20年以上前に心理学を学んだ人はほとんど知っているこの名前。
私は『アスペルガー症候群』という病名として知っていた。
BSプレミアムの『フランケンシュタインの誘惑』
『ナチスとアスペルガーの子どもたち』という副題で取り上げた。
ナチス時代に若き優秀な小児科医だったアスペルガー。
彼が44人もの子供たちに「教育不能」のレッテルを貼り
『シュピーゲルフルント』という子供殺戮施設に送り込んだ事実。
37人が病名『肺炎』で、殺された。
この施設で殺された子供は789人に及ぶという。
戦後裁判に処されたが、「ヒトラーの命令」と証言し
すべての医師は無罪となった。
戦後、アスペルガーは自閉症の研究をしていない。
ところが74歳で亡くなった翌年、1981年に有名になった。
イギリスの小児科医が発表した論文。
1944年に出されたアスペルガーの論文と極似してしているとして
小児科医は彼に敬意を表し『アスペルガー症候群』として発表。
これを機に英語圏で研究論文が次々と出された。
皮肉な話である。
病名も『アスペルガー症候群』と正式に決まった。
戦後、アスペルガーはこの研究については一切口を閉ざした。
ところがアスペルガーを研究する人々が現れる。
そして遂に、『シュピーゲルフルント』との関係が暴露されるのだ。
衝撃だった。
今では『自閉スペクトラム症』と呼ばれ、研究が更に進んでいる。
一部の人では理解が進んでいるが、まだまだ本質が知られていない。