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ちひろBLUESこと熊谷千尋のブログです。

自転車日本縦断ロードムービー「Start Line」、今村彩子監督の舞台挨拶の日に観て来ました!

2016-11-21 22:56:35 | Weblog


11/19(土)~12/2(金)にかけて、シネ・ウインドで「Start Line」という映画が上映されています。
聴覚障害のある監督が、沖縄から北海道まで自転車で旅をした模様を撮影したドキュメンタリー映画です。

予告編を見た時点でめちゃくちゃ面白そうだったなあと思ってずっと気になっていたので、初日に観に行って来ました!
初日の11/19(土)には、今村彩子監督の舞台挨拶もあるということで、この日を選んだのです!



映画の感想の前に、会場に入ってまず最初に驚いたことがあります。
それは、客席で手話で会話をしている方がとても多い!!

考えてみれば当たり前のことなんですが、聴覚障害のある方は世の中には大勢いるし、そういう方だって映画を楽しみたいですよね。
だから最近は障害のある方のために字幕付き上映をしている映画館も増えてきていると聞きますが、実際にそういう方々の場に居合わせたのが初めてだったので、単純に新鮮な気持ちでした。

「Start Line」は聴覚障害のある監督が撮影した映画ということで、同じように障害のある方々の間で話題になっていたのかも知れません。
シネ・ウインドのお約束の上映前の井上支配人の挨拶でも隣に通訳の方が登壇していたし、井上さんもちょっとだけ手話をしてお客さんに呼びかけると、お客さんたちが手話で返したりしていて、上映前から、その状況に少し感動していました。



実際に観た映画は、本当にとても面白いものでした!
まず、個人的に、ドキュメンタリー映画やロードムービーが大好きな人間としては、沖縄から北海道まで自転車旅行という時点で、すごく気持ちがアガります!

そして、肝心の内容はというと、聴覚障害のある監督が主人公だからと言って、障がい者が頑張る姿に感動するみたいな、いわゆる「感動ポルノ」みたいな映画ではまったくありませんでした!
それどころか、普通のテレビのドキュメンタリーではカットされてもおかしくないような、監督の格好悪い姿がたくさん出てきます。

この映画で、聴覚障害のある今村監督は、自転車屋で健聴者(こういう言葉があることを僕はこの映画で初めて知りました。)の堀田哲生さん(通称、哲さん)と二人で自転車の旅行をするのですが、この哲さんの存在がとても大きいと感じました。
と言うのは、聴覚障害のある監督と健聴者の哲さんが、映画の中で何度も言い争いの喧嘩になるのです。

例えば、監督は耳が聞こえないから、走行中にお互いにコミュニケーションを取るためにハンドサインを必ず行う約束をしますが、自転車の旅が初めての監督はうっかりそのハンドサインを忘れてしまったりします。
そんな監督に対して、哲さんは「事故が起こったらどうするんだ!命に関わる問題だ!障害は関係ない!」と言って、聴覚障害の監督に本気で怒ります。

そして、そんな哲さんの言葉に対して、監督が手話で言い返してきて、映画の中で何度も喧嘩になり、険悪な雰囲気のまま旅が続いていったりもします。
正直、映画を観ながら二人が険悪になると観ている側にも気まずさが伝わってきたりするくらいです。

例えばこれが普通のテレビのドキュメンタリーだったら、いわゆる放送事故としてカットされる部分かもしれません。
しかし、この二人の喧嘩こそが、この映画で僕が一番感動した部分なのです!

まず、監督に障害があるからと言って一切の偏見を持たずに、間違っていることは間違っている!と、しっかり伝える哲さんは本当にすごい方だと思います。
おそらく哲さんは、監督に障害があってもなくても、同じように気持ちを伝えていたのだと思います。

自分が伝えるべき気持ちを相手にしっかり伝えることは、コミュニケーションの基本中の基本で、そこに障害の有無は関係ないのだと気付かされます。
障害を差別するわけでも甘やかすわけでもなく、自分が伝えるべき気持ちを伝える、これこそが本当に愛のあるコミュニケーションだと思います!

そんな哲さんになかなか素直になれない監督は、何度も喧嘩になります。
映画では監督の気持ちが字幕として出てくるのですが、その中で「コミュニケーションがテーマの映画なのに、こんな内容でいいんだろうか・・・」みたいな言葉が何度も登場します。

しかし、僕は「そんなことはない!この映画は間違いなくコミュニケーションの映画だ!」と思いました!
何故なら、聴覚障害者と健聴者の二人が、障害の壁を越えて何度も喧嘩する、それこそが、紛れも無くコミュニケーションだと思うからです!

喧嘩をすればお互いに傷付くことはあるかも知れませんが、しかし、こうしてお互いが自分の気持ちを正直にぶつけ合うことは、立派なコミュニケーションだと思います。
もしも二人がお互いに余計な気を使って、気持ちを正直に言い合うことがなければ、そこにコミュニケーションは生まれなかったと思うし、この映画を観てもここまで感動できなかったでしょう。

さらに、二人の喧嘩を見ていると、その原因は決して障害だけではなく、お互いの気持ちのすれ違いという、私たちの生活にもまったくありふれた普遍的な問題であることに気付かされます。
確かに、障害はこの映画のテーマの一つではありますが、本質はやっぱり、私たちの生活と完全に地続きな、コミュニケーションがテーマの映画だと思います。

何より素晴らしいのは、二人が喧嘩をする姿や、失敗してしまう姿、格好悪い姿を、きちんと記録して、映画という作品に残した監督です。
自分の格好悪い姿を記録に残すのは本当に勇気がいることだと思いますが、それを恐れずに、しっかりと残していることに本当に感動しました。

映画の後半で監督は、この旅で自分は何か変われたのだろうか、みたいなことを言います。
しかし、自分の弱さと向き合うこととなった監督の姿は、障害などは関係なく、どんな人にとっても当てはまる普遍的なものだと思います。

そして、旅の終わりがゴールではない、旅が終わっても人生は続いていく!だからこそ、スタートライン!なんて感動的な映画だろうか!
だからこそ、この映画を観ると思わず監督のことを応援してしまうし、見終わったあとは勇気をもらえる映画だと思います!



上映後に、監督の手話による舞台挨拶(通訳あり)があり、その後はパンフレット購入者への監督へのサイン会も行われたのですが、そこで監督と手話で会話されている方が大勢いました。
また、手話で感想を言い合っている方も大勢いて、そういう意味でも本当に素晴らしい上映会だったなあと思いました。

聴覚障害のある方でこの映画に勇気付けられた方はきっと大勢いると思います。
僕は聴覚障害のある方とは今まであまり出会ったことがなかったので、そういう方々と一緒に映画を観たことによって、世界が広がったような気がしました。



とにかく、何度も言いますが、勇気のもらえる素晴らしい映画だと思います!
12/2(金)まで上映しているので、是非!



上映時間

11/19(土)~11/25(金) 10:00~12:05(ただし、11/20(日)上映なし、11/23(水)9:30~11:25)
11/26(土)~12/2(金) 12:00~14:05





最後に監督と記念撮影させていただきました!
ありがとうございました!





追加情報!

なんと、この「Start Line」のレポートを、この私がシネ・ウインドが毎月発行している月刊ウインドに書かせていただけることになりました!
やったぜ!シネ・ウインドに行きまくってた甲斐があったってもんだぜ!

いや~何を書いたら良いのやらって感じですが、このブログに書いたみたいなことをいい感じに短くまとめてみようと思います!
みんな、「Start Line」も月刊ウインドも見てくれよな!







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