昨日の夜は、上田早夕里の小説『魚舟・獣舟』を読み返しておりました。
六つの中短編集。SFです。
物凄いイメージの奔流。異世界の描写が凄い。ハードだけど繊細で、硬質で暗い文体。物語の部分もしっかりしている。お、面白い~。
2009年の日本SF大賞の候補作(ちなみにこの年の大賞に選ばれたのは伊藤計劃の傑作『ハーモニー』です)。
表題作の『魚舟・獣舟』の舞台は、陸地の殆どが水没してしまっている未来世界。
海で暮らす人達は巨大な魚の背中の上で生活している。
その巨大な魚は人によって産み出された生物で人の遺伝子と同じ遺伝子を持つ。
ラストの切れ味がシャープです。
中篇の『小鳥の墓』は、
児童教育のために作られた町が舞台。
犯罪がなく清潔で美しいその町で暮らす主人公の少年は、苛立ちを抱えながら生きている。
理想的な教育空間な筈なのに、それ故救われない少年少女達……。
そっか、この作品が『ハーモニー』と日本SF大賞を競ったのか……。
凄い戦いだったんだなぁ……。
私ならどっちに軍配を上げようか?
迷っちゃうな。
傑作です!
面白いですよ!