8/22(火)に久し振りに映画を2本も連続で観て来たので、感想を書いていこうと思います。
一本目はこちら!和田竜さんの原作小説を中村義洋監督が映画化した、嵐の大野智さんが主演の忍者映画「忍びの国」です。
もともとそこまで興味を持っていた映画ではなかったのですが、意外に面白い!という感想をインターネットで見かけて、興味を持って観に行ってみました。
劇場公開は7/1だったらしいのですが、8月下旬でもまだやっていました。
ジャニーズが主演の映画は公開期間が長くて助かります。
ひとまず、予告編はこんな感じです。(2本あるんですね)
で、感想を書いていこうと思いますが、まず最初に言っておきたいのは、僕は、和田竜さんの小説を読んだことも、中村義洋監督の映画を観たことも、まったくありませんでした。
と言うのも、詳しいことは後述しますが、僕はいわゆる戦国モノの時代劇というものが、ちょっと苦手なので、こういう作品に対してもちょっと食わず嫌いなところがあったのです。
でも、実際に観てみて思うのは、寧ろそういう先入観を持った人こそ、楽しめる映画だったのではないか、ということです。
逆に、戦国モノが好きな人にとっては、今までの戦国モノとは違った新鮮さの味わえるような映画だったのではないか、とも思いました。
詳しく書いていきますと、これは僕の個人的な気持ちなのですが、昔から時代劇で戦や、戦国武将を「格好良いもの」「美しいもの」として描くことに違和感がありました。
と言うのも、極端な言い方をしてしまえば、戦国武将なんか、殺し合いをしているようなろくでもない連中じゃないか!という気持ちがあったのです。(偏った意見だとも思いますが、あくまで個人的な気持ちですよ!)
例えば、戦争を扱った娯楽作品の中には、勧善懲悪というか、主人公側を善、敵側を悪と描いて、勝利することにカタルシスをもたらす、という描き方をしているものがありますよね。
そういうものは、それはそれで面白かったりするし、例えば「スター・ウォーズ」みたいなSFやファンタジーなら普通に楽しめるのですが、実際の歴史上の人物や出来事でそういうものを描くことには、やっぱり抵抗があるんですよね。
逆に、「戦争」というものの現実や本質に迫って、敵・味方の人物を善悪ではなく、その陰にある色々な事情や感情や人生を描く深みのある作品もあって、そういう作品を観ると色々考えさせられたりもするのですが、どうしてもそういう作品は重くなりがちなので、そういう「現実の戦争の重み」と「エンターテインメント性」の両方を一つの作品から受け取るのは苦手なんですよね・・・
・・・という理由で、今まで避けて来た「戦国モノ」ですが、じゃあ今回の「忍びの国」はどうだったかと言うと・・・これが、目から鱗というか、画期的な作品(あくまで僕の中で)だった!と思ったので、感想を書いていきます!
まず、主人公側の忍者たちは、別の正義のために戦う格好いい戦士でも何でもなく、金のため、私利私欲にしか動かないゲスな奴ら、としか描かれないのです。
しかも、一たび金のため、と分かった途端には、何の怨みもない相手だろうが、仲間だろうが、いとも簡単に殺す、そういう非道な人物なので、一つも感情移入できないし、格好いいと思える要素もないのです。
一方、敵側の武将たちは、忍者たちのゲスさ、非道さとは正反対の、武士らしく義理を通すような人物たちに描かれていて、それは格好いいのかと言うと、決してそうでもないのです。
忍者たちは確かにゲスで非道ではあるのですが、そこには彼らなりの狡猾さ、言い換えれば賢さもあって、それを見せ付けられてから武将たちを見ると、どうしても滑稽に、意地悪な言い方をすれば、頭が悪そうな、バカな集団にも見えてしまうのです。
と言う訳で、身も蓋もない言い方をすれば、ゲスな奴らとバカな奴らの戦いであり、どちらに感情移入も肩入れもすることなく、完全に客観的な視点から、単純に劇中で発生する戦略やアクションをゲームでも見るかのように、ゲラゲラ笑いながら気楽に楽しむことも出来たりもするのです。
また、そこには同時に、「戦争なんて下らないものだなぁ」という虚無感、あるいは戦争なんてバカバカしいという、極めて現代人的な「戦争なんてやりたくないし」という対する冷めた視線(僕は完全にそういう気持ちだし、そういう考えが間違っているとは思わない)があるので、この時代に戦国モノを描くという点では、画期的だと思ったんですよね。
でも、そもそもこの映画、全体的に、人を殺しても陰惨な描き方はしない、全体的にコミカルな描写が多い、など、明らかに家族で観に行けるようなエンターテインメント映画になっているんですよね。
そんな全年齢対象のファミリー向け映画で、そんな「戦争なんてバカのやることだよ」っていう冷めた戦争観を描くって、なかなか攻めてるなあ、なんて思ったりもしました。
要するに、「戦争の重み」は限りなく軽く描かれているから気軽に見られるんだけど、その「軽さ」こそが、戦争に対するこの映画なりの一つの解釈にもなっているのかなあ、なんていう深読みさえしてしまいました。
とは言え、そんな深読みをしなくても、忍者たちと戦国武将たちの情報戦や、二転三転するストーリー、そして遊び心に溢れた忍術の表現など、細かいところにまでこだわっていて、普通にエンターテインメントとして、とても楽しめました。
あとやっぱり、主演の大野智さん!すごく良かった!
映画を見る前は、アイドルだし主演だし、格好いいヒーロー忍者なのかなーと思いきや、まったくそれとは正反対の金のためにしか動かないゲス野郎でびっくりしたんですけど、だけどどこか憎めない絶妙なキャラクターを見事に演じていて、いやー、流石だ!と思いました。
また、アクションも凄かったし、ところどころダンスをしているかのような戦い方もあったりと、キャラクターとしても、アクションとしても、大野くんにしか出来ない役になっていたと思います。
「無限の住人」のキムタクでも思ったけど、やっぱりジャニーズが本気出すとすごいですよね…いやー、流石としか言いようがないです!
あと、もう一人上げるとすれば、鈴木亮平さんがすごく良かったですね!
忍者の生まれながら、私利私欲のためにしか動かない忍者の在り方に疑問を持っている、という、滑稽なくらいにクソ真面目なキャラクターがぴったりでした!
忍者でありながら、忍者の在り方に疑問を持つ、という立場故に、忍者vs戦国武将という構図の中で、どちらに立つのかが最後まで分からなくて、ハラハラさせてくれる、という意味でも、かなり美味しい役でしたね。
あと、やっぱり彼もアクションが良かったです!ラスト近くのある戦いのシーンは本当に熱くなりました!
・・・と言う訳で、この時点でかなり面白いんですけど、ラスト近くになって、それまで私利私欲のためにしか動かないゲス忍者の主人公に、ある変化が訪れる、という展開も、いい意味で期待を裏切ってくれた!という感じで、とても良かったです。
何て言うか、初めてそこで主人公に感情移入させられるような展開であり、しかもそれが、先程書いたような「戦争なんて下らないなあ…」という冷めた視点で気軽に見ていた自分の気持ちを、一気に現実の重みに引き込むかのような展開だったので、本当にはっとさせられました。
そんな感じで、中盤までは気軽に楽しめるようにとにかくエンターテインメントにこだわっておきながら、最終的には胸が熱くなったり、はっとさせられたり、考えさせられたり、うっかり感情移入までしてしまうという、とにかく色んな面白さを考え抜いて作られたいい映画だったと思います!
あと、最後には何だかんだで重い展開にもなったりはするんですけど、すっきりと観終われるようなラストだったのも良かったです。(エンディングテーマは嵐の「つなぐ」という曲でした。)
一本目はこちら!和田竜さんの原作小説を中村義洋監督が映画化した、嵐の大野智さんが主演の忍者映画「忍びの国」です。
もともとそこまで興味を持っていた映画ではなかったのですが、意外に面白い!という感想をインターネットで見かけて、興味を持って観に行ってみました。
劇場公開は7/1だったらしいのですが、8月下旬でもまだやっていました。
ジャニーズが主演の映画は公開期間が長くて助かります。
ひとまず、予告編はこんな感じです。(2本あるんですね)
で、感想を書いていこうと思いますが、まず最初に言っておきたいのは、僕は、和田竜さんの小説を読んだことも、中村義洋監督の映画を観たことも、まったくありませんでした。
と言うのも、詳しいことは後述しますが、僕はいわゆる戦国モノの時代劇というものが、ちょっと苦手なので、こういう作品に対してもちょっと食わず嫌いなところがあったのです。
でも、実際に観てみて思うのは、寧ろそういう先入観を持った人こそ、楽しめる映画だったのではないか、ということです。
逆に、戦国モノが好きな人にとっては、今までの戦国モノとは違った新鮮さの味わえるような映画だったのではないか、とも思いました。
詳しく書いていきますと、これは僕の個人的な気持ちなのですが、昔から時代劇で戦や、戦国武将を「格好良いもの」「美しいもの」として描くことに違和感がありました。
と言うのも、極端な言い方をしてしまえば、戦国武将なんか、殺し合いをしているようなろくでもない連中じゃないか!という気持ちがあったのです。(偏った意見だとも思いますが、あくまで個人的な気持ちですよ!)
例えば、戦争を扱った娯楽作品の中には、勧善懲悪というか、主人公側を善、敵側を悪と描いて、勝利することにカタルシスをもたらす、という描き方をしているものがありますよね。
そういうものは、それはそれで面白かったりするし、例えば「スター・ウォーズ」みたいなSFやファンタジーなら普通に楽しめるのですが、実際の歴史上の人物や出来事でそういうものを描くことには、やっぱり抵抗があるんですよね。
逆に、「戦争」というものの現実や本質に迫って、敵・味方の人物を善悪ではなく、その陰にある色々な事情や感情や人生を描く深みのある作品もあって、そういう作品を観ると色々考えさせられたりもするのですが、どうしてもそういう作品は重くなりがちなので、そういう「現実の戦争の重み」と「エンターテインメント性」の両方を一つの作品から受け取るのは苦手なんですよね・・・
・・・という理由で、今まで避けて来た「戦国モノ」ですが、じゃあ今回の「忍びの国」はどうだったかと言うと・・・これが、目から鱗というか、画期的な作品(あくまで僕の中で)だった!と思ったので、感想を書いていきます!
まず、主人公側の忍者たちは、別の正義のために戦う格好いい戦士でも何でもなく、金のため、私利私欲にしか動かないゲスな奴ら、としか描かれないのです。
しかも、一たび金のため、と分かった途端には、何の怨みもない相手だろうが、仲間だろうが、いとも簡単に殺す、そういう非道な人物なので、一つも感情移入できないし、格好いいと思える要素もないのです。
一方、敵側の武将たちは、忍者たちのゲスさ、非道さとは正反対の、武士らしく義理を通すような人物たちに描かれていて、それは格好いいのかと言うと、決してそうでもないのです。
忍者たちは確かにゲスで非道ではあるのですが、そこには彼らなりの狡猾さ、言い換えれば賢さもあって、それを見せ付けられてから武将たちを見ると、どうしても滑稽に、意地悪な言い方をすれば、頭が悪そうな、バカな集団にも見えてしまうのです。
と言う訳で、身も蓋もない言い方をすれば、ゲスな奴らとバカな奴らの戦いであり、どちらに感情移入も肩入れもすることなく、完全に客観的な視点から、単純に劇中で発生する戦略やアクションをゲームでも見るかのように、ゲラゲラ笑いながら気楽に楽しむことも出来たりもするのです。
また、そこには同時に、「戦争なんて下らないものだなぁ」という虚無感、あるいは戦争なんてバカバカしいという、極めて現代人的な「戦争なんてやりたくないし」という対する冷めた視線(僕は完全にそういう気持ちだし、そういう考えが間違っているとは思わない)があるので、この時代に戦国モノを描くという点では、画期的だと思ったんですよね。
でも、そもそもこの映画、全体的に、人を殺しても陰惨な描き方はしない、全体的にコミカルな描写が多い、など、明らかに家族で観に行けるようなエンターテインメント映画になっているんですよね。
そんな全年齢対象のファミリー向け映画で、そんな「戦争なんてバカのやることだよ」っていう冷めた戦争観を描くって、なかなか攻めてるなあ、なんて思ったりもしました。
要するに、「戦争の重み」は限りなく軽く描かれているから気軽に見られるんだけど、その「軽さ」こそが、戦争に対するこの映画なりの一つの解釈にもなっているのかなあ、なんていう深読みさえしてしまいました。
とは言え、そんな深読みをしなくても、忍者たちと戦国武将たちの情報戦や、二転三転するストーリー、そして遊び心に溢れた忍術の表現など、細かいところにまでこだわっていて、普通にエンターテインメントとして、とても楽しめました。
あとやっぱり、主演の大野智さん!すごく良かった!
映画を見る前は、アイドルだし主演だし、格好いいヒーロー忍者なのかなーと思いきや、まったくそれとは正反対の金のためにしか動かないゲス野郎でびっくりしたんですけど、だけどどこか憎めない絶妙なキャラクターを見事に演じていて、いやー、流石だ!と思いました。
また、アクションも凄かったし、ところどころダンスをしているかのような戦い方もあったりと、キャラクターとしても、アクションとしても、大野くんにしか出来ない役になっていたと思います。
「無限の住人」のキムタクでも思ったけど、やっぱりジャニーズが本気出すとすごいですよね…いやー、流石としか言いようがないです!
あと、もう一人上げるとすれば、鈴木亮平さんがすごく良かったですね!
忍者の生まれながら、私利私欲のためにしか動かない忍者の在り方に疑問を持っている、という、滑稽なくらいにクソ真面目なキャラクターがぴったりでした!
忍者でありながら、忍者の在り方に疑問を持つ、という立場故に、忍者vs戦国武将という構図の中で、どちらに立つのかが最後まで分からなくて、ハラハラさせてくれる、という意味でも、かなり美味しい役でしたね。
あと、やっぱり彼もアクションが良かったです!ラスト近くのある戦いのシーンは本当に熱くなりました!
・・・と言う訳で、この時点でかなり面白いんですけど、ラスト近くになって、それまで私利私欲のためにしか動かないゲス忍者の主人公に、ある変化が訪れる、という展開も、いい意味で期待を裏切ってくれた!という感じで、とても良かったです。
何て言うか、初めてそこで主人公に感情移入させられるような展開であり、しかもそれが、先程書いたような「戦争なんて下らないなあ…」という冷めた視点で気軽に見ていた自分の気持ちを、一気に現実の重みに引き込むかのような展開だったので、本当にはっとさせられました。
そんな感じで、中盤までは気軽に楽しめるようにとにかくエンターテインメントにこだわっておきながら、最終的には胸が熱くなったり、はっとさせられたり、考えさせられたり、うっかり感情移入までしてしまうという、とにかく色んな面白さを考え抜いて作られたいい映画だったと思います!
あと、最後には何だかんだで重い展開にもなったりはするんですけど、すっきりと観終われるようなラストだったのも良かったです。(エンディングテーマは嵐の「つなぐ」という曲でした。)