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2019年1月から、僕とよしこで月一で行っているトークイベント「月刊おはなし図鑑」。
第27回は、3/28(日)に、初の会場となる6studio.にて、渡部貴将さんをゲストに、渡部さんのこれまでの活動や、渡部さんが体験した地方演劇の闇について語っていただく、というテーマで開催しました!
詳細は告知に書いてあります。
「【お知らせ】トークイベント「月刊おはなし図鑑」第27回 ゲストは渡部貴将さん!テーマは地方演劇の苦悩!(3/28(日)、6studio.にて、10人以内、完全予約制)」
トークの動画や、どうして今回このトークを行ったかなどの説明は、こちらからご覧ください。
「トークイベント「月刊おはなし図鑑」第27回 初の6studio.にて、渡部貴将さんと演劇の闇トーク、終了しました!」
今回もトークの書き起こしを公開します。
トークイベント「月刊おはなし図鑑」第27回
(2021.03.28 ゲスト:渡部貴将さん)
ちひろ トークイベント「月刊おはなし図鑑」今回で第27回でございます。よろしくお願いします。ちひろBLUESです。
よしこ よしこです。
ちひろ で、今日のゲストは渡部さんに来ていただきました。
渡部 渡部です。よろしくお願いします。
ちひろ 渡部さんの説明はおいおいしていくとして。
渡部 はいはい。
ちひろ まずはじめに。今までは、最初はちず屋の2階、そのあとはぺがさす荘、時々は砂丘館をお借りしたり、その3ヶ所をメインにやってきたんですけど、今回は古町6番町にあります、6studio.さんを初めてお借りして、開催させていただいております。ありがとうございます。
よしこ ありがとうございます。
ちひろ 通称、ロクスタさんということで。どういう会場なのかを最初に説明したいんですけど。もともと音楽スタジオのサロンというか、利用する人達がここに集うような場所だったんですけど、昨年、新型コロナウイルスでライブとかが出来なくなっていく現状を受けて、これからは配信スタジオとしてもやっていこうと、そういう会場らしいですね。普段はここ、後ろにスクリーンもあるので、趣味でここを借りてみんなで鑑賞会をしたり、そういうこともできるそうですよ。オフ会の会場として利用する方もいるとか、そんなことをうかがいました。
よしこ いいよね。
ちひろ 昨日はここで、「ロクスタ.LIVE」というライブをやっていて。今年になってから定期的にされてますけど。
よしこ 昨日で2回目ですよね。
ちひろ 毒殺テロリストのイチロウさん、このイベントにも昨年出ていただきましたけど、イチロウさんが出演されていて。昨年は、イチロウさんが中心として、「白塗り下剋上」という、県内外の白塗りバンドやアイドルの十四代目トイレの花子さんが出ていた、白塗り大集合みたいな配信ライブを、2日間にわたってされていたし。これからどんどん機材とかも増やしていって、ゆくゆくは配信スタジオとしてやっていきたいって。
よしこ だって、去年の夏に初めてここに来た時と、全然内装が違って。でも、これでもまだ途中らしいですね。
ちひろ それこそ、今はちょっと時期的に難しいかもしれませんが、コロナが収束したら本格的にやっていこうみたいな。
よしこ ここにもカッコいいマイクがありますし。
ちひろ そう、今日マイクがあるんですよ!
渡部 すごいですね…
ちひろ そんな感じで、今後もお世話になると思うのでよろしくお願いします。あと、せっかくだから話すと、ここロクスタさんの店主をされている方が、元RISKY DRUG STOREの店主だった本間ゲンさんなんですけど。先程お話ししていたら、シネ・ウインドの齋藤代表とは昔からの仲だということで。斎藤さんの「ないものは作るんだよ」という言葉を受けて、ここのスタジオを作ったりしたらしいですし。
渡部 へえー!
ちひろ さっき写真見せていただいたんですけど、シネ・ウインドでは昔、ライブとかもしていたらしくて。
よしこ 漁港さんのライブなら見たよ。
ちひろ 最近だと漁港さんのライブとかありましたけど。当時のV系のバンドマンとかが大集合して。
よしこ ウインドで?
ちひろ ウインドでやってたんだって。というわけで、意外と縁のある会場だったという。新潟は深いですね。それこそ、本間ゲンさんにもいつか出ていただきたいなって思ったくらいですが。でも今日のゲストは渡部さんということで!よろしくお願いします。
渡部 よろしくお願いします。
ちひろ 前置きに5分くらい使ってしまいましたが。渡部さんはシネ・ウインドのスタッフをしたり。
渡部 そうですね。
ちひろ で、映画好きで、このイベントの1年目、一昨年は貞子の特集で出ていただいて。去年はブルース・リー特集の回に出ていただいて。
渡部 はい。
ちひろ 映画の回にいつもお呼びしていたんですけど。演劇もされてるということで。
渡部 そうなんです。
ちひろ それこそ、白塗り演劇してませんでしたっけ。
渡部 そうですね。ハハハ…
よしこ 似合うよね。
渡部 ありがとうございます。
ちひろ やっぱり白塗りの人はここに引き寄せられていくんでしょうかね。
渡部 ハハハ!そうですね。
ちひろ 何でこういうことをやろうと思ったのかと言うと、僕が昨年12月に、「ちひろdeアート」というイベントを古町の会場でやった時に、渡部さんが来てくれたんですよね。
渡部 はい。
ちひろ そうしたら、「ちひろさん聞いてくださいよ…僕今、演劇やってるんですけど、しんどいんですよ…」みたいな話を、1時間くらい、数年分の演劇の闇を語り出したんですよ、渡部さんが。
渡部 ハハハ…
ちひろ で、これはヤバいと思いまして。それからも、ちょこちょこそういう連絡が来るんですよね、渡部さんから。で、よしことも渡部さんとも3人仲いいので、これは一度、渡部さんの闇を、成仏させる必要がある、みたいな話になって。
渡部 はい。
ちひろ 最初は、色んな愚痴とか言ってやろうみたいな、ふざけた企画として始めたんですけど。でも、話し合ってるうちに、やっぱりこういう演劇の現状ってものはあるから、こういうことが起こらないように、僕らで注意喚起していこうみたいな、真面目な話になりまして。
渡部 そうですね。
よしこ ここ2人(渡部さん、ちひろ)は、現在も演劇やってる、昔やってた。
ちひろ はいはい。
よしこ 私はやってないんだけど、やってないから、劇団がどういうものなのかっていうのが、あんまりぴんときてないんだけど。でも、この前、某スターバックスで2~3時間くらい話した時に、これは別に演劇じゃなくてもある話だなって思ったんですよ。
ちひろ なるほど。
よしこ 3人いれば派閥ができるみたいな。やっぱり人数がいれば、どこでもあるよな、旧体制の会社みたいな話だなって思って。
渡部 そうですね。
ちひろ 人が集まって何かやる時に、そういう悲劇が起きちゃうみたいなね。
よしこ うん。そう思ったし、毎日それから演劇を考えすぎて、昨日も一昨日も、本当に体のどこかが悪いのかもしれないけど、吐き気で夜中に何回も目が覚めるっていう。
ちひろ ちょっと待ってください。演劇一番やってないよしこが病むのおかしいでしょ。
よしこ やってないから、色々想像するわけよ。で、もう訳が分からなくなって。解決策がほしい。
ちひろ 「演劇をやる人は病む義務があるのかしら」というコメントが来てますけど、そんなことはないんですよ!でも、病んでしまう人がいるという現状はやっぱりあるので。
渡部 そうですね。
ちひろ で、新型コロナウイルスで、演劇が開催できない、ピンチだ、どうしよう、って言ってる今こそ、こういう問題を話し合っていこうじゃないかと。
渡部 そうですね。
ちひろ 光もあれば闇もあると。で、闇を俺達が請け負っていこうと。
渡部 フフフ…
よしこ 去年は、演劇とかが開催できない状況だから、今のうちに新潟演劇を乗っ取ってやろうと。
ちひろ ハハハ!そうでしたね。それで劇団を作ったんですよね。
よしこ そう、劇団を作ったんですよ。
渡部 ハハハ!
ちひろ 劇団を作ったけど、やったの下ネタ大喜利だけどね。全然劇団と違うことをしているという。
よしこ うん。下ネタ大喜利と、架空の劇団員が一人ずつ辞めていくってやつ。
ちひろ そうそう。それが、年末の渡部さんが来てくれたやつで。
渡部 そうですね。
ちひろ だから、僕もちょうど、渡部さんみたいなことを考えていたので。でも、そういう問題を世の中に発信する時に、名前を出すと誹謗中傷になっちゃうから、架空のキャラに問題を起こさせて、それを毎日、こんな事件が起きましたって発表していって、最後よしこだけが残るっていう劇団をやったんですけど。まあ、あれはよく分からない企画でしたけど。でも、根底にあるのは渡部さんと同じ気持ちだと思っております。
渡部 なんというか、演劇というかお芝居をする人って、ちょっと変わってる人が多いと思ってはいたんですよ。ちょっと周りの人とうまく打ち解けられないとか、うまく社会に馴染めないみたいな人が多いなって感じていたんですけど。でも、そういう人達が集まっていても、やっぱりそこで苦しむ人がいるなっていう。
ちひろ 分かります!例えば普通の会社だったり、そういう普通の社会にちょっと疑問を持つ人が自分の表現をして、自分の世界を作ろう、自分なりにいいと思うものをやってやろうと言って集まったはずなのに、その中でまた小さい社会が出来ちゃうみたいなね。
渡部 そうなんですよね。
ちひろ じゃあ、最初に軽く渡部さんの紹介をすると、演劇やる前は、映画に出たりしていたんですか?
渡部 そうですね。自主制作映画を作ったり。にいがた映画塾さんと関わりを持たせていただいておりまして、役者としてちょいちょい出させていただいたりってのもあったんですね。
ちひろ 映画撮ったりもしたんですね。
渡部 映画撮りました。
ちひろ で、そういうことをやるのと平行して、新潟の超優良企業のCMに出続けているという実績がおありだと。
渡部 そうですね。ハハハ…
ちひろ 名前は言って大丈夫なの?
渡部 名前は構わないです。「ぽっちゃりチャンネル新潟店」。
ちひろ それはどういうお店ですか?
渡部 要するに、女性がやってきて、癒しを与える。
ちひろ デリバリーなヘルスのお店。
渡部 まあ、そうですね。
よしこ 今、デリバリー流行ってるもんね。
渡部 そうですね。
ちひろ 店舗型が、不景気の煽りを受けて。
よしこ でも、デリも減ったというか、ちょっと衰退してる。
ちひろ やっぱり、景気とかコロナの影響とかあるんですかね。
よしこ うん…
ちひろ ちょっと待って、デリヘルの話になっちゃってるから!
渡部 ハハハ!
ちひろ 渡部さんの話だから!そのCMに毎年出てる。
渡部 そうですね。これも経緯をお話すると、僕がたまたま「にいがた映画塾」さんのパソコンをお借りして、自分の作った自主映画の編集をしていたんですよ。そうしたら、カメラマンの仕事をしている某知り合いの方がいらっしゃって、「ちょっと役者の人を探してるんですけど、何でもやってくれそうな人いませんかね」って。ぱっと見たら、あれ!?ってなったんです。実はそのカメラマンの人とは、前バイト先が同じだったんです。
ちひろ へえー。縁ですね。
渡部 縁なんですよ。バイト先で、お互い映画が好きだったので、デヴィット・リンチの「イレイザーヘッド」いいよねーとか、そういうマニアックな話をする仲だったんですけど。彼がバイトを辞めて、独立してカメラマンをやって何年かした時に、ばったり会って。あれ!?ってなって。「渡部さんじゃないですか。渡部さん、デリヘルのCM出ませんか?」って、冗談交じりで言われて、「全然やりますよ」って感じで、始まったんです。
ちひろ へえー。すごいですね。だって僕、このイベントの宣伝になるかと思って、毎日一個ずつ渡部さんの動画を紹介してて。2013年くらいから毎年出てますよね。
渡部 そうですね。
ちひろ じゃあ、そんな縁がきっかけで、6年連続、デリヘル部門主演男優賞という、新潟演劇の唯一の名誉を。
渡部 そうですね。僕以外出てませんけどね。
ちひろ こっそりいたら面白いですけどね。
渡部 いるんですけどね、実は。
ちひろ ハハハ!じゃあ、それはシークレットということにしておきましょう。で、そういうことをやりつつ、机上空論という団体にも入ってたんですか。
渡部 そうですね。これも、どこから話せばいいんだろう、結構入り組んでいるんですけど。
よしこ それって白塗りしてたやつ?
渡部 そうです。
ちひろ 机上空論に入ったことが、演劇に繋がったってことですか?
渡部 ええとですね、ここも結構複雑で。最初、「机上空論」っていう団体がありまして、3人メンバーがいたんですよ。で、最初は、僕はお芝居をしたい、3人で何かできるようなお芝居がしたいってのがあって。もう1人が、ゲーム実況をやりたい。で、もう1人が、町歩きがしたい。
ちひろ みんなバラバラですね。
渡部 バラバラの3人が集まって何か出来ることやろうよって感じでやってたんです。で、YouTubeにゲーム実況上げたりしてたんですけど。
ちひろ 動画編集とかもやってたわけですからね。
渡部 そうです。で、それもやり、僕はお芝居をやりたいと考えていた時に、ちょうど映画塾の佐藤祐介さんという方から、あの方も演劇が好きな方だったので、声をかけられて。毎年新潟でやってる「えんとつ王」という演劇の大会に出たいんだけど、一緒にやらない?って言われて。で、「机上空論」って名前カッコいいから、そのまま使って出ちゃおうよ、って感じで、出たのが「机上空論」の演劇としての最初ですね。
ちひろ しかも、それが2018年ですけど、優勝したという。
渡部 そうなんですよね。まあ、今日も見に来ていらっしゃる武居さんも一緒に共演してくださった。
ちひろ あ、お疲れ様です。
渡部 まあ、3人までしか出れないという決まりなので。で、出て、優勝しちゃったんですよね…
ちひろ その時は白塗りしたんですか?
渡部 その時は白塗りではなかったんですけど、だいぶ攻めた内容で。「工作教室」というお話で、僕ともう一人が、よくデパートとかで子供を集めてイベントをやってることあるじゃないですか。木のおもちゃを作って、昔ながらの遊びを体験しよう、みたいなことをやってたのが、どんどんおかしなことになっていって、最終的に僕が呪いをかけられて、死んでしまうっていう。
ちひろ へえー。
渡部 それが何故か受けたんでしょうね。
ちひろ そうなんですね。じゃあ、それで優勝して、いかにも華々しくここから演劇人生が始まっていくぞ!みたいな感じするじゃないですか。今まで映画も好きで、ぽっちゃりチャンネルにも出続け、コツコツそうやって修行したことが、演劇に生きてきて、ちゃんと大会でも優勝するっていう。にもかかわらず、その翌年くらいから、さっそく何かトラブルが連発したというお話をうかがったんですけど。
渡部 まあ、そうですね。そのあと、演劇のワークショップに参加するようになったんです。関東から有名な演出家の方を呼んで、演技をつけてもらうっていうので、基礎から学んで。で、そのワークショップに集まった人達で、公演を打とうということになって。僕もそんな、本格的に人が多い公演というのも初めてだったので、こういうものなんだろうなとは思いつつ。ただ、ちょっと引っかかるところがあって。ワークショップは平和に終わったんですけど、その人達で公演を打ちますってなった時に、その準備段階で、おや?という。
ちひろ なるほど。お待たせしました。ここから本題でございます。一応、最初に言っておきますけど、ネガティブな話になる時に、固有名詞を出しちゃうと誹謗中傷にもなりかねないということで、そういう部分は伏せるということでやらせていただきます。
渡部 はい。
よしこ 打ち合わせしてる時も、ああ、これはバレる、この下りは名前出さなくても絶対バレるってずっと一人で言ってて。
渡部 そうですね。
ちひろ じゃあ、そのワークショップのメンバーで演劇をやった時に、初めて何か違和感に出会ったって感じなんですか?
渡部 そうですね。具体的には、舞台転換という、場面が変わる時に色々、机を運んだり窓枠が下りてきたりっていうのがあるんですけど。それの指示をする方がいらっしゃったんですけど、その方が結構、何て言うんでしょうね、昔気質というのかな、声を荒げたりとか。
ちひろ じゃあ、その人がちょっと、パワハラ的な?
渡部 今で言うと、それになっちゃうのかな、みたいな感じがあって。ちょっと、やっぱり、役者のみんなもピリピリしだすんですよね、その人が指示を出し始めると。おやおやと思って。まあ、こういうことはあるのかなーと思いつつ。まあでも、要注意しとこうかなと。
ちひろ その人は、劇団の代表なんですか?
渡部 いや、代表ではなく、運営スタッフみたいな感じで。
ちひろ で、その舞台転換を担当していたと。
渡部 そうですね。
ちひろ 具体的に、その人が昔気質というのは、どういう感じだったんですか?
渡部 何で言うんでしょうね…まあ、声を荒げる。あとはそうですね…
よしこ 女優に手を出すとかは?
ちひろ 女優に手を出す!?
渡部 それはどうなんですかね…その時は、手は出してないんじゃないですかね。
ちひろ 他の参加者にキレているのを見て、渡部さんはどういう風に感じましたか?
渡部 まあ、嫌ですし。でも何だろう、難しいところですよね、こういうのって。何て言うのかな…もちろん時間もそんなにない中でやってるので、イライラしたりすることはあるとは思うんですけど、やっぱりそこはね…っていう。
ちひろ 演劇もやっぱり、チームプレイだから、1人がパワハラ体質になってもよくないですし。しかもその人、代表でもないんですよね。
渡部 そうですね。まあ、そこを任されていたってのはあるとは思うんですけど。
よしこ 長年やってる人なんですかね。
渡部 そうですね。
ちひろ 準備の段階でそういうことがあったわけじゃないですか。本番でも何かあったとお聞きしたんですが。
渡部 そうですね…その方は、運営もやりつつ、役者もやっていたんですけど。やっぱり、自分が好きな方なんでしょうね。いわゆる、カッコつけというか。「俺を見てくれ」みたいな。目立ちたがりだし、バンバンアドリブを入れてくるわけですよ。
ちひろ 本番でもアドリブを入れるんですか?
渡部 入れます。でもそれは、演出の方が、アドリブは全然入れてもいいと。人間のやることから外れなければやっていいと。突拍子もないことをやって笑いを取るのは違うんだけど、ある程度は。
ちひろ その演劇の物語の流れに相応しいアドリブならOKみたいな、そういう感じ?
渡部 そうですね。だけど、その方のアドリブっていうのは突拍子もないわけですよ。具体的には、設定されている年代が違ったりするわけですよ。その時にやったお芝居は100年くらい前の話、日本でいうと明治時代くらいの話なんですけど、「この2019年の今!」みたいなことをアドリブで言っちゃうわけですよ。
よしこ ハハハ!
ちひろ すごい矛盾が。
渡部 で、おやおやと思って。でも、こういう人もいるよなーって思いながら。
よしこ 当時そのメンバー、何人くらいいたんですか?
渡部 10人以上はいたと思いますね。
よしこ その10人以上いるその組織の中で、愚痴が出ないのがすごいと思った。
渡部 ああー、どうなんでしょうね…
よしこ ウチの職場、ヤバいもん。
渡部 そこも多分、演劇とお仕事の違いで。お仕事って、お金を稼ぐためにやってるじゃないですか。だから、愚痴を言ってもいいかもしれないけど。でも、お芝居って好きな人達が集まってやってるから。そこで愚痴を言うってのは、なんかカッコ悪いのかなって、僕は思っちゃうんですよね。だから、溜まってしまったんですよね。
ちひろ なるほど。あと、渡部さん、これも演劇あるあるだと思うんですけど、僕も経験あるんですけど、演劇始めた頃に、初心者だから、こういうのが普通なんだと思いこんじゃうとか。
渡部 はいはい。
ちひろ あと、明らかに自分が、お芝居に出ても嫌な思いするんじゃないかと思っても、これも初心者だから経験になるかなって自分に言い聞かせて。今思うと、あれは間違ってたな…ってあとで気付くみたいなことってないですか?
渡部 ありますね。ありますあります。次に使ってくれなくなるんじゃないか。出させてくれなくなるんじゃないかっていうのが不安で。
ちひろ なるほど。演劇を続けていく上で、ここで先輩に楯突いたら、今度違う舞台に呼ばれないんじゃないかと。
渡部 はい。
ちひろ そんなことないと思うんですけどね!いや、あるのかな?どうなんだろうね?
渡部 どうなんでしょうかね。
ちひろ なくあってほしいよね。
渡部 うーん、そうですね…
よしこ 出たくなかったら、「今回は出たくない」って言える空気がいいなあ。
渡部 そうですよね。
よしこ 自分、言っちゃうんだけど。
ちひろ 俺も、よしこの影響なのか分からないけど、今はもう主催者だから言っていかないと企画が立ち行かないのね。だけど当時は、自分は主体性がなくて、どこかに出させていただくっていう立場だったから。その立場で先輩に物申すのは、結構勇気がいる行為だったなって、今では思う。
よしこ ああー。
ちひろ でも、良くないんだと思うけどね、本当はそういうの。
渡部 そうですね…
ちひろ あっという間に後半になってしまいましたが、去年から今年にかけて、結構大変だったというお話をうかがったので、そのお話を後半はしていただこうかと思うんですが。どんなことがあったんですか?
渡部 そうですね…うーん…まあ、ある方に誘われて、ある舞台に出させていただくことになったんですが。ちょうど新型コロナウイルスが流行り出して、決まってたやつが延期になっちゃったんです。
ちひろ じゃあ、もともとはコロナが流行り出す前から企画してたんだけど、企画の途中で流行り出しちゃってってことですかね。
渡部 そうですね、延期になってしまって。それは仕方ないんですけど。延期になったんだけど。延期になる前に、チケットを結構売ってたわけですよ。
ちひろ その問題もあるよね。お金が絡んでるんだもんね。
渡部 そうなんですよ。だけど、延期になってしまいましたってことで、延期になりましたってことを、劇団のTwitterに上げて。上げたのはいいんだけど、チケットどうするのとか、売ったものをどうしたらいいのって指示を、まったくいただけない状態だったんです、出演者の我々に対して。だから、売ったお客様に対して、どういう対応をすればいいのか、まったく指示がなく。ただ、延期しましたって告知だけを。
ちひろ じゃあ、代表が自分で延期するってことを決めて、その対応とかを誰にも説明とかしないで、自分で勝手に告知だけしちゃった。
渡部 そうですね。これはいかんと。まあ、何とかしたんですが。
ちひろ 何とかしたんですね。それはやっぱり、出演者同士でこれはいかんいかんってなって、代表に持ちかけてみたいな?
渡部 僕が自主的に、どうしたらいいですか?って聞いて、やったんですけど。そういうことが結構多い方だったんですよね。何て言うんでしょうね…
よしこ 大事なお客さんを。
渡部 そうですね。お客さんが一番のはずなのに。
ちひろ アナウンスする時もまずそこからだもんね。
渡部 そうなんですよね。
ちひろ お客さんに、チケットを買ってしまった方はこうしてください、みたいな。
渡部 はい。そうなんですけど、「悔しいけど延期しました」っていう、自分の心情を書くわけですよ。
ちひろ それは、自分のアカウントに書くの?
渡部 いや、劇団の。で、知らねえよって思って。お前の気持ちは知らねえよと。まずお客さんだろうと。そういうところが結構、ちょくちょくある人で。で、その人が主体になってやってたんですが、延期になって。で、延期後の本番いつにしますってことも決まったんですけど、それも役者の方には相談もなく、この日とこの日にやりますよって。
ちひろ じゃあ、「この日ならいいですか」、とかじゃなくて、「この日にやるからな」、みたいな。
渡部 そうです。
よしこ 「やります」っていう告知だけが先に出て。
渡部 そうですね。それも、その人が動けるのがその日しかないから、そこでってなったんです。
ちひろ 色々と頭を抱える話ですね。
渡部 はい。そうなんですよね。そういうことが結構多くて。
ちひろ 渡部さん以外の役者さんはどうだったんですか?
よしこ それでも付いていくもんなんですか?
渡部 うーん、そうですね…付いていってる人もいるんだけれど、でも、何て言うんでしょう、離れていく人もいるんですよ。で、離れていく人が多くなってしまうために、毎回毎回、新しく演劇を始めたような人を、引っ張ってくるわけですよ。
ちひろ じゃあ、長年活動してる人は、もうあんたには付いていけないよみたいな感じで離れてしまって、そういうのをよく知らない、演劇初心者の人が、何かとやってくる。
渡部 はい。で、そうすると、こういうのが演劇のやり方なんだと思ってしまって。
ちひろ はあー。負のループが出来てしまうわけですね。初心者の人が来ちゃう。で、よくない体質の人を見て、これが普通だと思ってしまう。そういう人だけが残ってしまう。
渡部 そうなんですよ。
ちひろ で、おかしいなって思ってる人は、諦めて辞めてしまう。
渡部 そうなんですよ。
ちひろ これはちょっと、悲しいですね。
渡部 うーん…
ちひろ 何故か渡部さんが怒られたって話を聞いたんですけど。
渡部 ハハハ…そうですね…それは、延期になった時に、出られなくなってしまった役者さんが何人かいたんですね。それは仕方ないんですけど。
よしこ 勝手にこの日にやりますって言って、合わない。
渡部 合わない人が出て来ちゃって。まあ、「この日になりましたのでよろしくお願いします」とLINEが来るわけですよ。でも、その中で1人、出れなくなっちゃった人がいるんですけど。その人が、一回ばらしたものだから、あらためて依頼をしてもらわないと、困ると。彼の意見はそうなんですね。それはもちろん、そうだと思うんですけど。だけど、主催の方から、何も連絡が来ない。「また出てくれないか」という依頼の連絡が来ないと。だから、どうしていいか分からない。というのが、ずるずる続いてしまったんですね。で、その役者の人も、他に出る演劇が決まってしまったから、そっちの方を優先することになってしまったんです。それで、主催の人が、「どういうことだ」と、怒りだしたんです。で、うーん…と思って、主催の人に、彼はこう言っていますよ、ということを言ったんですね。そうしたら、主催の人が、「それはおかしいだろ」と、「役者の奴の言ってる方がおかしい」と言い出したんですね。それは何故かと言うと、主催の人が言うには、「俺が一目を置いているほどの実力のある役者だったら、頭を下げてお願いしますって言うけれども、お前程度の役者に何で依頼する必要があるんだ」と。「寧ろ、俺のところに来て、演技を教えてくださいと言うくらいの気持ちで、何でやらないんだ」と。そういうことを、僕が説教をされたんです。
ちひろ その出られなくなってしまった人にではなくて、何故か渡部さんのところに流れ弾がやってきたと。
渡部 そうなんです。
よしこ ちょっと、その人に会ってみたいな。
渡部 会ってどうするんですか。
よしこ お前、偉いのか~?って聞く。
ちひろ うちの劇団入る?とか。ハハハ!
よしこ そうそう。入れてやろうか?って。
渡部 フフフ…
ちひろ まあ、そんなこんなあって、結局その延期になった本番はどうなったんですか?
渡部 ちゃんと、公演をすることは出来たんです。ただ、そこに至るまでも大変でしたし、本番も大変だったんですけど。
ちひろ 稽古再開とかは、どのへんからやったんですか?
渡部 それはですね、今年の3月に公演だったんですけど、稽古再開したのが、1月なんですよ。
ちひろ すごい最近だ。
渡部 脚本を書き直したんですけど。
ちひろ そうか、役者が変わるから。
渡部 書き直した脚本は11月に出来てたんですよ。11月に出来ていて、やっと稽古できると思ったら、主催の人が、何故か、別の話をやるって言いだしたんです。配信で、別の話をやりたいと。
ちひろ 配信。なんか俺らとやってることが似てますけど。別の企画を立ち上げたと。
渡部 別の企画を立ち上げたんです。30分くらいの内容で、12月の中旬くらいにやる予定で。「今回する配信も、公演の稽古の一貫としてやるから」と。全然違う話なんですけど。
ちひろ 独自の理論を。
渡部 それは、僕は別のことで忙しかったのもあって、お断りしたんですけど。その配信をやることになって、最初は30分だった予定のお話が、1時間に延びちゃって。
ちひろ へえー。もはや本公演。
渡部 しかも、12月の中旬くらいに配信を終えて、そこからは本公演の方の稽古に入るはずだったのが、12月29日に配信になっちゃったんです、生配信が。
ちひろ 年末も年末ですね。
渡部 まあ、そういうゴタゴタがあって、結局みんな配信の方に力を注いでしまって。
ちひろ 本公演に割く時間がなくなってしまった。
渡部 そうなんです。
ちひろ 配信の本番中は大丈夫だったんですか?
渡部 それがですね…言っていいのかな…
よしこ いいよ。
ちひろ じゃあ、ある程度まで言いましょう。大事なポイントだと思うので。
渡部 えーと、それが刀を使うお芝居だったんですけど。
よしこ それバレるね。フフフ…
渡部 ゲネプロって言って、本番の前に本番みたいに通しでやるやつがあって。主催の人も、役者として出演していたわけですよ。刀持って。で、ゲネプロの直前に、殺陣を変更したんです。詳しくは知らないんですけど、手数を増やしたか何かして。で、その手数を増やしたのを、相手役の役者さんに伝え忘れてしまったんですよ。その結果、ゲネプロの最中に、彼がある役者さんを、刀で刺しかけるっていう。
ちひろ 怖すぎる!マジか!
渡部 で、実は、それが初めてではないらしいんですよね。
よしこ 刺しかけ事件が。
渡部 刺しかけ事件が過去にもあったらしいんですよ。
ちひろ いやー、でも、殺陣なんて一番段取りというか、一番稽古しなきゃいけないところじゃないですか。危険だから、失敗すると。
渡部 そうなんですよ。
ちひろ そんなことがあって、その人はどうしたんですか。
渡部 最後に、泣きながら土下座をしたという。
よしこ 土下座も過去にもやってた?
渡部 結構、簡単に土下座をする人らしいんですよ。
よしこ ハハハ…
渡部 まあ、そんなことがあって。
ちひろ じゃあ、そんなことがあったあとで、1月にやっと稽古が再開できて。
渡部 はい。
ちひろ 本番は大丈夫でしたか?
渡部 本番が、またこれが大変だったんですよ。主催をやりつつ役者もやる人なので、手が回らないわけですよ。すべてをコントロールする立場の人が、いないんですよね。そういうスタッフもいないので、とにかくバタバタなわけです。
よしこ 総監督みたいな人がいないってこと?
渡部 そうですね。指示を出してくれる人もいないし。
ちひろ そっか、指示を出すべき立場の人が、舞台で役者をやってるから。
渡部 そう、手一杯になっちゃうんだけど、自分ですべて仕切りたがっちゃう人なんですよ。その結果、公演のゲネプロ、この日ですよって決まってるんだけど、それが、音響スタッフさんに連絡が行ってなくて、音響スタッフさんはその日、仕事が入ってたんですよ。で、どうするんですかって話になって、主催の人は「俺はあなたに伝えたはずですよ」、で、「いや、聞いてないですよ」って。一番ダメじゃないですか、言った言わないって。一番ダメなことが起きて。で、よくよく調べてみると、主催の人が音響さんに連絡を伝えたなかったんです。
ちひろ じゃあ、結局その主催の人が悪かった。
渡部 で、仕方ないから、音響さんが、その日、仕事休みますって言って、ゲネプロやって。あと、プリセットっていうのがあるんですよ。お芝居を始める前に、小道具を各定位置に置いておく。そういう作業があるんですけど、誰もやらない。
ちひろ それは、代表の人が指示を出してないってこと?
渡部 僕は客演で他の劇団に出たこともあるんですけど、その劇団は、主催の人が、じゃあプリセット確認してねって。
ちひろ 大抵、プリセットタイムみたいなのを設けるよね、公演前は。
渡部 だけど、その指示がない。でも、僕はやらなきゃって思うし、やる人は自主的にやってくれるんですけど、全体が見れないじゃないですか。
ちひろ そうだよね。代表はプリセットを確認しないといけないもんね、本当は。
渡部 だから、本番中にあるべきところに小道具がなくて。
ちひろ それは本番中に起きたの?
渡部 本番中に起きました。
ちひろ そっか…お疲れ様でした。
よしこ これからも、その人と演劇をやっていくんですか?
渡部 いやー…できれば、やりたくないですね。
よしこ フフフ…
ちひろ 演劇自体はまだ続けたいと思うの?
渡部 もちろん、それは。お芝居は好きなんですよ!こんな話をしてますが!
よしこ 良かったー。
ちひろ 良かった良かった。戻ってきた、明るい渡部さんが。
渡部 お芝居は大好きなんですよ。
ちひろ 残り10分ちょいなんですけど、こういう話を聞いた上で、改善策を3人で話していこうと思いまして。
渡部 そうですね。前向きに。
ちひろ さんざん暗い話をしてきたから、最後はちゃんと前向きに終わろうという。
よしこ 仕事の休憩中とかずっと、心理学とか倫理についてとか、すごい調べたり本を読んだりして。でも収拾がつかなくなって、2日3日前にキャスをやって。人を嫌いになる心理ってどんな感じなんだろうって。
ちひろ それは、よしこは演劇をやってたわけじゃないのに、渡部さんの話を聞いて病んじゃったみたいな。
よしこ いや、私は改善したいの。これはまずいよねって状況は改善したいの。
ちひろ ああ、基本的に演劇に限らず、あらゆるものに。
よしこ うん。改善したいから、悪いまま終わるのがすごく嫌だから。でも、答えが出なくて、ずっと。
ちひろ これ、打ち合わせの時も話したんですけど、東京オリンピックのゴタゴタに似てるんですよね。
渡部 そうですね。まさに。
ちひろ 代表が開催決定ってことを一方的に決めつけて、周りの人がそれに振り回されていくっていう。一番大事なのは「平和にやる」ってことのはずなのに、「とにかくやる」がメインになっちゃうと、平和の精神が失われていく感じがあって。演劇も本来、役者達が楽しく本番をやって、いい舞台を作ることが目的のはずなのに、何かそこが、代表が突っ走り過ぎて、他の人達が置いてきぼりになってる感じがしたんですよ。
よしこ 一度、お客さんも置いてきぼりになったからね。延期しますってなった時に。
渡部 やっぱりちゃんと告知をしなかったから。
ちひろ まずそこは大事ですね。ちゃんと告知をする。お客さんが今どういう情報が必要なのかを言うみたいな。
渡部 そうですね。確かに。
ちひろ 地方の演劇って、まあ、東京でもそうなのかな、ある一つの狭いコミュニティの中で世界が完結しちゃうと、冷静に物事が見られなくなっていくっていうのが、絶対あると思うんですよ。
渡部 そうですよね。
ちひろ いつも同じ劇団の人に会って、いつも同じ代表の指示を聞いてると、これが普通だよなってなっちゃって。あと、演劇を観に来る人も限られてくると、この人の意見がそうなんだってなるけど、本当ならもっと色んなお客さんがいて、こういう考えもあるんだってなるとか、演劇やってない人が見たらそれ変じゃないって思うこととかもあると思うし。そういうのが、地方演劇の苦悩の原点にあると思ってて。
渡部 そうですね…
よしこ 私、演劇嫌いなんだけど。前提として好きじゃないんだけど。
ちひろ ハハハ!
よしこ 高校生の頃に演劇部だった女の子が、すごく空気をピリピリにする子で。多分それの影響で、演劇やってる人って難しいなあっていう、食わず嫌いなんですよ。
ちひろ すみませんね。そんな人に、渡部さんの地獄の演劇体験を。
渡部 ハハハ!
ちひろ サンプルが2つでどっちもヤバいっていう。そんなことばかりじゃないですからね!
よしこ だから、演劇のイメージがマジで悪いんだけど、でも、十何年か前の、下北沢が舞台のドラマ。
ちひろ 「下北サンデーズ」?
よしこ うん。そこだけは演劇好き。あんなだったらいいなって。
ちひろ 石田衣良の小説をもとにした脚本で、堤幸彦監督が演出して、藤井フミヤさんが音楽じゃなかったかな。
よしこ あの感じはすごい好き。
ちひろ だから、僕も松本でお芝居とかやってたんだけど、仲間でみんなで面白いものを作ろうっていう、それが演劇の醍醐味だと思うし、それは本来、ポジティブなことのはずじゃないですか。
よしこ うん。
ちひろ で、実際、BLUESは今、上手くやってるし。渡部さんの今の話は、悲しい話でしたけど、ちゃんとやってる劇団もいっぱいあると思うんです、新潟も。
渡部 はい。
ちひろ だから、こういう現状は起こり得るけど、変えていくことも出来るよ、っていう風にやっていかないとダメなのかなと思って。だって、俺もそういうのが嫌で辞めちゃったからね。それだけが嫌ってわけじゃないけど、色々あって辞めたけど。
よしこ ああー。
ちひろ あと、代表がヤバかったら意見を言える空気は大事だなって思いました。
渡部 そうですね。
よしこ それは劇団に限らず、それがいい。
ちひろ 会社とか。日本ってそうなのかね。
渡部 ああー。結構言えないことが多いんですかね。
ちひろ 俺ばっかり話しちゃうんですけど、俺も、渡部さんのヤバい劇団の代表みたいな人が、バイト先の上司だったことがあるのね。スーパーの巨大な冷蔵庫にいつも呼び出されて、とにかくパワハラパワハラで。で、明らかに向こうがおかしいんだけど、俺も若かったから、こういうのを経験しないとダメなんだみたいな気持ちがあったわけ。
渡部 はいはい。
ちひろ それにちょっと近いと思ってて。演劇を始めた人は、その世界を知らないから、こういうのは良くないっていうのを、誰かが言っていくとか、行動で示すとか、「そういうのは言っていいんだよ」ってことは、言ってあげたいですね、若い世代の人達に。「あなた、そんなに間違ってないよ」みたいな。
渡部 そうですね…
よしこ 今、すごい年下の人とも一緒に働いてるんですけど、二十歳の男の子がいて。大体同年代で固まってて、一人だけ若いんだけど。誰かに注意ってしづらいじゃない。「こうした方がいいよ」とか言いづらいじゃない。「ここちょっとダメです」とか。でも、その二十歳の子は、ぽんと言ってくれるんだよね。なんか、その子の事前情報は、月額3400円の出会い系アプリを駆使して、めっちゃ出会い厨で、最近病気も…
ちひろ あと2分だぞ!あと2分でその話出す!?
渡部 ハハハ!
よしこ ヤバめの最近の男の子って感じだったんだけど。「そこの床拭いた方がいいですよ」とか。
ちひろ そういう意見を言う力はあると。
よしこ そう。だから、それでものすごく変わった、見方が。
ちひろ でも、そうだね。俺もよしこに、年上だけどガンガン意見言うしね。全然怒るからね。
よしこ 年下だったね。
ちひろ そういうのは大事な気がしますね。
渡部 そうですね。
よしこ 何でも言い合う。
ちひろ あと、プリセットはちゃんとやる。あと、殺陣をする時にアドリブで勝手に変えない。
渡部 そうですね。
ちひろ 命にかかわることは、ちゃんとする。
よしこ 小学生でも知ってるわ、そんなこと。危ないことはしない。
ちひろ まあ、こういう話をして、ちょっとネガティブな話にもなってしまいましたが、基本はそういうのがなくなればいいというスタンスで、一時間やらせていただきました。ちょっと不思議な回でしたけど、ありがとうございました。渡部さんもありがとうございました。
渡部 ありがとうございました。
以上です。
今回、誹謗中傷を防ぐために名前は伏せていますが、ある演劇関係者に対してネガティブな話をしているので、こういうトークイベントをするべきなのか、という疑問はありました。
しかし、こういう問題は渡部さんの体験だけではなく、色々ば場所で起こっているものだと思ったので、このトークイベントによって、この問題を考えるきっかけにしていきたいという気持ちから開催しました。
その判断をしたのは、「月刊おはなし図鑑」主催者の僕なので、批判があったら渡部さんにではなく僕までお願いします!
テーマに加えて、初のロクスタということもあり、自分としても反省点の多い回ではありましたが、このトークをしたことで、またこういう問題を考えていくことために一歩先に進めたような気がしています。
今回のトークイベントを開催したことで自分なりに考えた反省点は、こちらにまとめてあります。
「想う未来を掴むのは、詰まるとこ自分次第。」