昔、大学のすぐ近くにお城が見えた。
ある新興宗教の本部だった。
そこではサラブレッドを飼っていた。
時々、白装束の係員が散歩させていた。
中に入ったことがある。
演奏会のパンフレットの広告取り。
二つ返事で出してくれた。
その支部が家の近くにも在るのだらう。
小さな案内広告が今朝ポストに入っていた。
それを見て韓国の新興宗教を思い出した。
合唱仲間の友人が入信して退団した。
何度も引き留めたのだが、駄目だった。
彼には身体的悩みがあった。
そのために結婚相手が見つからない。
そんな事を思っていたのではないか。
団員たちと話たことがある。
それを強みにして働く人もいる。
彼は、弱かったんだろう。
思いは次に繋がった。
私の叔母がキリスト系新興宗教に入った。
入信のきっかけは叔父の気迷い事。
家族内で大事になったようだ。
離婚の危機。
そんな噂もあったが、回避された。
しかし、家族の絆は戻らなかった。
所謂家庭内離婚が続いている。
叔母には同居の息子が味方。
叔父に味方は近くには居ない。
この宗教の困ったことは排他的なこと。
一切他の宗教を受け付けない。
45年程前、次男を幼くして失った。
先天性の病気だった。
生まれ故郷、即ち私の故郷に墓を建てた。
その子を仏教式に葬ったのだ。
その後時々両親は長男を連れて墓参りした。
三男、四男も連れてきた。
ところが20年程前、突然来なくなった。
それが宗教の理由だとあとから分かった。
この墓には5年ほど前に四男も入った。
出張中にクモ膜下出血で急死したのだ。
葬儀をどうしたのか知らない。
葬儀後、四男の妻が叔父と相談した。
そして次男と同じ墓に葬られた。
しかし、叔母は一度として来ていない。
宗教上の理由、それだけだ。
この墓を私が墓守している。
叔父は八十代後半となり三年前が最後。
四男の妻が長男を連れて二度来た。
今月、その妻が三人の子を連れて墓参りに来る。
400km以上の遠距離から。
長男の卒業旅行を兼ね大阪まで行くそうだ。
墓守の私も子供たちに逢えるのを楽しみにしている。
二男一女。
従弟が亡くなったのは次男の誕生直後。
それでも元気に育っていることが嬉しい。
長男はいよいよ中学生だ。
叔母が墓参りに来ないのは病気のせいもあるかも知れない。
宗教は心の拠り所だろうか。
仏教哲学が私には向いている。
普段は忘れていられるから。
墓参りの時、墓経を住職にとお願いされた。
実は10月に来る予定だった。
その時、住職に一度お願いしている。
それがコロナで来られなくなった。
そこで、今度は私が墓経をすると伝えた。
今のところ受け容れている。
朝晩のお勤めをアレンジしようと思う。
般若心経と大悲心陀羅尼をメインとして。
鈴と燭台だけ持参して。
約10分程の墓経。
南無釈迦牟尼仏
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