老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

「関心領域」隣は何をする場所ぞ

2024-06-07 09:39:49 | 民主主義・人権
緑の豊かな庭や畑、小さいながら子供用の滑り台付きのプールまであります。そこで遊ぶ子供達、おしゃべりする女性達。映画「関心領域」は、ポーランドに住むドイツ人一家の、のどかな家庭風景を描きます。

夫のルドルフ・ヘスが持ち帰るドレスなどを、妻のヘートヴィヒ(ザンドラ・ミュラー)は女中たちにも分け与え、自分は毛皮のコートを満足気に羽織って、ポケットの口紅に気付くと、さっそく塗ってみます。

子どもたちは、なんと入れ歯をおもちゃにして遊ぶ。それらの持ち主がどうなったかなどは、何も考えないのでしょうか。

塀の向こうは映らない。ただ、最初からずっと音が聞こえます。低奏音の様な焼却炉の燃える音、時々はパンパンという銃声、悲鳴。

売り込みに来た業者は、2つの炉を使い回すと「何」の焼却に効率的…と説明し、ついうっかり「500体」と漏らします。

ヘートヴィヒの母親が泊まりに来て、広い屋敷や庭に喜びます。しかし彼女は、隣の気配にいたたまれなくなって、予定を切り上げて早朝に黙って帰ってしまいます。しかし屋敷を気に入っているヘートヴィヒは、収容所長のヘスに転勤命令が出ると彼を単身赴任させる始末。

私たちはこの家の塀の向こう、アウシュビッツ収容所で何が行われたかを歴史として知っています。この映画では最後に一瞬、靴の山と、壁に掛けられた囚人服の人々の写真が映ります。裁判で「命じられたことをしただけ」と述べたヘスの行為の結果です。そして嘔吐するヘス。

それにしても、塀の向こうで行われていたことへのヘートヴィヒの無関心さには驚きます。「無関心」は人を殺す。
しかし、もしかして見て見ぬ振り?と感じた時、私たちは自分もまたヘートヴィヒではないかと愕然とさせられます。私はどれだけ「見て見ぬ振り」をして生きて来たか、そして生きていることかと。
怖い映画です。

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明日、29日最高裁判所大法廷、旧優生保護法で不妊手術強制訴訟 最終弁論 傍聴機会のご案内

2024-05-28 22:56:34 | 民主主義・人権
旧優生保護法で不妊手術強制 国に賠償命じる 静岡地裁浜松支部 5月27日 20時09分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240527/k10014462271000.html

『旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして、視覚に障害がある浜松市の75歳の女性が国に賠償を求めた裁判で、静岡地方裁判所浜松支部は、女性の訴えを認め、この法律が憲法に違反するとして国に賠償を命じました。

浜松市の武藤千重子さん(75)は、旧優生保護法のもと、視覚に障害があることを理由に1977年に不妊手術を強制されたとして、国に3300万円の賠償を求めていました。

27日の判決で静岡地方裁判所浜松支部の佐藤卓裁判長は、旧優生保護法は憲法に違反すると判断し、「子どもを産みたいという希望や夢を理不尽にも奪われた原告の苦痛は甚大だ」と指摘しました。

その上で「手術から20年以上が経過し、賠償を求める権利がなくなる『除斥期間』が適用される」という国の主張については「国が障害のある人に対する社会的な差別や偏見を正当化し、助長したため、原告は訴えを起こす前提となる情報へのアクセスが著しく困難になっていた。『除斥期間』の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反する」と指摘し、国の賠償責任を認め1650万円を支払うよう命じました。

全国で起こされている同様の裁判で、国の賠償責任を認める判決は今回で11件目です。

旧優生保護法をめぐっては、最高裁判所大法廷が上告されている5件について当事者の主張を聞く弁論を29日開き、この夏にも統一判断を示す見通しです。

原告の武藤さん「間違っていたということ国は認めてもらいたい」
判決のあと、浜松市中央区に住む原告の武藤千重子さん(75)は「裁判が始まってから4年になるので本当に長かったです。この1週間ほどよく寝ることができませんでしたが、裁判長は私のことをちゃんと見ていてくれたんだと思って、うれしかったです」と述べました。

そのうえで「28歳のときの弱かった自分にかたをつけてあげたいと思ったので、75歳でちゃんとかたをつけてあげられたので、『武藤千重子』と名乗ってよかったと思います」と話していました。

武藤さんは、「網膜色素変性症」という重い目の病気を患い、30代のころに視力を失いました。

不妊手術を受けたのは、47年前の28歳のときでした。

このとき、視力がかなり悪化していた武藤さんは、浜松市内の病院で次女を出産した数時間後に、産婦人科の看護師から突然、手術を受けるよう迫られたといいます。

当時のやりとりについて武藤さんは「看護師から『3人目の子どもはいらないでしょう』と聞かれたので、『男の子を産みたいからほしい』と言いましたが、『目が悪くてあなた育てられるの』と怒られました。当時は障害者に優しくない社会でした」と振り返りました。

このやりとりの翌日、手術内容についての具体的な説明もないまま、手術を受けたということです。

5年前の2019年、武藤さんは視覚障害者のためのインターネットの図書館を利用した際、偶然、旧優生保護法の問題を取り上げた書籍を見つけました。

このとき初めて、自身が法律に基づく手術を受けたことを知ったといいます。

武藤さんは弁護士に相談し、1年後の2020年7月に、実名を公表して国に賠償を求める訴えを起こしました。

そして、去年9月に行われた原告本人への尋問では、裁判官に対し「法律が間違っていたということを、国は認めてもらいたい」と強く訴えていました。

こども家庭庁「適切に対応していきたい」
こども家庭庁は「今後の対応については判決内容を精査し、関係省庁と協議したうえで適切に対応していきたい」とコメントしています。』

>旧優生保護法をめぐっては、最高裁判所大法廷が上告されている5件について当事者の主張を聞く弁論を29日開き、この夏にも統一判断を示す見通しです。

 ★明日、29日最高裁判所大法廷で。最終弁論を開き、結審。この夏にも統一判断を示す見通しとか。

☆最高裁判所開廷期日情報 https://www.courts.go.jp/saikosai/kengaku/saikousai_kijitsu/index.html

 『開廷期日情報(令和6年5月23日更新)
 ・「抽選」か「先着順」かは、決まり次第「備考」に掲載します。
 ・裁判の日時、開廷場所、整理券交付の締切時刻等は変更されることがあります。
  期日等 事件番号 事件名 第一審  第二審 弁論・ 判決 開廷場所  裁判長名 備考

令和6年5月29日午前10時30分 令和4年(受)第1050号 損害賠償     弁論  大法廷 戸倉三郎 
                        事案の概要
                   (るびあり(PDF:93KB))PDFファイル/(TXT:1KB)  

 ✪備考 抽選
 整理券交付締切時刻:午前9時30分
 ※本件の傍聴を希望される方は「南門」ではなく、「西門」にお越しください。
 (西門の場所はこちら。)』

 猶、私、残念ながら、大法廷の傍聴の貴重な経験はありません。具体的なご案内が出来なくて残念です。また傍聴のTV中継などはなかろうかと。

今日のトピックス Blog http://nikoryuu.blog18.fc2.com/
 ◎NHK:「袴田」の検索結果
▶袴田巌さんの再審が結審 判決の言い渡しは9月26日 静岡地裁 2024年5月23日
の後//
◎東京高裁・大阪高裁の旧優生保護法国家賠償請求訴訟判決を受けて、旧優生保護法下のすべての被害者に対する全面的被害回復を求める会長声明 愛知県弁護士会 2022年4月20日
旧優生保護法訴訟 1審判決と逆に 国に賠償命じる判決 大阪高裁 NHK 2023年3月23日 ○旧優生保護法のもとで不妊手術を強制されたとして兵庫県の5人が、国に賠償を求めた裁判で、2審の大阪高等裁判所は、訴えを退けた1審判決とは逆に国に賠償を命じました。一連の裁判で国の賠償責任を認めた判決は、7件目です。…1審とは逆に夫婦2組と女性1人に、それぞれ1650万円、合わせて4950万円を支払うよう国に命じました。
旧優生保護法裁判・大阪高裁判決を踏まえ,旧優生保護法下における強制不妊手術及び人工妊娠中絶の被害者たちの全面救済を求める会長声明 静岡県弁護士会 2022年(令和4年)2月24日
 ○旧優生保護法訴訟 東京高裁も原告勝訴 国に1500万円賠償命令
 ○旧優生保護法をめぐる訴訟 原告側が逆転勝訴 大阪高裁判決 朝日新聞 2022/02/22
 ・裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan
 (大阪高等裁判所 第5民事部. 結果. その他. 原審裁判所名. 大阪地方裁判所. 原審事件番号. 平成30(ワ)8619. 原審結果. 判示事項の要旨. 1 旧優生保護法4条ないし13 ...)
 <判示事項の要旨> 1 旧優生保護法4条ないし13条は、子を産み育てるか否かについて意思決定をする自由及び意思に反して身体への侵襲を受けない自由を明らかに侵害するとともに、特定の障害等を有する者に対して合理的な根拠のない差別的取扱いをするもので、明らかに憲法13条、14条1項に反して違憲である。したがって、それら規定の立法行為は国家賠償法上違法である。
 2(1)旧優生保護法の優生思想や優生手術に関する文言・規定は、平成8年6月に成立した改正法により廃止された。除斥期間の起算点である「不法行為の時」は、控訴人らのいずれについても、上記法律の施行日前日である同年9月25日といえる。
  (2)控訴人らによる本件訴訟の提起の時点では、上記起算点から20年が経過していたが、旧優生保護法の規定による人権侵害が強度である上、憲法の趣旨を踏まえた施策を推進していくべき地位にあった被控訴人が、旧優生保護法の立法及びこれに基づく施策によって障害者等に対する差別・偏見を正当化・固定化、更に助長してきたとみられ、これに起因して、控訴人らにおいて訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境にあったことに照らすと、控訴人らについて、除斥期間の適用をそのまま認めることは、著しく正義・公平の理念に反する。時効停止の規定の法意に照らし、訴訟提起の前提となる情報や相談機会へのアクセスが著しく困難な環境が解消されてから6か月を経過するまでの間、除斥期間の適用が制限されるものと解するのが相当である。

★強制不妊で国に賠償命令、熊本 2高裁に続き地裁で初 【東京新聞】2023.01.23
 ○…中辻雄一朗裁判長は判決理由で、旧法が「極めて強烈な人権侵害を行った」と指摘した。
  ★安倍自民党は、憲法違反!! 繰り返し、繰り返し

平成三十一年法律第十四号 旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律 (一時金の額)第四条 一時金の額は、三百二十万円とする。(当初は300万円)  ★ビタ銭投げ⁉の法律 国による生殖機能剥奪がたった300万円。故意でだよ。安倍晋三、自民党、不届きにも程がある!!

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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「人間の境界」境界は心の中にも

2024-05-27 09:39:37 | 民主主義・人権
2022年作の「人間の境界」は、シリアやアフガニスタンなどから戦乱を逃れて、スウェーデンを目指す難民たちの映画。ドラマです。https://transformer.co.jp/m/ningennokyoukai/

ベラルーシ政府は、難民達をポーランドとの国境へと移送します。それは難民をEU圏に送りつけて、混乱をもたらそうと利用する「人間兵器」という作戦でした。

ベラルーシ・ポーランド間の国境は、鉄条網が2列で間は緩衝地帯です。難民たちは鉄条網をくぐり抜けて、緩衝地帯を走って走って鉄条網をくぐるのです。ところがホッとした途端、ポーランド側の国境警備員に見つかり、また国境に連れ戻され、ベラルーシへと追い返される。ベラルーシ側は、ポーランドへ追い出そうとします。

そうした中で死者が出ると、互いに死体を相手側に投げ込む。臨月の妊婦でも容赦なく追い返そうとします。別の場所では緩衝地帯が森や沼地で、そこで溺れる少年も。なんという悲惨な国境でしょう。

国境警備員は、難民を「人間」とはみなさない「教育」を受けてから配置されるのでした。そんな中でも、国境を超えた人々を密かに支援するグループの存在にホッとします。

ドラマとはいえ事実をもとに、ドキュメンタリーのような3時間でした。
監督はポーランドのアグニェシュカ・ホランド。彼女の作品では1943年にナチスから地下に逃れる人々を描いた「ソハの地下水道」、ソ連時代にウクライナ地方の作物を取り上げたために起きた飢餓を描いた「赤い闇‐スターリンの冷たい大地で」を観ています。

ところで、日本政府の2023年の難民認定はわずか303人で、不認定が7627人です。難民の少なさは、世界から非難されているとか。

難民認定には「母国に帰れば身に危険が及ぶことを、客観的証拠に基づいて証明しなければならない」「証拠は日本語に翻訳して提出しなければならない」という条件が付いているからです。「身に危険が及ぶ客観的証拠」を自国から持ち出せる? 今まで使っていない「日本語で」それを表現できる難民がどのくらいいるでしょう。

「難民」なんて全く縁の無いような日常ですが、人間として生きる権利、住まう権利を、日本政府が損なうことが無いように、私たちにもできることがあるのかもしれないと考えさせられた映画でした。 

「護憲+BBS」「明日へのビタミン!ちょっといい映画・本・音楽・美術」より
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政治への参加は「無理ゲー」なのか

2024-05-19 21:28:30 | 民主主義・人権
「無理ゲー」という俗語がある。難易度が高すぎて攻略がほぼ不可能な(コンピューター)ゲームを指していたが、転じてゲーム以外の事柄にも用いられるようになり、実現や達成が無理だと想定されるほどに難易度が高いことを意味する語彙でもある。

各個人とその周囲の人々が日頃感じたことや気が付いたことを、住んでいる地域や国全体の制度面に反映させようとしても、住民の代表として議会に出席するまでの道のりがまさに無理ゲーと言わざるを得ない。

各自治体の住民あるいは国民を代表して話し合いの場に参加する議員になるためには、立候補する時点で高額な供託金を要求される。売名行為や泡沫候補の乱立を防ぐことが目的のようだが、訴える政策や目指すビジョンなどよりも先に必要な金銭を調達できる人が立候補している印象があり、抑止効果があるのか疑問である。また、法定得票数に達していない場合には全額没収されるため、立候補をためらう人も相当数いるのではないか。

実現不可能で達成困難であると思わされるのは、狭義の制度面だけの問題ではないだろう。

「現職・世襲・男性」が優先される不透明な候補者の選考過程も、様々な立場やバックグランドを持つ者の参入を阻んでいる。方針や政策を決定する場に、多様なキャリアを持つ人が入りにくい仕組みが問題視されるべきだ。

さらには、時間も金も犠牲にして選挙戦に臨み、仮に落選した場合でもその後の受け皿がない。

二階俊博氏の三男が次期衆院選に地盤を引き継いで立候補すると聞いた際に、やはり一定の条件を兼ね揃えた人しか意思決定の場には参加できないのかと愕然としてしまった。

弱みや隙を見せたがらない男性中心の社会では、現職の国会議員が入院治療中であると公表すれば職責を十分に果たせないと判断され、一般には不利に働くはずだ。しかし、今回の二階氏の場合には、息子による「世襲」を正当化する理由づけになるだろう。

納税額や性別を問わず誰もが一定の年齢になれば投票できる点では平等に権利を与えられている。だが、代表民主制の代表者になるための条件があまりにも限定され過ぎていて、やはり無理ゲーと言わざるを得ないのではないか。

「護憲+コラム」より
見習い期間
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洞窟の影絵

2024-05-06 16:19:37 | 民主主義・人権
東京新聞5月3日朝刊に印象に残る記事がありました。
『「洞窟の囚人」から脱して 憲法記念日に考える』という社説です。

ある洞窟の奥で何人もの囚人が両手を縛られ振り向く事も出来ない。彼らは洞窟の壁に写った影絵を見て、それを真実だと思い込んでいる。その内の1人が束縛を解いて洞窟の外へ出て行く。明々とした光源に導かれ彼が見たものは、洞窟に映った影絵とは似ても似つかぬ世界だった。洞窟の奥に戻りそれを仲間に伝えるが彼等は信じようとはしない。

これは古代ギリシャの哲学者プラトンが著した「洞窟の比喩」というエピソードです。

社説は、政権与党が国会を無視して重要な法案を閣議決定だけで決める今の日本の現状を、それに声を上げる事も諦めた人々を、洞窟の奥に繋がれた囚人達が壁に映る影絵を観て真実と思い込んでいる姿と重ね合わせています。

内閣は国の行政機関です。立法機関である国会を無視して経済や防衛等の重要な法案を閣議決定で決め、国会がそれを追認するだけに成り下がったら、国会は必要なくなります。日本は民主国家ではない独裁国家に成り果ててしまうのです。

野党もだらしが無いという言葉に惑わされずに、外遊で浮かれている閣僚達に冷水を浴びせるために、きたる国政選挙では自らの意思で投票しましょう。ほんの少しの勇気と責任を持って。

拘束を解き洞窟の入口まで歩るき始める時がきたのです。
そこで観る光景はどんなものだとしても、自らの意思で選び取ったものに違いないのですから。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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『水原元通訳 出頭・拘束・保釈…』から見た「米国流司法取引」対「日本の人質司法」

2024-04-17 09:57:37 | 民主主義・人権
『水原元通訳 “大谷選手に謝罪したい”と声明 出頭し拘束・保釈』。その辺り、TV・展開から、「米国流司法取引」対「日本の人質司法」を考えてみた。

勿論、人質司法を口にする以上、これに好感は持っていない。日本の刑事司法、捜査は、戦前とそう変わっていないのではないか。

例えば、権利保釈「(必要的保釈-刑訴法89条)」の規定はあるが、実効性が奪われている。逮捕の後は、無造作に、23日間の勾留~起訴まで<拉致・監禁が続く>ことになっている。しかも、捜査・尋問に弁護士の立会いは認めない。弁護士との接見交通も制限する。被疑者の権利、防御はあまりに不十分…人質司法と言われる所以。

さて、日々伝えられる、日本で大人気の大谷翔平氏と彼の元通訳、水原一平氏の銀行詐欺の疑い!?事件で、米国流の逮捕・司法取引など、間接的だが、目の当たりにすることが出来た。いづれも、初めてのことだった。どうしても、日本人は、日本での逮捕・捜査の通例を背景に理解しようとしてしまうが、それは誤解!邪魔になるばかり…。

只、被疑者、犯罪(被疑事実)の追及は共通するものの、人権尊重、人権規定との距離感、どちらを優先するかなどなど、斟酌する中で、相当大差の捜査があるのかと。 唯、日本の人質司法のような極端なものは、類を見ないのかと。

日本の最高法規、日本国憲法に帰るべきではないかと思う。人権制限・侵害を当然視する、戦前からの伝統ではなく。

〔基本的人権の由来特質〕
第九十七条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。
 
アメリカの司法取引採用について、「犯罪も多いので、効率の点から採用されている」と、番組で紹介があった。しかし、それだけではなかろう。決して冤罪を生まない、市民社会の常識、できる限り、人権を尊重すると言う選択が。

ウーン、してみると、人質司法を敢行する日本は、捜査、警察関係は、無闇と加重に人材が溢れているのかも、と思った次第。

自民党には、相性として民主的、現代国家とは似ても似つかず、警察国家がさも似たり。人権尊重のオーソリティ、人権委員会もない。予定も!?

<ご参考に>
水原元通訳 “大谷選手に謝罪したい”と声明 出頭し拘束・保釈 2024年4月13日 11時34分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240413/k10014420791000.html
そのとき 大谷翔平は… 水原元通訳 破綻への時系列を振り返る 2024年4月12日 19時07分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240412/k10014420381000.html

刑事訴訟の流れ - MtBook US リーガルサービス
https://mtbook.com/service/criminal-lawsuit/
『刑事裁判において、通常法廷内で最初に行われる手続きは罪状認否です。被告が書面による罪状を受領し、弁護士による代理が認められ、訴えられている罪状に対して応答すると、裁判の日程が計画され、保釈が審理されます。』 ...

ドイツ法曹学会所属の専門家に聞く海外の司法 ※刑事訴訟法198条
https://keiji-pro.com/magazine/169/

「護憲+コラム」より
蔵龍隠士
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「ヨーロッパ新世紀」欧州の福田村事件

2023-11-14 09:37:42 | 民主主義・人権
「ヨーロッパ新世紀」は、ルーマニアのトランスシルヴァニアの田舎町での「ディトラウ事件」という実話が元の映画です。
https://en.wikipedia.org/wiki/2020_Ditr%C4%83u_xenophobic_incident

映画の字幕が、ルーマニア語は白、ハンガリー語は黄色、その他の言語(ドイツ語、英語、フランス語)はピンク(3色の字幕なんて初めて観ました!)に表されるように、この地の歴史を反映して、人種も混じっています。

出稼ぎ先のドイツで「汚いジプシー野郎」とののしられて怒ったドイツ系のマッチョな男。実はこの村はジプシー(ロマ)を追い出しています。家に帰ると妻は冷ややか。ハンガリー系のインテリの元恋人に会いに行くが、やんわり断られます。

彼女はパン工場の責任者ですが、賃金が安いため村人は働きたがらず、スリランカ人を3人雇います。すると村人は、「移民が来た」と大騒ぎになり、家は銃撃され、集会では「汚い手で触ったパンは食べられない」と凄まじい偏見・差別の言葉の羅列。そしてルーマニア人とハンガリー人の反目に発展していきます。

差別される側が上位に立ちたいがために自分以下の人を求めれば、それは止まらない差別の構造です。そんな時、自分とは異質な人は、攻撃の対象にし易いのでしょう。「福田村事件」と共通するものを感じました。

世界のどこでも、自分達と異質な人を受け入れる時に摩擦は起きやすいのでしょう。グローバル化していくのは避けられない今、互いに違いを認め会いながら、人としての共通性を見出して行く力が要るように思います。言葉が通じなくても、その人には大事な家族がいるのだろうなと思う、そんなところから、互いを尊重し合う社会になりますように。

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私の希望

2023-11-04 16:29:03 | 民主主義・人権
国内でも納得いかないことが多い。騙し、ウソ、偽り…。

国外では、まず、念頭に浮かぶのは、昨今のイスラエルのパレスチナへの蛮行のこと。戦後、彼の国、建国以来ずっと続く…しかも、圧倒的に、一方的だ。彼の国がパトロンだから!
 
分離壁で狭い土地に追い込み、海からも、空からも、地上でも、段違いの火力、武力で圧倒し捲っている。建物、ビルが崩壊されて、よく人が生き残っているものだと却って感心する。人の、生き物の生命力に。

その故に、今、地上で一番優勢な生き物であり続けているのであろうか。強力な核弾頭等の最終兵器に見舞われるまでは。指導者らが、いつ引き返すのか知らんが。

パレスチナ紛争、特に昨今のジェノサイドの如き、人非人の所業を見て、単純に、自衛権を肯定する気になれなくなった。むしろ、人権が自衛権に勝る!ことを喧伝すべきではないかとの思いに至った。

人は、生来的に、価値あるもの。否定を許されないものだ。国家、政府は、人工のもの、人の都合によるものだ。その限りで肯定すればよい!況して、そんな連中が、核やミサイルや戦争を弄ぶ、他社に危害を及ぼす、脅し、害を通すなど、肯定すべきでもない。例外はない。米国だろうが、なんだろうが。
 
そんな詰まらない国にならないため、人間第一、真っ当な政府、国になるため、どうあるべきか。当然というか、禍禍しいもの、現実、あるべきでないものは、改革、改善、或いは、無きものにする、人の選択(参政権行使)、行動が要る。

民主政治、日本のそれは、どうか? 個人は尊重されているか、女性、男性は、尊重されているか?活躍の機会や場はあるか?問うてみねば…。

戦後の我々は、植民地主義、帝国主義を卒業した世の中に生を享けた。日本国憲法は、生得の権利だった。平和主義も、個人の尊重も、国民主権も。しかし、中には、こんな人らもいる!

プロフィール | 佐竹のりひさ 公式Webサイト 
https://satake-norihisa.jp/profile/#:~:text=1602%E5%B9%B4%E3%80%81%E5%B8%B8%E9%99%B8%E5%9B%BD%E3%81%8B%E3%82%89,%E3%81%A7%E5%91%BC%E3%81%B0%E3%82%8C%E3%82%8B%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%8C%E3%81%82%E3%82%8B%E3%80%82
 >1602年、常陸国から出羽国・秋田へ移り、現在の秋田県の基礎を築いたとされる佐竹氏の、角館・佐竹北家の第21代目。生まれ育った角館、そして秋田を大事にしている。また、佐竹氏ゆえに、一部の秋田県民からは「殿」のニックネームで呼ばれることがある。
「秋田の殿様が失礼しました」 愛媛じゃこ天、人気急上昇
(北国新聞 11/2)https://www.hokkoku.co.jp/articles/-/1225897
麻生太郎ーWikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BA%BB%E7%94%9F%E5%A4%AA%E9%83%8E
【緊急事態条項】「ナチスの手口を学べ」と語った麻生副総理。ナチス独裁への道を開いたのが「緊急事態条項」だった
(市民セクター政策機構) http://cpri.jp/1955/
柿沢未途ー Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%9F%BF%E6%B2%A2%E6%9C%AA%E9%80%94#
 ☆ 父・柿澤弘治(第117代外務大臣、元衆議院議員)
「妻以外と男女の仲になった」山田太郎参院議員が説明した内容は 去り際に「じゃ、そういうことで」 
(東京新聞 10/26) https://www.tokyo-np.co.jp/article/286126
政務三役辞任 無責任な人事の帰結だ -
(中日新聞Web 11/2) https://www.chunichi.co.jp/article/800343

世襲政治家、殊に与党のそれは、民主政治には適性がない。人権にも賛同しない。原則、将来に向けて排除しよう。世襲は、特定の選挙区に執着する<地盤>、<看板><鞄>など有利な者。世襲は、柵だらけ!新人立候補の邪魔!

人権の紳士、淑女、人権に貢献する人を選ぼう。平和の人士を増やそう!

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蔵龍隠士
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「未明の砦」(太田愛)

2023-10-09 09:45:05 | 民主主義・人権
世界的グローバル企業「ユシマ」の自働車工場で働く非正規の4人の若者達。彼等はテロを企てたとして「テロ等準備罪」を適用され、指名手配になる。

彼等は本当にテロを企だてていたのか?
それはグローバル企業、警察、政治家も絡んで巧妙に企てられた罠であり、濡れ衣だった。

彼等は指名手配される少し前、夏休みに自動車工場で本職の工員から彼が所有する千葉県の実家「夏の家」に招待される。
それが全ての始まりだった。

4人は海岸で遊び、個人文庫で様々な書籍を読み、今まで知らなかった世界と知識を取り込んで行く。
この「夏の家」の場面が、海と自然を背景に4人の生い立ちも絡めて青春群像劇になっている。

しかし夏の一時を過ごした4人を待っていたのは、「夏の家」に招待してくれ父のように慕っていた工員の過労死。
それも労災隠しのために何時間も医務室に放置されていた。

その時何があったのか?
事実を突き止めようとする4人は、本工の死を解明すると同時に、従業員を奴隷の様に働かせ人件費を削減しようとするグローバル企業の実態を掴む。

4人は新しい労働組合を作り闘いを挑む。自分達は人間であるという尊厳を掛けて。 
彼等の行動に賛同した本工、季節工、派遣労働者達が次々と集まってくる。今まで「分断して統治せよ」と言われバラバラだった人達が。

彼等の周囲に居る大人達、文庫の姉さんと呼ばれる腹を括った老女、この事件には裏があると独自の調査を進める所轄の平刑事、ユニオンの老活動家、腐った政治家を葬るために動く官僚、過去の自分にけりを付ける為に通報する警察官僚。
様々な人達の矜持、怒り、思惑、苦しみが絡み合い、結果として4人を助ける事になる。

果たして4人は、グローバル企業、国家権力、公安機構から逃げ切る事が出来るのか。 
 
現実の世界でも、「共謀罪」+「特定秘密保護法」が始動されたら恐ろしい事になる。この小説の様にターゲットと見なした人達をマスコミ、SNSを走狗して「恐ろしいテロ集団」というイメージを作り流布させるだろう。社会はマスコミも含めて「警察に事情徴収された」というだけで犯罪者扱いする。 
 
この小説の巻末に、もの凄い量の書籍が資料として記載されていた。太田愛の並々ならぬ覚悟と決意を感じた。

以前、「共謀罪」が成立しようとした時、ある年配の男性が「法律が出来ても乱用できるはずがない。騒乱罪だって適用されたのは1件だけだった」と言っていた。

今ならなら分かる。「騒乱罪」が過去に1件しか適用されなかったのは偶然ではない。まだ反対する人達が声をあげ為政者やその仲間達が慎重に成らざるを得なかったという事を。

天下の妖刀を抜かせてはならない。それは私達国民が深い傷を負い、子どもや孫の世代まで悔いを残す事になるだろう。

現実の世界では、西武池袋本店の労組が61年振りのストライキを決行した。ストライキ採決の時は90%以上の採決で可決されたという。

SNSでは「ストライキなんて迷惑」「世界に恥ずかしい」等という心ない投稿も見られたが、「頑張って!」「ストライキは労働者の権利!」という意見も多数寄せられたという。ユニオンや他労組からも応援のメッセージが送られた。

これから小説の中の新労組や、現実の西武労組が、労働者や国民の希望の「砦」となるのか。夜が明けた先に何があるのか見守って行きたい。

「護憲+コラム」より
パンドラ
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「コモンの「自治」論」(斎藤幸平+松本卓也=編)を読んで

2023-09-27 15:42:12 | 民主主義・人権
近年の西側諸国のイデオロギーであり、日本でも自民党政治が主導する「新自由主義」あるいは「行き過ぎた資本主義」は、人々が生きるために必要不可欠な水や電力、住宅、公共交通機関、食料、医療・教育・介護などの「基本資源<コモン>」を解体し、財力や権力を持った一部の者たちによって商品化・私有化することを許し、結果、社会全体に環境危機や経済格差を齎している。著書「人新生の「資本論」」の中で斎藤幸平氏が、こう警鐘を鳴らしたのは、2020年9月のことでした。

それから3年、コロナ禍、戦争、インフレ、異常気象など、危機的状況は複合化、深刻化し、テレビでは毎日のように「(コロナなので、猛暑なので、、)外出を控えるように」とか、「(線状降水帯発生のため、北朝鮮がミサイル発射したので、、)命を守る行動を」などの警告がアナウンスされ、私たちは、いつの間にか、「どうしたら、今日明日を無事生きていけるか」を、考え行動するようになっています。

また、物価・税金・社会保障費の値上げ、年金カットや低賃金、学校給食の供給会社や市内バス運営会社、訪問介護事業者の撤退、等々の社会インフラの消滅による生き辛さに加えて、ここに来て、GAFAと言われる巨大IT企業によるデータの収集、専有化が、圧倒的な勢いで私たちの内面に介在し、思考の自律性を奪い始めています。

私たちの命や暮らしを守るはずの政府は、事態の打開を図るのではなく、むしろ、危機に乗じて「緊急事態」対応と称する強権発動を画策し、あるいは、収集されたデータを権力保持や国民統合に利用するなど、トップダウン型政治に向かおうとしています。

こうした状況下、私たちに「希望」は残されているのでしょうか。

この問いに応えようと、今年8月に上梓されたのが、斎藤幸平氏+松本卓也氏編の「コモンの「自治」論」(集英社)です。

この本は、斎藤氏が説く<コモン>―社会的に人々に共有され、管理されるべき富―の議論の中で、<コモン>とは「自治」のことであるー(by松本卓也氏)と認識した学者や精神科医、岸本聡子杉並区長らが、「自治研究会」なる研究会の中で、問題点や重要なポイントについて議論を重ね、まとめ上げたものであり、その要旨は、斎藤氏の以下の言葉でまとめられています。

『資本主義は一握りの人々に富を集中させ、私たちを無力な消費者にすることで、「自治」の実現を妨げてきました。それに対抗しようとした、二十世紀型の社会主義も福祉国家も市民たちの「自治」を実現できなかった。・・・
 本章で提示しようとしたのは、垂直型の政治や運動に代わる新しい形の参加型「自治」に向けた、二十一世紀の理論と実践の可能性です。
 そのカギとなるのが、万人が<コモン>の再生に関与していく民主的なプロジェクトです。・・・
 そこには二十世紀型の前衛党はいりません。<コモン>が可能にする平等をもとにして、市民が積極的に参加しながら、社会を共につくっていけばいいのです。・・・
 リーダーフルな(リーダーは一人ではなくリーダー的存在が大勢いる)マルチチュード(グローバル資本主義の支配下にあるすべての人々、多種多様な人間の集合体)によるみんなの「自治」は、組織化や制度化を絶えず反省しつつ、新しい社会を生み出していきます。
・・・
 その動きは、最初は小さくてもかまいません。3.5%の人間がリーダーフルな存在になれば、今私たちが想像するよりもずっと大きく、この社会は変わるでしょう。その意味で、「<コモン>の自治」こそが「希望なき時代の希望」なのです。』

猛暑もようやく去った今、私も「どうやって無事生き延びるか」の内向きの思考からもう一度抜け出して、あちこちで生まれている<コモン>の再生、「自治」の実践という「希望」の一端を、どうやって共に担っていけるかを、仲間と共に考えてみたいと思います。

「護憲+コラム」より
笹井明子
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