https://www.sankeibiz.jp/macro/news/181123/mca1811230500007-n1.htm
--日露首脳会談が14日に行われました
今回の会談で、両首脳は日ソ共同宣言を基礎に平和条約締結交渉を加速させることで合意したとされています。
日本は、中国の軍事的脅威などにどう対峙(たいじ)していくかが課題となっていますが、日露間の関係構築が一層進めば、中国にとって脅威に映るでしょう。
中国包網を形囲成するためにも、日露平和条約を早期に締結させるべきだと思います。
これから、北方領土問題の解決を含めた交渉が本格化すると思われますが、安倍晋三首相には国家戦略をもって大局観のある英断を期待したいところです。
--米中間選挙の投開票から2週間ほど経過しますが、結果については
今回、上院は共和党が過半数を維持する一方で、下院は民主党が過半数を獲得して、いわゆる「ねじれ議会」が現れる形となりました。
大統領への弾劾は、下院議員の過半数で発議できるため、訴追に至る可能性は否定できません。ただ、弾劾裁判で有罪に至るには上院議員の3分の2以上の同意が必要で、実際に弾劾決議に至る可能性は低いでしょう。
また、トランプ氏が2期目の当選を目指す2020年の大統領選に向けては、今回の下院選挙の影響は軽微に過ぎないとの見方もあります。中間選挙では現職大統領が率いる与党が敗れるケースが多いので、議席の減少を最小限に食い止めたと考えれば、同氏がツイッター上で「素晴らしい成功だ」としているのも、ある意味でうなずけます。
--米国経済をどう見るか
米国では、今年4~6月期の実質国内総生産(GDP)の成長率が4.2%(年換算)となり、7~9月期も3.5%(速報値)になったとされています。米中貿易戦争による景気減速懸念が取り沙汰されているものの、依然として高い水準を維持しています。“トランプ減税”による効果が非常に大きく出ていると考えます。
法人税は今年、これまでの35%から21%へと大幅な減税が実施されました。これにより、米国企業は、積極的な設備投資を行うことができるようになったほか、投資家への配当を増やし、従業員の給料を上げることもできるようになりました。
自動車メーカーをはじめとした日本企業の現地法人も、米国への税金支払いが少なくなるなど、減税の恩恵を既に受けています。
個人所得税についても、最高税率をこれまでの39.6%から37%に引き下げたほか、基礎控除も大幅に引き上げるなどして米国民にとってメリットの大きな減税策を実行しています。
トランプ減税の規模は10年間で約1.5兆ドルに達すると見込まれていますが、これらの減税策により米国人の可処分所得が増えることで、消費が刺激されたり民間企業の設備投資が拡大することなどが、今後さらに期待されています。
一方で、今回の大幅な減税により歳入が落ち込んで、財政の悪化は避けられないとの懸念の声もあります。
しかし、減税の効果は極めて大きいというのが実際のところですので、今後、米国経済が持続的に成長し、高成長を達成すれば、財政は長い目で見れば改善に向かうのではないかと思います。
日本では、先般、安倍首相が来年10月に消費増税を行うと表明しましたが、増税すればデフレ脱却はさらに遠のくことになります。
また、国会では外国人労働者の受け入れ拡大に向けて審議が進められていますが、増税を機に雇用の悪化を招くことになれば、日本人の失業を増やして社会問題化することにもつながりかねません。「国家は常に、安い税金を目指すべきだ」という自由の哲学の下、日本は一貫性のある成長戦略を実行すべきです。
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【プロフィル】釈量子
しゃく・りょうこ 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒業。大手家庭紙メーカー勤務を経て、94年、宗教法人幸福の科学に入局。常務理事などを歴任。幸福実現党に入党後、女性局長などを経て、2013年7月より現職。