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T・ジョイ新潟万代で、「ポプラン」を観てきました。
漫画配信アプリを運営するベンチャー企業のやり手社長の主人公が、ある日突然イチモツが消失してしまう!というアクシデントに。
しかも、この映画の世界には同じ悩みを抱えた人々が集う「ポプランの会」が存在し、そこを訪れた主人公は、「ポプラン」(この映画でのイチモツの呼び名)の「家出」は珍しくなく、高速で空を飛んで逃げ回る「ポプラン」を6日以内に取り戻さないと元には戻らないことを知る。
また「ポプラン」は自分に縁のある場所に現れるということも知り、だからこそ主人公は6日間でそれまでに別れてきた相手、捨ててきた相手を訪ね歩く旅に出ることになり、そこでそれまで逃げてきた過去、目を背けてきた過去に向き合うことになっていく…というまさに異色のロードムービー。
最初は、えっ、下ネタ!?と思わせておいて、やがて主人公は自分の過去や弱さと向き合い、大切なものに気付いていくという感動のドラマに…って何だこの映画!?
何が興味深いって、自分がそれまで捨ててきた相手や逃げてきた過去に向き合うことで、ずっと目を背けてきた自分の弱さに向き合い、大切なものに気付き成長していく、これってロードムービーや青春映画のすごい王道のストーリーですよね。
それをまさか「イチモツ探し」という突飛すぎる設定で描くとは…マジでどんな映画だよ!
ただ、冒頭ではパーティで女の子をナンパして手を出しちゃうような調子に乗った主人公が、自分のイチモツを失ったことで「社長」という表面上の肩書を失いただの弱い一人の男性となり、自分を取り戻すために奮闘する…という物語を考えると、「イチモツ」にかなり深い意味が込められた映画だと思う。
自分を大きく見せて調子に乗るのではなく、本当は無力で弱い自分と真っ直ぐ向き合うことで、人は本当の自分を取り戻し、成長することができる…この映画におけるイチモツは、そんな人間の(特に男性の)本質の象徴だったのではないだろうか。
だから何度も言うように、イチモツなんていうストレートな下ネタになりそうな要素を描いているのに、映画に下品な印象はまったくなく、寧ろ股間を押さえて網を振り回す主人公の姿は感動的ですらある。
主人公のイチモツを探す6日間の物語は、一見ギャグにしか見えない展開もしっかりその後の伏線になっていたり、主人公にとって大切な体験となっていくなど、まったく無駄のない脚本も素晴らしく、突飛なアイディアの映画ながら、爽やかに感動できるエンターテインメントになっていました。