老人党リアルグループ「護憲+」ブログ

現憲法の基本理念(国民主権、平和、人権)の視点で「世直し」を志す「護憲+」メンバーのメッセージ

液状化する世界と日本の生き方:安倍政権の本質(日本会議など)(5)

2014-09-30 16:26:43 | 安倍内閣
問題は日本。世界が急速に変化していく中で、この変化に対応できない政権を持った国民は不幸である。ファシズムが何故ファシズムなのか。「現実の変化に対応できないからファシズム的対応しかできない」からである。

ではファシズム(日本の場合は国粋主義的で多少違う)の【機能】は、どのようなものか。ファシズムの目的は、革命勢力(共産主義勢力)組織の破壊にある。ただし、その方法は、消極的には支配体制に対する抵抗の拠点となりうる民衆の大小のあらゆる自主的集団の形成を、【威嚇と暴力】によって妨害し、積極的にはメディアを動員して、ファシズムを正統とするイデオロギーや生活様式まで大衆を画一化する。

※ファショ化とは、異質なものの排除を通じて【強制的セメント化】を図る過程。

同時にファシズムが声高に唱える【スローガン】は、体系性がなく、論理的に矛盾しているが、【政治的機能】からすれば、一貫している。つまり、ファシズムのイデオロギーは【反共産主義】と【戦争への動員】と【国民の強制的同質化】という目的に系統的に奉仕している。

つまり、現実に対応するのではなく、現実を自分の思い通りに変えようとする。これに反対する者は容赦なく排除=(強制セメント化)する。そこで思考が停滞する。だから、世界の趨勢についていけない。

現実は刻一刻変化する。この変化にどう対応するか。場当り的に対応するか、変化の本質を見極め未来を見据えて対応するかで結果は大きく変わる。現代の複雑さは昔とは比較にならない。この複雑な時代の変化に対応するためには、確固とした哲学に基づく透徹した目が必要だ。

土井たか子元社民党党首が死去した。わたしは土井氏を全面的には支持していないが、彼女の【駄目なものは駄目】という姿勢だけは支持していた。何でもかんでも対案を出せなどという鵺のような政治家が主流の時代【駄目なものは駄目】という彼女の姿勢は好感が持てた。

福島第一原発のあれだけの事故を受けても、なにやかや屁理屈をつけて原発を再稼働しようとする政治家や評論家たちに決定的に欠落しているのは、【駄目なものは駄目】という姿勢であろう。

【原発をなくす】事を決断して初めて【原発の無い未来】をどう生きるかが考えられる。そこからのみ【21世紀の人類の未来】を構想できる。この姿勢が時代の変化に対応できる、時代の変化を先取りできる姿勢である。確固とした哲学こそが、それを可能にする。

【政治とは妥協の産物である】という言葉がある。これは、【駄目なものは駄目】という両者がその信念を徹底的にぶつけ合って初めて生まれる言葉。だから、妥協と言う言葉に人間の知恵が感じられる。ところが、自らの信念を徹底的にぶつける事もしないで、「長いものには巻かれろ」式の妥協をする鵺のような政治家が主流になれば、確実に時代において行かれる。現在の日本の政治状況・言論状況はまさにそれである。

では現在の安倍政権の立脚する政治信条を支える右派の実態は何か。実は、この実態を暴くメディアの報道は少ない。実態を暴くどころか、隠蔽し、見えなくしているといっても過言ではない。先日来、ヘイトスピーチ団体である在特会やネオナチ団体との関係が取り上げられた高市早苗、山谷えりこ、稲田朋美などの問題を徹底追及した大手メディアは皆無と言ってよい。彼女たちの報復が怖いのではない。その背後にある勢力の報復が怖いのであろう。

日本会議という組織がある。
公式ホームページでは「美しい日本の再建と誇りある国づくりのために、政策提言と国民運動を行っている民間団体」[2]と自称している。

1997年5月30日に「日本を守る会」と「日本を守る国民会議」とが統合して組織された。「守る会」は、神道・仏教系の保守的な政治観を持つ宗教団体によって1974年4月に結成、政治課題に対して様々な政治運動を行っていた。一方、「国民会議」は、元号法制化を目的に、やはり最高裁判所長官を務めた石田和外らの呼びかけによって1978年7月に結成された「元号法制化実現国民会議」をもとに、これを改組してつくられ、やはり政治運動を行っていた。

神社本庁、解脱会、国柱会、霊友会、崇教真光、モラロジー研究所、倫理研究所、キリストの幕屋、仏所護念会、念法真教、新生佛教教団、オイスカ・インターナショナル、三五教、生長の家等、宗教団体、宗教系財団法人等が多数参加している。特に神社本庁とは、「建国記念の日奉祝式典」や皇室関連の問題への取り組み等、人的交流も盛んである。

日本会議と連携する国会議員の組織に日本会議国会議員懇談会、地方議員の組織として日本会議地方議員連盟があり、「国会議員懇談会」には保守系国会議員が約250名、超党派で参加している(1997年5月29日発足。2013年現在の会長は平沼赳夫)。』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E4%BC%9A%E8%AD%B0

「美しい日本の再建と誇りある国づくり」とくれば、誰かさんの常套句。ご想像通り、現在の安倍首相も深い関係がある。彼は連携する「日本会議国会議員懇談会」に所属、超党派保守系議員約250名が所属している。政治の右傾化もむべなるかな、と思われる。

冷静に考えて見ると、これだけの国会議員を擁する団体がほとんど報道されず、その思想・信条・理念などをほとんどの国民が知らないというのは異常と言わざるを得ない。戦後様々な右翼系団体が存在し、現在も存在しているが、一般国民は【街宣車】で騒音をまき散らせている迷惑な団体程度の認識でしかない。右翼団体が報道される事といったら、日教組大会に押しかけ、大音量の騒音をまき散らし、大会の会場を貸す地方自治体に圧力をかけた時くらいだった。政治の話題に上ったので有名なのは、竹下総理の時の皇民党事件くらいだ。

しかし、【日本会議】は違う。多くの国会議員・地方議員や法曹関係者や官僚、宗教関係者などが加わり、過去の「街宣右翼」とは明らかに一線を画している。「朝まで生TV」や「TVタックル」などで多くの右派の論客も輩出した。しかも、ネット右翼と呼ばれる若者たちが増加し、彼らを取り込むことで政治的力を伸ばしてきた。

彼らは、周到に準備し、権力を奪う事にその全力を傾注していたと想像できる。表面上は、政党間の権力奪取競争に見えるが、その背後では日本の国の形を変える凄まじい暗闘が繰り広げられていたのだろう。小沢事件などはその最たるものだった。民主党が「政権交代」を果たす前、民主党を潰すために、自民党は「小沢個人」をターゲットに絞り、小沢を潰せば民主党は潰れる、と報道されていたのを記憶している。その為の最も効果的なやり方が、スキャンダル(お金・女)というのは、今も昔も変わらないやり方。小沢事件の場合は、火の無いところに煙を立てる強引なやり口。小沢を検察審査会に告発したと噂されたのが、産経新聞元記者と在特会代表などだった。

こういう陰謀を汚い手口と見せずに、正義の鉄槌を下す、という形で成功させるのが、政治的謀略の要諦。プロパガンダの要諦。これに成功出来たのも、おそらく「日本会議」人脈を通じて、メディア取り込みに成功したからであろう。

思惑通り、小沢を無力化したことで、自民党は政権復帰を果たした。国粋政権の安倍政権。日本会議人脈が内閣の中枢を占め、日本は右傾化まっしぐらである。

麻生財務大臣が「ナチスの手口を学ぶ」という発言をして物議をかもしたが、政権獲得し、どのようにして国粋主義的政策を実現するか、という点については、彼らはかなり慎重に考え、実行してきている。

古賀茂明という元通産官僚がいる。近著『国家の暴走』の中で、安倍政権の暴走を軍事立国への野望と断じている。つまり、「戦争と縁の切れない国」「戦争なしでは生きられない国」「自国の利益のために戦争する国」になろうと考えている、というのだ。古賀が戦争するための13本の矢として指摘しているのは、以下の政策。・・・

1、日本版NSC
2、特定秘密保護法
3、武器輸出三原則の廃止
4、集団的自衛権の行使容認
5「産めよ増やせよ」政策
6、集団安全保障での武力行使の容認
7、日本版CIAの創設
8、ODAの軍事利用
9、国防軍の保持
10、軍法会議の設置
11 基本的人権の制限
12 徴兵制の導入
13、核武装
 
5番目までは既に決定され、11番までが議論がスタートしている。後は徴兵制と核武装――まさに悪夢のような「戦争国家」への道だ。 ・・・・・・

古賀が指摘している安倍政権の「戦争できる国」のイメージは、米国のネオコン流の国づくりと同じ。集団的自衛権行使の閣議決定の時、公明党幹部をいわゆるジャパンハンドラーと呼ばれるヨセフ・ナイなどネオコン幹部が説得に訪れ、同時期飯島勲が米国で創価学会をカルトと認定するぞ、と脅した。これ一つ取っても、安倍政権とネオコンとの関係の深さが分かる。要するに、安倍政権(国粋政権)の描く国の形は、米国流戦争を公共事業にする国にしようというわけだ。原発再稼働も古賀が指摘している13番の核武装のために、どうしてもやらなければならないという事である。

安倍政権のこのような危険な本質をあからさまに国民に見せては、権力維持は不可能だ。だから、国民の前では、口当たりの良い言葉で、オブラートに包む。その騙すための言葉を紡ぎだすのが、官僚の役割。いわゆる【霞が関文学=東大文学】と呼ばれるものである。

「平和を祈念するために靖国へ参拝する」「積極的平和主義」「アベノミクス」「女性が輝く社会」「地方創生」・・・・枚挙にいとまがない。美辞麗句のオンパレード。よくよく聞いてみると、何の具体策もない。

メディアが健全ならば、厳しい批判にさらされるところだが、新聞社のトップが首相との会食、携帯電話での話を心待ちにするようでは、何の期待もできない。朝日(?)・東京新聞・日刊現代など政府批判を展開しているメディアには、広告差止などの圧力をかけ、経営基盤を揺るがす。

このような圧力をかける事ができるのは、武器輸出三原則廃止で喜んだいわゆる旧財閥(軍事産業復活)、原発輸出などで喜んだ原子力村連中など経団連を中心とした財界であろう。

つまり、戦前と同じように、政治・右翼・財界という強固なトライアングルが形成されている。「日本会議」の真実が報道されないのも当たり前だ。

さらに危険な事が進行している。あまり知られていないが、安倍政権成立後、公務員法改正が行われた。その核心は、官邸が霞が関の人事権を完全に掌握できる制度になった事。つまり、実質的に政策をつくり、運営する官僚すべてを官邸(極右)にひれ伏す事ができる権力を手に入れている。官僚として出世したかったら、官僚は極右政策の作成・実施を行わざるを得ない立場に追い込まれている。

そうなれば、自らの足で情報をつかみ、報道をする粘り強い取材を放棄し、記者クラブを通じて官僚からの情報を垂れ流すメディアは、極右政権の広報係以外の何者でもなくなる。今や、霞が関官僚のトップ連中は、本気で戦争をするつもりだそうだ。こういう連中しか出世できないとなると深刻だ。つまり、実質的に国家総動員体制へとシステム改変が行われ始めている、という事である。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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液状化する世界と日本の生き方(4);イスラム国攻撃の未来

2014-09-29 16:18:04 | 安全・外交
イラク国内のイスラム国拠点に対する空爆参加国は、米・仏・ベルギー・オーストラリア・サウジアラビア・カタール・オマーンなど。これに英国が加わる。これらの国が異口同音に語っているのは、目的を達成するには数年かかるという認識である。

これは、イスラム国というのが、これまでのテロ組織と決定的に違う組織だという事を示している。報道されている事から分かる事は、彼らは「国家」並みの統治組織を構築している。最高指導者バグダディの下で集団指導体制を敷き、評議会(内閣のようなもの)や支配地域を区分けして、知事も任命している。当初のISILには、そのようなノウハウはなかったが、フセイン体制下のバース党残党や軍人たちが加わり、フセイン体制下とよく似た統治をしている。

これを徹底的に排除するのは、きわめて難しい。テロ集団が、民衆の中に入り込んでいる。つまり、イラクやシリアの民衆の日常生活を破壊しなければ、完全な排除はできない。これを可能にするのは、地上戦以外にない。米国がまた泥沼の戦争に巻き込まれる可能性が増している。

これに対する警告がグローバル誌の「Why the Military Campaign Against ISIS Will Fail」(Jean-Pierre Lehmann)に乗っているそうである。

・・;
「米国の仕掛けた有志連合は、失敗である。これを理解するためには、歴史を考える必要がある。究極的には、イスラム国の存在は、西洋のキリスト社会と違って、社会改革が出来ていないことによる。
・・・中略・・
アラブでは、自由、知識、女性の位置が欠乏しているし、これを改善することもない。昔と同じである。大きな都市は世界的な位置にいるが、それ以外は昔のままである。というより、逆戻りしている。

このため、アラブを改善することは無理である。欧米の介入は、すべて失敗する。介入は、事態をより悪くする。イスラム国への戦闘地獄への門になる可能性が高い。

アラブから離れる、同じ意味の何もしないことであるのだ。欧米は、自己を守ることで、イスラム国への戦闘に入るべきではない。そして、我々ができることは難民への人道的な支援であり、それを行う必要があるのだ。」
・・・
http://www.asahi-net.or.jp/~vb7y-td/260923.htm

要するに「アラブに手出しをすると碌な事はない。大やけどするだけ。手を引いて、人道支援などに徹せよ。」という主張。過去の歴史を考えると、これは説得力がある。

では、それが何故出来ないのか。イラクで懲りたはずなのに、米国は今回もシリア空爆に踏み切り、ずるずると泥沼に入り込もうとしている。これはテロの脅威だけでは説明しきれない。シリア空爆の本当の理由は何か。

①一つはテロターゲットを各国に分散し、米国の危険性を軽減する。
②これが最大の理由⇒石油・天然ガスパイプラインの確保。これについては以下の記事に詳しいので参照ください。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/---a251.html
③産軍複合体(ネオコン)の要請⇒覇権国家としての米国の権威の確立

オバマ大統領の国連での演説には、このような米国の本音は一切語られない。参加各国も一切語らない。当事国のシリアのアサド大統領も語らない。それどころか、有志連合国が空爆している地域にはシリア機は飛来せず、その他の地域に戦力を振り向け、支配地域の拡大を図っている。この強かさが、陰謀渦巻く中東で生き抜いていく知恵なのだろう。

様々な情報を総合してみると、イスラム国殲滅は難しい。と言う事は、かなりの確率でテロが世界に拡散する。テロ行為は、ウイルスのように伝染し、拡大し、変異を遂げる。人間、一度テロリズムに手を染めると、その方法手段はエスカレートし、限りなく残虐になる。埴谷雄高が喝破したように【革命運動と犯罪組織は紙一重】なのである。過激な思想、行動ほどその可能性が高い。

つまり、世界が今問われているのは、このような過激な思想・行動にシンパシーを見出す若者が世界中に広がっているという事実。これはとりも直さず、今現在世界を席巻している新自由主義的世界観に対するアンチが世界に満ち満ちているという事を示している。さらに言えば、米国流二枚舌外交に対する不信感が膨れ上がっているという事実。西欧流デモクラシーに対する不信感も膨れ上がっている。もう少し書くならば、それらの背後にある国際的金融機関や大資本の限度を知らない欲望の拡大がある。
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-9d15.html

このような世界に対するアンチテーゼは、様々なところから噴出している。ロシア・中国を中心とした上海機構の世界銀行に代わる新たな銀行の設立。先日国連で決議されたヘッジファンドに対する非難決議等々。米国一国覇権主義に対するアンチが噴出し始めている。オバマ大統領の優柔不断な姿勢も米国覇権力の低下の表れだろう。

思想的にいえば、一度は死んだと思われたマルクスの思想が見直され始めている。フランスの経済学者のトマ・ピケティが、アメリカ社会を刺激的に分析した本が話題を呼んでいる。「21世紀の資本論」である。モスクワの社会主義が崩壊したのに続いて、遂にアメリカの資本主義も、というのであろう。富の再配分に失敗したアメリカである。
 
毎日新聞に米中間選挙の特集記事が掲載されているが、その副題が【分断社会】と書かれている。政治が、1%に牛耳られ、何事も1%制度に変革させられたアメリカ。アメリカを代表する世界的大財閥・ロックフェラーへの怒りは、市民の間で渦巻いている。この記事は、1%と99%に分断された社会が抱える現実を分析している。

9月28日に興味深い記事が掲載された。南部ジョージア州のフルトン郡が分裂の危機に瀕しているという。裕福な北部3地区が次々に郡から独立、新たな市を建設したというのである。その理由が「納税と恩恵」がつり合わぬ、と言う事。これは、ヨーロッパの独立志向の地域と酷似しているが、似て非なるものと言わざるを得ない。

ヨーロッパの場合は、経済的理由も大きいが、独自の文化・言語・人種など歴史的要因も大きい。米国の場合は、富裕層の経済的要因が突出している。米国では、このような富裕層のみの地域が拡大しており、その地域を守る警備も厳重。明確に他の都市地域と線を引いている。ブッシュ政権時(息子)、大幅に米軍を本土に配備した。一説には、内戦に備えている、と言われていた。つまり、このような1%の富裕層の地域を守るという意味だろう。わたしたちは、米国の政策を見る時、その背景にあるこのような思想をきちんと見なければならない。

今回のイスラム国に対する有志連合の空爆の背景にある覇権国家維持の思想は、1%の富める者たちのための政策であり、彼らのいう【正義】は、1%の正義であり、その裏には、恐るべき【不正義】【腐敗】が付きまとっている事を忘れてはならない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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弁護士の正義(「吉田調書」巡り朝日新聞に申し入れ)

2014-09-28 23:36:51 | 民主主義・人権
9/27の朝日新聞33面に下記のような記事が出ていました。
http://www.asahi.com/articles/ASG9V5DZYG9VUTIL03B.html

===
「吉田調書」巡り朝日新聞に申し入れ 弁護士9人

朝日新聞社が5月20日の「吉田調書」に関する報道について、「命令違反で撤退」という記述と見出しは間違った表現だとして記事を取り消したことを受け、中山武敏氏ら弁護士9人が26日、朝日新聞社と同社の第三者機関「報道と人権委員会」に対し、「関係者の不当な処分はなされてはならない」などと申し入れをした。ほかに弁護士191人が賛同したという。

申入書では「命令違反で撤退したかは解釈・評価の問題」「外形的事実において大枠で一致している」と主張。木村伊量(ただかず)社長が関係者の厳正な処分を表明したことについて、「不当な処分がなされれば、知る権利や真実の公開のために努力している記者を萎縮させ、民主主義を危機にさらす」とし、事実に基づいた検証が行われることを求めた。
====

「吉田調書」に関する報道については、巷間いろいろ言われていますが、事故が発生した原発建屋から多数の職員が避難撤退したことは事実であり、このことについて吉田所長は生前、「避難撤退の指示を出したのか」とのメディアの問いに対し、「撤退の指示は出していない」との談話を出していたのを、テレビニュースで見たことがあります。従って吉田調書の内容も談話と同じだと思いますが、その間に東電の隠蔽体質が明らかになり、調書のどこまでを信用できるのか分かりません。

本当に所長が撤退の指示を出していないのであれば、職員はそのまま「待機」ということであり、どうして職員が撤退したのか解せません。ここで思い出されるのは、当時菅相が東電本社に乗り込んだ時、東電トップから職員を撤退させたいと言う打診があり、菅首相は断固反対し撤退の打診を一蹴したとの報道です。現場の詳しい状況を知らない東電トップが独断で撤退の打診を首相にできるはずはなく、現場から東電本社へ撤退の許可申請があったのではないかとも想像されます。

いずれにしろ、菅首相は東電トップからの撤退申請を拒否したと報じられており、東電トップが菅首相の意向を吉田所長に伝え、また吉田所長から職員へ徹底されていれば、職員の撤退は発生しなかったと思われます。それでも職員の撤退が発生したことは指示命令の不徹底か、命令違反しか考えられません。

そのような意味では朝日新聞の、「命令違反で撤退」との報道も広義では成り立ち、どうして菅首相の意向が現場職員に伝わらず、なぜ「撤退」が発生したのか、弁護士有志が、「事実に基づいた検証が行われることを求めた。」ことは当然であり正義だと思います。

仮に今回の職員撤退が命令無き撤退だったならば、朝日新聞の「命令違反で撤退」と大差はなく、原発を管理する電力会社の専門職員が原発事故に直面し独断で「敵前逃亡」したことになり、東電と政府は、「職員の人命尊重」と「誰が原発事故の拡大阻止と沈静を図るのか」という、危機管理上ぎりぎりのバランスの取り方を突きつけられたと言えるでしょう。

これまで朝日新聞の報道を「誤報道」としてパッシングするメディアは、パッシングに主眼をおき、上記のような問題の本質(撤退の在り方)は二の次で何も提起されていないように思われます。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
厚顔
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液状化する世界と日本の生き方(3):イスラム国

2014-09-28 14:34:34 | 安全・外交
イスラム国とは一体全体どのような組織なのか。今年になって突如現れた組織のように思えるが、そもそもはイラク戦争後にできたアルカイダ系の組織だ。

・・・2000年頃にアブー・ムスアブ・アッ=ザルカーウィーがヨルダンなどで築いた「タウヒードとジハード集団」(As Jama'at al-Tawhid wal-Jihad, 略称: JTJ)を前身とする。この集団はアフガン戦争後はイラクに接近し、2003年のイラク戦争後はイラク国内でさまざまなテロ活動を行った。2004年にアル=カーイダと合流して名称を「イラクの聖戦アル=カーイダ組織」と改めたが、外国人義勇兵中心の彼らはイラク人民兵とはしばしば衝突した。
2006年1月にはイラク人民兵の主流派との対立をきっかけに名称を「ムジャーヒディーン諮問評議会」と改め他のスンニ派武装組織と合流し、さらに2006年10月には解散して他組織と統合し、「イラク・イスラーム国」と改称した。・・・
ウイキペデイア
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E5%9B%BD

この組織,実は、初期から米国と深い関係がある。
ISILは、アブ・ムサブ・アル-ザルカウィが創始者とされているが、どうもこの人物相当いかがわしさが付きまとう。以下の記事をご覧あれ。

・・・イラク多国籍軍(MNFI)が製作したパワー・ポイントのスライドに書かれている通り、ザルカウィは、概して、シーア派、穏健スンナ派、スーフィ教徒や、クルド人を含む、イラクの宗教・民俗集団の、外国人嫌いの反応を活用するため、ペンタゴンの心理作戦や、マスコミ作戦や、特殊作戦によって作り上げられた、恐ろしい人物だ。
2004年の“結果”と題するスライドで、イラク多国籍軍(MNFI)は、ザルカウィの脅威を作り出したことで、下記の望んでいた結果が得られたと自慢していた。
a. イラクにおけるテロ
b. イラクにおける外人戦士
c. イラク国民の苦難(インフラへの攻撃)
d. イラク国民の熱望の拒絶(主権委譲の粉砕)
スライドは、ザルカウィを、イラクで一番脅威があるテロリストとして売り込むことによる、効果を説明して終わっているが、それはこうだった。
“共感できる可能性がある反体制派への大衆の支持を無くすこと。反体制派が、大衆の中に‘根付く’能力を失わせること”
ワシントン・ポストによれば、イラクのアメリカ中央軍の、広報担当将校マーク・キミット大将は、2004年に、中央軍内部のブリーフィングで "ザルカウィ心理作戦は、これまでの中で最も成功した諜報作戦だ。"と語っていた。・・・
「マスコミに載らない海外記事・アメリカに迫りくる、イラクとシリアの泥沼」
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/post-0e02.html

話半分としても、見事な心理作戦と言わねばならない。諜報関係者は、人間心理に通暁していなければならないという典型だろう。全てを謀略史観で説明するのは無理だが、ザルカウィという人物、CIAやモサドの傀儡という印象はぬぐきれない。アルカイダの創始者ビンラディンとCIAの密接な関係は、周知の通りだが、どうやらザルカウィという人物、第二のビンラディンの匂いがする。

その後を継いだバクダディについても、以下のように書かれている。
・・・ザルカウィは、アメリカの最も危険な敵の一人として喧伝されているが、シリアでISILのトップとして彼を最終的に継いだ人物は、アブ・バクル・アル・バクダディで、アメリカが最も信頼する同盟者の一人となった。アル・バグダディは、アル・ヌスラ戦線の指導者達と共に、当初は彼等の軍隊を、自由シリア軍の傘下に置いた。ところが、アル・バグダディも、ザルカウィがそうだったのと同様、彼もCIAが作り上げたものだというあらゆる兆候がある。・・・・前掲書

要するに、ISIL(イスラム国)は、米国が作り上げたテロ組織という主張である。これは多くの国や人に信じられている。たとえば、米上院共和党議員の「イラク現状はアメリカのテロ支援の結果によるものだ」という証言を見てもよく分かる。
・・・
http://japanese.irib.ir/news/latest-news/item/46109-

まあ、米国の凄いところは、このようなイスラム国の背景について一切触れず、語らず、全世界に危機をもたらす【魔女】に仕立て上げる宣伝能力にある。その事をよく分かっていて、米国に追従する多くの国がある。これが覇権国家としての米国の凄さ。過去、どれだけの人物が【魔女】に仕立て上げられたか。フセイン・カダフィ・ビンラディン・アサド・プーチンなど枚挙に暇がない。

今回は、イスラム国の脅威に対抗するために【有志連合】をつくるそうだが、それぞれの国も米国の尻拭いは御免。まあ、覇権国家の面子を立てて、形だけの協力をしようというという程度だろう。サウジやカタールなど地上軍を派遣するのはまっぴら御免というのが本音だ。

シリア空爆が問題になっているが、どう見ても米国の「自衛権の行使」という理屈は分が悪い。シリア政府の承諾もない。安保理決議もない。他の国がこのような事をすれば、シリアに対する侵略と認定されるのが国際法の常識。どうも米国は自国だけは国際法の埒外だと考えている節がある。覇権国家というものはそういうものだと言えばそうだが、米国のこうした横車も昔のようには通らなくなっている。

今回の「有志連合」。ありていに言えば、【イスラム国】のテロターゲットを各国に分散し、米国の危険を緩和しようというのが狙い。過去の米国ならば、単独で徹底的に殲滅作戦を展開したに相違ない。米国の「覇権力」の低下が見える。

ごくごく常識的に考えて見れば良く分かるが、シリアのアサド大統領は曲がりなりにも選挙で選ばれている。ところが、米国が有志連合を組んでいる湾岸諸国は全て王政。選挙などない。どちらが民主的か。一目瞭然。つまり、米国はアサドと言う民主的な大統領を倒し、独裁的王政を支援するという二枚舌を行っている。エジプトのモルシ大統領(ムスリム同胞団)も選挙で選ばれているが、軍部(米の支援)によりクーデターで倒された。米国の言う民主主義など信じられたものではない。

イスラム国は、このような欧米による支配を拒絶し、カリフ国家建設を目指すという。これまた恐ろしく古色蒼然とした理想だが、オスワン帝国滅亡以来、欧米列強の圧政に苦しんできた中東の人々にとってはそれはそれで魅力的なところがあるのだろう。イスラム国というネーミングも絶妙で、イスラム国を攻撃するとイスラム教徒全てを攻撃しているイメージがあり、何となく二の足を踏む。

ただ、ロシアにしても中国にしても、積極的支援はしないが、米国の行動を阻止はしないだろう。ここに、「イスラム国」の時代的意味がある。つまり、【国民国家】という枠組みに入りきらない組織や個人が急増しており、彼らを国内に留めておく魅力や希望を既存の国民国家が失いつつある、というグローバリズムのもう一つの側面の象徴だろう。

だから、オバマ大統領が、国連でテロ目的でイスラム国家に参加した個人を犯罪者として取り締まるという決議案を提出した。それだけ、欧米各国にとってテロの脅威は、深刻なのであろう。

イスラム国の提起している問題は、テロの脅威に留まらない。問題の本質は、グローバリゼーションのありようにある。現代の資本主義は、限りなく原始資本主義に近づいている。資本主義の先祖がえりとも言える。資本主義の黎明期、英国の民衆が苦しみ、明治時代日本の民衆が苦しんだ資本主義の暴力的搾取に近づいている。資本の暴力的搾取に地球上の多くの国、多くの民衆が苦しんでいる。

マルクスが労働搾取・労働疎外と喝破した状況が世界を席巻している。今や資本主義の終焉が公然と語られる時代に突入している。資本主義の歴史は修正の歴史である。その修正が原始資本主義への先祖がえりでは、資本主義の終末期と言わざるを得ない。この本質的問題の解決なくして、イスラム国問題は解決しない。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水

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液状化する世界と日本の生き方(2)グローバリズム、ナショナリズム

2014-09-27 21:16:36 | 安全・外交
21世紀は、EUに象徴されるように、国家障壁がどんどん下がり、人・物・金の流れにもはや国家障壁などない。国家と言う存在が根底から問われる時代に入った。ところが、グローバリズム=アメリカ二ズムという一つの基準で世界を統治しようとすれば、各国・各地域の固有の文化・言語・生き方を否定する事になる。これは民族や地域のアイデンティティを否定する。グローバリズムというのは、きわめて魅力的ではあるが、きわめて暴力的に地域の生活・文化・言語を否定し、貧富の格差を助長する。多くの地域の民衆に怨嗟の種をまき散らし、紛争の種になる。それを助長する国家(たとえば、TPPを推進するようなもの)という存在自体が、怨嗟の的になる場合が多い。

スコットランド・カタルーニャ・バスク・フランダース・ヴェネチアなど欧州で独立を志向している地域では、国家はいらない、EUだけあれば良い、という意識が高い。つまり、各地域が国家と言う中間的存在を否定して、直接グローバルな世界と結び付き、各地域の特殊性・アイデンティティを生かしたいと考えている。その背景には、経済的に自立できる地域は、税の徴収と富の分配がきわめて不公平だという意識がある。国家の富の分配機能が低下しているからである。(※日本も同様)

国家による富の分配機能の低下は、一つはネオナチのような排外的・差別的集団を生む。(テロリズムも含む。)安倍政権の閣僚(安倍首相自身も)たちが、ネオナチやヘイトスピーチ連中との関係を取りざたされているのも、彼らの心性がグローバリズムとの違和感に満たされているからであろう。彼らは、EUのようなグローバリズムを拒否し、自国の優位性(他国を排除したり他国民を差別する)を強調し、偏狭なナショナリズムに傾斜する。

他方、グローバリズムの急速な進行にあらがう抵抗運動から端を発したテロリズムの方は、今や国家のくびきを脱した【個人】の心情をバネにしている。

これは、現在世界(欧米)各国の頭痛の種(テロの脅威)になっているイスラム国問題と深いところで通底している。イスラム国の戦闘員に欧米各国の若者が多数参加している。この背景には、欧米に移民したイスラム系若者たち(一説には約1,500万人)が直面している差別・低賃金雇用・貧困・将来展望の無さがある。この問題、イスラム系だけではなく、白人の若者も同様。日本でも大問題になっている若者の貧富の格差の拡大がある。

人は、貧しいだけなら我慢できるが、将来への希望の無さは我慢できない。スコットランド独立運動の盛り上がりの背景にも、イングランドとスコットランドの地域(国と言っても良い)の貧富の格差拡大の問題がある。今回の独立運動の盛り上がりも、将来の国の夢=自分の夢をそれぞれの人が描いた事に大きな要因がある。

イスラム国の台頭は、単にテロリズムの問題ではない。第一次大戦後の欧米による国の線引き問題。(サイクス・ピコ条約=国境線変更問題)

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%94%E3%82%B3%E5%8D%94%E5%AE%9A

イスラエルの建国以降、欧米の強引な中東への介入。石油資源を巡る欧米各国の介入。(アラブ民衆の願いより、欧米各国(資本)の都合によい政権を支持し、内政に干渉した)。反欧米(特に反米)政権は、あらゆる手段を駆使してつぶしてきた。イラクのフセインしかり、リビアのカダフィ、エジプトのモサド政権、今やそのターゲットは、シリアのアサドというわけである。

パレスチナ人たちは、いまだ祖国を取り戻す戦いを行っている。彼らの戦いは、中東の人々の精神的核のようなものであり、軍事的にも経済的にもあらゆる点で貧しいパレスチナ人の戦いは、爆弾テロかインティファーダと呼ばれる投石戦術など限られている。ハマスといっても武器は貧弱なもの。イスラエルに比較すると、大人と子供の戦い。今や「テロリスト」と言われると、悪の権化のように聞こえるが、その実質は支配者に対する抵抗運動に他ならない。

先のイスラエルへのガザ侵攻時における市街地への空爆、まさにジェノサイドとも言える蛮行。ところが、米国はイスラエルの自衛権尊重という名目でこれを容認。武器まで売った。この米国の二枚舌とも言える中東への関与の姿勢が中東の民衆の怨嗟の的になる。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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「高齢者介護を巡る問題」学習会9/25・報告

2014-09-27 21:00:04 | 社会問題
9月の「サロン・ド・朔」では、横浜市立大学医学部看護学科教授の松下年子さんに、「高齢者介護を巡る問題  孤立・依存・虐待」のお話を伺いました。

高齢者が増えると共に、こうした問題も増えているとのこと。虐待は身体的だけでなく、言葉の暴力もあること、虐待の加害者は、息子→親が一番多く、夫→妻、嫁、娘の順になっていることを伺い、男性の家庭での生活力・介護力の無さも影響するのではないかと思いました。

また依存の問題では、息子や娘の場合、無職で親の年金を当てにしていることも多いそうです。本人の問題が大きいようですが、最近の就労環境の厳しさもあるように思われます。

依存は、タバコ、アルコール、薬物、そしてギャンブル、人への依存があり、アルコールや薬物は「底付き」つまり身体的にどうにもならなくなる状態になってようやく…という人も多いそうです。

ギャンブル依存は身体には影響がないので、全財産を使い果たして借金を重ねても止められないとか。そのギャンブル依存者は、日本では非常に多く、200万人とも500万人とも言われ、その家族が困っているわけです。パチンコ・パチスロが蔓延する日本で、その上にカジノを作ろうという政府には絶句です。

人への共依存の場合、DVを受けている妻が、その夫の元に戻ってしまうのと同様に、子供から虐待されている高齢者を、なんとか支援者が施設に入れて、虐待から守っても、帰宅してしまうとか。

そして虐待が繰り返され、また施設へ…を繰り返す場合も多いとのこと。それを支え続ける支援者たちが、疲弊してしまうことも少なくないそうです。

社会的な貧困や、家庭での介護者が疲れ果てて、追いつめられていることも多いのでしょう。核家族化して孤立しがちな都市生活での高齢化問題を考えさせられました。

志村さんが、さっそくブログにお書きくださいましたので、お読みいただければよく分かると思います。
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55608806.html

「護憲+BBS」「イベントの紹介」より
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米国のシリア,イラク空爆の狙い

2014-09-26 00:03:19 | アメリカ
目先的には11月の米中間選挙対策、経済的には軍需産業の活性化、最終的には「イスラムの国」が現在支配していると言われる、シリアの石油利権の奪取ではないか?

結局オバマ政権も軍産複合体(米34代:アイゼンハウァー大統領の予言)とイスラエルの手のひらで踊り始めたということではないでしょうか。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
厚顔
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液状化する世界と日本の生き方(1)

2014-09-23 00:52:35 | 政治
スコットランド独立投票が行われた。独立NOが勝利したが、これからのイングランドとスコットランドやウエールズなどの関係には大きな変化が生じるに違いない。具体的に言うと大幅な自治権の拡大である。その意味では、選挙結果は敗北だが、実質的自治権拡大という果実をもぎ取った独立派の勝利だと言える。戦争やテロなど暴力的手段を講じずに【選挙】という民主的手段で国や民族の将来(運命)を決定するというところに英国的民主主義の成熟度が見られる。

この選挙が日本の国民に与えた教訓は、きわめて大きい。自治権拡大という果実を獲得するためには、権力者たちに独立(大英帝国の崩壊)という恐怖で心胆を寒からしめる必要があった。つまり、時の権力を心の底から恐れさせる人々の団結力が必要だという事。民主主義は効率が悪く、時間がかかるが、本当の意味で政治に関心を持つ人々が増えれば増えるほど、スコットランドのような変化を勝ち取れるという事。これが第一の教訓。

第二は、今回の独立賛否投票の思想的・政治的・経済的意味を考えれば、現在世界各地で噴出している地域紛争・テロリズムなどの背景と重なっている。簡単にいえば、【新自由主義的経済政策=グローバリズム】に対し【福祉国家的政策(修正資本主義的政策)】の対立だと概括できる。

スコットランドの独立派の提案している政策は、英国の「ゆりかごから墓場まで」の福祉政策や北欧流福祉国家を意識している。英国政府のサッチャー以降の新自由主義的政策がスコットランドの独立志向に拍車をかけたのは間違いない。

さらに、スコットランド独立派が掲げた【非核化政策】がある。スコットランドにある原子力潜水艦基地をなくすという政策は、英国の安全保障政策の根幹にかかわるもの。もし、独立派が勝っていたら。この基地をどこに動かすかが大問題になっていた。基地予定地にされたイングランド各地は大反対すると予測されていた。最終的には、イギリスは核兵器放棄まで追い込まれる可能性があった。もし、核保有国でなくなったら、英国の国際的地位は間違いなく下がる。国連での安保理常任理事国は全て核保有国。イギリスの国際的立場を根幹から揺るがす。

選挙結果は、独立NO勢力が勝利したが、この選挙の後始末は大変で、キャメロン首相などが約束したスコットランドへの大幅な自治権を与えるという約束は、当然他の連合構成国(ウエールズ、北アイルランド)との公平性をどう担保するかという大問題に直面する。同時に、自治権を付与できるだけの財政的基盤があるのか、という問題もある。

結局、最後には、連邦制移行の議論に集約される可能性が高い。つまり、国の形そのものの議論になる可能性が高い。

こう見てくると、沖縄にくすぶる独立論の現実的解決策として、非核化、平和を地域の理念として沖縄が半独立国的存在になり、本土との連邦制に移行するという選択肢も見えてくる。その意味で今回のスコットランド独立投票はいずれ日本に影響を与えてくる可能性がある。

「護憲+BBS」「メンバーの今日の、今週の、今月のひとこと」より
流水
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名づけて「大本営内閣」

2014-09-22 05:41:19 | 安倍内閣
今まで自民党政権は利権、特権、土建、改憲とケンケン尽くしで進んできました。それでも国際社会への政治的対応は慎重だったと思います。その時々に過激で攻撃的な発言をする自民党議員もいましたが、結局は時の政権がソフトランディングさせていたのでしょう。それを腰抜け外交と非難するか、戦争で大敗した国の基本姿勢と賛同するか。裏取引は数々あったでしょうが、国民世論もちゃんと受け止めてきた上での経済成長だったと思います。

しかし、安倍政権は平然とウソをつき、堂々と言い訳をします。それに対して市民団体が原発廃止の金曜デモを続け、ネット上では有志の国民が「平和憲法を世界遺産に」「ヘイトスピーチ反対」などの署名活動を積極的に続け、個人が「解釈改憲は違憲」と裁判で戦おうとしているのにているのに、野党議員は思考停止してしまったのでしょうか。野党が与党を猛然と批判する演説会や集会を主催したことなど聞いたことがありません。(意図的に報道されないだけ?)

先のコラムで珠さんが「憲法に照らし合わせて考えよう」と書いていましたが、「戦争を放棄し、武力を持たない」平和憲法の理念と「専守防衛」かつ「軍」隊と呼ばない自衛隊による国防の現実が日本のギリギリのバランス状態だと考えます。ところが、集団的自衛権の行使容認はこのバランスを崩します。それを皮切りに専守防衛が外れ、先制攻撃・核武装を論じ、過剰防衛で不毛な戦争へ突入する危険性があるのです。

都合のいいことだけを発表する。都合の悪いことは都合よく言い替えて伝える。「国を思って、国民のために」という常套句を多用して押し切る。都合の悪いことは広まる前に圧力をかけて消し去る。政権の取り巻きに「非国民」「売国奴」「反日」と言わせて政権批判にカウンターを当てる。警察や裁判所に政権よりの取り締まり強化や判決を示唆する。教育委員会や自治体に「自主規制」「空気を読む」流れをつくる。

過去の大本営がどういう結果を招くかは、皆様が一番ご存知だと思います。だから、現在の安倍「大本営」政権は民主主義にのっとり解体しなければなりません。

「護憲+コラム」より
猫家五六助
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企業の政治献金復活なら政党助成金は廃止せよ!

2014-09-21 05:15:50 | 自民党政治
厚顔さんの「経団連の政治献金復活に意義あり!」、私も同感です。政府・自民党が政治献金復活を肯定するならば、高らかに宣言して実行すべきことがあります。

「政党助成金は受け取りません」と公言して、助成金制度を廃止すること。

政党助成金は、企業から政治献金を受け取らない代わりに政治活動費を国民が助ける(公金で助成する)制度です。企業から政治献金を受け取るならば、政党助成金はもらえません。こんな単純な話、小学生だってわかりますよ。

ちなみに、共産党は政党助成金を受け取っていません。それは国庫に戻るどころか、他の政党へ分配されるという仕組みで(予算組みして支出した交付金は戻せない)、それもバカげた話ですが。

こんな緊張感も責任感のない、ずる賢いキツネとタヌキが日本の政治経済を舵取りしているから、本当の意味で景気が回復しないのです。

「護憲+BBS」「新聞記事などの紹介」より
猫家五六助
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