女房が初めて大相撲を見て帰った日
白鵬は凄いと何度も繰り返した
オーラがあるとも言った
他の力士とは格が違うとも言った
確かにその通りだと思う
43度も優勝して、まだ来年もやると言っている
才能だけでは無く、努力も惜しまなかっただろう
しかし、日本人には美しい引き際がある
今の白鵬に欠けているところ
強いけれど美しい勝ち姿からは遠い
遠藤戦は特に酷かった
張り手、かち上げ
弱い者が仕方なく出す技だ
強者の技とはされていない
ルール上問題ないのだからそんなことは言う必要ない
こんな意見もよく聞かれるが
勝てば良いというだけが価値観だとしたら横綱を張る価値は無い
美しく勝ってこそ横綱だ
私は『くんろく横綱』と呼ばれた柏戸を見ていた
若いときの力は無い、それでも左前差し右押っつけの型にこだわり
毎場所9勝しか出来なくなっていた
9勝6敗、『くんろく』である
不器用だからと言う人もいる
しかし、若いときの柏戸は突っ張りの柏戸として知られ
『ふたつき半』『ひとつき半』と言われた時代もあった
3発、あるいは2発の突っ張りが炸裂しなくとも押し出してしまう
そういう時代もあったのだ
しかし安定した勝ちを求めて左差し右押っつけの型を物にした
不器用かもしれないが、私の理想だった
白鵬は器用すぎる
右でも左でも上手を取れば十分だ
足技も出る
突っ張りには突っ張りで跳ね返すこともできる
俊敏で動体視力も良い
かち上げ、張り手を封じた場所もあった
封じたとしてもまだ優勝できる可能性は十分にある
『くんろく』でも良いので美しい白鵬を期待する