天沢勇子の言葉によると、人と人をつなぐ道は、細く途切れ易いそうです。
昨日の夜は、アニメーション『電脳コイル』のDVD第9巻を観ていました。
電脳と呼ばれる技術が一般に普及している近未来。
電脳メガネと呼ばれるメガネ型のパーソナルコンピューターが世界に普及していて電脳世界を現実世界に重ねて表示して操作できるようになっている。
小学6年生の小此木優子(ヤサコ)は、金沢市から大黒市に引っ越してきた。
大黒市は、古い神社がたくさんある古都であると同時に最新の電脳設備を備える特別行政区。
市内には古い電脳空間がたくさん残っていて電脳に関する奇妙な事件が多発していてメタバグと呼ばれる役に立つ電脳物質が取れる。
電脳絡みのオカルトじみた様々な都市伝説が流行している……。
ヤサコは幼い頃の奇妙な記憶を持っている。
「4423」と名乗る不思議な男の子と神社のような所で出会って……。
第24話「メガネを捨てる子供たち」、第25話「金沢市はざま交差点」、そして最終話の第26話「ヤサコとイサコ」が収められていて、この第9巻が最終巻となります。
最新技術に対する大人達の(正論ではあるけど)過剰な反応のお話と「現実とは何か?」や「手に触れることが出来るモノだけが現実か?」と言うお話を挟んで、生身と電脳体が分離して「あっちの世界」に行ってしまったイサコをこちらに連れ戻すお話。
怒涛のラスト3話です。
第8巻でシリアスモード全開となりましたが第8巻で出てきた「4423」の正体をさらに第9巻でひっくり返す。
う~む。すごいすごい。
このお話は、物語の最初から「大事なことなのだけれども思い出せない記憶」というものがたくさん出てきます。
自分の都合の良いことは覚えているけど都合の悪いことは忘れている。人とはそうしたものだということを描いているのかな? と思っていたけど、成程、この記憶についての描写はラスト3話に繋がっていたのですね。
イサコを救い出すことで自分も救われるヤサコ。
素晴らしい作品でありました。
面白かったですよ。
お勧めです。