老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

積極的平和の意味するもの

2024-02-25 20:33:23 | 戦争・平和
2月17日に「平和学の父」と呼ばれたヨハン・ガルトゥング氏の訃報を聞き、ガルトゥング氏が提唱した「積極的平和」の概念と日本政府が依拠している「積極的平和主義」なるものの違いを改めて考えている。

同じ語彙を用いた印象操作を行おうとしているのだろうが、両者の目指すものは明確に異なる。2月21日の東京新聞の記事に的確に記されているとおり、ガルトゥング氏は安倍政権が掲げた「積極的平和主義」には「自らが提唱した構造的暴力のないという概念は入っていないだろう」と非難していた。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/310467

平和のために武力行使をすると言ったところで、そもそも戦争や侵攻・侵略自体が暴力に他ならない。直接的な暴力は貧困や差別、飢餓などの構造的な暴力を生み出す原因にはなっても、解決する手段とはなりえないのではないか。ガルトゥング氏が紛争や対立を解決するために編み出した「トランセンド(超越)法」では、紛争に関わるすべての当事者のゴールを突き合わせ、妥協するのではなく新しい創造的な解決策を目指すものである。

日本に住んでいるほとんどの人たちは、日本には戦争がなく平和であると感じているように思う。しかし、意見や立場が違う人たち同士の意見を聴き合ってお互いにとって生きやすい世の中を作る、という国としての意思決定はできていないように見受けられる。

先日開催された「日・ウクライナ経済復興推進会議」では、復旧復興を支援するために56の協力文書を交わしたとしている。しかし、どれだけ復興を進めても同時に被害が拡大している状態では意味がなくなってしまう。

国どうしがぶつかり合って事態の終結を図るより、双方が停戦を受け入れられるような、より創造的な解決策を現実のものにできる基盤を作る過程で日本にできることはないだろうか。

政府の政治倫理審査会の名簿を見ても、委員の会派や性別には偏りがあるようだ。先週のコラムでも提案されていたように、特定の政党の人の意見が反映されないような工夫が必要ではないか。様々な立場の人の意見を聞き入れ、構造的な暴力のない積極的平和を実現するには、まだ改善の余地がありそうだ。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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持続可能な農法が如何にエチオピアの農民の役に立つだろうか

2024-02-24 09:48:55 | 社会問題
『持続可能な農法が如何にエチオピアの農民の役に立つだろうか』
   Deutsche Welle、2024年2月22日 Alistair Walsh氏記す

以前Tigrayに関する記事をいくつか紹介したことがある。

農業の世界に2つの大きな流れがあることを「AGRA」と「AFSA」というキーワードを基に紹介もしている。

そして国際間に亘る諸課題(世界の食糧安全保障もその課題の一つ)を解決する際、従来期待されてきた世界各国の政府間協議を前提とした「Multilateralism」の限界が指摘され、修正が求められ、その結果として実行力を期待して、殊に世界規模の国際企業を利害関係団体と認定して課題解決の場への関与を認め、参加できるとした「Multistakeholderism」についても紹介している。 

Multistakeholderismを正に体現している農業システムの普及を目指すアフリカ内の組織がAGRAであり、その長所と短所を紹介した。

そして企業型単一作物栽培に特化した農業システムの普及を特徴とするAGRA型農業だけでは、世界の農業の健全な発展は期待できず、少なくとも同等以上の寄与をAFSA型農法に求めるのが大切な視点であることを指摘している。

今回Deutche Welleに、Tigrayの現在地を含めてのアフリカ農業を考える機会が期待できる一文があったので、紹介してみたい。

***
エチオピアの食糧危機には複雑な理由がある。最大の理由は日照りであり、日照りは地球沸騰化が原因して悪化している。この問題への対応策として、気候変動に配慮するスマート農業(climate-smart agriculture、CSA)に向かって舵を切っている 人々がいる。

「日によっては何か食べ物にありつけるけれども、別の日は腹をすかせて眠りに就いている」とエチオピア農民のGebremedhin Hagosさんが、わずかな収穫物を見せながら話す。

他のエチオピアの農民と同様にHagosさんはここ40年の期間で最悪の日照りに見舞われ、雨が降ることを祈っている。数千ヘクタールに及ぶ作物は既に焼けついた畑で枯れており、数万頭の家畜も既に死んでいる。

「飢えに苦しんでおり、危機的状況だ」と70歳のHagosさんはこの1月に話し、そして「何が出来るのだろうか?どこへ行ったら良いのだろうか?」と語っていた。

Hagos さんと彼の家族は、そのように充分に食べることの出来ない1600万人にのぼるエチオピア人の中の人々である。子供を含めて多くの人々が、永年の戦乱状況・経済危機や長引く日照りの影響から、栄養失調や病気に苦しんでいる。

2年間に亘りTigray地区反乱軍と政府軍との戦乱でTigrayの北部の州が大きく破壊されており、飢餓の拡大により、Tigrayではこの半年で数百人の餓死者がでている、と国連担当者が指摘している。

この危機的状況に迅速に対処するため、国連ではとくにTigray在住の300万人のエチオピア人に緊急支援する計画を立てている。一方他の支援組織らは、これらアフリカの角と称される地域に住む人々が将来に亘って自力で食糧を如何にして確保していくか、という課題の解決を模索している。

「エチオピアの人々の強靭性を強化していくことが基本目標の考えである」と国連世界食糧プログラム(UN World Food Programme、WFP)のスポークスパーソンのClaire Nevillさんは語る。そして「人々自身が持続可能であり、長期に亘り食糧の確保が出来、そして再び食糧難に戻ることがない、という解決策を保証することが目標である」と指摘している。

アディスアベバ大学開発研究学科助教授のAbyiot Tekluさんは「気候変動に配慮したスマート農業(climate-smart agriculture、CSA)がエチオピアやその他のアフリカの角地域の国々の食糧生産の長期的確保に役立つ」との信念を持っている。エチオピアの多くの農民らは自給自足型農業(subsistence farming)を実践してきており、作物向けの用水に雨水を利用してきており、彼らの慣行は気候変動の時期に特に相応しいものと言える。

気候変動に配慮したスマート農業(CSA)とは、永らくそれらの地域で行われてきた持続可能な農法の新しい名称であり、Tekluさんの研究の中心テーマである。この農法では長期の雨季が期待できないアフリカの角のような場所においては、それぞれの異なる固有課題に合わせた対応策を個別に考案していくことが必要とされる。

気候変動に配慮したスマート農業(CSA)の一つが、エチオピア南部で伝統的に行われてきていたアグロフォレストリー(agroforestry)であり、当該地域の高地でも谷間でも良好な結果が提供出来ていると、Tekluさんは語る。これらの地域におけるアグロフォレストリーでは、生産作物の植生の中に高樹木や低樹木を植え、これらの樹木と作物からなる植生の間でニワトリの様な動物を一体的に育てるやり方を採用している。画一的単一作物栽培の方式に比べて、このアグロフォレストリーでは土壌の肥沃化が助長され、従って土壌の流出・侵食が防止できることになる。また生物多様性が改善され、水の損失の軽減も図れるという。

ある研究によると、エチオピアの伝統的な小規模農家の家庭菜園においてはアグロフォレストリーが実践されていることが紹介されており、これらの実践により当該地域の緑化は促進され、一方彼らの生計の助けになるとともに栄養のある食物の入手が出来ることとなっていた、という。

土壌の保護を最大目標とする保全型農業(conservation agriculture)が、もう一つの形の気候変動に配慮したスマート農業(CSA)の例である。この農法では、作物の収穫後に作物の非食部分を畑に残すという小さな修正点を持っているとTekluさんは述べ、それにより土壌の質が回復され、農地を保護出来ることになるという。この畑に残される作物残渣は燃やされて肥料となるか、そのまま家畜の飼料となるかして、エチオピアでは利用されている。

収穫残を畑に残すというような気侯変動に配慮したスマート農業を2年間採用すると、以前は土壌が劣化していたDebremawiの高地地域において作物が生い茂るようになり、そして農民らは小規模な灌漑などの別のCSA技法を取り入れることも出来るようになったという。

Tekluさんは現在の危機が悲惨なものであり、現在の紛争と度重なる危機により、短期的には今述べているような農法の適用は困難だということを認めている。しかし、エチオピアが長期的開発アプローチを採用し、そして地下水系のような未利用資源の開発に着手するのであれば、農民らを支援する機会と方策はあるとTekluさんは信じている。

国連世界食糧プログラム(UN WFP)はまた、エチオピアの食糧危機に対して長期に亘る持続可能な解決策を優先させることを拡大している。

洪水や日照りのような異常気象の早期警報システムを農家へ提供することを検討しており、それにより農家は事前に対策が取れることが期待されている。この方策に合わせてこれらの異常気象からの打撃を和らげる資金的支援を組み合わせることで、追加の食糧や家畜の保護にこの資金を充てることが可能となる。

WFPはまた、エチオピア西部地域のGambelaの以前から自給自足農業を営む農家を支援して作物の栽培を手助けし、その収穫物をWFPに売却するというプロジェクトを検討している。このシステムにより、農家は農耕用機械の購入が可能となり、そしてより良い種子や肥料の調達も可能となり、生産性の向上や農業特有の不安定さの低減に役立つことになる。

「Gambelaの農家から購入したトウモロコシは、南スーダンからGambelaへ逃れた人々へ供給することが可能となる」とこのプロジェクトに関わるClaire Nevillさんは指摘する。

しかし、資金提供を求めて世界各地の危機の間で獲得競争状況が存在する現在、このエチオピアでのWFPの活動の為の資金は不足しており、支援金の大半はエチオピア人への食糧援助支援といった緊急性の高い危機の軽減目的で利用されているという。

エチオピア政府とTigray反乱軍との間の紛争は2022年に終結したとされているが、Tigrayの農業天然資源局の広報局長Mikiale Murutsさんは「220万人が避難し、農業活動から切り離された生活を余儀なくされている」と述べている。

紛争前には、この地域は持続可能なアプローチのリーダ―であり、砂漠化と闘い、人々の食糧生産能力の向上の取り組みに対して、国連が後援する賞を受けたこともある。

しかし、和平が成立した現在も、この地の肥沃な土地の多くが戦闘員に制圧されており、農業は不可能だとMurutsさんは語っている。「現状、食糧支援がなく、これらの地域における食糧不安は更に悪化すると予測され、人々は死に直面している」と指摘している。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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1年に亘り過去の基準温度より1.5℃を毎月継続して上回るという年を我々は経験した

2024-02-23 13:45:13 | 環境問題
『1年に亘り過去の基準温度より1.5℃を毎月継続して上回るという年を我々は経験した』
AlJazeera、2024年2月8日

表題の報道が欧州のコペルニクス気候変動サービス(Copernicus Climate Change Service、C3Sと略称される)から発表され、一方NASAは、海洋と大気に関する情報を従来を量的・質的に大幅に上回り供給することが期待される気象衛星を、発射している。

記録を取り始めて以降で初めて、地球の気温が12カ月間(2023年2月から2024年1月の1年間)に亘り継続的に1.5℃を超えて上昇した、とコペルニクス気候変動サービス(C3S)が発表している。人類への警告と受け止めるべきと科学者らは述べている。

気候変動につれて暴風・日照りや山火事が世界各地を襲い、エルニーニョにより太平洋東部海域の海洋表面温度を温めている。その結果、1850年以降の記録の中で2023年が最も暑い年だった、と記録されることとなっている。

C3Sは2023年の1年間が19世紀の基準温度に比して1.52℃温暖だったとした上で、2024年もこの極端な気象状況は続いているとしている。

ただし、科学者らは、約200カ国の政府が署名した2015年のパリ合意で設定した温暖化の上限値1.5℃を永続的に上回っている訳ではない、としている。

パリ合意において各国は2050年までに化石燃料の使用を段階的に廃止の方向に進め、代わりに再生可能エネルギー利用を進めるとしているが、実態としては、世界は温暖化を1.5℃以内に抑制することを含めて合意目標に向かっての軌道には達していないと国連は見ている。そして科学者の中にもパリ合意の目標達成は最早現実的には無理だとする意見があり、彼らは少なくとも目標値の上振れを最小限にすべく温室効果ガスの排出削減の努力を迅速に進めるべきと強調している。因みに2024年1月の気温は2020年に記録した過去最高を更新している。

米国宇宙局(US Space Agency)NASAが木曜日に最新人工衛星を発射している。目的は、従来得られていた以上に詳細な世界の海洋及び大気の観測情報を得ることである。

9億4800万ドルをかけ打ち上げられた人工衛星は、少なくとも3年の期間、地上676kmの高さから地表を毎日スキャンすることを使命としている。観測項目はプランクトン(Plankton,P)、エアゾール(Aerosol,A)、雲(Cloud,C)及び海洋生態系(ocean Ecosystem,E)。頭文字を取ってこの人工衛星はPACEと呼ばれる。

この人工衛星プロジェクトの科学者Jeremy Werdellさんは、「我々地球に住む者にとって今まで見たことのない光景をもたらしてくれるだろう」と話している。

今までの地表観測衛星では、7から8種類の色の情報が送られて来ていた。今回の新しい衛星では200種類の色の情報が送られてくることになり、科学者らは海洋中の藻類(Algae)の種類や大気中の粒子の種類が特定できることになると期待している。

新人工衛星からの情報は1~2カ月で始まる予定とされ、ハリケーンやその他の異常気象予報の精度向上に繋がることや、地表温度上昇のような気候変動の詳細情報や、有害藻類の繁殖の予測精度の向上に繋がることが期待されている。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
yo-chan
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「一政党・連立政権に過半数の議席を与えない」国会ルール

2024-02-19 09:56:34 | 自民党政治
2021年9月3日、菅義偉が自民党次期総裁選に出馬しないことを表明した。これが事実上の「首相を辞めます」宣言であり、前年9月16日の第99代内閣総理大臣就任から約1年という短命内閣に終わった。第2次安倍政権で民意を無視したイエスマン官房長官となり、記者・国民をバカにした記者会見での対応等に変化がなく、自分の長男を優遇した我田引水がバレたのだから当然の結果である。

何を今さら古いネタを・・・と言われそうだが、2020~2021年の東京新聞を今頃整理・スクラップしているのでご容赦いただきたい。首相就任時に菅義偉が「国民のために働く内閣」というキャッチフレーズを言い放ったのも噴飯ものだが、そのスクラップを時系列で眺めていると彼の悪事「学術会議任命拒否」問題が尾を引ていることに愕然とする。「その指摘はまったく当たらない」が常とう句の彼が「任命拒否」理由をいまだ説明せずに政治家を続け、政府与党は「学術会議改革」などと問題のすり替えをしている。「説明しない」「責任はあるけど責任をとらない」自民党政治を岸田文雄が堂々と続けているのだから、世も末である。

2020年11月21日付の東京新聞「こちら特報部」では黒川高検検事長の定年延長問題など、何でも閣議決定で乗り切る安倍政権と「お答えは差し控える」を連発する菅政権を痛烈に批判していた。同記事は「お答えは差し控える」発言について立命館大学・桜井啓太准教授(社会福祉学)の分析結果を引用し、
・第2次安倍政権以降に急増したフレーズ。
・「モリカケ問題」「桜を見る会」の国会答弁で安倍首相が最多の165件。
・これは本当のことを言えない時の常とう句。
・本当のことを隠し通し、国民の忘却を待っている。
・その答弁で国会を乗り切ることができ、味をしめた。
・この発言で問題をはぐらかす首相は信頼を失い、リーダーたり得ない。
・この答弁で議論を拒む姿勢は民主主義を揺るがす行為。
以上のように分析し、断罪している。

平和主義・専守防衛を塗り替えようとする政治志向、公私混同かつ責任を取らない政権運用、安易で陳腐な閣議決定、説明責任を果たさない首相、辺野古基地建設の暴走を続ける政府、政党助成金の存在意義を潰す自民党の裏金問題・・・それでも当事者(政治家)を法的に裁けない、正せない。民主主義は踏みにじられ、三権分立が機能しない日本の政治は「死ねよ」ではなく「すでに死んでいる」のだ。

これらの原因が小選挙区制にある、と識者は言う。「安倍一強」長期政権を支えた国民が悪い、と評論家は言う。いやいや、これは政治家が堕落して資質と矜持がなくなった結果でしょ?

そこで、暴論を考えた。衆参議員選挙において単独政党・連立政権で過半数を超えた部分の議員は当選無効とする。つまり、国会で一政党に過半数をとらせないルールの法制化である。

その昔、自民党が過半数を取れなかった国会では、政権与党の不祥事・疑惑で首相がコロコロ変わり、閣僚の辞任が相次いだ。それを「上げ足取りや否決が続いて“決められない”国会」「政治的停滞や空白が生じる」「“何でも反対”の野党が国会を混乱させる」と批判する人々がいた。

それでは、自民党が過半数を占めた“決められる”国会や昨今の政治はどうだろう。もはや「やりたい放題」、暗黙の“一党独裁”状態である。だから、民主主義に反する云々は棚上げし、「一政党に過半数の議席を与えない」国会ルールを作りましょう!

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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豊洲「千客万来」

2024-02-12 16:43:14 | 社会問題
豊洲の「千客万来」という施設が開業したという。先日テレビで放送していた。大勢の人達で賑わう通路は江戸の街並みを再現したという。店の中で食事を取ると、海鮮丼7000円、ウニ丼は10000円越え。これでは「富裕層、インバウンド、千客万来」ではないか。

春節も始まり日本には沢山の中国の人達も訪れる。その不思議な行動をテレビで放送して、ネトウヨは「美しい日本を汚す奴らは日本から出ていけ!」と騒ぎ立てる。だが日本の経済はインバウンドの人達に頼らなければ成り立たなくなりつつある。

テレビは昔はトレンドを追い掛けていたが、今はトレンドを作る媒体になりつつある。それも一時的でいい加減なトレンドを。コロナの渦中にテレビが鳴り物入で宣伝して開業した高輪ゲートウェイ駅は、今は閑古鳥が鳴いているという。

日本は貧しい国になりつつある。株価は上がっても、私達の生活に必要かつ大事な仕事をしている人達の時給は最低賃金に張り付いたまま。政治家はやりたい放題。でも起訴もされず、逮捕されたのは尻尾だけ。国民は政治に興味も関心も持たず声を上げようともしない。

それでも、希望がないわけではない。若い人達は環境問題に敏感だし、杉並では市民派の区長が誕生した。保守王国群馬では市民派の候補者が現職を破って当選した。少しづつだが変化は起きている。

あの環境活動家のグレタさんは言っている。「私達の行動で必ず変化は訪れる…」と。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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「軍産複合体」と憲法(その1)

2024-02-10 10:17:31 | 憲法
1,はじめに(今回のコラムについて)

憲法規定、特に憲法第9条(以後、9条という)の予定する「戦争の放棄」と「陸海軍その他の戦力は、これを保持しない」との規定では予定されていない、「軍産複合体」の問題性が、現代では厳しく問われて来ていると言ってよいだろう。

なぜなら、AIなどの開発が現代科学の課題としてクローズアップされており、また軍需産業と大学などの軍事研究としての参加も政府などから要請される奇妙な時代になってきたからである。(ここで「奇妙な」とは憲法の規定から見て、奇妙だと言うことだ。)

この「軍産複合体」と憲法規定の問題をめぐっては、池内了氏が「科学者と戦争」(岩波新書、2015年)で、詳細に論じられているので、今回と次回で、池内了氏の論稿をもとに、私の憲法解釈を述べたいと思っている。

2,池内氏は、この本では、「軍産複合体」の問題に関して、次のように述べている。

「軍産複合体への道」(第2章、94ページ以下)
「アメリカのアイゼンハワー大統領が、1960年に退任する際に、軍産複合体の存在を嘆いたことはことはよく知られている。(中略)しかしながら、この批判は功を奏することなく、今やアメリカの国防予算は60兆円に拡大し、軍産複合体は「軍産学複合体」と呼ばれることになった。(中略)」

「一方、日本は、5兆円(2015年の段階で、)の軍事予算の内訳は、人件費が44パーセント、武器の調達・維持費等が40パーセント、基地対策、思いやり予算、研究開発経費が16パーセントとされている。」

「まだ、アメリカのような状況ではない。といっても、武器調達費用に1兆円以上は三菱重工や三菱電機や川崎重工など軍需産業に発注されており、戦前に肥大した「軍需費用」に近づいているのは確かである。」

このように指摘する池内氏であるが、今回コラムでは、池内論文の概略をざっと目を通したにすぎず、まだ全体を理解できていない。今回は私の問題提起に止まることを予め断っておく。

3,中間報告のまとめ

憲法学では、憲法9条などの「戦争の放棄」と「戦力の不保持」に関しては、軍隊という武力組織の禁止規定に止まるような書き方がほとんどであり、「軍需産業」と自衛隊の結合である「軍産複合体」に関する記述は憲法テキストには見られない、と思っている。

だが、アイゼンハワー大統領の危惧しているように、軍需産業の「発展」は否めない現実であり、特に日本政府とアメリカ産の武器の必要以上の爆買いは、マスコミでも大きな話題になってきた。

この問題点に関して、軍産複合体の憲法上での疑問が取りざたされるべきだと私は考える。日本の軍需産業とアメリカの軍需産業と自衛隊の「結びつき」を、新しい憲法上の視点として再考しないことには、憲法に基づく政治は次第に困難になってくると思うのである。

次回は、池内名誉教授の論文をもとに、憲法論の新しい課題に焦点を当てたい。とりわけ、科学者の軍事参加の是非論が重要になるだろう。

「護憲+コラム」より
名無しの探偵
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