老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

カネの流れを見れば、全てが理解できる

2016-08-30 21:58:16 | 自民党政治
わたしは、参議院選挙前、争点を年金問題に絞れと主張した。理由は簡単。国民の将来の命の綱である年金を博打に使い、大損をしておきながら、その詳細を明らかにしない。年金を運用している連中は、莫大な給料(委員長は年収3000万以上)をもらいながら、誰ひとり責任を取らない。こんな事で良いのかを徹底的に追及、それを参議院選挙の争点にすれば、野党は攻めの選挙ができると考えたからである。

多くのリベラル勢力が誤解しているのだが、憲法改正・安保法案・反原発か否か、などの理念的対立は、票になりにくい。日本人の特性といっても良いのだが、『理念的対立』は、日常生活で世話になっている方が勝つ。一言でいえば、『長いものには巻かれろ』『無理が通れば道理引っ込む』の世界が優先する。要するに、『理屈は正しいのだが、それを支持すると、俺の生活に響く』というのである。

力の強い方(与党)連中もその事をよく知っていて、『泣く子と地頭には勝てぬ』というような露骨な主張はしない。『正しい事』は一度には実現しない。徐々に段階的に実現しよう、という逃げ道を提示する。つまり、『長いものに巻かれた』人々に対するエクスキューズを用意しているのである。

それに対して、リベラル勢力の戦いは『正々堂々』としており、主張にぶれはない。だから、論争をすれば、リベラル派が確実に勝利する。しかし、選挙では決して勝利できない。権力の強さ・しぶとさを思い知らされる。この構図、リベラル派支持者の人は、厭と言うほど経験しているはずである。

この構図を打ち破れる方策を提示できた政治家は、小沢一郎ただ一人。わたしが、彼を『革命家』と評価する所以である。

昨日、堤未果『政府はもう嘘をつけない』(角川新書)を読んだ。非常な力作で、多くの示唆を得た。堤女史に対する私の評価は大変高くなった。

この第一章が、『金の流れでアメリカ大統領選が見える』である。アメリカ大統領が誰のために働いているかが、きわめて分かりやすくお金の流れの分析で解説されている。

一例を引用しよう。
・・・
公権力腐敗を対象とする非営利の調査報道団体「The Center for Public Integrity」のベス・イーシアは言う。「政治とカネの問題とはつまり、1%の超富裕層や利益団体の政治献金が政治を動かしている今のアメリカです。特にリーマン・ショック以降、この国の多くの有権者にとってその不信感は強くなっている。でも、実は、ヒラリーこそが、その恩恵を最も受けている候補なのです。」

(堤)「オバマ大統領も、当選した時には政治献金問題に手をつけると言っていましたよね」
(イーシア)「はい。ですが、就任するとこの問題はうやむやにされました。あの選挙で大企業やウォール街を中心に彼が集めた、7億5千万ドル(約750億円)という史上最高額の政治献金は、2期目の選挙では10億ドル(約1000億円)に跳ね上がってしまって・・」
(堤)「10億ドルですか」
(イーシア)「ええ、信じられない額ですが、2度目の選挙の大口スポンサーが、あの『全米貿易協議会』(NFTC)といえば分かるでしょう」

『全米貿易協議会』(NFTC)といえば、アメリカで最も古く、最大規模の財界団体だ。メンバーをみると、世界中に市場を持つグローバル企業がずらりと並んでいる。シェブロン・GE・ボーイング・シティグループ・VISA・オラクル・タイムワーナー・マイクロソフト・IBM・モンサント・ファイザー・ジョンソン・インテル・ウォルマートのような巨大グローバル企業をはじめ、「著作権」や「知的財産権」を取り扱う「全米映画協会」や「全米音楽協会」「米国出版協会」「全米商工会議所」「全米肉生産者・牛肉協会」などのロビー団体も入っている。

※(イーシア)「2期目の就任式で、最前列の席に並んだ大口スポンサーの顔ぶれを見ましたか。あれを見れば、オバマ大統領が誰のために働いていたのかが一目瞭然ですよ」
・・・・堤未果「政府はもう嘘をつけない」42、43P

人は理想だけでは生きていけない。しかし、理想のない人生は、味気ない。おそらく、1期目のオバマ大統領はこの間で揺れ動いたに相違ない。しかし、2期目のオバマ大統領は、「理想だけでは生きていけない」に舵を切ったに相違ない。

オバマ大統領のリベラルな思想傾向から見れば、TPP法案の持つ危険性は自明の理であろう。しかし、オバマ大統領は、TPP推進に舵を切った。堤の記述を見れば、その理由は明白。しかし、日本でこのような解説など読んだ事がない。日本の言論状況の危うさがよく理解できる。

わたしは、日本のリベラル派は、このように直栽で分かりやすい主張をすべきだと考えている。

よく思いだしてほしい。民主党が政権交代を果たした時のキャッチフレーズ。『国民の生活が第一』『コンクリートから人間へ』。どこにもイデオロギー臭がない。それでいて、ストンと胸に落ちる。

現在、NHKで放映されている朝ドラ「ととねえちゃん」で描かれている花森安治率いる『暮らしの手帖』のコンセプトも、「国民の暮らし」が第一という思想である。戦後の混乱期、何故『暮らしの手帖』が影響力を持ちえたかを考えなければならない。

リベラル派勢力は、野党がはじめて日本の選挙で勝利した選挙の教訓をもっともっと大切にしなければならない。

米国大統領選挙の共和党のトランプ候補、民主党で最後まで健闘したサンダース議員。両者に共通するのは、オバマやヒラリーのように、大企業やウォール街から献金を受けていない点にある。1%の富裕層の代弁者ではない、という事を鮮明にしている点である。

英国のキャメロン首相が、EU離脱派を説得できなかったのも、彼が1%の利益の代弁者である、という国民の見方を変える事が出来なかった点に一つの原因がある。

世界の趨勢は、『反グローバリズム』『反新自由主義』『反貧困』に傾きつつある。1%の富裕層のための政治に対するアンチが趨勢になりつつある。

この成功例が、アイスランドだといえる。堤女史の本では、「鍋とフライパン革命」~マネーゲームの尻拭いを国民に押し付けるな~という題名で説明されている。多少長くなるが、日本国民にとってきわめて重要なヒントが書かれているので、引用してみる。(私流に簡単にまとめています)

・・アイスランドがフリードマンを信奉するオッドソン首相によって1990ン代「新自由主義」の洗礼を受ける。⇒金融規制を緩和⇒アイスランドを「タックスヘイブン」に生まれ変わらせる。⇒カネがカネを生むという【金融工学】の魔力がアイスランドを席巻。⇒2004年オッドソンは首相を辞め、中央銀行総裁に就任。⇒アイスランドの銀行は、年率6%の超高金利のネット預金「アイスセーブ」などをはじめ、ヨーロッパ各国の投資家・企業から巨額の資金を集める。⇒この結果、アイスランドの3大銀行は、3年半で総資産をGDPの10倍に増やし、株価を9倍、不動産価格は3倍に跳ね上がった。いわゆる【金融バブル】⇒2007年アイスランドは、世界5位の金持ち国になる。

⇒この背景にウオール街の金融猛者が牙を研いでいた。▲米国の著名な経済学者(ウォール街から多額の報酬を得ていた)は、対外債務がGDPNの900%という危険水域に達していたアイスランド経済を「世界有数の成功物語」と絶賛させる。格付け会社はアイスランド経済の抱える危険を無視して、【AAA】の評価をつける。★理由⇒危険な商品を売る際の法外な手数料で儲けている。リスクそのものにかける【CDB保険】にも加入。どこかが大きく破綻すれば、その分払われる保険金の額も大きくなる。⇒この時の『金融バブル』は、仕掛けるウオール街の住人達はどう転んでも損をしないように設計されていた。
⇒2008年10月、アメリカで不動産バブルが破裂。⇒株価大暴落⇒アイスランドも破綻。

アイスランドは2008年10月「国家破綻宣言」を出す。GDPの1/4である50億ドル(約5000億円)の負債を背負って破綻した。

⇒イギリス・フランスなど欧州各国から負債の返還を迫られる。⇒無い袖は振れないアイスランド。⇒ロシアが救いの手を差し伸べる。(★狙いはアイスランドの地理的位置⇒欧米にとって安全保障上の要衝)

⇒アメリカとNATOは直ちに手を打つ。⇒JMFが融資を引き受ける。⇒悪名高い【構造改革策】をセットで受け入れる。⇒アイスランドは国民は財産。⇒教育と医療に惜しみなく金が使われる。⇒収入の40%は税金で納めるが、教育と医療は全てただ。手厚い社会保障政策が取られていた。⇔IMFの構造改革策が正反対。「まず無駄をなくし、大胆な民営化や通貨切り下げ政策による経済の回復」という理念からすれば、「教育」と「医療」は真っ先に切り捨てるべき【ぜいたく品】なのである。⇒削った分だけ民営化する。⇒外資のビジネスチャンスも生まれ、外からの投資も呼び込める。

この時のIMFの構造改革策が強制されたのは、アイスランド、ギリシャ、イタリア、スペインなど。この【構造改革策】で地獄に突き落とされたのがギリシャ。医療崩壊により、公衆衛生が低下。大きな経済停滞を招いた。

ではアイスランドはどうしたか。ヨーロッパ諸国の中でも社会的連帯が強いアイスランド国民は、医療切り捨てに当惑した。しかし、その理由が一部の政府と銀行連中によるマネーゲームの尻拭いだと知ると、さすがのおとなしいアイスランド国民も怒った。

2009年1月。アイスランド国民約3000人が国会議事堂を囲む。「医療に市場原理を導入したり、セイフティネットを削るより、国民が健康で元気に働けるように国がサポートする方が、医療費も下がるし、税収も上がるはずだ」と言うわけである。

暴力的でなく、それぞれが家から持参した鍋とフライパンを叩きながら、粘り強く抗議した。⇒政府が根負け。⇒内閣は総辞職。首相は辞任。⇒2010年3月の国民投票。⇒グリムソン大統領は投票結果に沿った政策を実行した。⇒ホルデ前首相をはじめ、大手銀行CEOを含む200人に逮捕状が出される。

※「銀行が大きすぎて潰せない」
アイスランド国民は同時期アメリカが行った銀行救済策を鼻で笑う。
「そんなの構わない。潰したらよい」
・・・・・「同書 239~241」

ここ数年来のギリシャの経済危機の遠因が、この時のIMFの構造改革策の押し付けにあった事は明白。アジアの経済危機の時も、IMFの構造改革策はアジア経済に甚大な被害を与えた。韓国経済の難しさも、金融危機の時のIMFの構造改革策が遠因である。結局、IMFの経済学者の机上の空論を跳ね返したアイスランド国民の選択が正しかったのである。

小泉政権以来日本を席巻してきた新自由主義的経済政策をよく見れば、IMFの【構造改革策】そのものである。特に【教育】の自由化、【医療】の自由化などアイスランド国民が身体を張って阻止した政策を何とか導入しようとしてきたのが、小泉政権以来の『新自由主義的構造改革』である。

この【構造改革策】は、民主党政権樹立までは、「年次改革要望書」で米国が日本に強要してきていた。安倍政権成立以降、その日米協議の総仕上げとして、TPP協議が行われてきている。

アベノミクスなる実態のはっきりしない、経済政策とも言えない経済政策を振り回してきているが、今や破綻寸前である。その第一が、年金を株に投入したあげく、5兆円を超える損失を出している事である。

まず、日刊ゲンダイはいつも通り厳しく指摘している。

年金損失桁外れ 日銀の爆買いなければ株は14000円
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/188714
2016年8月27日 日刊ゲンダイ

・・・「また大損だ。国民年金や厚生年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が26日、2016年4~6月期の運用結果を発表したが、5兆2342億円の赤字だった。16年1~3月期も4兆7990億円の赤字だったから、2四半期連続のマイナス。半年間の損失額は10兆円に膨らんだ。14年10月から株式比率を大幅に引き上げた結果がこのザマだ。」

さらに危ない事に、前代未聞の官製相場は今、この国の経済を根幹からむしばみつつある。

「日銀が超有名55社の筆頭株主という異常。
日本の金融市場で起きている異常事態。日銀が筆頭株主という大企業が激増しているのも、そのひとつだ。今月15日のブルームバーグの記事によれば、8月初旬時点で日経平均株価を構成する225銘柄のうち、ナント75%で日銀が大株主上位10位以内に入っているというのである。

加えて、日銀が先月29日の金融政策決定会合で、ETFの購入枠を従来の倍の6兆円に広げたことで、17年度末には55銘柄で日銀が筆頭株主に躍り出るという。ヤマハ、セコム、カシオ計算機、エーザイ、京セラ、三越伊勢HDなど超有名企業ばかりで業種も多岐にわたる。」・・・

もはや黙って看過できるレベルの話ではない。日銀が筆頭株主など、それこそ日本は共産主義社会か、と言う話である。今週発売のサンデー毎日では、「官制マネー40兆円が買い支える日本株の一寸先」という記事が書かれている。

政府官制紙と言っても良い日経新聞ですら、「7月末現在で日銀は8.7兆円のETFを保有。このほか日銀は金融機関から買い取った株式も持っているため、それを含めると日銀の持ち株比率は浮動株ベースで3.2%となる。1年後には5.1%に上昇する可能性があり、日本企業全体の大株主となるといってもよいかもしれない――。」(株式市場は「隷属への道」を歩む  編集委員 小平龍四郎 )と書いている。

さらに、「まず、企業経営への影響です。業績が良くても悪くても日銀が買い支えてくれるわけですから、市場を通じた経営への規律づけが、弱まる可能性があります。さらに、ETFは手数料が低く抑えられているため、運用会社による議決権行使などが不十分になる懸念もあります。競争力の弱った企業の株価が人為的に高く保たれ、企業統治(コーポレートガバナンス)も効きにくいとなれば、市場を通じた資本配分はゆがみます。日本経済の潜在成長率も押し下げられるでしょうか ら、アベノミクスの数々の成長戦略の効果を減殺してしまいます。」(株式市場は「隷属への道」を歩む  編集委員 小平龍四郎 )と書かざるを得なくなっている。

一言でいえば、アベノミクスは完全に失敗。もはや、修復の余地はない。しかし、『アベノミクスは道半ば』などとほざいて、絶対に失敗を認めない。もし、GPIFの資金や日銀マネー(ETF)を株式市場から撤退させると、株はあっという間に大暴落。大混乱をきたす。そうかと言って、株価の下支えのために年金を使い続けると、135兆円あった年金は10年程度で消えてなくなるという試算もある。文字通り、安倍政権は【進むも地獄。退くも地獄】の情況にある。

安倍政権の運命などどうでも良いが、日本国民の運命も同じ状況にあるといって過言ではない。民進党も多くの国民も、この危機感が足りない。わたしが、今回の参議院選挙の争点を【年金問題】に絞れと主張した理由は、この危機感にある。

ギリシャを襲った国家的危機、アイスランドを襲った国家的破綻。いずれも他人事ではない。せめて、日本人は、アイスランド国民程度の賢さは持たなくてはならない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「貧困たたき」に抗議する新宿のデモ

2016-08-28 15:29:06 | 民主主義・人権
子どもの貧困問題を扱ったNHKのニュース番組で、体験を語った一人親家庭の女子高生が、ネット上で中傷され、人権を侵害された問題でのデモである。

このデモで私が直ちに思い浮かべたのが、兵庫芦屋市高級住宅街での高齢者たちによる保育所開設反対運動である。高齢者、それも富裕層の大人たちが、圧倒的に不足する保育所開設に反対している日本の現実である。

住民エゴと言っている場合ではない。一部の中高年層などが、明らかに他者の人権を無視する、そうして自分のエゴを押し通す時代がやって来ているのだ。もう若者の抗議や人権意識に期待する他はない。

芦屋の保育所問題では、マスコミからコメントを求められた大学教授が、「住民の反応は自然なもの」と言っている。自然な反応が若い親の保育の権利を奪うことに何の感受性もない人間が、福祉問題の専門家になっているのである。

この国の閉塞状況は極まったと思える。こうして、極右の首相や都知事が圧倒的に選挙で勝ってしまうのである。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
名無しの探偵
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オリンピック狂騒曲後の日本ファシズムの進展

2016-08-26 10:44:34 | 自民党政治
東京都知事選、オリンピック狂騒曲。さらに、高畑某のレイプ騒ぎもこれに拍車をかける。安倍政権は、このような大騒ぎを利用して、陰でこっそり悪事を働く習性がある。

年金支給を半額にし、支給開始年齢を75歳にしようという目論見が進んでいる。理由は簡単明瞭。GPIFでの年金運用失敗。東京オリンピック予算の暴騰など。
http://biz-journal.jp/2016/08/post_16303.html

安倍政権のやり口をじっと観察しているとよく理解できるのだが、彼らはかなり周到に計画的に日本をファッショ社会へ誘導しようと試みている。

選挙での勝利は、このための絶対条件。だから、選挙の勝利のためには、手段を選ばない。彼らにとって、選挙公約などというものは、選挙に勝つための方便。守るためのものではない。

彼らに向かうべき理想の社会などない。彼らの目標は権力掌握そのもの。それ以外は、枝葉末節の事柄。だから、国民との約束などというものは、表向きで、そんなものは、権力を取ってしまえば、いくら破っても何の問題もない。

その為、彼らは彼らなりに勉強し、研究している。ナチス・ドイツの権力掌握過程については以前書いた。トルコのエルドアンのやり口も書いた。

しかし、彼らの権力掌握過程とファッショ化の主要な手本は、米国ブッシュ政権のファッショ化の過程だと思う。特に、安倍政権の後ろ盾になっているジャパンハンドラーと呼ばれるネオコン(米国戦争屋)たちは、この手口に習熟している。

おそらく、民主党の権力掌握とそれに対する既成権力側の反発(いわゆる反革命運動)。その中心命題として、小沢一郎の人格破壊報道があった。小沢一郎を権力中枢から追い出す事により、鳩山内閣は瓦解。菅、野田内閣の反革命政権により、民主党は権力から滑り落ちた。

この過程で、政・官・業・メディア・外国資本(ネオコン)の結び付きは、強固になり、露骨になった。

では、米国ブッシュ政権のファッショ化の方法はどうだったか。これには、10のステップがあると言われている。
ナオミ・ウルフ著、ガーディアン掲載、 2007年4月 24日火曜日
・・・・・・・・・・・・・・・・
1 国内と国外に恐ろしい敵を作り上げる
2 政治犯収容所を作る
3 暴漢カーストを育成する
4 国内監視制度を作り上げる
5 市民団体に嫌がらせをする
6 専断的な拘留と釈放を行う
7 主要人物を攻撃する
8 マスコミを支配する
9 反対は反逆に等しい
10 法の支配を停止する
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全てを解説すると長くなるので、本の内容や日本でのやり口を簡単に説明する。
+++
1、『国内と国外に恐ろしい敵を作り上げる』
これは、2001.9・11以降の米国を思い出せば、理解できる。6週間もしないうちに、2001年10月26日、アメリカ愛国者法が議会でほとんど論議もなしに通ってしまった。

この愛国者法がいかなるものか、この当時のアメリカ人の大半は理解できていなかった。アメリカ人は、世界的なイスラム教徒のテロリズムの深刻な脅威と対峙しなければならないと言われたのである。

同時に、この『テロとの戦争』は、時間的には無限であり、空間的には国境がないもので、世界全体がそのまま戦場なのだと定義されている。
⇒ブッシュ政権以降、米国は戦線をアフガニスタン・イラクなどと拡大。現在に至るまで戦争状態にある。

2、『政治犯収容所を作る』
キューバのグァンタナモ収容所がそれである。この収容所では、超法規的に連れてこられたテロリストたちに、日常的に拷問が行われていた。オバマ大統領になり、世界の批判に考慮して中止された。

3、『暴漢カーストを育成する』
9/11以後、アメリカの警備業者は大儲けした。ブッシュ政権は、民営化の名の下で、米軍が担当してきたような仕事を、彼らに外注している。

イラクでは、こうした外注企業の工作員の中には囚人の拷問や、ジャーナリストへの嫌がらせ、イラクの民間人に対する砲撃への関与のかどで訴えられている人々がいる。

しかし、アメリカの元バグダッド総督、ポール・ブレマーによって発布された命令第17号のもと、こうした業者は、刑事訴追を受ける恐れがない。

このような民間の暴漢たちによる暴力は、ファシスト政権は常に必要とするのである。

たとえば、ナチ突撃隊員は、ドイツ中で、暴力的な集会を開いた。こうした準軍事的組織は、デモクラシーにおいて、特に重要だ。日本では、『非国民』の一言で、多くの迫害が行われた。

4、『国内監視制度を作り上げる』
かっての共産主義国家、日本などの全体主義国家などでは、国内監視制度は必要不可欠だった。

先の参議院選挙時、大分県警が民進党関係の場所に監視カメラを設置していた、と問題になった。自民党は、『平和を強調』するような教師を密告するように画策している。

この監視は「国家の安全」のためだという建前でなされるが、本当の機能は、国民を従順にしておいて、実力行使や反体制行動を禁じることにある。

5、『市民団体に嫌がらせをする』
日本で学生運動が盛んだったころ、公安のスパイが学生運動組織に潜入して、内情を探ったり、時には過激な行動を煽動。その組織を壊滅に追い込むという話があった。学生運動家にとっては、常識だった。

米国でも同様の事が行われていた。何千もの普通のアメリカの反戦、環境や他の団体に、スパイが潜入していると、米国自由人権協会は報告している。

同様に国防省機関で、秘密組織、対諜報現地活動局(CIFA)は、平和的な政治活動に関与している国内団体に関する情報を収集している。CIFAは、「潜在的なテロリストの脅威」を追跡し、普通のアメリカ国民の活動家も監視しているものと考えられている。

こうして「テロリスト」の定義はじわじわと拡大して、反対勢力をも含むようになってゆく。

6、『専断的な拘留と釈放を行う』
現在、日本はこのような状況の入り口にいる。普通の人は、自分は全く関係ないと思っているだろうが、暴力団に対する取り締まりは、いまや警察の思いのまま。暴力団構成員と認定された人間は、親が死んでも葬儀場で葬儀ができない。警察に暴力団員と認定された人間は、どんな些細な非違行為でも簡単に拘留され、逮捕される。

普通の国民は、これは暴力団員だけだと思うかもしれないが、戦前型社会が到来すれば、反体制運動に参加した人間をこのような形で追い詰める事は簡単。

このような事が常態化すれば、人々は怯える。この『怯え』こそ、権力側の狙い。人々が怯え、委縮し、反対を言わなくなれば、全てはOK。ファシスト政権のイロハである。

7、『主要人物を攻撃する』
悪魔のサダム・フセイン。悪魔のオサマ・ビンラディン。今や悪魔にされつつあるプーチン大統領。米国が攻撃したい相手に対するネガティブ・キャンペーンを見れば、一目瞭然だろう。
  
日本では、小沢一郎に対する執拗な人格破壊報道を想起すれば充分だろう。

8、『マスコミを支配する』
これもまた安倍政権によるメディア支配を見れば一目瞭然。オバマ大統領の『核兵器による先制攻撃をしない』という発言に対して安倍晋三首相が反対をしたという報道が米国メディアから流された。これに対して、安倍首相は『そんな発言はしていない』と否定した。この食い違いに対して真偽を追及した大手メディアは皆無。この一事を見ても、「マスコミ支配」は完了している、と言わざるを得ない。

9、『反対は反逆に等しい』
ファッショ国家は、必ず、反対者を「反逆者」に、批判を「スパイ」に仕立て上げる。6で説明したように、「スパイ」や「反逆者」の定義を拡張する法律を巧妙に仕立て上げる。ファッショ社会を維持、拡大するために、必ずやる。北朝鮮社会を想起すれば、充分であろう。

10、『法の支配を停止する』
これも昨年の安保法案改悪騒ぎを見れば一目瞭然。憲法すら無視して恥じないのだから、何をかいわんやである。

『法治国家』が『法治国家』として機能する所以は、『法の平等』がなければならない。法律は、誰にも平等に適用される、という大原則が失われたら、誰が『法律』を守るか。しかし、昨年来の司法機関(東京地検特捜部)のやり口を見れば、もはや、この国には『法の下の平等』はない、と言わざるを得ない。

+++
ブッシュ政権下の出来事と現在の安倍政権のやり口をランダムに書いたので分かりにくかったかも知れないが、現在の日本の情況は『アフガン戦争』『イラク戦争』を戦ったブッシュ政権下の米国社会と酷似している。

安倍政権は、ファッショ政権そのものだと思う。わたしたちは、覚悟を決めて運動をしなければならない時代に入りつつある事を認識しなければならない。

「護憲+コラム」より
流水
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映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』

2016-08-23 15:59:47 | 民主主義・人権
この夏に見た映画の中で、私が面白かったものをご紹介します。

映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
http://trumbo-movie.jp/

チャップリンをアメリカから去らしめたマッカーシズム「ハリウッドの赤狩り」を背景にした映画です。

1947年頃、トランボは共産主義者だとして投獄され仕事を失います。彼は家族を守るために匿名で脚本を書き続けるのです。

「ローマの休日」をご覧になった方は多いでしょう。その原作者・脚本家がダルトン・トランボ(トランプと間違えないでね)。この映画に与えられたアカデミー賞は別人の作とされ、彼の死後、ようやく改められ、あの像が届いたとのこと。

「スパルタカス」のカーク・ダグラスが、ようやくトランボの名前を出して脚本を依頼したのは1960年。この映画は劇場からの締め出しを図られましたが、良いものを見抜く目は観客。ヒットしました。

今回の「トランボ」も最初は観客が少なかったそうですが、観客は増えて私が行ったときはぎっしりでした。日本人だって観る目があるし、こういう映画を好む人もまだ多いのだとちょっとうれしく思いました。

家族愛の物語でもありますし、何より、思想信条の自由が失われた時代に、どう生き抜くか。友人たちの圧力に負ける姿、力のない者が押しつぶされていく姿、その中で、トランボが信念をしなやかに貫く姿が感動的です。面白いのでお勧めです。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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むのたけじさん死去

2016-08-22 11:45:21 | 戦争・平和
むのたけじさんが8月21日に老衰のため101歳で亡くなったという情報が入ってきました。

むのたけじさんといえば、今年5月3日有明防災公園で行われた憲法集会でのスピーチが、強い印象で残っています。

むのさんは、「戦争では常識では考えられない狂いが起きる」「戦争を始めてしまったら止められない」「9条こそは人類に希望をもたらすと、戦争を体験した者たちは受け止めた」「9条の希望は必ず実現することを、今日の会場の光景が物語っている」と語り、会場からは大きな拍手が湧き起こりました。

その力強い声、明晰な語り口に、一瞬「この人は不死身なのでは?」と思ったことを思い出します。

今朝の東京新聞によると、この集会直後に肺炎をこじらせ、5月9日から入院生活を送っておられたとのこと。命を賭してのスピーチだったのだと、今にして分かります。

後に続くものに「希望」を託したむのさんの最後のメッセージを、直接聞くことができた幸運を噛み締め、微力ながらその遺志を受け継いでいきたいとの思いを胸に刻んでいます。

むのたけじさん、有難うございました。心からご冥福をお祈りいたします。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
笹井明子
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テレビ、新聞の情報だけに頼らないで

2016-08-22 10:17:32 | 民主主義・人権
小沢一郎がマスコミに叩かれ幹事長を辞めた時、金権政治家だからと、私は動かなかった。

旧民主党政権が稚拙な政権運営と戦略の不味さでマスコミに叩かれた時、民主党に怒るだけで、私は動かなかった。

猪瀬、舛添元都知事がマスコミに叩かれたとき、私は、そんなバカバカしい報道の仕方より二人の都知事を推薦し擁護した現政権を批判せよ、とは言わなかった。

私は都知事選ではマスコミが持て囃す「ゆり子劇場」にエールを送り、今でも期待している。マスコミが報道しているからきっとそうなのだろう。

私は沖縄の高江の情報はマスコミが余り報道しないから良く分からないので動かなかった。

経産省前の、脱原発テントが未明に撤去されたとニュースで報道していたが、不当占拠していたテントが撤去されたとマスコミが言っていたから、私はきっとそうなのだろうと思った。

安倍政権が2015年、年金を株に注ぎ込み5兆円もの損害を出したと、マスコミが軽く報道したけれど、私の年金が直ぐに減る分けではないので、私は動かなかった。

私の周囲では「茶色の朝が既に来ている」とか、「改憲派が3分の2を超えた。改憲に手が掛かった」等と言っている人達がいるけれど、本当でょうか。テレビは今、そんなニュースなんか流さなくて、リオ.オリンピックの話題で持ちきり。

テレビも新聞も「改憲」とか「高江」とか少しも報道しないから分からない。「知ろうとしない事は罪ですよ」と私の知人は言うけれど、私が何か悪い事をしたのでしょうか。

何年も先に、残業代がゼロになって、自衛隊が軍隊になり海外で殺し合って、日本が戦争に巻き込まれて、高江の人達は心も身体も踏みにじられ、社会保障は削られ、保育士さん、介護士さんが足りなくて、子どもやお年寄りが路頭に迷ったとしても、それで良いのか、と言われました。

今ならまだ間に合うと。

テレビ、新聞だけでなくネットも見てご覧と。ネットの中で呟いている人達の声に耳を傾けてご覧と。何故、吉永小百合さんが「沖縄の人達に申し訳ない、海兵隊を東京に持ってきたら」と言ったのか分かると。

何時か、あなたが声をあげようとしたとき、あなたの周りには誰もいなくなると。

あの、マルティン・ニーメーラ牧師が言っていた言葉のように、そんな日を招かない為にも、新聞、テレビだけでなく、ネットの情報にも少し目を向けてみようと。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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「彼女に関する十二章」中島京子

2016-08-20 09:41:16 | 社会問題
これは、1954年 伊藤整の著書「彼女に関する十二章」を参考に書かれた小説で、2014年~2015年に「婦人公論」に連載された物を書籍化したものである。

夫の宇藤守と妻の聖子を中心に描かれている。守は零細編集プロダクションを経営していて、とある会社の会長からPR誌に女性論連載を依頼され、伊藤整の「彼女に関する十二章」を参考にして書く事を考える。

「彼女に関する十二章」のタイトル通りに一章づつ区切られて物語は進んで行くが、内容は現代の東京に住む中年真っ只中の一組の夫婦の日常と、それを取り巻く人々と、社会的な事も含めて描かれている。

読み進むうちに私は、今の、暗い息の詰まるような世相に雲間から細い光が指したように感じた。

妻の聖子が、出向先で経理の仕事をしているとき、ボランティアで出会った元ホームレスの「調整さん」というニックネームを持つ初老男性。
守の弟の小次郎君は、LGBTで、ファッション広報業界では意外と知られた存在。
息子の勉は地方の大学院に通い自宅を離れているが、ある日同棲している彼女を連れて来て、その彼女がまた家庭に問題ある人で…。

この物語に出てくる人々が日本の社会ではマイノリティ的存在なのだ。しかしそれが「彼女に関する十二章」の引用を読むうちに、何となくしっくり来るから不思議な気分になる。

更に守と聖子は、伊藤整という文学者が「ファシズムと日本的情緒とが結びついたときの恐ろしさ」について語っていると気付く。

日本の社会でマイノリティーとして生きていく人達が決して特別なのではなく、すぐ隣にいて、あなたや私と同じテーブルについているのかも知れないと思わせる物語だった。

そしてその対極にあるのが異端を許さない社会であり、ファシズムであり、戦争なのだと改めて感じた。

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
パンドラ
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国民投票の理想と不安

2016-08-19 14:53:15 | 民主主義・人権
原発都民投票が行われたとき、今井さんのおっしゃる「国の将来について、一人ひとりが真剣に考え、家族や友人らと話し合って結論を出」すという機会を得ることが何より大切だということに賛同して参加しました。

しかし、8月14日(日)東京新聞の4面「時代を読む」に、在野の哲学者の内山節さんが、「「世界共通」に気づく想像力」と題して一文を寄せています。
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「民主主義の原則に従えば、国民投票はもっともよい国民の意思表明だということができる」と認めつつ、「だがそれは扇動のうまさに流されやすい方法でもある」と、その危険性を指摘し、「1934年に、ドイツでヒトラーが全権を掌握したときにも国民投票が実施され、国民の「信任」を得るかたちでそ-れは実現された」とあります。
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また、今日17日(水)の東京新聞夕刊7面の「ナチスの時代を見つめて」の、對馬達雄秋田大名誉教授の「抵抗した市民の勇気」では、
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「ヒトラーを一番支持したのは主婦たちでした。家計を握る主婦たちにとって大事なのは、明日の暮らしをどうするか。ヒトラーの政策は実利を伴っていましたから」
特定秘密保護法や安保関連法が施行される中、「同調圧力や大勢順応が強まっている」
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そればかりか、相模原事件の犯人の発言と変わらない発言を障害者に向けて、「この人たちには人格あるのかね」「安楽死につながるんじゃないか」という石原氏。「ナチスの手口に学んで」憲法をないがしろにしていくことを勧める麻生氏。

そうした発言をした政治家を失脚させることもない日本のゆるい世論。どこまで国民が「一人ひとりが真剣に考え」ることができるのか、いささが心もとなく思わずには居られないのです。

やはりそれでも、「民主主義の原則」は大切。

しかしお金が入るから、仕事が増える(これは工事が終わると期待以下)と、唯々諾々と原発を受け入れる自治体と町民。「エネルギーは日本では必要」「安く作れる(これは後始末の費用は無視)で、原発を易々と受け入れてしまう経済界。


うまく名付けた「アベノミクス」が国民の益になっているのか?の検証もせずに、「今日の経済」「目の前の儲け」にはつながりそうだと支持し続ける、参院選の選挙結果。

かつて「自民党をぶっ潰す」といって、派遣法で多くの若者をぶっ潰した小泉氏の人気、「自民党都議会と対立」を打ち出して、当選した小池都知事。ともに、何より情報の扱い・扇動がとても上手だったとつくづく思います。

こうした日本の動きをみると、国民投票が取り返しの出来ない結果を生むこともまた、歴史の事実であることを、何と受け止めていいのでしょうか。

内山氏は「人々の日常世界に近いところに決定権を与えていくこと、つまり地方分権や地域主権を徹底していくことしかありえないのではないか」と言います。對馬氏は「市民の勇気」「良心に従った行動」「歴史の事実を知る」ことを勧めます。

たしかに、原発の場合、地方政治では住民投票で自らの生活に直結する問題として、はっきりと「ノー」を選択した自治体もありました。

「勇気・良心・歴史に学ぶこと」どれも非常に大事なことです。しかしナチスの時代に反対を貫き命を落としたり、危険を知りながらユダヤ人を匿った人々の勇気を、あらゆる市民が持てるでしょうか? 目の前の暮らし、家族の安全すらあれば…今は仕方がないと、目を瞑る自分が見えそうです。

新聞記事を繰り返し読んでも、理想はよく分かるのですが、不安は払拭できないでいます。

どうぞ、東京新聞を取っていらっしゃる皆様、ぜひお読みになってみてください。そして国民投票のみならず、自由・人権を守る民主主義をどうやってしっかりこの国に育てていけるのか話し合えることを願います。

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
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「サロン・ド・朔」8月26日(金)例会のお知らせ

2016-08-18 10:34:49 | イベント情報
「サロン・ド・朔」8月26日(金)例会を下記のとおり行います。

今回はジャーナリストで〔国民投票/住民投票〕情報室事務局長の今井一さんにお越しいただき、『イギリスでのEU国民投票から学ぶべきこと─日本での改憲発議に絡めて』のテーマでお話をしていただきます。

今井さんは、今年6月にイギリスのEU離脱に関する国民投票の取材に行かれ、取材報告を以下にまとめています。

http://ref-info.com/uksref-1/
http://ref-info.com/uksref-2/
http://ref-info.com/uksref-3/

現地イギリスで直接見た「国民投票」の実態を伺い、日本の私たちはそこから何を学び、今後自分達の国民投票にどう向き合っていったら良いのかを、今井さんと共に考えてみたいと思います。

興味のある方の参加を歓迎します。参加希望の方は、「護憲」HPに記載のメール宛に、その旨ご連絡ください。折り返し、会場その他、詳細をお知らせします。

■日時:8月26日(金)18:30~21:30
■会場:「フリースペース 朔」
■会費:500円(飲み物、軽食付き)

====
☆「サロン・ド・朔」とは、「護憲+」メンバーを主軸に「SNSリアル版」のような形で運営するフリーな集まり(@東京)で、毎月テーマを決めてそれに相応しい講師をお招きし、勉強会・親睦会を行っています。皆さんの参加を歓迎します。

2015年以降に取り上げたテーマは以下のとおりです。

(2015年)
 1月: 「地域から市民が政治をかえる」
 2月: 「民主党(と長妻議員)の現状」
 3月: 「今、沖縄・辺野古で何が起こっているのか」
 4月: 「皆で考える 日本国憲法」
 5月: 「映画 日本国憲法」DVD視聴
 6月: 「市民に選挙をとりもどすプロジェクト(とりプロ)と2015年衆院選無効請求訴訟」
 7月: 「満州・阿片と731」
 8月: 「解釈改憲を止め立憲主義をとりもどそう」
 9月: 「安全保障という名の戦争動員」
10月: 「野党再編の見通し-これから野党はどうするべきか」
11月: 「中国の人々の暮らしと展望―経済発展とその評価」

(2016年)
 2月: 「参議院選挙の取り組み」
 4月: 「この国を覆う空気」
 5月: 「電波はだれのものか」(フォーラム参加)
 6月: 「こども食堂ってなんだろう」
 7月: 「中国・南京での異文化体験-私のみた中国」

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
笹井明子
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袴田事件の現在

2016-08-17 09:39:04 | 民主主義・人権
袴田さんが静岡地裁の再審決定により拘禁を解かれ、姉の家に落ち着いたニュースは、全国を駆け巡った。2014年3月27日のことである。

あれから2年半近く経過するが、依然として再審は開始されていない。検察が、再審決定に対して即時抗告という手続きで、再審に待ったを掛けたからである。

こうした反撃は許されるのだろうか。確かに形式的には即時抗告という対抗手段は法律上は認められる。しかし、実際上静岡地裁でも問題にされた「捏造疑惑」、そればかりか逮捕時の強制自白や一年後に突然提出された味噌蔵からの衣類5点、これが捏造疑惑の対象であるが、こうした捜査の違法を犯しておきながら、「即時抗告」は許されるはずもない。

そうした禁じ手の数々がありながら、再審請求を開始しない裁判所(最高裁の判断が大きく影響しているはずだ)は、司法権力を正当に行使できない国家機関に堕している。

袴田事件の具体的な説明はここでは省略するが、袴田事件に至る戦後史の闇は深い。

最初の闇の始まりは「帝銀事件」の裁判に存在した。この事件では当初容疑者は旧陸軍731部隊の元隊員(とはいえほとんどは医者)に絞られていた。それがGHQの横やりで捜査は中止。仕方なく周辺にいた画家の平沢を「身代わり」犯人として法廷に差し出したのである。

この「帝銀事件」の手法;パターンが、後の捜査手法に取り入れられたというのが私の推論である。推論とはいえ非常に蓋然性の高い推論である。

真犯人を短期間で逮捕できないときに、全国の警察はこの「身代わり」を挙げる。特にその捜査手法が目立ったのは静岡県であった。これは冤罪事件に詳しい作家や弁護士などに指摘されてきた。身代わりにされた被告人に証拠がなければ捏造する。こうして静岡県では冤罪事件のデパート・工場などとささやかれてきたのである。

日本の司法がこうして機能不全を来してきたのは、警察・検察の責任とばかりも言えない。一番の責任所在はやはり裁判所である。被告人の人身の自由や刑事裁判における被告人の権利を守るのは、裁判所であるからだ。

無罪推定の原則や自白の強制があればその違法性を確保する。こうしたことは実際何一つやってこなかったのが日本の裁判官である。

再審にならなければ被告人の冤罪が認められないというのもおかしな話である。そして被告人の最後の砦である「再審」さえも、袴田事件ではまだ門が開かれていない。

6月に袴田事件の映画「夢の間の世の中」を観た。この映像で興味深かったのは、袴田さんが拘禁反応(精神病の一種)から徐々に解放されて人間らしさを取り戻すリハビリ過程が、丹念に描かれていたことである。また、姉の秀子さんとの二人三脚の戦いが、涙なくしては観ることができないほどの映像力があり、2時間があっと言う間に過ぎてしまった。もし機会があればあと3度は観たい映画だった。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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