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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

NGT48北原里英初主演映画!新潟ロケ!予測不能カルトムービー!『サニー/32』観て来ました!

2018-03-10 00:21:40 | Weblog


3/8(木)に、『サニー/32』を観て来ました。






予告編はこんな感じです。



この映画、NGT48の北原里英さんの初主演作ということなので、アイドル映画ということになるのかも知れません。
また、新潟でロケされ、新潟ならではの雪景色や日本海の風景が登場するあたりから、ご当地映画ということにもなるのかも知れません。

が、しかし、この映画はアイドル映画、ご当地映画というには、あまりにエキセントリック!
ハッキリ言って、最初から最後までまったく一つとして予測不能、寧ろ見終わっても果たして何が起きていたのかまったく意味が分からない、「な…何なんだこれは…」という、説明できない謎の熱量に溢れたまさしくとんでもないカルトムービーなのです!



(なので、ネタバレを避けるためにも、まだ観ていない方はこのブログも読まない方がいいかも知れません。)
(まったく何の知識もなく観た方が楽しめる映画かも知れません。)



そりゃまあ、あの白石和彌監督なので、そのくらいやってもおかしくはないと言うか、やりやがったな…!!という感じなんですけど、北原里英さん目当てで観に行ったアイドルファンの方はびっくりしたんじゃないでしょうか…
じゃあ僕はどうだったかと言うと、全然嫌いじゃない!と言うか大好きです!めちゃくちゃ面白かった!最高です!



どんな物語かと言うと、まずこのあらすじの時点でだいぶぶっ飛んでいて説明が難しいくらいなんですが…
まず冒頭、14年前に女子小学生が同級生を殺害したという事件が発生、その犯人の写真はネット上に出回り「犯罪史上、もっとも可愛い殺人犯」と神格化され続けてきた…というこの物語の発端が、ネットの掲示板のような映像で説明されます。

時は流れ、14年後、北原里英さん演じる中学教師は、ある日、ピエール瀧さんとリリー・フランキーさん(この二人って時点で怪し過ぎるしヤバい予感しかしない!)演じる謎の男達に突然誘拐され、雪深い山小屋のようなところに監禁されてしまう。
二人は、主人公のことをサニーだと思い込んでおり、彼女の動画を撮影しネットにアップ、彼女を過剰にもてなす一方で彼女が逆らったり逃げようとしたりすると暴力をふるうという過剰な行為に。

さらにはそこにはサニーを神格化している人間たちが次々と訪れるも、仲間割れから死者を出してしまう。
すると今度は、彼らの情報がネットに流出したことから居場所が特定されてしまい、主人公と誘拐犯、そこに居合わせた謎の人物達もろとも、別の場所へと逃げ出すことになるという、突然の謎のロードムービー的展開に…

新たな隠れ場所には、新たな怪しい人物が加わったり仲間割れしたり色々あるのですが、そこに彼らを追うユーチューバーの少年が居場所を特定してやってきたことから事態は一変、主人公、誘拐犯、その他の人物達もろとも、ネットに中継されてしまうという事態に…
その時!それまでは暴力をふるわれてばかりだった主人公が何かに覚醒!そして、反撃!その場にいる人間一人一人を殴り倒しながら、心の闇を告白させ続けていくではないか!

これが放送されると、ネットではコメントで「キタコレ!」の祭りに!サニーを称える声がネットに溢れだす!
そして主人公は「サニー」として生きていくことを誓い、そこに集まった全員でネットの番組を放送、視聴者に罪を告白させ癒しを与える、まさにネットの神的存在へとなっていくのだが…



…すみません、書いていて自分でも意味がよく分からなくなってきました。笑
とにかく、一つとして予測のできる展開が存在せず、物語がどこに向かって進んでいるのかまったく理解できないまま、しかし、展開のすべてがセンセーショナルでありショッキングであり、スクリーンに目が釘付けになってしまう。とにかく頭が理解するよりも先に物語に翻弄され続けてしまうのです。

さらに、映像や展開の一つ一つの熱量が、なんていうか凄まじいのです。暴力描写はいちいち痛々しく、登場人物たちはいちいち不気味で、また笑えるところはとことん笑える。
そんな、ただでさえどういうジャンルの映画か分からないくらい物語の展開のバリエーションが豊富なのに加えて、ネットの掲示板の映像やネットの動画中継の映像など、映像的にもバリエーションが豊かなので、まったく飽きることがないまさにジェットコースタームービーだなあと思いました。



特に、主人公が本物のサニーなのか?違うのか?と映画を観て誰もが疑問に思うことを説明しないまま、次々と新たな事件を起こし続け、最終的に主人公が「サニーに覚醒する」という人を食ったような脚本がとんでもないなあと思いました。
「それ、どういうことなの!?」という謎が説明されないどころか次々と増え続けるにもかかわらず、そこが不満にならないどころか、寧ろこの映画の暴走がだんだん楽しくさえ感じられてきてしまうという、実はすごく良く出来た映画だと思うのです。

さて、その後も、物語はどんどんエスカレートしていくんですけど、ネタバレを避けるために書かないでおきますが、やっぱり予測のできない方向へと進んでいきます。
軽く書いておくと、今までまったく登場してこなかったけれど実は物語の本質にかかわる人物が突然現れて事態が大きく動いたり、今まで物語の舞台にまったくなっていなかった場所でまったく新しいドラマが描かれたかと思えば、それもまたこの物語の本質にかかわるような事態に発展していったりするのです。



この映画で描かれる「サニー」という存在は何なのかという話で、それは結局、人間の弱さを映す鏡みたいなものなのかも知れないなあ、と思ったりしました。
真実かどうかは分からないネットの中の存在に救いを求める人間たち、暴力で他者を威圧するような人間たちの中にもある罪を告白し許しを得たいという気持ちがあり、彼らは各々の「サニー」を作り出しては、「勝手に」そこに自分の求めるものを見出していく。

しかも、ネタバレせずに書くのは微妙に難しいですが、彼らが求めている「サニー」の宗教的な救済の裏には、実はまったく救いようのないような現実が存在しているにもかかわらず、彼らはそれを知らずに、「勝手に」それぞれの求める「虚像」である「サニー」を追い求めているところが、皮肉だなあと思ったりしました。
女子児童殺人事件や拉致監禁、ネット上の新興宗教や神格化されるアイドル的存在などなど、現代的なセンセーショナルな題材ばかりが登場していますが、実は人間の普遍的な本質を描いた映画かも知れないなあなんて思う訳です。



また、確かにこの映画ではエキセントリックなことばかりが起こりますが、「世の中は何が起こるか分からないし」「人間は何をしでかすか分からない」という、ある意味この世の真理を描いた映画なのかも知れないなあとさえ、僕は思ってしまいました。(「スリー・ビルボード」の感想と微妙に重なるところですね)
そして、それはつまり、いつ誰が死んでも、誰が誰を殺してもおかしくはない、という残酷なまでの真実でもあるのですが、同時に「思いもよらないことが出来ることだってある」という希望みたいなものさえ感じてしまって、最終的に僕はちょっと感動してしまったほどでした。



もちろん、役者さんは全員がとんでもなく熱演していて本当に素晴らしかったです。
アクの強い役者ばかりに翻弄され続けるアイドルの北原里英さんのちょっと浮いてる感じさえも、意外とこの物語のストーリーにぴったり合っていて、寧ろ物凄くプラスに働いていたと思うんですよね。



世の中には、計算され尽くして小綺麗にまとまっている映画を評価する人もいますが、僕はどっちかって言うと、こういう色々ぶっ飛んでて何ならところどころ破綻もしているんだけど、何が何だか分からないけれどとんでもない熱量に溢れて心がガンガン動かされてしまう映画の方が好きなんですよね。
そういう意味で、この「サニー/32」という映画、久し振りに僕の大好物みたいな映画が出来てたなあって感じで、大満足でございました。
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