんどがエネルギー・食料品価格の上昇だと述べた上で、ロシアによるウクライナ侵略が世界各国で国民の懐を直撃している、まさにロシアによる価格高騰「有事の価格高騰」だと強調した。」』
https://twitter.com/ozawa_jimusho/status/1537061801736945664

以下、【原発避難最高裁判決】と関連の各紙社説ご紹介 あれこれ吟味、今後にお備えください。

原発事故で国の責任認めない判決 「実際の津波は試算された津波と規模異なる」避難者訴訟で最高裁が初判断 【東京新聞】2022.06.17 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/183789

【社説】原発事故国の責任否定 原発政策への信頼失墜 【琉球新報】2022.06.19 https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-1535494.html

【社説】原発最高裁判決 復興と安全は国の責務だ 【西日本新聞】2022.06.19 https://www.nishinippon.co.jp/item/n/942558/

【原発避難判決】「想定外」なら免責なのか 【高知新聞】2022.06.19 https://www.kochinews.co.jp/article/detail/572334

【社説】原発賠償判決 納得できない国の免責 【京都新聞】2022.06.19 
https://www.kyoto-np.co.jp/articles/-/817445

【社説】核禁会議不参加 被爆国の責務放棄した 【北海道新聞】2022.06.19 
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/695280

【社説】[原発避難者訴訟]国の主張 追認する判決 【沖縄タイムス】2022.06.18 https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/977002

【社説】[原発避難者訴訟] 国の責任否定は疑問だ 【南日本新聞】2022.06.18 https://373news.com/_column/syasetu.php?storyid=157904

【社説】原発避難者、最高裁判決 国の責任なぜ認めない 【中国新聞】2022.06.18 
https://www.chugoku-np.co.jp/articles/-/176995

【社説】原発最高裁判決/誰が安全の責任負うのか 【神戸新聞】2022.06.18 
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/202206/0015395539.shtml

【社説】原発事故判決 被災者に向き合ったのか 【信濃毎日新聞】2022.06.18 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CNTS2022061800002

【社説】原発最高裁判決 争点回避は納得できない 【新潟日報】2022.06.18 
https://www.niigata-nippo.co.jp/articles/-/75612

【社説】原発事故の賠償/国の責任明確化が不可欠だ 【福島民友新聞】2022.06.18 
https://www.minyu-net.com/shasetsu/shasetsu/FM20220618-710919.php

【論説】【賠償最高裁判決】国の責務は変わらない 【福島民報】2022.06.18 https://www.minpo.jp/news/moredetail/2022061898023

【社説】福島事故、国の責任否定 原子力安全、後退招く判決だ 【河北新報】2022.06.18 https://kahoku.news/articles/20220618khn000004.html

【社説】原発避難者訴訟 国の責任をなぜ問わぬ 【北海道新聞】2022.06.18 
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/694986

【社説】原発事故の最高裁判決 国の免罪符にはならない 【毎日新聞】2022.06.18 
https://mainichi.jp/articles/20220618/ddm/005/070/131000c

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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「核のゴミ」の処分場は日本にはない

2020-09-05 11:00:30 | 原発
ニュージーランド首相の核兵器禁止条約への批准を求める言葉は、今の地球に必要なことでしょう。
そして私たちは、核兵器と共に、原子力発電に対しても、その危険を指摘していかなければならないと思います。

地球温暖化による猛暑や台風などの災害に、化石燃料が原因だからと、安易に原発を必要とする方向があります。
私達は地球温暖化にも原発にも反対して、持続可能な自然エネルギーの開発を求めて行かなくては、地球が住めなくなる日も近いでしょう。

さて、日本では「核のゴミ」最終処分場の問題で、北海道寿都町が手を上げて、町民の反対にあっています。
文献調査に応じるだけで最大20億、概要調査になれば計90億円。貧しい自治体には目のくらむようなお金なのでしょうが、他に手を上げた自治体がない以上、決定になるのは、よほどの問題がなければ明らかであると思われます。

しかし、その前に、原発をこのまま継続するのか、直ぐではないにしても廃止の方向にするのか。それこそが議論され決定されるべきでしょう。

そして、日本が地殻変動の地震国・火山国であること、津波、今後も大きくなるであろう台風や水害を考えただけでも、原発の事故は繰り返される恐れが非常に大きいことを危惧せずにはいられません。

以下の「論座」の記事を紹介いたします。

「核のゴミ」最終処分場の前に、原発廃止か継続かを決着せよ!
現在の原子力政策の継続を前提とした処分地探しは必ず頓挫する

石川智也 朝日新聞記者
https://webronza.asahi.com/politics/articles/2020082700010.html

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
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原子力村の不祥事に見るこの国の腐敗・堕落(1)

2019-11-12 17:01:36 | 原発
(1)東京電力経営陣への業務上過失致死に対する東京地裁判決

2019年9月19日の東京電力旧経営陣に対する業務上過失致死に対する東京地裁判決は無罪。

わたしは、福島第一原発事故の時、東京電力経営陣の多くを縄付きにしなければ、福島県の人々の無念は晴れない、と書いた記憶がある。

ところが東京地検は立件を見送り。強制起訴での裁判になったが、案の定東京地裁は無罪判決。

東京新聞の記事を引用する。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
強制起訴された東京電力の旧経営陣3人に無罪を言い渡した東京地裁判決は、大津波の襲来をうかがわせる試算の根拠の信用性を否定し、「大津波は予見できなかった」と結論づけた。判決は原発の運転を止めなければ事故は防げなかったと認定したが、本当に3人が取るべき対策はなかったのか。

 市民からなる検察審査会が「起訴すべきだ」と判断したことで実現した公判。不起訴のままなら闇に埋もれていた事実が次々と判明し、津波試算を得た現場社員が上層部に対策を迫っていたことが明るみに出た。

 結局、ほぼ試算通りの高さの津波が原発を襲った。旧経営陣が現場社員の警告に真摯(しんし)に耳を傾けていれば、原子炉を冷やすための電源を高台に移すなど次善の策は取れたはずだ。そうすれば原発の運転を止めなくても被害は軽減できたに違いない。

 組織の規模が大きくなるほど、トップら個人の過失責任は認められにくい。トップが事故の危険情報に敏感に反応し、より危機感を持って対応に当たるためには、組織自体を罰する制度の創設も検討すべきではないか。

 判決は東日本大震災以前は社会通念上、原発事故のリスクについて「絶対的安全性の確保までを前提としてはいなかった」と言及した。無罪判決の背景に、安全神話の追認があるとしか思えない。
(池田悌一)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

この判決。二重の意味で、罪深い。
① 大津波は予見されていたし、その予見を東電幹部たちは知っていた。(ここまではきちんと立証されている。※安全担当の勇気ある労働者が、事故の三年前に「最大津波15.7M」と言う7予測値が東電経営陣に提示されたと証言していた)

◎(判決)大津波の襲来を予見する試算の根拠に疑問を呈し、予見可能性を否定。
※万が一のリスクに備えるのが、原子力と言う危険なものを取り扱う経営者の最低限のモラル。それすら認定しない判決。

② (判決理由)東日本大震災以前は社会通念上、原発事故のリスクについて「絶対的安全性の確保までを前提としてはいなかった」と言及。
●日本国内に原発神話(原発は安全な施設)を振りまいておいて、「絶対的安全性の確保」を前提にしていないなどとよく言えたものだ。「絶対的安全性」の確保ができないなら、原発は廃止すべき、という論理にならないところが、この判決のいやらしいところ。⇒東電幹部の無罪性の証明に使っている。

こういう屁理屈に近い論理を駆使して、東電幹部3人の無罪判決を言い渡すのが日本の裁判。この判決を受けた福島県民の心情は察しても余りある。

普通の人間の論理
(1)福島第一原発の事故がなければ、多くの人が以前と同じ生活を送れていたはず。
(2)それができなくなったのは、福島第一原発の事故。
(3)原発は東電の人工的建造物。その運転は、東京電力が行っている。
(4)だから、原子力施設で起きる全ての事象に全責任がある。
(5)誰がどう見ても、福島第一原発の事故の東電の責任は免れない。
(6)東電の責任者は社長をはじめとする経営陣。
(7)論理の帰結として、経営に責任を持つ東電幹部の責任も免れない。
(8)ところが今回の判決では、経営陣の責任は認めていない。
(9)三段論法の最後だけを外す判決を書くのだから、東京地方裁判所の判事は、上記のような無理でアクロバテイックな論理構築を行い、誰がどう見ても屁理屈に近い論理構成で無罪判決を書かざるを得なかった。

裁判官の「国策への忖度」と言われても仕方がない。こういう判決を書く判事の心の内をのぞいてみたいものだ。

(2)裁判制度への疑問 

🔷裁判員裁判制度への疑問と提言
わたしは、裁判員裁判制度導入の前、「裁判員裁判制度」を導入するのなら、国や県や今回のような大企業などが被告や原告になっているいわゆる「行政訴訟」に限定すべきだと主張した。

個人を懲役にしたり、最悪死刑もありうる刑事裁判に普通の市民を参加させるのは、おかしな話である。死刑判決を下すとなると、その精神的重圧は半端なものではない。もし、それが冤罪だったとするならば、その後悔は一生ついて回る。普通の市民にそんな重圧を課すのなら、それこそプロの裁判官など必要ないことになる。

🔷裁判官の独立の原則
難しい司法試験に合格したプロの裁判官だからこそ、個人を裁く精神的重圧をはねのけ、「事実」と「証拠」に基づいて冷厳に罪を裁くことが求められる。他者の運命を決定する仕事なのだから、その精神的重圧も半端なものではない。その上に、政治への配慮、上司への配慮、社会的身分への配慮などの重圧を加えたら、「事実」と「証拠」だけに基づいた冷静な裁判が不可能になる。

だから、裁判官の「独立の原則」が定められ、他者の運命を決定する精神的重圧を考慮して、身分保障も万全。社会的地位も高く、給料も高くなっている。

その享受する社会的地位や安定した身分保障、給料などの好条件はそのまま。精神的重圧は、普通の市民に押し付けるのでは、つじつまが合わない。しかも、裁判員になれば、仕事を休み、秘密厳守が求められ、一日の報酬(日当)も安い。それでいて、その精神的重圧は半端なものではない。普通の市民にとって、負担だけが重く、得るものはほとんどない。

※裁判員制度 日本弁護士連合会 
https://www.nichibenren.or.jp/ja/citizen_judge/becoming/index.html
※裁判員の報酬など
http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c7_1.html
https://allabout.co.jp/gm/gc/3811/

悪く言えば、犯罪に対する一般市民の処罰感情を利用して、犯罪に対する【厳罰化】の進行を図り、同時に他者を裁く裁判官の【精神的重圧】を軽減するのが、【裁判員制度】の目的だと言えなくもない。こんな「裁判員裁判」制度など、ない方がましと言って良い。

🔷行政裁判
行政裁判とは、 国や地方自治体(都道府県とか市町村、東京23区)などが、行政に認められている権限に基づいてしたことについて、その効力を争ったり、行政に対して一定のことをやめさせたり逆にやるように求めたりする裁判。

原子力問題についてみてみると以下の問題が、行政訴訟の対象。
(原子力施設が運転するまでの行政処分)
(裁判の形と裁判で審理の対象となる範囲)
http://www.shomin-law.com/gyoseigenpatu.html

さらに言うと、原子力問題についても、他の行政訴訟(行政裁判)についても、通常の民事訴訟と違って、裁判を起こすこと自体が大変ハードルが高く、簡単には裁判を起こせないようになっている。

・・・ 行政の安定を図るためという理屈で、裁判に様々な制限があります。
 まず、多くの場合、いきなり裁判を起こすことはできません。まず行政に対して不服審査の申し立てをしなければなりません。しかも、たいていは処分の通知から3か月以内にしなければその後は申立ができません。それにもかかわらずそれは様々な法律にバラバラに規定されていて非常にわかりにくくなっています。
 裁判も取消訴訟は行政不服審査の結果が出るなどしてから6か月以内に起こさなければなりません。これは従来は3か月でしたが2005年4月から6か月に変更されました。
 裁判を起こすことができる人も限定されています(業界用語で「原告適格」:げんこくてきかくの問題)。裁判を起こすことができる人の範囲については、空港の飛行差し止めを求める裁判と原発裁判によって次第に広げられてきました。
 元になった処分が期間付のような場合、裁判中にその期間が過ぎると裁判ができなくなることがあります(業界用語で「訴えの利益」の問題)。
 このようなことから、行政裁判では、訴えた人が判断を求めている内容そのものを判断せずに、裁判ができないといって門前払いされる場合が少なくありません・・・・

※行政裁判の話
http://www.shomin-law.com/gyousei1.html
※行政法規のジャングル
http://www.shomin-law.com/gyouseihoukijungle.html

上記で分かるように、「行政訴訟」それ自体を起こす事が難しいうえに、戦後の【行政裁判】の多くが示しているように、行政を忖度する検察の姿勢。行政を追認する事が多い「判決」がどれだけ国民の心を傷つけてきたか。

さらに言えば、たとえ一審で行政が敗訴しても、上級審に上告し、長年月の裁判に持ち込み、訴えた普通の国民が精神的にも肉体的にも訴訟費用の面でも負担に耐えられなくなるまで長引かせる。これが、どれだけ、裁判に対する信頼を傷つけているか。

こういう裁判にこそ、国民の声を生かさなくて、何のための【司法改革】か、と思う。

「憲法裁判」にもこれと同じことが言える。戦後、笹井さんの報告にもあるような憲法裁判が、全国各地で行われた。自衛隊に一審札幌地裁で違憲判決が出た長沼ナイキ訴訟や、沖縄の米軍用地の強制使用を巡る代理署名訴訟をはじめ、多くの合憲違憲を争う裁判が行われた。

その多くで裁判所が憲法判断を避ける判決(門前払い)が出されたが、中には長沼ナイキ訴訟のように違憲判決が出される場合もあった。

※安保法訴訟、原告敗訴 東京地裁も憲法判断せず
https://blog.goo.ne.jp/rojinto_goken/e/717dc69d9bf389d2e632fa529f55023e

こういう貴重な憲法判断の記録の約8割が廃棄されたというニュースが流されていた。
※東京新聞 
https://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201908/CK2019080502000145.html

安倍内閣の歴史修正主義の思想が司法界にも及んでいることに暗澹とする思いだ。ゴア副大統領ではないが、「不都合な真実」を抹殺しようとする姿勢が、日本の支配体制機構に満ち満ちている。

このような「行政訴訟」に「裁判員裁判」を導入すれば、国や地方公共団体の敗訴が続出する可能性が高い。例えば今回の裁判。裁判員裁判なら、おそらく東電幹部は、間違いなく有罪になっていただろう。もし、そうなったら、「裁判員裁判」という制度に対する国民の信頼感は全く違ったものになるに違いない。

行政にとって、それが一番困る。この国では、お上に逆らう行為は、今も昔もハードルが高い。過去の【行政訴訟】は、国や地方自治体が圧倒的に有利だった。その優位性が崩れる可能性が高い。

それでなくとも、日本の官僚制度は、行政の【無謬性】の原則を崩していない。俺たちは間違っていない、お前たちが間違っている。理由は簡単。俺たちは間違えない。俺たちは偉いんだ、と威張っている。

【行政訴訟】に「裁判員裁判」を導入すれば、行政の【無謬性】や行政に対する【信頼感】が完全に崩壊する。それだけは避けたい。だから、「裁判員制度」は、刑事事件だけに限定されたのだろう。

1956年に公開された「真昼の暗黒」という映画があった。今井正監督の作品。この映画は八海事件(冤罪事件)を題材にした映画。弁護士正木ひろし氏が活躍した事件。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9C%9F%E6%98%BC%E3%81%AE%E6%9A%97%E9%BB%92_(%E6%98%A0%E7%94%BB)(ウィキペディア)

※八海事件 
http://yabusaka.moo.jp/yakai.htm

この映画のラストシーンで、被告が「まだ、最高裁がある」と叫んでいた。この当時は、裁判に対する信頼がまだあった。

現在の裁判、検察、警察などは、ある意味、政治状況の写し絵的状況になっている。現政権の都合を忖度した捜査、逮捕、起訴が行われ、裁判も現政権の方向性に反する判決は出にくい。

🔷原発訴訟 
特に原発訴訟に関しては、国の方向性(原発再稼働)に反した判決を出した裁判官は、降格などの「懲罰的人事」を受ける場合が多い。

上級裁判所勤務の裁判官と下級裁判所勤務の裁判官では、給料が明確に違う。しかも、上級裁判所勤務での赴任地は大都市。下級裁判所勤務は地方の小都市。子供の教育一つでも違いが出る。

裁判官も人の子。自らの信念に殉ずるか、それとも出世の道を選択するか。ぎりぎりの選択を迫られている。これでは、裁判官の独立などのうたい文句は、絵に描いた餅。

※等級別報酬一覧
裁判官の月給は「 裁判官の報酬等に関する法律」によって決められています。
等級別の報酬は、以下の通りです。
•簡易裁判所判事(十七号~一号):23万3,400円~81万8,000円
•判事補(十二号~一号):23万3,400円~42万1,500円
•判事(八号~一号):51万6,000円~117万5,000円
•高等裁判所官庁(東京以外):130万2,000円
•東京高等裁判所長官:140万6,000円
•最高裁判所判事:146万6,000円
•最高裁判所長官:201万円
参考:e-Gov法令検索-裁判官の報酬等に関する法律
https://career-picks.com/average-salary/saibankan-nenshu/

🔷 裁判官の人事
・・・現在、裁判官は、最高裁判所を含む全国598ヵ所の裁判所に約3008人(簡易裁判所判事を除く)。そのうち、最高裁事務総局で司法行政に携わる「裁判をしない裁判官」を除くと、実質、2855人の裁判官で、あらゆる事件を審理し、判断を下しているのである。
 裁判官一人あたりに割り振られる事件数は、年間200件~350件で、単純計算すると二日に1件、ないし2件の割りで処理していかないと消化できない数だ。・・・
岩瀬達也 -初公開!裁判官の「出世とカネ」こうなっているー
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/51651?page=2

彼らの人事評価は、基本的にはこの裁判案件をどのように処理したかによって左右される。裁判所用語でいえば、「星取表」と呼ばれる一覧表にまとめられ、個人別に集計される。そして、最高裁判所事務総局の中の人事課で決定される。

最近は、この人事のありように少しずつ改善がなされているようで、全国の弁護士の評価も取り入れられているようだ。

※「評価が高い裁判官と低い裁判官」 ・・西天満総合法律事務所ブログ ・・
http://mt-law.cocolog-nifty.com/blog/2017/07/post-35f2.html

元最高裁判事 瀬木比呂志氏が司法荒廃、司法崩壊を描いた「絶望の裁判所」の内容を読めば、現在の司法の状況が見えてくる。

彼は自著の中身についてこう語る。「日本の裁判官は、実は、裁判官というより、法服を着た「役人」、裁判を行うというより事件を処理している制度のしもべ、囚人です。裁判官という職業名や洋画などからくる既成のイメージは捨てて下さい。」と。さらにこう指摘する。「困難な判断、言葉を換えれば重要な判断であればあるほど、判断を回避したい、つまり、棄却や却下ですませたい、和解で終わらせたい、そういう傾向が強く出てきます。」
・・・・瀬木比呂志氏インタビュー
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/38171?page=4

そして、彼は、司法の根本的な改革のためには、弁護士等を相当期間務めた人々の中から透明性の高い形で裁判官を選出する「法曹一元制度の実現」しかないと考えている。

彼の提言に対して様々な意見はあるだろうが、現在の閉塞した裁判官と裁判の現状を変えるには、思い切った根本的なシステム変更しかないと思う。

かって、日本では、第一審で、国の方向性と反する判決が多く出され、上級審になるほど、国に有利な判決が出た。下級審で国に不利な判決が多く出たのは、形式的でも、国民に対して、「司法の独立」を標榜できる根拠になった。そうしておいて、上級審では、国に忖度した判決を出す。これが、日本における【司法の政治性】だった。

今や、その【政治性】すらかなぐり捨てた【強権的政治性】が前面に押し出されている。ファッショ体制とはこのような司法と行政が一体化した権力体制を指す。

このような司法の荒廃、腐敗に対して『法曹一元化』が何らかの歯止めになるのなら、『法曹一元化』を導入すべきだろう。

以下に瀬木比呂志氏が「論座」に書いた原発訴訟の評論を紹介しておく。非常に参考になる考え方が学べた。

●社会通念という言葉で責任を回避した裁判官[1]
伊方原発3号機運転を禁止した広島高裁の仮処分決定を取り消した理屈
2018年11月20日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111500001.html

●原発稼働差止め回避のため考え出した理屈[2]
「破壊的被害をもたらす噴火のリスクは無視し得る」という詭弁
2018年11月28日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111500008.html

●科学的で厳密な危険性を恣意的な概念で判断[3]
分かれた原子力規制委員会の「火山影響評価ガイド」に対する裁判官の判断
2018年12月06日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111500010.html

●良心に従い裁判しているのは「5~15%」[4]
最高裁による異動など報復への恐れ、問われる裁判所の権力チェック機構
2018年12月19日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111500011.html

●当たり前の常識と正義の感覚による審理を[5]
戦後日本の負の遺産を象徴する福島第一原発事故、非合理的前提を信じた電力会社
2018年12月24日
https://webronza.asahi.com/national/articles/2018111500012.html

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「大阪湾に放射能汚染水を放出しないことを求める署名」への提言

2019-10-19 21:27:33 | 原発
松井大阪市長の大阪湾投棄はとんでもないことであり、首記署名の主旨には同感である。瀬戸内海は明石の蛸や明石の鯛、いかなごの一大漁場である。漁民の思いは福島も関西も同じであろう。

一方松井案に反対ならどうするのか、対案が必要であろう。このままタンクを造りつづけるには物理的限界もみえている。いずれにしろ、もう陸上での処理は限界である。すべての陸上の水は海へ流入するのが自然の法則である。極力除染して海へ放流すべきであろう。

そして、仮に放流するのであれば、近海漁業に悪影響や風評被害が出ないように、自衛隊の給油艦か民間のタンカーをチャーターして日本のはるか南方の南鳥島か、沖の鳥島の200海里(約370km)内の日本の排他的水域に投棄することである。

※200海里
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/JODC/ryokai/ryokai_setsuzoku.html
https://search.yahoo.co.jp/image/search?rkf=2&ei=UTF-8&p=200%E6%B5%B7%E9%87%8C%E6%B0%B4%E5%9F%9F%E3%81%A8%E3%81%AF

これは東電が決断できることではなく、安倍政権の役割である。

小生はこのことについて、民主党の菅政権時代に震災が発生した2011年の3月29日に、海洋投棄することを世界に発信すべきと投稿している。今はその機を逸したので国連でのコンセンサスが必要であろう。

この主張の背景として、世界の核保有国はその実験で地球上の水と空気を放射能で汚染してきたことがある。日本の場合は天災による二次災害による汚染でやむをえない面がある。そして現在は世界の原子力学者にもその一部には海洋への放出やむなし説を支持している学者もいるらしい。

過去ログから一部抜粋して紹介する。
***
政治はタービン建屋の汚染水をどう除く 厚願の美少年 2011/03/29

3月28日の福島原発事故に関する各メディアの報道を見ると、先日3人の作業員が知らずに被爆したタービン建屋地下室の汚染水の処分に困っている様子である。しかも1号基~3号基迄同じ状況でトレンチとか言う配管抗にも高濃度の放射能で汚染された水が漏れ出て溜まっているという。

報道によれば汚染水を処分しないことには作業員が安定的な給水工事に何時までも着手できないらしい。またその汚染水を汲み上げるタービン建屋内の復水器も満杯で汲み上げられないようである。そこで満杯の復水器の水をタービン建屋外の水槽へ一時的に移すことも検討されているとのことである。

ところで菅首相は3月15日に東京電力に乗り込み、政府と東電による統合対策本部を設立し、自ら本部長に就任したと報じられ、その後官邸を尋ねた誰かに「自分は原子力に詳しいんだ」と語った事も報じられていたと思う。しかしその後統合対策本部長としての指示は見えてこない。

何れにしろ首相が東電や保安院の技術屋さんと同じ土俵で問題を解決しようとすれば現状の解決策の域を出ないと言うことである。問題は政治家として現状をどのように打開するかである。そして昨日経済産業副大臣が「最悪の事態は神のみぞ知る」と参議院予算委員会で答弁して物議をかもし、陳謝したらしいが、首相も汚染水の処置には八方塞がりで、内心経済産業副大臣と同じ心境ではないかと想像する。 

そこで首相には技術屋さんと同じ発想ではなく、一国の総理(政治家)として汚染水対策に次のような発想を持って欲しいのである。

1号基~3号機のタービン建屋に溜まった汚染水を消防車で汲み上げ、かつて米・イラク戦争時にインド洋で米船艦等に給油していた海自の給油艦に積み込み、日本のはるか南方の南鳥島か、沖の鳥島の日本の排他的水域に投棄することを世界に向けて発信し粛々と実行するのである。併せて国民の生命と健康を護るためとして、国内法の海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律の超法規的な措置もとる必要がある。

止むに止まれぬ海洋投棄の根拠として、かつて米国は太平洋のビキニ環礁で67回の水爆実験を行い、それによって日本の漁船員(第五福竜丸)が被爆し、また旧ソビエトも昭和36、7年頃には核実験を頻繁に行い、その放射能雨が日本に降ったことは忘れもしない。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%82%AD%E3%83%8B%E7%92%B0%E7%A4%81

現在の核保有国は何れもその実験で地球上の海か空気を放射能で汚染して来ているのである。今回の日本の場合は核実験ではなく天災による原子力発電所の事故で、海洋投棄はこれ以上被害を拡大させないための窮余の策であり、核実験に比べれば放射能も放射線も遙かに少ないはずである。

過去に各核保有国が核実験をする時は事前に発表する場合もあったが、ない場合も多かったはずであり、また秘密裏に核実権をした国もあったはずである。核保有国が放射能の浄化を大自然の浄化作用に委ねたように、日本も極力除染して領海内でより危険の少ない海洋へ投棄して、大自然の浄化作用にゆだねるしか選択肢はないのではなかろうか。
***

「護憲+BBS」「 メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
厚顔
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