6/10(木)、シネ・ウインドで「愛のコリーダ」を観てきました。
予告編はこちら。
昭和11年に実際に起きた「安部定事件」を題材に、激しい性描写を大胆に描いた大島渚監督による1976年の映画で、今年4K修復版が公開。
ピンク映画ってAVと違ってただのエロではなく人間の愚かさや醜さまで描いた芸術性の高い表現だと思いますが、男女の性愛をここまで究極的に描くとは…と衝撃を受けました。
料亭の主人と女中が駆け落ちする物語なんだけど、冒頭の料亭の場面からして、普通は誰もが隠れて行うセックスという行為が日常の中でオープンに存在している様子にまず衝撃を受けます。
その後、駆け落ちした二人が宿に籠って、生活の何もかもを捨てて退廃的な愛欲だけに溺れていく倒錯した物語が、ひたすら続いていきます。
とにかく二人の愛欲への溺れ方が尋常じゃなくて「マジかよ」の連続なんです。
AVとかを見たら普通にエロい気持ちにもなるけど、ここまで究極的にエロだけに倒錯して溺れていく人間をひたすら見せ続けられると、エロという行為が本来持っている人間の醜さや愚かさという深淵を見せられているようで恐怖すら覚えました。
そして、どんなに二人が愛し合おうとも、「安部定事件」の「結末」が分かっているが故の緊張感も常にあり、そしてやっぱり最後はああなっちゃうのか…という。
視覚的に「あれ」を表現させられる衝撃も凄まじかったですね。
この感じ、前に若松孝二監督のピンク映画特集を思い出したのですが、実際に若松監督が製作に携わっているんですね。
今年は大島渚監督の「戦場のメリークリスマス」も上映され、あれも本当に戦争の中で究極の人間の姿を描いた傑作でしたが、衝撃度は「愛のコリーダ」の方が凄かったです。
「戦場のメリークリスマス」の感想はこちら。
「戦争の中で出会った日本人とイギリス人、大島渚監督の名作が蘇る「戦場のメリークリスマス」観てきました。」