1/13(水)、ユナイテッド・シネマ新潟で(イオンシネマ新潟南でも上映)「新感染半島 ファイナル・ステージ」、観てきました。
予告編はこちら。
韓国で謎のパンデミックによるゾンビパニックが発生し、それを新幹線という閉鎖空間の中で描いた2017年の大傑作「新感染 ファイナル・エクスプレス」の4年後が舞台。
韓国は廃墟と化し人々は国外に逃亡する中、大金の強奪任務で再上陸した主人公達は、現地の生き残りの人々と共に新たなゾンビ騒動に巻き込まれます。
4年前の前作「新感染 ファイナルエクスプレス」の直後、パンデミックで韓国が機能停止という、この時代に見ると笑えないところから物語は始まります。
この時点で国外脱出できる人とできない人がいる「タイタニック」的な格差社会が描かれます。
さらに脱出用の客船の中でまたもやゾンビパニックが発生し地獄絵図に。
これも、ダイヤモンドプリンス号の事件を見ているからこそまったく笑えない恐怖でした。
その後、日本をはじめとする各国が韓国からの亡命者の入国を拒否。
さらに亡命先の台湾でも韓国出身者は差別と貧困に苦しむという、人種差別やウイルス禍での差別をエグいくらい風刺した展開がのっけから全開。
そこで主人公とその義兄は、韓国に残された大金を強奪する闇のミッションに誘われます。
社会の混乱時に悪がはびこるのも、本当に今の現実みたいでリアルでしたね。
廃墟と化した韓国に上陸した一行はゾンビと戦いつつ大金を積んだトラックの強奪に成功したかに見えたが、そこに現地で生き残った人々が武装して襲い掛かり、計画は失敗。
ゾンビの集団と現地の武装集団の戦いが発生する中、主人公はある一家に助けられ、一緒にいた主人公の義兄は武装集団に捕まってしまいます。
ゾンビパニックの発生を描いた前作に対して、すでにゾンビによって崩壊した世界を描く続編という意味では、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」の続編の「ドーン・オブ・ザ・デッド」みたいだと思いました。
また、前作の新幹線という閉鎖空間から戦争アクション的にスケールアップした感じは、「今度は戦争だ」の「エイリアン2」っぽくもあるなあと思いました。
何より、前作の渋いアクションが続編でスケールアップして派手になるこの感じは「マッドマックス2」っぽいなあと思いました。
というのも、秩序が崩壊した世界で生き残った武装集団の描写が、欲望と暴力がむき出しの男達の弱肉強食の地獄を描いていて、完全に「マッドマックス2」や「北斗の拳」のヒャッハー集団なんですよね。
主人公が過去に見捨てた女性が韓国で生き残っていて、逆に助けられたり、最後にピンチになった時に助けたりする脚本もよく出来ているなあと思いました。
また、主人公は捕まった義兄を命懸けで助けに行くわけで、秩序が崩壊し地獄と化した世界でも誰かのために生きること、人として正しく生きようとする人間の姿が胸を打つ映画にちゃんとなっていました。
他にも、「マッドマックス」シリーズ並みのカーアクションも登場するんだけど、中でも「ベイビードライバー」並みの凄腕ドライビングテクニックでゾンビから逃げ切る姉、おもちゃを改造したマシーンでゾンビを翻弄する妹という少女コンビがカッコ良すぎましたね。
ここでも、前半でのさりげないゾンビとの戦い方が、しっかり伏線になっていてクライマックスで大活躍したりします。
また、この映画ではゾンビは光や音に反応する設定なんだけど、その設定を活かした展開や戦い方が本当に細かいところまで作りこまれていたと思ったし、物語の前半で描かれた展開やアクション、ゾンビの習性などが、しっかりクライマックスで伏線として生きてくるという、色んな意味で完成度の高い脚本だと思いました。
というわけで、物語を派手にしすぎて前作の「新感染 ファイナル・エクスプレス」の作り込まれた面白さや緊迫感が失われたなんて声もあるけど、僕はこれはこれで好きです!